5月某日。
「何だこれ? 宝石?」
飛電製作所の社長、飛電或人は会社の前に落ちていた黄色い宝石を拾い、首を傾げていた。
「どうした、社長」
「あ、不破さん」
そこに現れたのは飛電製作所の用心棒、不破諌だ。
二人顔を並べて或人の手にある黄色い宝石を見ていると、キラリと中が光った。
「ん?」
「なんだ?」
次の瞬間、宝石は眩い輝きを放った。
あまりにも強い光に、飛電製作所の事務室にいた秘書ヒューマギアのイズが慌てて飛び出す。
「──或人社長?」
光が収まった時には、或人と諌の姿は無く、イズはぱちくりとまばたきをした。
◇◆◇◆
都会に聳え立つ巨大なヤシの木。否、ココナッツタワー。
表向きは宝飾ブランド『ココナッツベイ』本社ビルだが、その正体は魔進戦隊キラメイジャーが所属し、ヨドンヘイムからの侵略者たるヨドン軍と彼らの戦いをサポートする地球防衛組織『
「──!」
CARAT作戦室。そこにいたクリスタリアの王女、マブシーナが突然、ハッと顔を上げた。
「どうしたの? マブシーナ」
彼女に話しかけたのは赤い制服に身を包んだ青年、
「何かが来ます……何かが!」
その時、作戦室にアラートが鳴り響いた。
地図が表示されたテーブルに充瑠、黄色い制服の
「K-01地区にヨドン反応だ! キラメイジャー、出動ッ!」
壮年の男性、ココナッツベイ社長にして地球防衛組織『CARAT』の代表である
◆◇◆◇
平和だったはずの街は突如として、人々が悲鳴を上げながら逃げ惑う地獄のような光景に変わっていた。
ビルが崩れ、破片が地面に落ちる。アスファルトが砕けて立ち上がった土煙の中から、錠のような仮面を付けた怪人と鍵のような仮面を付けた怪人が現れた。
彼らこそ、この惨状を作り上げた犯人である。
「何だなんだ、あいつら!」
「ヒューマギアの暴走でも、レイダーでも無さそうだな……!」
そこに居合わせたのは或人と諌。
或人の手には黄色い宝石が握られている。
「とにかく、止めないと! 不破さん!」
《ゼロワンドライバー!》
「ああッ!」
《ショットライザー!》
二人はそれぞれのドライバーを装着し、或人は黄色いプログライズキーを、諌は青いプログライズキーを取り出し、起動させる。
《ジャンプ!》
《バレット!》
「ふんっ!」
諌がバキッと片手でプログライズキーをこじ開けて展開し、ショットライザーに装填する。
《オーソライズ!》
バックルからショットライザーを外し、銃口を怪人に向ける。
「変身ッ!」
《ショットライズ!!》
引き金を引き、飛び出した弾丸が新たにビルへ攻撃しようとしていた2体の怪人をかすって攻撃を中断させ、諌の方へと向かってくる。
「ふっ!」
それを空いた左拳で殴り、砕かれた弾丸がアーマーを形成し、変身する。
《シューティングウルフ!》
《The elevation increases as the bullet is fired.》
「な、何だ貴様は!」
「むぅ、キラメイジャーでは無いな!」
変身した諌の姿に驚く怪人達。
「俺は仮面ライダーバルカン。てめぇらこそ、
「我が名は
「我が名は《ロック》鍵邪面!」
「「二人合わせてジョーキーズ!」」
ババーンと効果音やら演出が付きそうな勢いでキメる錠邪面と鍵邪面。
「ふざけてんのか? まあいい、行くぞ社長……おい、どうした?」
バルカンが呆れつつ隣に視線を向ける。
そこには何度もプログライズキーをベルトにかざし当ててカチャカチャ言わせている或人がいた。
「どういうわけかドライバーが認証しないんだ! これじゃあゼロワンに変身出来ない!」
「何だと!? チッ、こうなったら俺一人でやる! はどっかに隠れてろ!」
「ふっはははー! そんなダサい仮面を被ったところで我らジョーキーズに敵うものか!」
錠邪面がその場でくるりと回って高笑いし。
「貴様からたぁっぷり、闇エナジーを絞りとってア・ゲ・ル♡」
鍵邪面がどこからか鍵のような形をした剣を取り出し構える。
「ふん、試してみるか?」
ドライバーからショットライザーを取り外して銃に、銃口を鍵邪面に向けるや発砲。鍵邪面の体から火花が飛び散った。
「あいたぁ!?」
「何とぉ!」
「うおおおおおおおっ!」
撃ちまくりながら駆けて鍵邪面に接近。
2歩の距離を跳躍で一気に縮め、鍵邪面の顔を踏みつけて足場に後ろ上方に飛び上がる。
「ワタシの顔を踏み台にぃ!?」
空中でショットライザーを持ち替え、装填されているプログライズキーを叩く。
《バレット!》
後方宙返りをし、顔を真上に上げてのけ反る鍵邪面がバルカンの視界に捉えるや銃口を向け、引き金を引く。
《シューティングブラスト!》
青い炎の狼が宙を駆け、鍵邪面の手足に食らい付いてその場に捕らえる。
両足で着地するや再度引き金を引く。
《バレット シューティング ブラスト》
青白い光球を撃ち放ち、鍵邪面が爆発に飲まれる。
「──がはぁっ!?」
爆発の中から吹っ飛ばされ、鍵邪面が後ろにあったビルの壁に打ち付けられる。
「か、鍵邪面んんん!」
錠邪面が慌てて鍵邪面に駆け寄る。
「くっ、今ので倒れないってことは出力不足か! だったらコイツで!」
《アサルトバレット!》
グリップが付いたプログライズキーを取り出すバルカン。
そこに無数のキラリと輝くコイン型の銃弾が飛来し、その手からプログライズキーを弾き飛ばした。
「痛ッ、何が……ぐああっ!?」
次々と襲い来る銃弾がバルカンを全身に当たり、火花を散らす。
「そこまでだ! 邪面師!」
そう言って現れたのは赤、黄、緑、青、ピンクの5人の男女。
キラメイジャーの5人だ。
「って、邪面師が3体!?」
「1体だけ変わったお面をしてますね……」
キラメイグリーンが戸惑いの声を上げ、ピンクがバルカンを見て違和感を覚える。
「しかも1体はかなり弱ってる……仲間割れでもしたのか?」
キラメイブルーが冷静に推測する。
「何だテメェら!」
(…………?)
