しぶとい事に防衛プログラムはアースラに引っ付いていた。このままじゃ取り憑かれてクロノのファザーと同じ運命になっちゃうよ!
「なのは! フェイト出番だ!」
「任せて」
「待ってたの!」
現場指揮をしているクロノくんの言葉を待ってましたとばかりに元気良く返事する二人。なのはさんに至っては今にも飛び出しそうだった。しかし僕のせいで原作改変されたこの状態では、なのはさんのスターライトブレイカーはいいとして、フェイトちゃんはカートリッジもなければザンバーフォームも無い。火力不足にならないかな?
「フルドライブ!」
なるほど、そうきたか。恐らくだけど瞬間最大出力でなのはさんに劣るフェイトちゃんは一発の威力より一定の威力を継続した方が強い……はず。それでもその辺の魔導師より遥かに強い。と言うかなのはさんの出力がおかしい。
「アルカス・クルタス・エイギアス。疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル」
おお……これがフェイトちゃんの
「フォトンランサー・ファランクスシフト! 撃ち砕け、ファイアー!」
生成されたフォトンスフィア。その数38、毎秒7発の斉射を4秒継続することで、合計1064発のフォトンランサーを一斉射撃する。なのはさんはこれを耐え切ったのか……とんでもない防御力だ。なのはさんより防御が得意なユーノくんが受けたらノーダメじゃないのか?フェイトちゃん涙目。でもきっと可愛いから慰めたい(prpr
とか馬鹿なこと考えてたらあっという間に射撃は終わった。フェイトちゃんはスフィアを集めると槍状にして撃ち出した。
「スパーク……エンドッ!」
雷の槍が防衛プログラムを抉る。しかしこれでもまだ足りない。だけど後にはなのはさんが控えている。フェイトちゃんが詠唱を始めた時から既に集束は始まっていた。このアースラの中には守護騎士と僕、クロノくんやユーノくんが使った残りの魔力が漂っている。そこにフェイトちゃんの魔力が加わると……うん、大変なことになりそう。というかヤバくね?
「シャマル! ザフィーラ!」
「はっ」
「何ですか?」
「この艦と皆を護って!」
「え? わかりました」
「仰せのままに」
シャマルは疑問に思いつつも従い、ザフィーラはすんなりと言うことを聞いてくれた。あのなのはさんのSLBだ、絶対ロクなことにならない。事実ユーノくんは何かしてるし、皆はフェイトちゃんのフォトンランサー・ファランクスシフトに目がいってなのはさんのSLBに気付いていない。おそらく分かってるのはフェイトちゃん、ユーノくん、アルフくらいだろう。現物を目の当たりにしてるんだから間違いない。魔力が散ったそばからなのはさんの方に向かって集まってる。
スターライトブレイカー。星光の名が示すとおり、惑星に降り注ぐ流星の如く魔力が集束していく。フェイトちゃんのスパークエンドで起きた閃光がおさまったところで、みんな漸く事態に気づいた。
「は?」
誰の声か知らないけど呆けてる場合じゃないよ。
「総員衝撃に備えて!」
リンディさんが慌てて指示を出したけど間に合うの?一応シャマルの風の護盾とザフィーラの障壁魔法で防御するけど防げる気がしないよ。
「ちょ、まっ」
誰か止めようとしたけどもう遅い。僕は守護騎士たちに守るように言ってあるからね、光で目が焼けないように気を付けよう。
「スターライトォ……ブレイカァァァァァーーーーー!」
なのはさんが楽しそうで何よりです。集まった魔力球にレイジングハートを叩きつける。一筋の光が伸びて防衛プログラムに当たると、集まった魔力が奔流となって流れた。同時に未だかつて体験したことのないような揺れがアースラを襲う。
防衛プログラムは一瞬堪えたように見えたけど、すぐ奔流に負けて消し飛ばされていく。例えるならば、かめはめ波や元気玉で敵が消滅するシーン。あれが目の前で起こっている。魔法少女かと思ったらドラゴンボールだった。それが僕の感想だ。
あれれ?そう言えば虚数空間に落とす作戦じゃなかったの?防衛プログラム消滅しちゃったよ?
