空白期のどこか
今日もなのはさんはいつも通りです。
「ねぇはやてちゃん、しようよ〜」
「…………」
「ねぇねぇ、わたし我慢出来ないの♡」
こんな感じである。僕が返事しないのは余りにもしつこいので返事をするのも面倒になったからだ。
事の始まりは僕のトレーニングで行う戦闘訓練を見たのを切っ掛けに、なのはさんが僕と1:1でヤラナイカ?と言い始めたことだ。当然やるわけない。勝つ負けるの問題では無い。疲れる……この一言に尽きる。
リリカルな主人公であるなのはさんは知っての通り不屈の心を持っている。なんだかんだで負けず嫌いだとも思う。だってフェイトちゃんに何度負けても挑み、訓練に訓練を重ね、作戦を練り、必殺技まで作って、遂には勝利を収めた。今はまだ未来だけどシグナムとの模擬戦で文字通りの死闘を演じたりする。
そんななのはさんと戦え?きっとお互いにいい経験になるだろう。それは間違いない。しかし今する必要は無い。と言うか一生する必要は無い。経験値はこのままゆっくりじっくりでいいのだ。死にかけてまではぐれメタルを狙うのはゲームだけでいい。
僕が戦いに赴くというのは自衛のため、或いは詰めの王手状態なのだ。故に僕自身が敵と相対するということ、それは即ち守護騎士が敗北している事に他ならない。それは将棋やチェスと同じだ。殆ど動かず護られながら駒を動かし、必要なら前に出て詰める。これだけでいい。
そもそも僕が戦闘中気を失ったり、危険な状態になるとスカえもんが復帰、修正をした自動防衛プログラムが起動する。そして自動防衛プログラムを停止するには管制人格たるリインフォースが必要だ。リインが止めない限り止まらない。一応夜天の書にアクセス出来るなら守護騎士達でも停止させられる。インなんとかさんのディスイズアペン……じゃなくてヨハネのペン?みたいなものだ。
ヤバいのは宝具再現魔法やマ○ンテ、ロストミスティックな大魔法を自動防衛プログラムに使われることだ。何でそんな魔法が夜天の書に記されているのかは分からない。以前の持ち主に僕と同じ様な人がいたかもしれない。その辺りはリインに聞けばいいけど、怖くて聞けない。
自動防衛プログラムや夜天の書の内容は管理局や聖王教会、リンディママにすら明かしていない極秘事項だ。模擬戦如きで露呈させるわけにはいかない。なのはさんに負けるつもりはないけど、負ける要素と確率がある以上こういう事は避けるべきだ。
「いいでしょ、ね? ちょっとだけだから、時間も取らせないの」
すぐやり捨てするナンパ野郎みたいな言葉を何処で覚えてきたのか。僕に抱きついて成長したおっぱいをグイグイおしつけてくる。
ぐぬぬ……○学生と化したなのはさんはおっぱいが大きくなっただけでなく、背も伸びたし髪も伸びた。そしてこの髪が伸びたのが曲者だ。似てきたのだ、母親の桃子さんに。髪を解いた時なんか思わずドキリとさせられる。それ程の美女になってきた。いかんいかん、僕にはすずかちゃんとフェイトちゃんが……って二人本命にしてる時点でアレか。
「はやてちゃん〜」
「ちゃん言うなし」
「ねぇお願い! 私に出来る事なら何でもするから!」
ん?
