おっぱいマスターはやて   作:暗黒パンパース

14 / 23
十三の続きです。


十四

 スカえもんに闇の書の防衛プログラム修正を手伝ってもらった借りを返すために、フェイトちゃんをちょちょいっと騙してデータを集める日が来てしまった。しかしここに来て最大の誤算が生じた。すずかちゃんだ。僕があまりにもフェイトちゃんフェイトちゃんと構っていたら、嫉妬したらしくプロジェクトFの経過観察とは名ばかりのデータ取りに着いて来てしまった。マジでどうしよう。

 

「ここがミッドチルダなんだ。少し未来的だね」

 

「あはは、僕も初めはそう思ったけど街を外れたら結構自然があったりするよ」

 

「私のいたところは自然に囲まれてたよ」

 

 僕は今現在すずかちゃんとフェイトちゃんの両手に花という状態でミッドの街並みを歩いている。すずかちゃんとは恋人繋ぎで手を握り、フェイトちゃんはナチュラルに腕を組んできている。幸せだなあ(胃痛)

 

「ほんとに着いて来るの? 待ってても退屈だから観光して来てもいいんだよ」

 

「フェイトちゃんやなのはちゃんが働いてる時空管理局って、どんなところか興味あるから見てみたいの」

 

「そ、そう……」

 

「ねえ、はやて。どうしてすずかを遠ざけるの?」

 

 おいィ⁉︎人が必死こいてる時に何いきなり空気読まない質問してきますかねえ⁉︎フェイトちゃんのストレートすぎる質問にすずかちゃんの手にギュッと力が入った。フェイトちゃんの腕もグイッと力が入った。これは逃がす気がないみたいだ。

 

「そんなことないよ?」

 

「嘘だよね」

 

 ドッキリ!すずかちゃん鋭いね。空気読んで聞かないという選択肢は彼女たちには無いっぽいよ。考えろ、考えるんだ。スカえもんのデータ取りにすずかちゃんを連れて行かなくてもいい方法を!………………閃いた!

 

『フェイトちゃん!』

 

『? どうしたのはやて。念話で話すとすずかに聞こえないよ』

 

『このまますずかちゃんが着いて来ると、フェイトちゃんの秘密がばれちゃうよ!』

 

『あ、そうだね。はやてはそれを気にしてたんだ。気を使ってくれてありがとう』

 

「二人で何を話してるの? 私に言えないこと?」

 

 ちょっと会話に間が空いてしまったので念話で話していることに気づかれてしまった。すずかちゃんは眉をハの字にして悲しい表情で訴えかけてくる。ああ!泣かないですずかちゃん!僕をそんな目で見ないで!罪悪感パネェ⁉︎

 

「あのねすずか、実は私……」

 

「ちょっと待ってフェイトちゃん! 場所を変えよう」

 

 たまたま公園があったのでそこに入ってベンチに二人を座らせて、僕は飲み物を買ってくると席を外した。この隙に連絡を入れて到着が遅れることを伝えておいた。ええと、飲み物飲み物……よーわからんし、これでいいや。さっさと戻ろう。

 

「二人ともお待たせ」

 

 僕が帰って来るととなりあっていた二人は申し合わせたようにサッと間を空けた。ああ、二人の間に座れということですね、わかります。大人しく間に座ると二人はガッチリと両側から挟み込んで腕を組んで来た。腕組んだら飲み物飲めないんじゃないの?

 僕をしっかりと固定して満足した二人。フェイトちゃんはポツリポツリとPT事件の真相を語り始めた。ジュエルシードのことは魔法バレの時に聞いていたすずかちゃんだったけど、事件の中心人物がフェイトちゃんの母・プレシアだっとは知らなかった。その事件の発端となったプレシアの娘・アリシアの死。狂気に取り憑かれたプレシアの研究。そしてその結果生まれたフェイトちゃん。フェイトちゃんは自分がアリシアのクローンであることをすずかちゃんに明かした。僕は前に聞いていたからね、原作知識もあって画面の向こうのように感じていた。

