派手なのは苦手なので、とりあえず隠れて敵を倒そうと思う   作:名無しの投稿者

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有限不実行で本当に申し訳ないです……。
11月後半から今までにかけて仕事が忙しかったんです。早出&残業で碌に時間が取れませんでした……。


暗殺者と増殖

 七十人の襲撃者が全滅したその一時間後、今度は二百人近くのプレイヤー達が【楓の木】の拠点を襲撃してきた。

 襲撃に来たプレイヤーの数を見て、流石にマズいと【楓の木】は自軍のオーブのみを回収して早々に奥へ引っ込んでいく。

 

「……欲をかいてここまで踏み込んできたらメイプルを起こして迎撃、だったよな?」

「うん、それで大丈夫。まぁ相手もここが【楓の木】だって分かってるだろうし、そこまでのリスクは侵さないだろうけどね」

 

 【楓の木】は各人員の戦闘力がかなり高く、何より異常な攻撃を多数持つメイプルがいる。

 そんな相手に常に居場所を知られ続けるなど、オーブ一個分のポイントでは割に合わないというのがサリーの考えだ。

 そしてその予測は正しく、侵入者達は奥の部屋に近寄る事もなく残ったオーブのみを取って拠点を後にした。

 

「じゃあ私はあの連中を追っ駆けてくるから、皆は休んでていいよ」

「……待て」

 

 オーブを台座に再びセットし直すと共に、サリーが拠点を飛び出して行こうとしたが、その腕をハイドがつかんで止める。

 

「えっ、何?」

「……何? じゃない。ほんの一時間前に言った自分の言葉をもう忘れたのか?」

 

 急に腕を掴まれてキョトンとした顔をするサリーに対して、ハイドはジト目で返す。

 ハイドの言葉に二,三秒宙に視線を向けるサリーだが、やがて思い当たる節があったのか小さく声が漏れた。

 

「ぁ……えっと、もう無理はしないってやつ? だ、大丈夫だよ。別に今は疲れてないし。あと、取り敢えず腕離して」

 

 ハイドとの距離が割と近い事に気付いて、徐々に体が熱くなっていくのを何とか隠しながら言うが、残念ながらサリーの抗議は聞き入れられず逆にハイドは腕の力を強めてグイっと体を近づける。

 

「……ダメだ。徹夜の強行軍の後サリーは碌に休んでないからここで休め」

「い、いや、それはハイドだって同じでしょ。あと、体近ぃ……」

「……じゃあ言い方を変える。隠れて様子を見るのは俺の方が得意だから俺が行く」

 

 ハイドの正論に対して、サリーからは反論が出て来なかった。

 確かにハイドは複数の姿を隠すスキルを持っており、【AGI】もサリーの次に高い。そうでなくとも影が薄く隠れるのが得意なので、こういった仕事には最適である。

 尤も間近に迫ったハイドにサリーは大分冷静さを失って来ていたので、本当に正論によって黙ったのか定かではないが。

 ともかく言葉に詰まったサリーを見て、『もう無理矢理行かないだろう』と判断したハイドは体を離しながら優しく言った。

 

「……思うに、サリーは人に頼るのが下手過ぎる。全く頼ってない訳じゃないけど、もう少し人に頼んでもいいと思う」

「確かに、ハイドくんの言い分も一理ある。ハイドくん、頼まれてくれるか?」

「……問題ないです」

「………分かった。じゃあ大規模戦闘が起こりそうになったら連絡ちょうだい」

 

 サリーの言葉にハイドは頷きで返すと、そのまま先程の集団を追い駆けに拠点から外に出て行った。

 

「そんなに心配そうに眺めてなくても、ハイドくんなら大丈夫よ」

「べ、別に心配してる訳じゃないですから!」

 

 ハイドが出て行った出口をボーっと眺めていたサリーを、イズがニヤニヤ笑いながら揶揄う。

 その揶揄いをサリーは慌てた様子で否定するが、赤く染まった頬でその言葉が照れ隠しなのは一目瞭然である。

 