「てへへ、やりすぎちゃったかな?」
『No problem. 』
問題ありませんじゃねぇ!ユーノくんとシャマルがアースラを防護してなかったらどうなってたかわかんないよ!でもてへへが死ぬほど可愛かったので僕は許すます!
「やりすぎだ!」
ほら、クロノくんがおこになった。リーゼ姉妹がこいつ化け物か見たいな目で見てる。正直、原作知識なかったらビビってる。というかあってもビビってる。あ、足が震えやがる……って僕の足は動かないけどね。
「コア露出! 虚数空間へ落下しません!」
なのはさんのSLBで質量がなくなったせいか、防衛プログラムは次元航路上で停止した。原作は地球でこの状態にして、衛星軌道上のアースラの目の前に転送、その後アルカンシェルで消滅させた。でもここは次元の狭間にある航路で、アルカンシェルも準備していない。虚数空間は魔法が使えないので直接転送することも出来ない。コアを虚数空間へ放り込むことが出来るのは……ま、僕しかいないだろう(うぬぼれ)
「防衛プログラム再生しようとしています」
「なんてことだ……」
「わ、わたしのせいなの……」
なのはさんがプルプル震えて涙目になってる。くっ、不覚にも萌えた!とか言ってる場合じゃないな。元々防衛プログラム云々は僕の問題だし、本来なら僕一人でどうにかするつもりだった。その予定が不測の事態で予想外の方向にいってしまったが、ここは僕が始末をつけるのが筋かな。うん、まあカッコつけたいだけです。
「なのはちゃんのせいじゃないよ」
ここはなのはさんを庇って慰めておこう。けっして涙目可愛いとか思ったからじゃないよ、ホントだよ。僕はフェイトちゃん!(ピョン
「え……」
「防衛プログラムにどの位の攻撃力が必要かわからなかったし、威力が足りなくてダメでした……みたいなことより全然いいよ。責任がどうとか言うなら封印しきれなかった執務官が悪いんだから気にしなくていいよ」
「そうだね、クロノが悪い」
「そうそう、クロスケが悪い」
何故か責任を押し付けられて、責められるクロノくん。なのはさんを慰めるためだ、許せ……くろかわ!
防衛プログラムのコアにこのまま魔法をぶつけても、再生した箇所を吹き飛ばすだけになり虚数空間に落とすのは難しい。ならばどうするか?魔法がダメなら物理で殴ればいいという格言がある。ザフィーラに頼めばパンチしてきてくれるだろうけど、そんなことしたら防衛プログラムの再生に巻き込まれて一緒に虚数空間に落ちちゃうよ。だからシールド魔法で押して虚数空間に無理矢理押し込む。巻き込まれないように直前で逃げるよ、簡単だね!
「ザフィーラ」
「はい、お乗りください」
ザフィーラに跨ってハッチへ。
「ちょっとコア捨ててくる」
「あ、おい!」
クロノくんが慌てて止めようとしたけど、ちょっとコンビニいってくる的なノリで次元航路へ。ザフィーラにシールドを展開させて、僕がそれを押して行く。虚数空間に落として帰る、以上。さぁやろうか!
「ておああああ!」
ザフィーラがシールドを前面に大きく張った。このまま突撃してしまえばいいけど、蒐集した魔法の中に面白いものがあったので使ってみることにした。
「
知る人ぞ知る宝具。何故かそれが魔法としてあった。もしかして英霊とか転生者みたいなのいるの?