 しかしフェイトちゃんの話を聞いて涙するすずかちゃんを見ていると、如何に僕がこの世界の人たちを軽々しく見ていたか思い知らされた。僕は以前フェイトちゃんの話を本人から聞いたけど表情一つ変えず、涙一滴流さずに聞いていた。僕はフェイトちゃんの話になんの感慨も抱かなかったんだ。PT事件はアニメで起きた事で現実味がなかった。そして僕は闇の書の主になったことで、自分の事ばかり必死になってこの世界の人たちと真剣に向かい合っていなかった。すずかちゃんの涙でそれを思い出した。

 

「はやてくん!」

 

「はやて⁉︎」

 

 僕は自分を抱きしめて一人ガクガクと震えていた。きっと顔面蒼白になっているだろう。僕は今まで気付かなかった。この世界の人に対して原作という壁を作って接していたことに。それをここで気付かされた。すずかちゃんの涙によって。

 僕はなんて失礼なヤツなんだ。前に桃子さんが言っていたことはこの事だったのか。知らず知らずのうちに人を避けて壁を作ってると、守護騎士たちはわかっていたんだ。だから桃子さんに頼んだ。自分で勝手に壁を作って、その向こうで手を伸ばすという巫山戯きった行為。普通ならこんなやつ誰も相手にしないよ。この世界の皆が優しいから、僕はこうしていられるんじゃないか。そんな僕を二人は包んでくれる。

 

「大丈夫だよ」

 

「私たちがついてる」

 

 しばらくすると二人の温もりで僕は落ち着きを取り戻した。この後、スカえもんのためにフェイトちゃんのデータを取らなければいけない。普通に考えたら命の恩人の一人だからと言って、違法な事に使われるだろうデータを渡すなんてどうかしてるよ。でも約束は約束。それに僕のために協力してくれたスカえもんを蔑ろには出来ない。フェイトちゃんには申し訳ないけど、僕も覚悟を決めたよ。その上でデータをスカえもんに渡そう。フェイトちゃんに何かあったら、その時は……散ってもらおう。

 

「もう大丈夫、二人ともありがとう」

 

 僕は二人を引き寄せてまだぺったんこなおっぱいに挟まった。このはやて、伊達におっぱいマスターなどというタイトルはつけていない!フェイトちゃんは?な顔をしていたけど、すずかちゃんはおませさんだからちょっと赤くなってた。

 話も終わったから出発しようとすると、すずかちゃんがそれを制した。何だろうと思ったらすずかちゃんは自分のことを語り始めた。「夜の一族」のことをだ。ちょっと!それは忍お姉さんに許可を取らなくていいの⁉︎それにまだなのはさんやアリサちゃんにも話していないのに、先にフェイトちゃん⁉︎ええ!どうしよう⁉︎

 結局止めることも出来ずに全部フェイトちゃんに話してしまった。そして契約という名の約束をフェイトちゃんに迫ると、フェイトちゃんは快く誓ってくれた。え、あっさり?いや、確かに契約してくれると思ってたけどこんなのでいいの?忍お姉さんには何て説明するつもりなんだろうか。

 話し合いが終わった僕たちはぴったりとひっついて目的地に向かった。通りすがりの人に将来大変ねって言われたけど、もう既に大変な事になってるんですよ。そのまま歩いているとフェイトちゃんが恐ろしい提案をした。そしてそれをすずかちゃんが承諾してしまった。

 プロジェクトFの経過観察というデータ取りにすずかちゃんも検査受けたらと提案した。つまり夜の一族の体質を調べて貰えと言うのだ。数多の次元世界を統べる時空管理局ならそういった体質の人が他にもいるはずだから、調べるくらい大した事はないと軽々しく言ってくれる。おいおい、これはスカえもんのデータ収集だぞ。すずかちゃんのデータまで取られたらヤバいんじゃないのか?

