派手なのは苦手なので、とりあえず隠れて敵を倒そうと思う 作:名無しの投稿者
あれから二週間が経ち、ハイドは運営から届いたイベント通知に頭を悩ませていた。
(一週間後に第一回イベント。ルールは専用マップでのPvP、所謂バトルロイアル。ポイント制で与ダメージや他プレイヤーを倒した数でポイントプラス、被ダメージや死亡回数でポイントマイナスか……)
ハイドはルールを読みながら自身のステータスを表示した。
ハイド
Lv24
HP 32/32
MP 25/25
【STR 85〈+20〉】
【VIT 0】
【AGI 85〈+15〉】
【DEX 0】
【INT 0】
装備
頭 【空欄】
体 【空欄】
右手 【魔鉄のダガー】
左手 【空欄】
足 【空欄】
靴 【身軽の靴】
装飾品 【力の指輪】
【速さの指輪】
【空欄】
スキル
【跳躍Ⅴ】【弱点看破】【寡黙】【連撃剣Ⅲ】【連撃強化小】【筋力強化中】【敏捷強化中】【投擲】【短剣の心得Ⅴ】【遠見】【気配察知Ⅲ】【気配遮断Ⅳ】【潜水Ⅱ】【水泳Ⅱ】【体術Ⅰ】
新しく増えたスキルはスキルショップで購入した物や、掲示板や情報サイトなどを見て必要そうなものを取得した物だ。それをこの二週間で使い込んで強化している。
装備はNPCショップで購入している。装飾品の【力の指輪】と【速さの指輪】は、効果はそれぞれSTRとAGIを+5する程度のささやかな物だ。【魔鉄のダガー】はSTRを+15し、【身軽の靴】はAGIを+10する。どちらも然程強力な武器ではない。後はインベントリの中に十本ほど、投擲用に【鉄のナイフ】がある。投擲はシステム上武器を装備することなく使えるので、いつもはインベントリに入れている。
またハイドは左手にもう一本短剣を装備できるが、短剣二刀流は使いづらい上に急所も狙いにくいので諦めた。
(武器は正直、プレイヤーメイドの方がNPCショップのよりもかなりいい性能してるんだけど……いかんせん値段がバカ高い。生産トッププレイヤーのイズのオーダーメイド品なんて、めっちゃ金がかかるっていう話だ。ただでさえ、普通のプレイヤーと比較しても金が貯まりずらいってのに……)
ハイドの戦い方は見つからないように姿を隠し、そして
(と言うかプレイヤーメイド以前に、今の装備の時点でNPCショップの最高品質じゃないしな。モンスターからは好みの装備品がドロップしないし……)
一応モンスターからいくつか装備品がドロップしたのだが、STRやAGIの上がる装備品ではなかったので即売却した。
因みにハイドは金がないと嘆いているが、全てのドロップを売りポーションの類も殆ど購入していないので結構稼いでいる。ただプレイヤーメイドはかなり高いという情報
(……知らない人とまともにコミュニケーションを取れる自信がない)
かなり人見知りのため聞きに行くのを躊躇していた。今までドロップの買い取りや、ポーションなどの購入を全てNPCショップのみで済ませてきたハイド。そして【寡黙】を入手してからスキルすら言う必要が無くなったので余計に無口になり、NPCショップで話さなくても売買が成立するのも重なって実はこの二週間ゲーム内でまともに話していない。
(マズいのは、分かってるんだけどなぁ……)
自分の人見知りに自覚があるハイドだが、中々治ってくれない。運営が指摘した通り、寂しいプレイヤーになり果てている。
(…………うん。それは一旦置いておいて、今はイベントについて考えよう)
ハイドは脱線しまくった思考を(現実逃避気味に)戻して、再びイベント告知に目をやる。
(イベント報酬は上位十人に限定の記念品配布で、それ以下には報酬なし。イベントでの上位報酬って結構いい物が配布される事が多いけど、何にも内容が書かれてないんだよなぁ~……獲得プレイヤーのいらない物ではないと思うけど)
スキルか装備品か、はたまた別の物なのか。情報が一切ないため憶測するしかない。
(内容や報酬についてはとりあえずこんなもんか。一番の問題は……これに参加するかどうかなんだよなぁ~……)
このイベントに生産職以外の殆どのプレイヤーが参加するのは容易に想像できる。何せゲームが始まって記念すべき第一回目のイベントなのだから、皆気合を入れて参加するだろう。
しかしハイドは先述した通り、まともなプレイヤーではない。モンスター一体倒すのにも時間がかかるため、時間制限ありのバトルロイアルかなり不利。しかも装備品も初めて一週間ぐらいの初心者並みであり、そんな状態で装備の揃ったトッププレイヤー相手に上位を狙えるとはとても思えない。
(……不参加、かな。かなり勿体ないけど、どうせ即キルされ続けるだけだろうし)
ハイドは運営に不参加の通知を出すと画面を消し、そのまま町の外に出て南側の地底湖へ向かって走り出した。その道中で出たオオカミを何匹か急所を狙ったり【投擲】で倒すと、すぐにレベルが上がった。
『スキル【剣ノ舞】を取得しました』
『スキル【飛撃】を取得しました』
と同時に新たなスキルを手に入れる。
【剣ノ舞】
攻撃を躱す度にSTR1%上昇。最大100%。
ダメージを受けると上昇値は消える。
取得条件
レベル25到達までノーダメージであること。
【飛撃】
離れた敵に衝撃波で攻撃する。
取得条件
【投擲】で一定回数とどめを刺すこと。
(まず【飛撃】は、斬撃を放てるようになるって認識でいいのかね? とりあえず、【飛撃】)
スキルを発動させながら短剣を振ってみると、半透明の衝撃波が剣先から放たれる。
(うん、その認識で間違いねぇな。問題は【剣ノ舞】だが……ノーダメージは意識してたけど、こんなスキルが取得出来るなんて予想外だ)
ハイドは奇襲で急所を狙ってを繰り返してモンスターを倒すため、基本的にダメージを受ける事はない。避けるだけのAGIもある。その結果、今までノーダメージだったのだ。
(ただこのスキルは試せないな。【廃棄】するにはもったいない程
スキルの確認を終えて再び走り出す。そして地底湖に着くと、【水泳】と【潜水】のスキルレベルを上げるのため地底湖に入って泳ぎだす。
(泳ぎ続ければ【水泳】と【潜水】も上がるし魚倒せば経験値も手に入るしの一石二鳥で、そこそこいい狩場だよなココ……ん?)