まあそんなことは置いといて、この魔法は乗り物の強化と操作が主な効果らしい。ザフィーラに装着された魔力で出来た手綱を操ると、僕の意思に従ってザフィーラが進む。おお、ちょっと便利、そして感動。
「ておああああああああ!」
なんかザフィーラが元気になったような……心なしか宙を駆ける速さが上がってませんか?いや、待て速い、速すぎる。こんな速度でぶつかるの⁉︎
二、三秒加速したら次の瞬間にはコアにぶつかってた。うおお⁉︎こうなったら破れかぶれだ。しかしシールド越しとはいえ間近で再生をみるのはグロいね、早く終わらせたいよ。
手綱に魔力を追加するとザフィーラが加速する。勢い余って僕まで虚数空間に落ちそうになったけど、手綱を引くとザフィーラが物理法則を無視して急停止した。騎士甲冑展開してなかったら内臓破裂したんじゃないかと思う。
「あれ?」
防衛プログラムをポイしてアースラに引き返そうとする僕の足に何か絡まってる。なんじゃこりゃ?
『主⁉︎ 防衛プログラムが』
リインフォースに言われて振り返ると防衛プログラムの触手が僕の足をとらえていた。oh!これはまずいよ!僕まで虚数空間に引き込まれちゃう!慌ててザフィーラを発進させたけど、時既に遅くザフィーラにも絡まってしまった。
「ザフィーラ!」
「鋼の軛!」
『刃以もて、血に染めよ。穿うがて、ブラッディダガー』
何処からともなく白い刃が生えて触手を断ち切る。切り損ねたものをブラッディーダガーで処理。しかし足りない、足りなかった。
「千切れ、
ザフィーラを強化して加速で無理矢理引き千切ろうとしたけど駄目だ。カッコつけようとした結果がコレだよ。ちくせう、このままじゃ……
「チェーンバインド!」
『Stinger Snipe』
僕がちょっと諦めかけた時、淡い緑色の鎖が触手を一纏めにして、水色の魔力弾がそれを斬り裂いた。触手から解放された僕はカタパルトで射出される戦闘機のように加速した。
「ぬわっ⁉︎」
アースラにぶつかりそうになったけど、咄嗟に手綱を横に引っ張り事無きを得た。あっぶねー。
「全く、君は何をやっているんだ」
「大丈夫かい?」
僕を助けてくれたのはユーノくんとクロノくんだった。触手を纏めるとは……咄嗟に頭が回るユーノくんマジ天才。クロノくんはユーノくんくらい優しい言葉をかけてくれれば完璧だったのに。
「助かったよ、二人とも有難う!」
ユーノくんはこんな事くらいしか出来ないからって謙遜するけど、縁の下の力持ちな活躍にマジ尊敬。お礼を言われてプイと横を向くクロノくん可愛い!略してくろかわ!
これは…………………………僕が……………………………………………………落ちてる⁉︎
今気付いたけど僕は生命維持をされていたとはいえ、封印されてから3日も飲まず食わずの放置状態に近かった。目覚めたと同時になのはさんの魔法を防御して、普段使わない魔法を大出力で使い、最後の詰めだとカッコつけて魔法を連続使用した。うん、これは原作はやてちゃん同様の現象ですね。あー、虚数空間がやけに近くに見える。しかもすんごく眠くなって来た。
「ライドインパルス!」
聞き覚えのある何処かの誰かの声と同時に僕は目にも止まらぬスピードで移動した。景色が一瞬で変わるほどの速度だ。何か分からないけど大きくて柔らかいものに抱えられている。これは……これは!おっぱいだ!(覚醒)
「お前は⁉︎」
「また会ったな坊や。八神はやては頂いて行くぞ」
誰のおっぱいかと思ったらトーレこと3番ちゃんじゃないですか。触ったことなかったけど、おっぱいにしては硬い……いや、これは弾力パネェ!