 内心冷や汗もので施設に到着。そこにいたのはスカえもんのナンバーズである一番と四番だった。おい、二番ちゃん!話が違うぞ!四番連れて来るなって言っただろう!施設の設備には二人以外スタッフは居らず、人払いをされているようだった。その準備は認めるが四番だけは認められんぞ。

 四番は髪を解いてメガネをかけていないので美少女に見える。いやいや、見た目に騙されるな、奴は鬼畜外道の四番だ。一番さんは既に成長済みなので問題ない。何が問題ないのかはわからないが……

 

(おい! なんでお前がいるんだ!)

 

(あらぁん? 私がいると不都合でもあるのかしらぁ)

 

 おちょくる四番に対しておこになりながらも、説明を受ける。どうやらスカえもんが後学のために行けと命じたらしい。バイザーで顔を隠していたとはいえ、よく管理局のお膝元にこれたものだ。その度胸だけは凄いよ。

 僕が四番ともめてるうちに二人は検査の準備を進めていた。こうなったら天に祈るしかない。すずかちゃんのデータに何も出ませんように……ところで何で二人とも裸なの?僕男だよ、恥ずかしくないの?え、見られても構わないだって。うん、ありがとうすずかちゃん。でもフェイトちゃんは羞恥心を覚えようね。

 二人はCTスキャンかMRIみたいな装置で検査された。血液とか細胞とか取って、最後には培養液みたいなのに漬け込まれて検査終了。出てきた二人を拭いてあげた。役得だね。この液体を流したいからシャワー使いたいんだけどって一番さんに言ったら、無いと返事が来た。何というアフターフォローの悪さ。それなりの施設なのにシャワーも無いのか。

 二人が服を着ている間に一番さんに約束は守るように言い含めておいた。四番には言っても無駄なので言わない。でも一番さんもスカえもん第一主義者だから、正直怪しい。大いに不安になりつつも二人を連れて施設から立ち去った。

 外に出るとタクシー的なものを拾って聖王教会まで直行。教会のシスターに二人を綺麗にするようにお願いすると快く引き受けてくれた。やれやれ、これで一息。あー、どうしよ。データ取れちゃったよ。フェイトちゃんのは兎も角、すずかちゃんのとかどうなるんだろう。スカえもんに必要なのは聖王のクローンを作るためのプロジェクトFの成功データのはずだ。すずかちゃんのデータには見向きもしないと思いたい。

 何故か用意されている僕の部屋で悶々と考え込んでいると、シスターが数人やって来た。お召し物を用意しましたとか意味のわからない事を言っている。服を用意した?え、僕の⁉︎なんで?

 驚いているとシスター達は僕をテキパキと脱がせていく。おい、パンツまで取るな!そこはミニソーセージだぞ、やめろ!尻を撫でるな!ええい!離せ!離さんか!とやってるうちに着替えさせられた。僕の騎士甲冑風の法衣だ、出来いいなオイ。でもやっぱり半ズボン。シスター達が僕の仕上がりに満足していると、二人が戻って来た。

 

「wao…」

 

 二人の姿に思わず感嘆の声を漏らした。なんで英語やねん!

 

「どうかな」

 

「……に、似合う?」

 

 二人はドレスっぽい服に着替えていた。フェイトちゃんは黒で妖艶に、すずかちゃんは白で清楚なイメージだ。二人とも似合ってるし綺麗なんだけど、何故に着替えたの?どうして僕も着替えさせられたの?

 

「失礼します。お迎えにあがりました、夜天の王」

 

 二人を褒めちぎっているとシャッハがやって来た。丁度いい、この服に着替えさせられたんだけど、どうしてかな?シャッハが言うには今日は教会でカリムと僕が会食する予定になっていたらしい。そんなの聴いてないよ?

 

「え」

 

「え」

 

 どちらもこの状況がわからないので、カリムのところへ行って直接確かめよう。法衣を翻して二人をエスコートしつつカリムの元へ。両手に花だね。でもぼくの法衣の裾を踏んづけるのはやめてよ。無様につんのめって転けちゃったよ。でも転けるのも二回目以降は二人が超スピードでこける前に支えてくれた。もしかしてわざと踏んでないよね?