「今何でもするっていったよね?」
「え⁉︎ 勝ったらいいよ! あとするのは私に出来る事だけなの」
汚ねえ、勝ったらとか付け足し。危なかったのとか言ってるし。
「条件付けないとはやてちゃんは手を抜きそうなの」
暴露てるし。でもなー、やる気でないなー。勝ったら僕のものになってとかはやらないよ?すずかちゃんとフェイトちゃんだけで十分だよ。更に守護騎士達もいるし。
「ふーん、じゃあ桃子さんとデートさせてよ」
「え゛」
「何でもするって言ったよね?」
▼
なのはが突き付けられた報酬は自身の母親とのデートだった。自分の事ならどんな無茶な要求でも飲むつもりだった。胸を揉みたいと言われれば気の済むまで触らせる。そんな覚悟をしていた。
しかしそんななのはの覚悟は徒労に終わる。はやての要求した内容はかなり厳しいが不可能ではない。父親の説得と母親のスケジュールさえなんとかすれば。父親である士郎は娘が願えば折れるだろう。だが母親はオーナーシェフ兼パティシエ、厨房の要だ。
はやてと戦えば自分はもっと高みに登れる。力を求める欲望がなのはを苛む。はやての条件は不可能ではない、ならばその条件を飲もう。自分が勝てばそんな心配も要らない。なのはは決断した。
「わかったの」
「え、いいの?」
「だってそうしないとはやてちゃんシてくれないし……」
「うーん……いいけど、気絶するほど痛くしないでよ?」
「うん!(痛くなければ覚えないの!)」
なのはの返事に不穏な気配を感じつつもはやては了承した。かくしてなのはの望みは叶う事となった。
「それじゃあ訓練所の申請するね!」
「あ、待って。局の訓練所は使わないから」
「え、教会でやるの?」
「ううん」
「じゃあ何処でするの?」
「ここさ」
はやてが示したのは管理局でも聖王教会でもなかった。
「DSAA?」
「ディメンジョン・スポーツ・アクティビティ・アソシエイション、その試合場だよ」
はやてがここを指定した理由。バトルにおけるライフポイント制とラウンド制による時間制限だ。訓練所にはライフポイントという設定がないため魔力、体力、気力があれば戦い続けられる。そしてラウンドという時間制限もないので申請した時間内で延々と戦う必要もない。
「DSAAって格闘技の試合じゃないの?」
「魔法戦技会と言った方がいいかな」
「へえ〜」
クラッシュエミュレートによる安全性と時間制限による戦闘の短縮。ダメージや気絶など再現されるが本当に怪我するわけではないので安心安全。しかし痛いものは痛い。その時間を短くするためのラウンド制だ。
「試合はライフ制、1ラウンド4分、ラウンド数は……5でいいかな」
K-1トーナメント戦などでは3分3ラウンドとなっているが、これが4分になっただけでは不完全燃焼でなのはが不満がる可能性がある。そこではやてはワンマッチのように5ラウンドとした。3分なら15分だが、4分なら20分。その間全力で戦わなければならない。3ラウンド目にはかなり消耗しているだろう。
「ルールがあるから覚えてね。そんなに難しくないから」
試合場まで向かう途中にルールを頭に入れるなのは。はやてはレイジングハートにクラッシュエミュレート用の設定を施す。
到着すると受付で手続きを済ませ、案内に従い屋内を進んでいく。
「はやてちゃん、さっき受付でお金払ってたよね? 私も出すの」
「いや、大した額じゃないし気にしなくていいよ」
「ありがとう」
更衣室で体操服に着替えた後、試合場に出て来た。なのはは兎も角、はやてまで何故かブルマである。
「はやてちゃん、何でブルマなの?」
「くっころ」
「何を言っているのかわからないの」
はやての手荷物にはズボンが入っていなかった。ブルマはリインフォースの趣味である。すぐに
「さあ、はじめようか!」
「望むところなの!」
はやては貸切にしていて良かったと心の底から思った。付き添いとして守護騎士が来ているが問題ない。
「ああ! 主のおみ足が!」
「はやてがんばれー!」
「フレー! フレー!」
「ふれぇ……ふれぇ……シャマル! 本当にこんな格好をする必要があるのか⁉︎」
「……………」
上からリインフォース、ヴィータ、シャマル、シグナム、ザフィーラである。ツヴァイとアギトはメンテナンスでいない。
女性陣は
ちなみにはやての
「武装形態!」
『barrier jacket set up!』
はやての掛け声とレイジングハートの音声が重なる。
なのははいつも通りのバリアジャケット。はやては騎士甲冑のノースリーブとホットパンツ、サイハイニーソだけを展開する形をとった。ホットパンツとサイハイニーソはリインフォースの趣味である。ホットパンツは尻肉がはみ出んばかりに短いが、これもリインフォースの趣味である。
「へぇ、フェイトちゃんみたいに速度重視なのかな?」
「まあね」
試合開始の音が響く。と、同時にはやてが動いた!
