(この俺、唯我成幸高校3年生は秀才である)
数学の授業中、成幸は凛々しい表情で自画自賛していた。
(その俺をしても、理解できないことがある)
わざわざ肘をついて指を組んでまでして、成幸は一体何を悩んでいるというのだろうか。
今先生が板書しているのは2015年のセンター試験の問題だ。予習を完璧なこなした成幸にはそれが分かった。
否、分かったからこそ疑問なのだ。
(何故、高3の春にセンターの過去問を解かせるのかーー)
センター試験の過去問演習。各学校によって多少異なるだろうが、大学進学がほとんどである普通科の生徒にとって、高3の春にセンター演習というのは、あまりにも早過ぎる。
(勿論、数学に関しては1、2年で習ったところからしかでないから、決して無意味ではないが……いや、それでも早過ぎる。今はまだ二次試験に向けた授業をするべきだ)
「はいじゃあこの問題、解けた人から前に出て解いてもらおうかな」
成幸はこの問題を解くか迷った。問題に取り組む姿勢こそしているが、ペン先が一切動いていない。
(1番早くに解いて先生に優秀さをアピールしたいところだが……。センター過去問。これはまだ取っておくべきではないのか?)
センター過去問は10年分以上もあるから別にいいだろと思うかもしれないが、出題傾向の変化なども考えると、使える分は案外限られてくる。
それに、センター過去問はその他の問題集とは扱いが違ってくる。
問題集はきちんと解くことが第一であるが、センター過去問は時間配分の確認や、高得点を狙うための取捨選択など、センター試験に特化した使い方をするものだ。
「ぜ、全部正解です……。でも緒方さん、途中式は……?」
「……。途中式……。すみません、とばして解いてしまいました」
(勿論、センター特化の対策なんてのは、緒方のように実力が十分あれば必要ない……。てかもう解いたの? やだ怖い!)
しかし、それはあくまで特別頭の良い人……天才にのみ許されたこと。あるいは私立大学第一でセンター試験を受けない人だったり、足切り回避するだけで良いから力を入れない人もいるだろう。
だが、ほとんどの受験生はきちんとセンター対策をする。
(大体秋頃から、な……)
成幸は、もしも特別VIP推薦を貰えなかった場合、入試成績優秀者に与えられる学費免除を取りたいと考えている。そのためにもセンター過去問はせめて秋頃から取り組みたい。
(ここで半端に解いちまうと、過去問演習の時に「あ、これ前解いたわ……」ってなって本番に近い演習ができなくなるかもしれないし……。でもちゃんと授業に取り組まないとVIP推薦が……!)
キーンコーンカーンコーン……
「じゃ、今日の授業はここまで。日直さん号令お願いします」
「きりーつ、れーぇい」
***
(今日の小論文は自信作だぜ! 家で対策してきた論文テーマの
現代文の授業中、成幸はニヤニヤしながら小論文を書き進めていた。
(それはそうと……)
この一ノ瀬学園のシステムはやや珍しく、文系と理系で教室が分かれていない。文系理系で共通する授業は教室で受け、異なる授業は移動教室で受けるというシステムだ。そのため移動教室の割合がかなり多いが、男女比はどのクラスも半々になっている。
文系に行けば女子が多く、理系に行けば男子が多い……そういった偏りがあるのは仕方ないが、せめて普段の学校生活、学校行事などは男女半々で、という意向らしい。
話を戻そう。
隣の女子が爆睡してる件についてだ。
(この人堂々と寝てるけど……え、小論文終わってんの? あと10分で提出なの分かってる? まぁどうでもいいけど、せめて寝息だけは何とかならない? ちょっとうるさいんですけど)
「すぴー、くー、すやー、……見て見て、あれがスピカー……」
「コラ古橋起きろー」
(起こすの遅くない? 35分近くは堂々と寝てたの気付いてるよね? 甘過ぎない? その甘さを俺にも分けてVIP推薦の足しにさせて?)
「はっひゃい! ーーあっ、ど、ど、どうしよう!」
古橋はさっきまでその上で爆睡していた、白紙の用紙を見て驚いていた。
可哀想を通り越してただの自業自得である。何故なら成幸は見ていたのだ。
(そう。古橋は授業開始直後、小論文の用紙を受け取ってから寝たのをな!)
以下回想
「まずは用紙を後ろに回してくれ」
「古橋さーん、古橋さーん」
「はうっ、ど、どうしたの?」
「プリント。回して?」
「あ、うん、ごめんね」
「ううん、寝顔可愛かったし」
「うう……」
「さて、昨日で私達は一つの文章を読み終えた。そのまとめとして、『本は電子書籍か紙の書籍か、どちらが良いか』というテーマで小論文を書いてもらう。最後に配ったプリントには、自分が書く内容を大まかに要約してもらう。まぁ書きたくない人は書かなくても良い。だが、3枚の原稿用紙をしっかりと書き切るように」
「ーーすやぁ」
(寝たーーだと!?)