 そんなこんなでカリムの待つ部屋に到着。式典などで立食に使われる部屋だ。一体何故ここに?疑問に思いつつも入ると長いテーブルが用意されていてその端にカリムが座っていた。

 

「ようこそ夜天の王。お待ちしておりました」

 

 会食の約束などしていない事をカリムに問い詰めると、予想外……とまでは言えないけど、僕の想定外の答えが返って来た。その答えとは預言者の著書で今日の事を予知していたらしい。なんでやねん。もっと重要なこと予知してよ。

 

「そちらが未来の伴侶達ですね」

 

 おい、待てや。今重量なことをさらりと言わなかったかな?カリム曰く、預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)で予知した未来らしい。何でも預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)と言えば納得したと思うのか?現物の預言を見たわけではないので僕としては信じられないんだけど。

 この事実にすずかちゃんが少なからずショックを受けたのではないかと思ったけど全然そんなことはなかったよ。フェイトちゃんも至って平静だった。あるぇー?オロオロしてるの僕だけ?そんな僕を肴に会食は進んでいった。すずかちゃんはお嬢様だけあって流石のテーブルマナー。フェイトちゃんはすずかちゃんがフォローして問題なし。

 そして会食は恙無く終了。部屋に戻りすずかちゃんとフェイトちゃんも着替えるために別れた。僕も部屋に戻り再びシスター達に弄ばれて着替えるとカリムが訪ねてきた。カリムが来訪するとシスター達はササっと立ち去った。早いな、おい。

 

「訪ねて来たってことは、本題があるってことかな?」

 

「流石はやて、察しが良くて助かります。これを」

 

「これは……⁉︎」

 

 カリムが僕に見せて来たのは預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)の預言内容だった。一年に一回しか使えないレアスキルで会食の予言とか冗談も程々にしてよ。え、本当だって?マジですか……

 

『夜天と無限の欲望が交わる地 聖王の下、聖地より彼の翼が蘇る※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※』

 

「何これ、途中から読めないんだけど?」

 

「それについてはわかりません。恐らく予知があまりにも不確定な為、文章化しなかったのではないかと思います。それは置いておいて、前半の内容です。夜天とハッキリ分かるように、これははやてのことでしょう。無限の欲望が交わる地、一体なんのことかわかりかねます。そして次の聖王という言葉、これが何を意味するのか……」

 

 カリムはかなり深刻な表情だ。夜天と聖王の言葉からくる通り、僕と教会で何かあると見て間違いない。というか無限の欲望ってスカえもんの事じゃね?聖王ってヴィヴィオのこと?原文は忘れたけど、原作にあった予言の時期と内容が違くない?僕がスカえもんにプロジェクトFのデータを提供したから変わったのか?その可能性は大いにありうる。この先、原作知識は役に立たなさそうだ。

 情報が少なすぎて曖昧なので、詳しいことが分かり次第連絡をくれることになった。教会をあとにして観光して地球に帰えると二人が別れ際に左右の頬っぺたにキスしてくれた。

 どうやら僕が公園でガクブルした後、教会で着替えてるうちに二人で僕を支えて行こうという話になったらしい。すずかちゃんはわかるが、フェイトちゃんまで?

 考えたら僕たちには最大の共通点があったね。三人とも両親が既にいない。親の愛情をマトモに受けずに育ってしまった。それが僕達を引きつけ合う原因になってるんじゃないかな。というか無意識のうちに壁を作って接していた僕を支えてくれるなんて、僕に二人は勿体無さすぎる。でも一緒になってくれるっていうなら、僕は離さないよ。何せ二人とも約束された勝利のおっぱい(エクスカリバー)を持っているからね!Fa○eの○イバーdisってんじゃねえだって?僕は大きさに拘らないよ。よってセイ○ーでもいけるクチ。大食いはないわーと思うけど。美味しい美味しいって食べてくれるならついつい作っちゃう。シ○ウくんも喜んでくれる人がいたら張り切って作っちゃうよね。

 話が逸れたよ。何はともあれおっぱいだ。二人ともお持ち帰りしたいけど、まだそういう年じゃないからね。残念なんだな。

 