『
構えたシュベルトクロイツの石突きから魔力が噴射され『Sonic Move』に迫る速度で突進した。
『protection』
なのははあまりの速さに反応出来なかった。代わりにレイジングハートが魔法を発動。インテリジェントデバイスの特徴であるAIが
「ダメじゃないかレイジングハート」
『sorry.』
勿論はやては本気でブチかますつもりはなかった。なのはが油断しすぎているので警告のつもりだ。今のでなのはも気を引き締めたのが表情で分かる。
「いつも見たいな感覚でやってるとすぐに終わるよ? 空戦魔導師にリングは狭いからね」
「レイジングハート!」
『barrier jacket alteration』
なのはのバリアジャケットが光に包まれると、その光は一瞬で砕け散る。現れたのは新たなバリアジャケットに身を包んだなのは。上半身の上着は無くなりインナーの上に一枚重ね、それに胸当のみというシンプルなものに。ロングスカートは動きやすいミニスカートへと変化していた。
「お待たせ」
「うんうん! その格好も可愛いね!」
そのミニスカートから伸びるプニッとした生足が特にね!とはやては宣う。なのはは少し照れてバカなの、と小さな声で言った。次の瞬間……
『
「
飛び込んだ直後に魔力付与斬撃。正面から来たこともあって、なのははプロテクションで防御に成功。しかしそのまま鍔迫り合いのようになる。
成人していないとはいえ同じ体格の男と女では力が違う。なのははすぐに押し負けそうになった。
「今のはディバインシューターを使うところだよ」
「ご忠告、ありがとうなの!」
『barrier burst』
返答と同時にプロテクションをパージ。魔力の爆発と煙幕ではやてと距離を離すことに成功したかに見えた。
飛行魔法を発動し一人煙の中から素早く離脱。晴れない煙に向かって今度こそと魔法を叩き込む。
「
30を超える数の魔力弾がはやてに向かう。先ほどはやてに当たらなかったアクセルシューター。はずした魔力弾はそのまま明後日の方向に飛ばしてしまってはいなかった。はやてに気付かれないように待機させておいたのだ。二回分の弾幕が煙の中にいるはやてに向かって突き進む。バリアバーストで出来た煙がアクセルシューターの着弾により吹き飛ばされ、新たな爆煙を次々と生み出す。
「やったの?」
『I don't get it.』
いつものはやてなら大したダメージにはならないだろう。しかし機動性や運動性を重視したと思われる騎士甲冑は見た目からして防御力は低そうであった。ならばダメージはそこそこのものになっているはずだ。
やったか、やらないか。油断せずに爆煙が晴れるのを緊張の面持ちで見ていたが、突如としてなのはの後方上空からはやての声がした。
『
すぐに振り向くなのは。しかしその時既に魔法は発動し発射されていた。
『
『
咄嗟に前に突き出しだ手でラウンドシールドを展開。シュヴァルべフリーゲンを強固な盾で受け止める。
「ぐうぅ⁉︎」
シュヴァルベフリーゲンの弾数はなのはの射撃魔法に比べて遥かに少ない。数秒とかからず全て受け切れるはずだったがどうにもおかしい、射撃時間が長すぎる。盾に向かって金属球が突撃し爆散する。その度に受け止める盾に綻びが生じ、なのはの腕に負担がかかる。
シュヴァルベフリーゲンはヴィータが使っても一度に撃てる数は8発程度。しかしはやては優にそれを上回る数を撃ち続けている。
その理由は
一見ただのスフィアだが、普通のスフィアとは違う。普通のスフィアは決まった射撃魔法しか撃てない。ディヴァインシューターならディヴァインスフィア、フォトンランサーならフォトンスフィアと決まっている。この
パリンッと皿が割れるような音がしてなのはのラウンドシールドが砕けた。急拵えの防御魔法は若干構成が甘く、その為通常の強度よりも脆かった。
『Flash move』
ラウンドシールドの崩壊と同時になのはは翔んだ。その際に僅か数発だが掠った。
damage 300
life 11700
crash emulate 腕部裂傷
「へぇ、こんな風になるんだね」
「そ、どうかな。結構面白いと思うんだけど?」
「痛みも再現してくれるんだね」
「勿論、非殺傷設定の応用だよ」
興味津々な会話をしながらも隙を伺うなのは。その表情は獰猛というには可愛らしいが、好戦的な表情をしていた。
はやてはどうやら本気になって来たようだと、冷や汗を流した。
それから互いに小ダメージが重なるばかりで戦況は進展しなかった。ラウンドが進むにつれ互いの魔力は減っていくが目立ったダメージはない。
ラウンドが4になった。はやては新たな
『