「あらあら、照れちゃって可愛いわね♪」

「て! てっててて照れて何て……!」

「ふふっ、ホント可愛いわね♪」

 

 サリーの様子に楽しくなってしまったイズがさらに踏み込んで揶揄うと、サリーは壊れたような言葉を発した後耳や首まで真っ赤にして俯いてしまった。

 それを見てニコニコ笑っていたイズの頭に、カスミが勢いよく手刀を落とす。

 

「イタっ! もう、何するのよ」

「何をするじゃない。いくら何でも揶揄い過ぎだ」

 

 普段はイズと共にサリーとハイドの関係を微笑ましげに見ており、多少の揶揄いは関係を進めるスパイスだろうと見逃すカスミだが、流石にこれ以上はマズいと止めに入ったのだ。すでに手遅れな気がしないでもないが。

 

「サリー、大丈夫か?」

「ごめんなさいね、サリーちゃん。ちょっと楽しくなって揶揄い過ぎたわ」

「い、いえ……大丈夫です……」

 

 何とか再起動したサリーだが、まだ首筋や耳に赤みが残っているので完全に復活したわけではないようだ。

 

「そんな事より! カナデ。ハイドから連絡が来たら……」

「うん、分かってる。僕とサリーとカラアゲのスキルで」

「メイプルも連れてね」

「なら、その時が来るまでゆっくり体を休めよう」

 

 カスミの号令で皆が思い思いに体を休める中、サリーは再度チラリと出入り口の方に視線を向けた。

 

「(はぁ~全く心臓に悪い! いつもいつも距離が近すぎるのよ……お陰でこっちの身が持たないわ)」

 

 ハイドに握られた腕を無意識に触りながら、内心でそんな不満を愚痴るのだった。

 

     ◇◇◇

 

「クシュッ! ……?(風邪、か? 体調はいつも通りだったはずだったんだけど……ってかフルダイブで風邪とか関係ねぇか。誰か噂話でもしてんのかね)」

 

 イズによってサリーが揶揄われている頃、ハイドは既に先程拠点を襲撃してきた集団を発見して追跡を開始していた。

 二百人もの規模となれば、それに応じて移動速度も落ちる。ハイドが集団が拠点を出てから然程間を置かずに追い駆けたのもあり、比較的楽に発見できたのだ。

 

(今はどこにも襲われていない……けど、時間の問題だな)

 

 彼らは他ギルドのオーブを九個も抱えて移動している。つまり九つのギルドから常に位置を把握されながら動いているのだ。

 その上二百人というかなりの規模で移動しているため非常に目立っており、どこかの大規模ギルドから襲撃を受けるのは最早確定と言ってもいい状況である。

 

(まぁそれはあの連中も理解して警戒しているから、奇襲を受けて大混乱って事態は起きないだろうけど……っておよ?)

 

 二百人の集団を割と近くで尾行していると、突然前列の方で巨大な火の玉が集団に襲い掛かった。たったそれだけで襲ってきたギルド、もといプレイヤーは一目瞭然である。

 

(あれ? あそこのギルドは襲ってなかったはず……ただの偶然?)

 

 集団を襲撃したプレイヤーは炎を放って多くのプレイヤーを消し飛ばしながら、炎を纏って圧倒的機動力で移動し迎撃の魔法を躱し続ける。

 襲撃してから僅か数分で、既に五十人以上のプレイヤーがたった一人によって光に変えられていた。そして襲ってきた少女に対して誰も攻撃を命中できていない時点で、勝敗は決したとみて間違いないだろう。

 

(ふむふむなるほど……これはチャンスかもな。また起こしちゃって悪いけどね)

 

 ハイドはこの攻防の流れ弾が来ない場所まで後退すると、急いでサリーに現状をメッセージで伝える。

 その十分後、化物形態のメイプルの背に乗った【楓の木】が、ハイドを回収してとあるギルドの元まで走っていくのだった。

 

     ◇◇◇

 

「よし、着いたよ! じゃあ皆、手筈通りに!」

「うん! 大暴れしちゃうんだから!」

 