「八神はやては貴重な素材だ。うちの妹も気に入っている、それと八神はやてが大事なら動かないでもらおうか。こちらは別に死んでいても気にしない」
3番ちゃんは僕を人質?にしてどうしようというのか。スカえもんの指示なの?あとおっぱいもっとオナシャス‼︎
「フェイトお嬢様」
「私⁉︎」
「お嬢様がこちらに来れば、八神はやての無事は保障します。勿論お嬢様も」
「何が目的だ!」
「はやてちゃんを返してなの!」
「早くしないと八神はやてが死にますよ」
3番ちゃんは僕の首にインパルスブレードを当てて脅迫した。顔が思いっきり胸に押し付けられる、いいぞ、もっとやれ!
フェイトちゃんは頷くと意を決してこちらへ来た。
「ストップ……お嬢様、申し訳ありませんがデバイスをそこで手放して下さい。何、心配はいりません。浮遊魔法がきれるより私の方が速い」
フェイトちゃんは苦虫を噛み潰したような顔になった。そんな顔したら何か企んでましたって言ってるようなものじゃないか、どうするのさ。
「どうしました、早く」
フェイトちゃんはバルディッシュを振りかぶって……
「おっぱい」
「ひゃん⁉︎」
「スターレンゲホイル!」
『Schlangeform』
僕がリビドーに任せて3番ちゃんのおっぱいをむにっと掴むと拘束が緩んだ。その出来た隙でこっそり僕の懐に隠れていたアギトが3番ちゃんの目の前で閃光弾を炸裂。僕はシグナムの連結刃で巻き取られて回収された。おつかれさま。そのままシグナムのおっぱいにふにょんと収まった。シグナム大好き。
「不覚ッ! ライドインパルス!」
3番ちゃんは悔しい……けど、感じちゃう!(ビクンビクン)ってな感じで去って行った。誰も追う余力は残っていなかったし、3番ちゃん逃げるの滅茶苦茶速くて現時点では誰も追いつけないよ。
こうして闇の書事件は幕を閉じた。NKT…
その後、僕は気を失ってしまい起きた時には話し合いが大体終わってた。
僕、管理外世界での魔法無断使用。なお守護騎士たちもそれに準じた罪状。使った相手が全て犯罪者だったので酌量の余地ありで減刑。管理局を邪魔したので公務執行妨害。でも闇の書事件解決の功労者。
グレアムおじさん、リーゼ姉妹は報告義務違反。
フェイトちゃん、保護観察中の命令違反。保護観察期間と無償奉仕活動の延期。
なのはさん、命令違反、危険魔法使用による嘱託魔導師資格一時停止と再研修に期間中のデバイス封印。
ユーノくんはなのはさんと大体同じだけど危険魔法使ってないから少し軽い嘱託魔導師資格一時停止のみ。
目を覚ましてからは色々と聞かれた。いつ魔法に目覚めたか、闇の書の危険性を知っていたか、無人世界で何をしようとしていたか。
んー、別に嘘ついてもいいし、正直に答えてもいい。少しでも印象を良くするために正直に話そう。
魔法はかなり早くから自覚してたし、危険性も十分に知ってた、無人世界でバグ修正して失敗したら自決するつもりだった。ちなみにジュエルシードはたまたま拾ったって言ったよ、事実だからね。最後の修正して自決はアホかってクロノくんに怒られた。じゃあ、そのまま何もせずに死ねばよかったって落ち込んだフリをしたら、クロノくんは空気読めやってリーゼ姉妹に殴られてた。くろかわ!
そんな僕をリンディさんがギュッてして頭ナデナデしてくれた、おっぱいごちそうさまです(計画通り)
リンディさんのおっぱいを堪能しながら、死のノートの夜神月式ゲス顔でクロノくんを見てやった。クロノくんはこいつはくせえッー!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッ――――ッ!!と某スピードワゴンのようになってたけど、やっぱりリーゼ姉妹にボコられた。くろかわ!
その後の取り調べはリンディさんのおっぱいに埋れつつ、頭ナデナデされて進行された。気がつけば殆どゲロってた……あれ、おかしいな?