はやての再現魔法。夜天の書に記されているものから、前世の記憶に至るまでありとあらゆる魔法を効果の差はあれど再現する。はやての周囲に回転する魔力剣が現れた。それを見てなのはの表情が苦いものになる。
『
なのはの表情が焦燥に変わる。はやての作戦は一目瞭然だった。圧倒的手数で圧殺するつもりなのだ。興味本位でここまで発動させてしまったなのはは自分を恨んだ。
「決めるよ!」
はやては
(逃げたって駄目なの、なら……)
在ろう事かなのはは、はやてに向かって突撃した。小細工無しの正面突破である。しかしこれが正解であった。防御すればガードクラッシュ、距離を取れば射撃の餌食、しかし近づいてはやてにダメージを与えれば
対抗するようにディバインシューターを制御せずにばら撒き弾幕へと昇華させ、はやての魔法と相殺させていく。多少の被弾は無視。
そして幻影剣の間合いに入る寸前、速射出来る砲撃魔法をぶっ放した。
『Rapid buster』
ショートバスターを更に改良し、より一層射程と威力を犠牲に発動速度と連射性に重きを置いた魔法。それをこの土壇場で開発した。
それを見て今度ははやてが青褪める。ショートバスターより速い砲撃魔法なんて聞いていないと。
本来のディバインバスターに比べれば話にならない程の威力。しかしそれでも射撃魔法に比べれば威力は負けていない。
はやての幻影剣も元はフォトンブレードという射撃魔法だ。連射される砲撃魔法に敵うわけがない。フォトンバレットも円陣幻影剣もなのはのラピッドバスターの前に競り負ける。
damage 4650
life 5050
crash emulate 胴部火傷
「ぐはっ⁉︎」
騎士甲冑の構成が綻びながらはやては場外へと吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。そのままカウントが始まった。
はやてはカウント残り5秒まで休憩を取りリングに戻る。試合再開だ。
(内蔵にまでダメージが無くて良かったけど……厳しいなあ)
はやては一つ勝負に出ることにした。
『
幻影魔法、それも魔力量にモノを言わせた大量の幻影。リング内を瞬く間にはやてが埋め尽くす。
なのはは手当たり次第に幻影を攻撃するが本物のはやてを捉えられない。手間取っているうちに、はやてのバインドがなのはを捕らえた。
「あっ!」
「これで終わりだよ!」
はやての背後に巨大なミットチルダ式の魔法陣が展開され、そこから
そしてそのスフィア群からありとあらゆる射撃魔法がなのはに向かって発射される。なのはのディバインシューターやフェイトのプラズマランサー、クロノのスティンガーブレイド、はやても使うブラッディダガー、書に記録されているもの全てがなのはに押し寄せた。
「うああああっっ!!!!! 」
雄叫びをあげながらプロテクションを展開。それに魔力を注ぎ込み防ぐ。押し寄せる閃光と衝撃。並の魔導師ならすぐにやられていただろう。しかし未来のエースオブエースの防御はそう簡単に貫けない。
だか不思議なことになのはのプロテクションにヒビが入り始めた。おかしい、何故?魔力はこれでもかと注ぎ続けているのに?
(まさか!)
なのはに思い当たる節があった。バリア阻害のプログラムを組み込んだ魔法だ。再構成する隙はない。出来てもシールド魔法ならスティンガースナイプが背後に回るだろう。はやてとはそういう人間だとなのはは知っていた。
どうしようかと焦っていたところでブザーがなりラウンドが終わった。なのはは命拾いした。逆にはやては仕留め損なったことで無駄に魔力を消耗してしまい苦虫を噛み潰す。
最終ラウンドははやてが圧倒的に不利な状態で始まってしまった。ラウンド間の休憩でライフこそある程度まで回復したが、減った魔力はすぐにもどらない。仕留めようと時間を確認せずに大技を使ったのは失敗だった。
今度はなのはが果敢に攻める。ディバインシューターを乱射し、はやてを絶え間無く動かすことにより体力と魔力を消耗させる。
残量魔力がなのはより少ないはやては自身の体力と魔力を引き換えになるべく無駄打ちをさせる。なのはの周囲をぐるぐる回るように回避しながら近付こうとするが、全く近寄る事が出来なかった。
「もう降参したほうがいいと思うの!」
「そう言われてなのはちゃんは負けを認めるの?」
「私は諦めない!」
「僕もだよ!」
言葉と共により一層激しくなる弾幕。はやてはフェアーテを纏いソニックムーブに迫る速さで回避をする。この速さに対してなのはは広範囲にランダムでディバインシューターをばら撒く事で応戦した。
(もう少し、我慢だ)
はやては窮地に陥りながらも冷静だった。
(流石はやてちゃん、しぶといの)