 メイプルの背に揺られて到着した目的地、【炎帝ノ国】では既に今回のイベントで最大規模の戦闘が行われていた。

 先程ミィが潰した集団が持っていたオーブを取り返しに来たギルド、【炎帝ノ国】を潰すために襲撃を仕掛けに来たギルド、騒ぎに便乗するために集まってきたギルドと、大中小を問わず様々な規模のギルドが一か所に集まってきているのだ。

 そして、このギルドたちを相手取っている【炎帝ノ国】はもうしっちゃかめっちゃかである。

 

「【崩剣】!」

「【炎帝】! 【爆炎】! 【噴火】!」

「【ホーリージャベリン】!」

「うおぉらぁ!!」

「【遠隔設置・岩壁】! 【遠隔設置・風刃】!」

 

 敵味方が入り交じり、一瞬でも油断すると死んでしまうような緊迫した状況で、ミィ達【炎帝ノ国】は必死にスキルや武器を振るって何とか立ち回っていた。

 

「敵の数も徐々に減ってきている! 皆、もう少しだ!!」

「「「「「はい! ミィ様!!」」」」」

「(何でこんな状況になっちゃってるの~!!? 怖いよ~! もうヤダよ~~!! 誰か助けて~~~!!!)」

 

 相変わらず表と裏でギャップが激しいミィであるが、彼女の鼓舞により士気が大幅に上がっていく。

 

「ったく! ミィってばこんな時も冷静沈着で羨ましいったらないよ! アタシですら少しビビってるってのに」

「アゲハがビビるとか相当だよね。かく言う僕も逃げ出したい気持ちでいっぱいだけどね」

「ハハハ! 今回ばかりは同感だぜマルクス! でもミィが頑張ってんだ! 俺達だけ逃げ出す訳にはいかないだろ!」

「そうですね! 私も精一杯頑張ります!」

 

 自分の一言でみるみるやる気が上がっていく周囲をミィは表面上は毅然とした態度で、内心ではオロオロしながら見渡した。

 

「(ふうぇ~。私なんかの言葉で皆のやる気が上がっていく~。はぁ……もう逃げたいよぉ。この演技疲れるよぉ~……)」

 

 既にイベント三日目。つまりほぼ丸三日休みなしで演技し続けており、ミィの精神的疲労はもう限界に近付いてきている。

 そんな精神状態で襲ってきたこの大規模な襲撃。正常に演技が出来ているのが不思議なぐらいだ。

 

「ん? メッセージか?」

 

 必死に演技をしながら敵を倒しているミィに、一通のメッセージが届いた。その内容を確認すると彼女の顔色が、すぅっと一瞬で青白くなっていく。

 

「……嘘……もういいでしょ? ないないない……」

「ミィ? どうかしたのか?」

 

 思わず演技が崩れてしまうが、アゲハに声を掛けられ咳払いと共に慌てて猫を被り直す。

 

「別の場所で戦っている仲間からメッセージが届いた……メイプルと思われる化物がこちらに接近中、とのことだ」

 

 ミィの言葉を聞いた途端、四人の表情が歪んだ。

 

「つらい……とてもつらい……」

「俺、カスミにも負けてるんだけどなぁ……負けてるんだけどなぁ!」

「それを言うならシン以外のアタシ達はメイプル一人に負けてるよ。しかも今度は聞いた事もない新しい形態になってるのか……ホント、あの子の引き出しはどうなってるんだよ」

「あ、はい……そうですか……」

 

 ミィ達は大声で話していないため周りのメンバーには伝わっていないが、内容を知った五人はこのありさまである。全員に知られればどうなるか、想像に難くないだろう。

 

「また、負けるのか……」

 

 ミィの若干素の混じった呟きは、この場に居る五人の心情を如実に表していた。

 

「……えぇい! どうせ全滅だ! 一人でも多く道連れにするぞ!! 【フレアアクセル】!」

 