 

 預言を聞いてからしばらく経ったある日、教会でお仕事していた僕とリインフォースの元に予期せぬ来客があった。ナンバーズの六番・セインがお得意のISでこっそり僕のところへ来たのだ。

 

「おひさー」

 

 軽く挨拶を交わす。リインフォースは警戒するが六番ちゃんの戦闘能力は低いので脅威にはなり得ない。僕を誘拐しようにも彼女一人では僕を無力化どころか、殺すことも不可能。六番ちゃんはスカえもんの命令でも僕をどうにかするようには思えない。六番ちゃんが僕に飛びついてきたので受け止めてあげた。うーむ、背は少し伸びてるけどおっぱいの成長は残念だ。

 何の用かと思ったらしばらく前のプロジェクトFのデータの件でスカえもんが話したいことがあるらしいので、六番ちゃんが出向いてきたとのこと。これなかった五番ちゃんはぐぬぬになってたらしい。六番ちゃんは指先に内蔵されたカメラで、僕と一緒なところを自画撮りして五番ちゃんに自慢するつもりなんだって。なので向こうから抱きついてきたり、頬っぺたスリスリしたり、やりたい放題。僕も六番ちゃんに抱きついたり、不可抗力でやりたい放題。

 

『すまないが、そろそろ話がしたいんだがね』

 

「ごめん、ごめん。それで話って?」

 

『この間のデータにもう一人オマケが付いていたからね。珍しいものを見たからお礼をと思ってね』

 

「あ! 言っとくけどクローン作ったりしないでよ? いや、ほんとマジで」

 

『くくく、データの人物のクローンは作らないよ』

 

「で、お礼って何さ? 六番ちゃんくれるの?」

 

『残念ながらセインはあげられないよ。彼に例のものを」

 

 六番ちゃんは鎖のアクセサリーを僕に差し出した。何だろうと思っているとリインフォースが驚いて声をあげた。

 

「これは自動防衛運用システム『ナハトヴァール』⁉︎ 何故ここに!」

 

 え!これって防衛プログラムの入ったアレなの⁉︎何でこんなもの持ってくるの⁉︎というかどうやって回収したの?

 

『安心したまえ、これは君から取ったデータを元に作った複製品だ。無限再生機能も防衛プログラムも修正してある。この間のデータがあまりにも珍しくてね、ここまでするつもりはなかったのだが、こちらが貰いすぎるのも不公平だ。それに君とはこれからも協力して生きたいからね』

 

 本当に大丈夫なのか?着けた瞬間暴走とか無いだろうな?リインフォースもかなり警戒して触れようともしない。

 

『信用できないならセインのいるうちに着けるといい。こちらとしてはセインは失いたくない貴重な戦力だ。むざむざ亡くすことはしないと思ってもらいたい』

 

 確かにそうだ。貴重なスキルを持つ六番ちゃんはスカえもんの宝と言っても差し支えない。

 

「リイン、調べて」

 

「しかし……」

 

「じゃなきゃ僕が今すぐ着けるよ」

 

「わかりました、我が主。異常が見られた場合すぐに破棄します」

 

 リインフォースが調べている間、六番ちゃんは僕にベタベタしている。それを見たスカえもんがニヤニヤして懐かれているねとからかってきた。いや、あんたの娘だろ。少しは生みの親らしく、ぐぬぬ顏でもしてよ。

 六番ちゃんは僕に背を向けて股の間に座るとお尻をグイグイと股間に押し付けてきた。こいつワザとやってるな。お腹に手を回して後ろから動きを阻害する。六番ちゃんは肩越しに僕の方へ振り返りにへへと笑った。クッソ可愛いな、チクショウ。

 イチャラブしてるとリインフォースの検査が終わった。調べた限りは特に問題ないが、やめておいた方がいいとのこと。しかし折角のスカえもんの好意を無下にするのもなあ。でも怖いし、どうしようか。

 

「本当に大丈夫なの博士?」

 

『安全性は保証するよ。もし何かあればセインを君にあげよう』

 