泳いでいたハイドは地底湖の底に隠れるように開いた洞穴を確認すると、一旦水から上がった。
(……うん? アレ多分だけどダンジョン、だよな? 入ってみないと分かんないけど。あれ? ここって何もないんじゃなかったっけ?)
今まで読んだ掲示板や情報サイトを思い返しても、ここにダンジョンがあるという情報は聞いていない。
(秘匿されてるか、未発見のダンジョンを偶然発見しちまったのか……)
ハイドは腕を組んで、無言で考察を重ねる……いつも基本無言だが。
(もしここにダンジョンがあるって情報を流すとどうなるか……十中八九大騒ぎになって、たくさんの人がここに来るよな。新発見のダンジョンだし。
水の中だから【水泳】と【潜水】は探索に必須だけど、逆に言えばダンジョン攻略のためにそのスキルが上げようとここにはちょっとの間たくさんの人がたむろする訳か……面倒だな。俺騒がしいの嫌いなんだよな~)
因みに一人でダンジョン探索してみようという気は一切ない。さっきリスクを避けようと思いいたったばかりなのだ。
(そして俺にダンジョンの情報を流すメリットは……うん、ないな。全くない。別に俺が情報流さなくても誰かが俺みたいに偶然見つけるだろ!)
最終的に他人に丸投げしたハイドは、再び地底湖の中に入るとスキルレベルを上げるために泳ぎ始めた。
主人公は第一回イベントに参加しません。広場から見てるだけです。どうしても今の主人公が勝てるイメージが思い浮かばなかったのと、とある事に気付かせるために不参加にさせました。それは次回のお楽しみに。
次回は第一回イベントをハイドは外から眺めます。
今回入れたオリジナル設定です
投擲に使用するについて
投擲する武器を装備枠に装備していなくても、インベントリから出した武器を手に持ち投げるだけで使える。
原作ではメイプルが【投擲】を使わないため詳しい説明がない。ただ一応マイとユイがギルド戦にて床に置いてある鉄球を使って次々と敵を倒す描写がある。その鉄球はイズが(インベントリから出しているのかその場で製作しているのかは不明だが)補充した物のため、マイとユイが装備している可能性は低い(というか装備枠にしなければならない場合、戦闘中に装備枠を弄らないといけないため非常に面倒くさい仕様になる)。
以上の原作描写からの憶測からすると、『投擲する武器を装備枠に装備していなくても、インベントリから出した武器を手に持ち投げるだけで使える』と考えられる。なお原作には明記されていないため、この設定はこの小説のオリジナル設定である。
NPCショップについて
ショップによっては、スキルだけではなく当然武器や装飾品も売っている。
原作において、登場人物が武器や装飾品を買っている描写はほとんどない(かろうじて、カスミが四階層で刀を買っている。見た目に惹かれた物で戦闘には使える物ではないらしいが、それが本当の意味で見た目だけなのか『戦闘に使える性能をしていない』という意味なのかは不明)。
メイプルとサリーは早々にユニークシリーズを取得しその装備を一切変更せずにいるし(メイプルの場合は特殊な
しかしオンラインゲームにおいて、装備品がプレイヤーメイドかクエスト報酬かモンスタードロップのみなのは流石におかしいと思ったので(名無しは全てのオンラインゲームを知っている訳ではないのでゲームの中にはNPCショップに装備品が売っていないゲームもあるかもしれないが、そこは一旦無視する)、この作品においては『ショップによっては、スキルだけではなく当然武器や装飾品も売っている』という事にした。なお原作には明記されていないため、この設定はこの小説のオリジナル設定である。