 やけっぱちになった叫び声をあげながら、轟音や爆炎と共にミィが飛び出す。一足飛びで最前列まで移動し、周囲にスキルを撒き散らすというもはや防御を一切考えない殲滅重視の戦いを始めた。

 当然敵もやられっぱなしではなく、【炎帝ノ国】の集団に向かって一斉に魔法が放たれる。複数の大規模ギルドが集まり、既に【炎帝ノ国】を囲む集団は千人を超えている。そんな集団から放たれる魔法の数は尋常ではなく、これだけで終わりかねない。

 

「【聖者の祈り】!」

 

 すかさずミザリーが、超広範囲にいる味方に一定時間高速自動回復の効果を与えるスキルを使用して何とか耐えきる。これにより受けたダメージはみるみる回復していくので、直撃を受け続けない限り倒される事はない。

 

「【爆炎】! 【炎帝】!」

「【崩剣】!」

 

 スキルのデメリットで全てのMPが無くなり回復できなくなってしまったミザリーが攻撃されない様に、ミィとシンがそれぞれ逆方向にスキルを使用してプレイヤーを倒していく。

 ただシンはともかくミィの主な攻撃手段は魔法なので、使用する度にMPを消費していく。さらに【炎帝】は非常に高威力だがその威力に見合うMP消費があり、端的に言ってしまえばかなり燃費が悪いのだ。

 周囲にいるプレイヤー達を全て倒すには、もう残り少なくなったMPポーションでは足りない。

 

「それでも、一人でも多く……!」

 

 死亡する覚悟で敵を倒す決意を固めたミィの視界に、見たくなかったものが映り込んだ。

 眼前に広がる数百人はいるプレイヤーのさらに後方、モンスターと見間違うほど醜悪で巨大な化物が走ってきている。

 

「これは……ダメか……」

 

 走っている化物がメイプルだと確信したミィは、完全に諦めムードである。この数のプレイヤーに加えて、メイプルも相手にするのは不可能だと判断したのだ。

 そう考えて段々と目が死んでいくミィだったが、次の瞬間目を見開いた。

 何とメイプルと思わしき化物は大規模ギルドの後方に辿り着くと、そのまま後衛を食い千切って引き千切って燃やして攻撃し始めたのだ。

 この予想外の存在と攻撃に大規模ギルドは大混乱に陥った。さらに化物の背から八人の影が飛び降りると、各々の武器を用いて死を嵐のように撒き散らす。それは最早天災というべきものだろう。

 

「これなら、まだいける!」

 

 ミィは己を奮い立たせて、再び敵を倒すために気合を入れ直した。

 メイプル達は別に【炎帝ノ国】を倒すために来たわけではない。【炎帝ノ国】に群がっている多数の大規模ギルドの壊滅が目的なのである。

 その為、多くのプレイヤーを倒してくれるミィ、アゲハ、シン、マルクス、ミザリーの五人を倒す事はなく、寧ろ出来るだけ倒されない様にフォローまでしている。

 そしてミィ達も、そんな風に自分達を助けてくれるメイプル達に対して攻撃なんてしない。下手に藪を突くと蛇どころでない化物が出てくるので当然だ。

 この奇妙な利害の一致により、一時的な共闘関係が誕生した。

 

     ◇◇◇

 

「うべっ! 【暴虐】がやられちゃった!」

 

 メイプルは圧倒的な【VIT】によって普通の攻撃はまずダメージにならないが、今の『NWO』には防御力貫通スキルがある。

 いくら【暴虐】状態がメイプルに見えないとはいえ、攻撃が通らないと分かれば次に試すのは防御力貫通スキルだ。そして【暴虐】はメイプル曰く『大きな着ぐるみを着ている感じ』であり、非常に動かし辛い。巨体で動きが鈍ければスキルを当てる事自体は容易であり、HPが無くなって【暴虐】が解除されるのは時間の問題だった。

 そして【暴虐】がやられ、中からメイプルが飛び出してきたのを見て、この場に居るプレイヤーは皆あの化物がメイプルだとようやく知ったのだ。

 

「メイプル!」

 

「うん! 【暴虐】!」

 