グレアムおじさんは僕が命を以って世界を救済し、リーゼ姉妹達をも復讐から解き放とうとした善人として凄い評価をしてくれた。僕はただおっぱいを触りたかっただけだ!(キリッ
ついでに管理局が僕を殺そうとしたことを慮り、死んだことにして地球で一緒に暮らそうと言ってくれた。リーゼ姉妹付きで素晴らしい。
リンディさんは僕の貴重な魔導師としての資質と戦力が惜しいらしく、管理外世界で目覚めた古代ベルカ騎士が闇の書の暴走中に突如現れて事件を解決したというトンでもストーリーを捏造した。そこまでして人材不足なのか管理局。僕の両親が死んでることをグレアムおじさんから聞くと、私がお母さんになってあげるとか言っておっぱいにむぎゅむぎゅしてくるから危うく首を縦に振りかけたよ。クロノくんのこいつは生まれついての悪だ!が無かったら正気には戻れなかったよ。その後、リーゼ姉妹に引っ掻かれてたけど……くろかわ!
おっぱいは危険だ、用法容量を守って正しくおっぱい下さい。僕との約束だよ!
グレアムおじさんにリーゼ姉妹下さいって言ったら、父さまのお世話があるからゴメンねって言われた。べ、別に振られてなんかないもんね!
リンディさんには非常に申し訳ないけど、次元犯罪者狩りと違法研究所狩りでいっぱい集めた管理局上層部の汚職の証拠をチラつかせて勘弁して貰った。恋しくなったらいつでも来ていいのよって言われた。よし、毎日行こう。
結局、古代ベルカの覚醒騎士案が採用されて僕の将来に期待することにしたようだ。リンディさんは本当に人材不足に悩んでる。おっぱいさえあれば僕はいつでも力を貸しますよ(カス)
最終的にグレアムおじさんを後見人のままに義務教育を完了させてから将来を考えることにした。闇の書事件解決は公表せざるを得ないので僕は有名人になった。
当然、聖王教会からもスカウトが来たけど保留にしたよ。したけど何か重要文化財みたいなのに指定されちゃった。管理局には名誉嘱託魔導師みたいなのにされた。解せぬ。これって凄くめんどくさいポジションになってなくね?
ま、そんなことは後回しにして地球では僕の葬儀なんかしちゃってくれたりしたから、さぁ大変。なのはさんに聞くところによると、すずかちゃんの落ち込み方が半端ないらしく自殺しかねないから常時誰か着いているっぽい。僕としては魔法で死んだふりでした(ジャーン)でいいと思う(てきとう)。それより石田せんせーになんて言おうか。もう、魔法バレでもいいよね?
んでやって来ました、月村邸。約束してたくりすますぱーちーは出られなかったけど、帰ってこれたよ。それじゃ早速、封鎖領域展開。勿論許可貰ってるよ。すずかちゃんの部屋のドアをコンコンと叩く。
「誰?」
おや、この声はツンデレことアリサちゃんじゃないか。すずかちゃんに着いてるのはお姉ちゃんの忍さんだと思ってたよ。レディの部屋を名乗りもせずに開けるのは失礼だけどサプライズだからね、仕方ないね。ドアオープン!
