そこで改めてリメイク版として投稿することにしました。お気に入り登録してくださった方や続きを待っている方、申し訳ございません。今後はこちらで進行していこうと思います。
さて、早速本編に移ろうと思います。それではどうぞ。
序弾 転入生
夢を見ていた。
それは今よりも数千年も前の出来事。
黄金の大地に、二人の男が佇んでた。
一人の、不思議な形状の杖を持った男は口を開いた。
『本当にいいのかい?この先に進めば、もうこちらには戻れない』
そしてもう一人、全身に鎧をまとった男が言葉を返す。
『止めないでください、■■■■。これは私が引き起こした運命なのです』
そう言って鎧の男は、背を向けた。
目の前には緑の生い茂った深い森、そして仕えていた騎士の姿。
騎士は同じように鎧を纏っていた。
『■、今はこちらに。すぐに兵を呼んでまいります』
男の体を大樹に預け、騎士は立ち上がる。
『どうかそれまで辛抱を。必ず兵を連れて戻ります』
視界は今にも黒に埋め尽くされようとしていた。
もはや意識はないに等しい。
騎士は礼をして、乗ってきた白馬へと踵と返す。
『――――――■■■■■■■■』
その前に。
硬い口を開き、騎士の名を口にする。
騎士は驚愕の表情をして、男に近寄る。
『■!?意識が戻られましたか......!?』
『......うむ。少し....夢を見ていた』
その朦朧とした声は、ひどく――――――否、騎士には温かな物に聞こえただろう。
『夢.....ですか.....?』
騎士は探るように声をかける。
『そうだ.....あまり見たことがないのでな。貴重な体験だ』
男の意識は確かではない。
いずれ、また闇の中に落ちるだろう。
『.....それは。では、どうぞお気遣いなくお休みください。私はその間に兵を呼んでまいります』
そう言って再び踵を返そうとする騎士。
それを、もはやしていることさえわからないほどの小さな息遣いのまま、静かに呼び止めた。
『■■■■■■■■。我が剣を持て』
掠れた声で、最後の命を口にする。
『よいか.......この森を抜け、あの血塗られた丘を越えるのだ。その先には深い湖がある。そこに―――――――――』
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「なあ、風霧!」
始業式後、新しくクラス分けされた2年A組の教室。
その窓際で、頬杖をついて外を見ていると。
隣の席に座る身長の高い男、武藤剛気が声をかけてくる。
「何だ武藤」
振り向いて見て彼の顔は、いつも以上にうれしそうにしていた。
「おいおい!なんだその反応は!?転入生だぞ!転入生が来るんだぞ!」
転入生か.....
この武偵高だ。碌な奴ではないだろう。
こちらの薄い反応を見た武藤は、鼻息荒げに聞いてもないのに話しだした。
後々めんどくさいため、少しでも聞いてやることにした。
「先生、あたしはアイツの隣に座りたい」
噂の転入生――――――――神崎・H・アリアが、いきなりキンジを指してそんなことを言ってきた。
遅れて教室に現れたキンジは鬱々とした表情をしていたため、なにかありそうだと感じていた。
クラスの生徒たちは一瞬絶句して、それから一斉にキンジを見た。
女性特有の甲高い声から野太い声まで、いろんな種類の歓声を上げた。
キンジはただただ絶句をしていた。
「な、なんでだよ.......!」
ようやく出てきた、と言わんばかりの声でキンジが呟く。
どうやら目を付けられてしまったようだ。
「よ.....良かったなキンジ!なんか知らんがおまえにも春が来たみたいだぞ!」
武藤はキンジの手を握ってブンブン振りながら、転入生さんと席代わりますよ!、と立ち上がる。
それを聞いた先生は、嬉しそうに神崎とキンジを交互に見て、武藤の提案に即決した。
教室の拍手喝采で、より一層項垂れるキンジ。
「キンジ、これ。さっきのベルト」
そう言って取り出した物をキンジに放り投げる。
それは、キンジのベルトだった。
「理子わかった!わかっちゃった!これ、フラグばっきばきに立ってるよ!」
隣の席に座るツーサイドアップの少女、峰理子が勢いよく立ち上がる。
「キーくん、ベルトしてない!そしてそのベルトツインテールさんが持ってた!
これ謎でしょ謎でしょ!?でも理子には推理できた!できちゃった!」
所謂改造制服に身を包んだ彼女は、キンジ曰く
「キーくんは彼女の前でベルトを取るような“何らかの行為”をした!
そして彼女の部屋に忘れてきた!つまり2人は 熱い熱い、恋愛の真っ最中なんだよ!」
最近の学生は早い、と誰かが言っていたが、あの遠山キンジだ。
言いがかりにも程がある。
しかしここは武偵高。
こういったことには息が揃う。
「キ、キンジがこんなカワイイ子といつの間に!?」「影の薄いヤツだと思ってたのに!」
「女子どころか他人に興味無さそうなくせに、裏でそんなことを!?」「フケツ!」
教室全体が、キンジの話題で盛り上がる。
「お、お前らなぁ、、、」
キンジが頭を抱え、机に突っ伏したとき
ずぎゅぎゅん!
鳴り響いた2連発の銃声が、クラスを凍り付かせた。
真っ赤になった神崎が、二丁拳銃を抜きざまに撃ったのである。
「れ、恋愛だなんて.......くっだらない!全員覚えておきなさい!そういうバカなこと言うヤツには.....」
今後何度聞くだろうセリフを、はじめて武偵高の皆に発した。
「風穴開けるわよ!」
放課後、キンジがクラスメイトから逃れたのを確認した後、荷物をまとめて寮に向かう。
そんな中、突然ポケットの携帯が振動する。
取り出して応答する。
「もしもし?」
『やあ、武偵生活は楽しんでいるかい?』
昔散々聞いた、”奴”の声が聞こえた。
「.........一体何の用だ?」
『怖い声をしないでくれ。君と僕の仲じゃないか?』
相変わらず癪に障る言い方だ。
「そんなことはどうでもいい。何の用か聞いている」
『久しぶりにゆっくり話そうと思ったのだがね―――――――――今日、アリア君が来ただろう?君の学校に』
「......何を企んでる」
その思考には勝てないことをわかっているため反応はしない。
『君に依頼があってね。もちろん、受けてくれるよね?』
「......なんだ」
奴の言うことに従わなければいけないことに、怒りがたまる。
『なに、君には簡単なことだよ』
そんな前置きをして、奴は依頼の内容を口にする。
『”もう一度”君を歓迎しよう――――――――”ナンバー0”として』
奴の計画は、まだ読むことはできなかった。
[続く]
次回もよろしくお願いします。ありがとうございます。