 【暴虐】も使用回数は一日一回。ただたった今やられてしまった【暴虐】を発動させたのは前日であり、今日の分はまだ使っていない。

 せっかく倒したと思った化物が再び現れ、プレイヤー達に動揺が走る。

 

「「「【幻想世界(ファントムワールド)】!」」」

 

 サリーとカナデとカラアゲが使用したのは、三分間対象と同じ能力値を持って自律行動する分身を三つ作り出す魔法だ。

 その魔法が全てメイプル吸い込まれていき、

 

 

 

              化物のメイプルは合計で十体となった。

 

 

 

     ◇◇◇

 

「見る度におかしくなってるぞ、おい! 【地割れ】!」

 

 集まった大規模ギルドの中にペイン達、【集う聖剣】の幹部もいた。

 メイプルが元に戻った瞬間チャンスだと思って飛び出そうとしたのだが、メイプルが増殖した為出るに出れなくなってしまったのだ。

 一度【暴虐】を間近で見ていた【集う聖剣】は動揺が比較的少なく、ドラグが大地を割ってメイプル達の足を止める。

 

「皆、早急に撤退するぞ! 【断罪ノ聖剣】!」

「まぁ私もあんなの相手してる余裕はないけどねー!? 【多重炎弾】!」

「【クアドラプルスラッシュ】!」

「【グランドランス!】」

「【トリプルウィンドアロー】!」

 

 ペインも即座に判断して号令を出すと、四人は一斉に攻撃を繰り出して周りにいたプレイヤーを蹴散らす。

 ただしこの攻撃は撤退の為の行動なので、進行方向から退けたら追撃をせずに急いでその場から離れる。

 

「やれやれ……俺も新しくスキルを探してみるかな。彼女(メイプル)に負けないようにね」

 

 去り際、ペインはチラリと後ろで大暴れしているメイプル達に視線を向けてポツリと呟き、すぐに前を向いてその場を去っていった。

 

     ◇◇◇

 

 最速で最善の判断をしたペイン達とは違い、撤退が遅れた他のギルドは【楓の木】と【炎帝ノ国】によって大きな被害を受けた。

 この二つのギルドは明確に意思表示をしたわけではないものの、双方がなるべく干渉しないように動いており、他のプレイヤーもミィ達やメイプル達を倒せるほどの実力者はいない。

 この地獄のような状況も、全てのプレイヤーが死亡か撤退する事により終わりを迎えた。壊滅的な被害を受けた各ギルドは、蜘蛛の子を散らすように逃げて行ったのだ。

 

「スキルがなかったら終わってたな……」

「……同感。何度か見つかってやられかけた」

 

 クロムは何度もHPが無くなりかけたが、自前のスキルや装備についているスキルによって驚異的な速度で回復して窮地を脱していた。

 そしてハイドも先程のような混戦状態では視線が入り乱れ過ぎて上手く他人の視線を把握できず、発見されて攻撃されている。ただ幸いな事に、無事にやり過ごしたためダメージは負っていない。

 そんなイベント史上規模な戦闘の後には、【楓の木】のフルメンバーと【炎帝ノ国】の幹部しか残っていなかった。そして両者の丁度中間には、【炎帝ノ国】のオーブがある。

 

「アゲハ、ミザリー、シン、マルクス。ここはオーブを諦めて撤退するぞ」

 

 ミィは宣言するや否や、返答も聞かずに四人を抱え上げて爆炎を撒き散らしながら緊急離脱した。

 これはメイプルの自爆移動を真似たもので、回復はミザリーに任せるものの普通に移動するよりは格段に速く移動できる。

 ミィは今の自分達に【楓の木】を相手取るのは不可能だと判断して、ありったけのMPを全て使ってでもこの場を離れる選択をしたのだ。

 そして【楓の木】も、残されたオーブを獲得すると【巨大化】したシロップに乗って悠々と拠点に帰還したのだった。

 




次回、イベント終了。

年末は休みなので最低でも一話は更新できる…………………………………………………はず!
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