部屋の中は真っ暗で月明かりだけが部屋を照らしている。僕は時間をかけてゆっくりとすずかちゃんとアリサちゃんのいるベッドへ
アリサちゃんにベッドから退くように目で促すと、後で説明しなさいよと鬼の形相で睨まれた。マジで震えてきやがった、怖いです。俯いたままのすずかちゃんに声をかける。
「すずかちゃん」
「……………………」
「すずかちゃん!」
「……………………」
「すずかちゃんってば!」
反応の悪いすずかちゃん。あんまりにも反応しないのでプルプル震える足を踏ん張って、すずかちゃんの頬に手を当てて顔を持ち上げた。目と目が合う。
「…………………………………………え?」
「メリークリスマス!」
「遅いのよあんぽんたん!」
僕は後ろからアリサちゃんに押された。というか多分蹴られた。やっと歩けるようになった僕にその仕打ちはないんじゃないかなアリサちゃん。足の弱ってる僕がそんなのに耐え切れるわけがないのは当たり前で、押された勢いですずかちゃんを押し倒してしまった。
「いてて、全くアリサちゃんは乱暴だなあ。すずかちゃん大丈夫?」
車椅子を動かす手の力だけは強いのでスッと身を起こすとすずかちゃんは、はらりはらりと泣いていた。わお!やっぱり泣かれた!どうしよう⁉︎チラッとアリサちゃんのほうを見ると、顔を逸らされた。ダメだ、使えん。
選択肢は
・告白する
・キスする
・クリスマスプレゼントを渡す
おい、待てや。前の二つはなんだよ⁉︎告白ってなんだよ?僕は守護騎士一筋なんだ!でもおっぱいは皆平等!告白はないね。
キスする⁉︎してどうする!二人は幸せなキスをして終了?どこの野獣先輩だよ!
どう考えても三つ目だろ!というかさっき慌ててプレゼント用意したんだから、これしかないでしょ!
「遅くなったけど、クリスマスプレゼント」
取り出したるは僕の杖・シュベルトクロイツと同じ剣十字のペンダント。実はこれ通信デバイスでアースラスタッフ協力の元、シャマルが作成。シャマル特製なので次元世界を隔てても通信可能な優れもの。但し電池式でカートリッジ式。魔力が切れたら込め直すかカートリッジ交換でおk。ちなみに僕としか通信できない。シャマルが何故かそのように作った。受ける時に限り誰とでも通信出来るらしい。かなり後で知ったことだがシャマルを中継局にして通信しているらしく、会話が全て筒抜けだった。すずかちゃんと二人で会話内容に悶えるのは遥か先の話。
取り敢えず押し倒したままなのもアレなので、すずかちゃんを引っ張り起こしてペンダントを首にかけてあげた。今思い出したけどすずかちゃんは「夜の一族」とかいう吸血鬼だった気がする。それなのに十字て……でも輪っか着いてるし完全な十字架ってわけでもないから大丈夫だよね?
薄っぺらいキャミワンピのネグリジェにペンダントのすずかちゃん、月明かりに照らされた白い肌がエロい。でも冬にこの格好は寒くないのかな?部屋の中だから大丈夫ってこと?
「生き……てる?」
「うん」
「夢じゃない?」
「夢じゃないよ、ほら」
すずかちゃんの手を取って、僕の胸に当てた。トクントクンと心臓の脈打つ鼓動が重ねた手を伝わって自分にも分かる。ああ、僕は生きてる。生き残ることが出来たんだ。今は生きていることを喜ぼう、再開の喜びを噛みしめよう。僕が地球にいる間に交流があったのは石田せんせーを除くとすずかちゃんだけなのだ。別れが辛くなるから深くは付き合わないとか言い訳してたくせに、結局図書館に行く度に顔を合わせてた。深く付き合いたくないなら行かなければいいのにね。自分がここまで素直じゃないなんて思うとは、全くすずかちゃんは罪な女だよ。
しばらく手を当て続けていたすずかちゃんだけど、ぽふっと僕の胸に頭を預けると背中に手を回して抱きついてきた。僕はすずかちゃんの髪をゆっくり優しく丁寧に撫で続けた。ま、痺れを切らしたアリサちゃんに怒鳴られてそのまま魔法バレをすることになったけどね。あと封鎖領域はとっくの昔に解除されてて、皆に覗き見されてるなんて思わなかったよ。一応言い訳はしたけど、聞いてもらえないよね。
肝心の魔法バレ会議だけど僕がすずかちゃんの部屋に行く前には全部終わってたらしい。石田せんせーにも。つまりだね、僕は嵌められたということさ。HAHAHA!みんなを心配させた罰らしい。このドグサレがぁーっ!