 大きく出たなスカえもん。そこまで言うなら信用しようじゃないか。夜天の書を取り出して、ナハトヴァールを組み込む。外観は栞用の紐代わりに鎖がついただけ。システムをチェックすると全く問題ない。初めから組み込まれていたかのように馴染む。流石スカえもん、いい仕事してますねえ。

 

『どうかな? これでもかなり時間をかけて調整したつもりだ』

 

「うん、いいね。流石博士だ」

 

『それでは何かあればまた連絡しよう』

 

 スカえもんは用が済むとすぐに通信を切った。何処で傍受されるか分かったものではないからね。六番ちゃんはすぐに帰らず、僕に後ろから抱きしめられたまま姉妹がどうのこうのと喋り始めた。本人は世間話のつもりだけど、何番まで作るとか思いっきり喋ってしまってる。何という機密漏洩。そして気が済むと帰って行った。

 僕はやれやれと息を吐くと、両手を広げてリインフォースを呼んだ。

 

「リイン、来て」

 

 リインフォースはそれだけで僕の意を察して近づき、おっぱいに抱き込んでくれる。

 

「ごめんね、リイン。勝手なことして」

 

「いえ、主の望むままに。私はそれに従います」

 

「ありがとう、リイン」

 

 胸に顔を埋めて柔らかな感触を味わう。ああー柔らかくてあったかい、これだけはやめられないよ。むにむにと顔を押し付けて息を吸い込むとリインフォースの匂いがした。はあ、いい匂い。至高のおっぱいに鼻腔を擽るリインの香りに僕の愚息は有頂天になった!この怒髪昇天はおさまるところを知らない。さて二人きりになったしリインのおっぱいでも授乳しようかな(変態)

 

「リイン、おっぱ」

 

 い、と言おうとしたところでドアがノックされた。何だよもう!これからがいいところだったのに!誰だよまったく、これでくだらない用事だったら承知しないからね!

 

「大変です! 騎士ゼストを含む首都防衛隊が任務中に連絡が取れなくなりました!」

 

「何だって⁉︎」

 

 僕を訪ねて来た教会騎士は酷く動揺していた。この人も騎士ゼストに関わったことがあるんだろう。騎士ゼスト、古代ベルカ式を扱う魔導師ランクS+のストライカー。その実力はリインフォースとほぼ互角に渡り合うほどの実力を持つ……と思う。それほどの騎士が……いや、これは原作にあった戦闘機人のプラントを捜査中にナンバーズとガジェットドローンの襲撃を受けて壊滅する事件か。ということは僕をここから動かさないために六番ちゃんを寄越したのか⁉︎いや、それは考えすぎか。そもそも要請があるならもっと早く来ているはず。任務自体が極秘だったり、僕に依頼できないほど危険度が高い可能性だってある。

 

「わざわざありがとう。情報が入り次第、伝えて欲しいんだけどいいかな?」

 

「はっ! 畏まりました。他にも連絡するところがあるので失礼します!」

 

 やれやれおっぱい吸う空気じゃなくなったな。もう少し六番ちゃんを留めておけば色々聞けたのに……これもスカえもんの計算のうちか?そういえば五番ことチンクちゃんはこの件で隻眼になってしまうんだった。うう……ちょっと心配になって来た。ゼスト隊もそうだけど、僕はナンバーズのほうが心配だ。なんだかんだでチンクちゃんとは仲良くなってたからね。

 その後、管理局により捜索が行われたが戦闘の形跡があるだけで、隊員一人として見つからなかった。ゼスト隊一行は行方不明ということに落ち着いた。捜索は続けられるらしいが期待は出来ないだろう。相手はスカえもんだ。死体を残すようなヘマはしないだろう。しかしスカえもんに価値がなさそうな一般隊員までも行方不明というのはおかしい。スカえもんにはこちらから連絡が取ることが出来ない。真相は次にスカえもんの連絡が来た時に分かるだろう。




ご愛読ありがとうございました。
繋ぎの話なのであまり面白くありませんね。
省略してもよかった内容かと思います。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。