「俺達はキラメイジャー。覚悟しろ、邪面師!」
キラメイレッドがバルカンの言葉に何か引っ掛かるがキラメイイエローが前に出たことでその思考を中断した。
「キラメイジャー? 初めて聞く名前だが、いきなり攻撃してきたって事はそういうことか!」
バルカンの銃口がキラメイジャーに向く。
バルカンのショットライザーから放たれた銃弾とイエローのキラメイショットから放たれた銃弾の激突で戦いの火蓋が切り落とされた。
「ナンだかよく分からないケド、今のうちに!」
「おう鍵邪面よ、ここは退くぞ!」
「あっ!」
突如始まったキラメイジャーとバルカンの乱戦。その隙に2体の邪面師が逃げ出したのを或人は目撃するが、生身では追いかけることも出来ない。
《Ready go! アサルトウルフ!》
《No chance of surviving.》
「なっ、仮面が変わった!?」
「それどころか、姿そのものが変わってるわよ!」
「ちょっとカッコいいかも……」
「生き残る術は無いってか! だったら試してやる!」
バルカンが落ちたアサルトウルフプログライズキーを拾い上げ、仮面ライダーバルカン アサルトウルフへと変身する。
その変身に驚くブルーとピンク、グリーンをよそに、バルカンの変身音声を挑発と受け取ったのか、イエローがキラメイショットの上部にある蓋を外し、中にコイン型の弾丸、キラメイバレットを装填。蓋を閉めてレバーを引く。
『キラメイチャージ!』
バルカンもイエローに対抗するようにショットライザーに装填されたアサルトウルフのスイッチを押す。
《アサルトチャージ!》
両者の銃口にエネルギーがチャージされる。
「止めてください!」
「「──ッ!?」」
二人の間に或人が割り込んだ。
しかし、飛び出すタイミングが少し遅かった。イエローが引き金を引くのとほぼ同時だったのだ。
その結果、イエローの放った必殺の威力を持った輝くコイン型の銃弾が或人に襲いかかる。
「マズイッ!」
『キラメイシールド!』
或人に命中するかと思われた攻撃は、宝石のようなシールドに防がれた。
「ギリギリセーフ……。大丈夫ですか?」
「あ、ああ……おかげさまで……」
煙の中から姿を見せたのはレッドだ。
咄嗟に割って入ったレッドがイエローの攻撃から或人を守ったのである。
「みんな、攻撃止め!」
レッドの言葉に各々が武器を下ろす。
「今だ隙ありぃ!」
物陰から錠邪面が現れ、レッドめがけて紫色の光球を放つ。
「危ない!」
しかしそれは、直前で錠邪面の存在に気付いた或人がレッドの体を押したことでレッドの左手首を掠め、紫の光球にレッドのキラメイチェンジャーと或人のポケットから飛び出たライジングホッパープログライズキーを飲み込み、硬化してカチャッと地面に落ちる。
変身アイテムであるキラメイチェンジャーが外されたことによってレッドの変身が解ける。
「あの野郎ッ!」
《マグネティック ストーム ブラスト!》
バルカンが怒り巻かせにチャージしたままだった必殺技を撃ち放つ。
「錠邪面!」
鍵邪面が錠邪面の前に飛び出し、バルカンの必殺技を食らった鍵邪面は鍵型の剣を放り投げて爆散した。
「鍵邪めぇ~~ん! おのれ仮面ライダーめ! だが、キラメイレッドのチェンジャーは封印した! その錠は鍵邪面の力でなくては解放出来ないぞ!
ここは退かせてもらうッ!」
錠邪面はそう言い残すと、鍵邪面が残した剣を拾い上げ、闇の中に消えていった。
「充瑠くん! 大丈夫?」
ピンクから変身を解除した小夜が充瑠に駆け寄る。
「うぅ……大丈夫です。
さっきは助けてくれて、ありがとうございます」
「こっちこそ、さっきはありがとう」
笑みを浮かべる或人と充瑠。
「いきなり飛び出すなんて、一体どういうつもりだ」
変身を解除した諌が或人に詰め寄る。
「に、人間!?」
「あん?」
変身を解除した諌に驚くキラメイジャーの面々。
その反応に諌が彼らを睨み、為朝が睨み返す。
「と、とにかく! この人達と話をしよう、不破さん。ここが何処なのかも分からないんだし」
「む……」
「俺からも! この人は邪面師じゃないみたいだし、話をしても良いんじゃないかな? ねっ、為くん」
「んん……」
メンチを切り合う諌と為朝の間に入ってなだめる或人と充瑠。
そこに時雨のキラメイチェンジャーに通信が入る。
『キラメコーリング!』
『キラメイジャーの諸君、彼らを連れて本部まで帰投してくれ』