なのはは少し焦りを感じていた。消耗戦に持ち込めば残り魔力の差で勝てる。そう考えていたが、思ったよりはやては粘る。少ない消費で大きな効果のある魔法を使い、巧みに此方の攻撃を避けつつ無駄打ちを誘う。わかっていてもそうせざるを得ない。
高速移動するはやてを捕らえようにも、バインドで捕まえられる速さではない。設置型という手もあるが、その場所に誘い込むのが難しい。どうするか迷った挙句、一応設置することにした。万が一はやてに近付かれても逃げる時間を稼ぐため、自身の目の前にバインドを仕掛けた。女の勘というものは侮れない。設置直後、なのはは自分を褒めたくなった。一瞬の隙をついてはやてがなのはに向かって直線で進んで来たのだ。
円を描くように飛んでいたはやてはその円をほんの少しずつだが狭めていた。近付けばその分弾幕密度は増す。当たらない程度に接近した。そして充分に時間を稼ぎ、円を描く線の動きになのはを慣れさせた。
線だった的が点になったことによりなのはは狙いを定められ無くなった。脳が線の動きに慣れていたのだ。そこをはやては突いた。必死に撃ち込むが全く当たらない。
『master! over heat!』
「⁉」
向かって来るはやてがニヤリと笑った。これを狙っていたのだ。インテリジェントデバイスは繊細な精密機械だ。なのはがディバインバスターなど大規模な魔法を使った後に、レイジングハートが魔力残滓を排気することを知っていた。細かい魔法でも何れは排気する必要が出てくる。
なら排気させなければどうなるか。インテリジェントデバイスのAIが自身を保護するため魔法を止めるのだ。デバイスを扱うものなら誰でも知っている。
「貰ったー! あれ?」
完全なフラグであった。なのはの設置型バインドに絡め取られるはやて。詰みである。
「レイジングハート」
『OK』
なのはの一言で魔力残滓をブシューと排気するレイジングハート。排気が済むと形態変化。
「エクセリオンモード!」
『Accelerate Charge System』
「えっ、ちょっ、まっ」
「えい!」
槍のように変化したレイジングハートの先端からストライクフレームと呼ばれる魔力刃が動けないはやてに刺された。
damage 8950
life 150
crash emulate 臓器損傷
致命的なダメージだか、ストライクフレームが細かったため、大ダメージではあるが辛うじてライフが残った。しかし胴体に刺されたので臓器損傷という判定。心臓に刺されたら負けていた。だがはやてに助かる道はない。
「あがっ……ぐが」
「負けを認めるならこれ以上痛くしないの」
悪魔である。少し手を捻ればはやては負ける。なのに敗北宣言をさせようとする。正に外道、とはやては思う。
レイジングハートを持つなのはの手首を震える手で掴むはやて。なのははそれを抵抗の意志と見た。
「そう……」
負けたくないという思いがある。そこにはなのはの母親桃子との蜜月の時を望んでいた。混濁する意識の中、はやては秘中の秘を晒すことにした。自動防衛プログラム……ではない。
「奥………義」
「何か言ったはやてちゃ……」
なのはの声は途中で途切れた。
『
バリアジャケットがなのはの意志とは関係なく崩壊した。ついでに元々来ていた体操服と下着も崩壊した。
高町なのはは全裸である(たなぜ
ゆゆゆみたいな言い方をしても事実は変わらない。
「へ? ふええええぇぇぇぇ⁉︎」
本来ならバリアジャケットのみ崩壊させるつもりだったが、意識が混濁していたのでプログラムの改変が出来ず着ていた服まで影響を及ぼすようになってしまった。
damage 1
life 5659
crash emulate 意識不明
winner Hayate Yagami
なのはのバリアジャケットが崩壊した事により、何らかの理由で意識を失ったものと判断したプログラム。勿論意識がある方が勝ちである。よってはやての勝利。
クラッシュエミュレートが終了され、ストライクフレームは強制的に解除された。擬似的な痛みも全てなくなる。
「ああ〜死ぬほど痛かった……」
試合が終わったのでレイジングハートがすぐにバリアジャケットを再構成したので既に全裸ではない。ほんの数秒だけだ。
「は、はは……」
「僕の勝ちだね」
「はやてちゃんのえっちいいいいいいぃぃぃ!!!」
『Flash impact!』
閃光の一撃がはやてを撃つ!
おっぱいマスター 八神はやてVS高町なのは 完
残念な戦闘描写サーセン
独立機動弾子
オプション!ビックバイパー?に引っ付いて一緒に撃ってくれるアレ。マジカル咲夜ちゃんスター
円陣幻影剣
自分の周りを回るアレ
ラピッドバスター
ショートバスターより速い(アレ
洋服破壊
ご存知、おっぱいドラゴンの服を破壊するアレ