事件後は皆、通常通りの生活に戻った。僕は年明けの新学期から学校に復帰。リハビリしながら学校生活を楽しんでいる。学校でやたら世話を焼いてくれるすずかちゃんがいたとか何とか。学業が休みの日には取材を受けたり、古代ベルカの歴史検証みたいなことをしてる。お金も貰える。
月村邸にお泊まりした時にすずかちゃんのベッドで一緒に寝たんだけど、翌朝起きると足の調子がやけに良くなってた。僕の首筋には噛まれた痕……なんてなかった。けど襟元には赤い血が一滴だけついていた。何もなかったと思いたい。そのお陰なのかすぐに車椅子はお役御免となり、歩けるようになった。歩ければ走るのも時間の問題で、僕は今まで歩けなかった分を取り戻すかのように運動に勤しんだ。
聖祥を卒業するころにはフェイトちゃんは執務官に合格、なのはさん撃墜は起こらず、ゼスト隊は行方不明になったと風の噂を耳にした。スカえもんがやったのは間違いないだろうけど、行方不明?二名を除いて全て死亡したはずの事件だった気がするんだけど、バタフライ効果だと思う。
なのはさんとフェイトちゃんは守護騎士との模擬戦に負けたことでカートリッジを導入、原作同様の装備となった。僕は教会関係者と親交を深めた。
聖祥の中等部は共学ではないので学校は別々になると思ってたけど、少子化により共学化。上級生がいないのは気が楽だね。
そうそう、中等部になってからついにくるみぽんちおが出るようになった。YATTA!すぐにリインに筆をおろして貰い、守護騎士と契ったよ。さすがにザフィーラとは無理だよ。でもヴィータは合法。アギトは物理的に無理だろと思ってたら、あったよ大きくなれる魔法。というわけでユニゾンした。ただし魔法的にはユニゾンしない(おにちく)。それからほぼ毎日皆とユニゾンしている。疲れた時はザフィーラにモフって寝る。
リインが子供が授からないのは残念ですとか言うから作りました。そう、リインフォースⅡだよ。僕とリインのリンカーコアをコピーして混ぜ混ぜ、昔アギトを見つけた研究所がまだ残ってて使えたから、そこでこっそり作りました。後でクロノくんに暴露て滅茶苦茶怒られたけどね。胸を張ってリインフォースと子作りしたって言ったら呆れられた。よく考えたらセクロスしましたって言ってるじゃん、恥ずかしっ!
リインフォースⅡを見たすずかちゃんが子供欲しいね(意味深)って呟いてたから、僕達にはまだ早いんじゃない?って言って後ろから抱きしめたら赤くなってた。きゃわいい。でもリインフォースⅡが僕をとう様、リインをかあ様と呼んでるのを聞いて締めあげられた。デバイスの製作者だからだよって説明したら、どうにか納得。このあと滅茶苦茶ちゅっちゅした。
中等部ももうすぐ3年目が近づいた時、フェイトちゃんにある任務が言い渡された。第97管理外世界・地球にて未確認の魔法文化があるので潜入、調査せよ。次元世界を脅かす存在ならば速やかに報告、接触されたし。何故かこの任務に僕が補佐として行くことになってた。どうやら僕をミッドチルダで確保したいようだ。もう管理局でも聖王教会でもいいからと、置いておきたいのが見え見えになってた。何をそんなに焦ってるのやら。
でも考えてみれば納得。試験を受けてないけど僕の魔導師ランクは原作はやてちゃん同様の総合SS。推定だけど。最低でもA+以上の戦力が僕合わせて8名もいるのだ。遊ばせておくのは勿体無いのだろう。でも働きたくないでござる!絶対に働きたくないでござる!
だけど任地の名前を聞いて僕は驚いた。
「麻帆良学園……だと⁉︎」
八神はやての戦いはこれからだ!
ご愛読ありがとうございました。
次回、麻帆良に現れたおっぱいマスター
始まりません。いや、マジで。
何故ならネギま知らないから!
仕方ないね。
ここまで読んでくれた人ありがとう!