以上回想終わり
「ひーっ、とにかく早く埋めないと……!」
(まぁ、これに懲りたら授業中の居眠りはやめるんだな)
10分後。
「古橋ー。あとはお前だけだぞー」
「は、はーい! できました!」
(なっーーたった10分で終わったのか……!?)
成幸は驚きを隠せなかった。
これが『文学の森の居眠り姫』の実力かーーということではない。
(凄まじい速記力! どんな手をしてるんだ!)
成幸は過去に一度、自分の書くスピードを測ったことがあった。それはこうした小論文などの時間配分の目安になるからであり、実際に役立っている。
その結果ーー
(俺でさえ、消しゴム無しで字の丁寧さも無視して、その上文章を書き写してーー10分で600字も行かなかったというのに!)
ーー10分で550字。消しゴムを使うことや字の丁寧さを織り込めば、10分で500文字書ければ上々といったところである。
今回の小論文、要約のプリントを除いて原稿用紙は3枚。少なくとも2枚半は書いてなければ提出は認められない。……つまり、古橋は10分で原稿用紙2枚半ーー1000文字は最低でも書いたということになる。
(倍……倍!? バカな! タイピングとは訳が違うんだぞ!? まさか速記文字で書いたとか……? いや、それはない。さっきチラッと見えた原稿用紙にはちゃんと普通の字が書いてあった。それも汚くない字だ)
先生が古橋の小論文を読んで感動のあまり色々と大洪水を起こしているが、成幸はそんなことを気にしていられなかった。
そう、何故なら……字を速く書くこと、その能力だけは才能は関係ない。むしろ努力の結果だろう。無論、多少の個人差こそあるだろうが、倍ともなれば話は別だ。
国語というのはとにかく記述が多い。
二次試験ともなれば、200字300字はざら。もっと書かされることもあるだろう。
その中で他の人よりも二倍速く字を書けるというのは、圧倒的な利点に他ならない。
他の受験生とは時間的余裕が全く違うといって良い。
(それに加えて……古橋は『文学の森の居眠り姫』と呼ばれるくらい、文学に造詣が深い。寝言で誦じてしまうくらいには)
古橋はよく寝言が本の暗唱だったりする。それは生来の記憶力ーーつまりは才能によるものだと言う人もいるだろう。確かにそれもそうだが、違う。着目すべき点はそこではない。
(圧倒的な読書量ーー。それは現代文に留まらず、古典、漢文など……。それも小説だけではなく、評論や和歌、漢詩など、あらゆるジャンルの知識を持っているーーそんな噂まであるほどだ)
それにどれだけ尾ひれがついているかはともかく、古橋の最大の強みはその圧倒的な予備知識に他ならない。突然小論文を書かせても洗練された構成になるのは、その洗練された構成例がいくつも頭に入っているから。
内容の出来については才能次第かもしれないが、プロの作家や評論家が書いた文の知識があるからこそ、『本は電子書籍か紙の書籍、どちらが良いか』というテーマに関連した知識を引っ張り出し、そこから自分なりに考えながら小論文を書いていったのだろう。
成幸とて、小論文のヤマを張って対策する際、図書室に赴き様々な本を読んだ。ーー予備知識を取り込むためだ。いくら天才であっても、知識がなくては何も考えられない。
一から十を知ることができても、ゼロからは何も分からないように。
予備知識のあるのとないのとでは、内容の深みに雲泥の差が生まれる。
(緒方にしてもそうだ。緒方の計算力の高さは確かに才能と呼んでも良いかもしれない。けど、計算力の高さと数学力はまた別物だ)
これまた噂だが、緒方は数学物理においては入学時の段階で既に高校生の範囲は全て終えていたらしい。
それが例え嘘だとしても、今現在、緒方が高3の範囲を全て学習済みである可能性は非常に高い。夏までの分なら確実に終わっているはずだ。
言い換えれば緒方は完璧に予習をこなしているーー否、予習復習演習の全てをこなしている、という言い方が正しいだろう。
成幸は予習によって内容を理解し、授業によって理解を深め、復習によって理解を確かめ、演習によって体に徹底させている。
だが緒方は予習復習演習までやった上で、改めて自分の理解を再認識するために授業を受けているーーように、成幸には見えた。
それは過去の自分を俯瞰し、理解した内容を考え直すという、一段上の高みである。
(あぁ、天才だよ、緒方も古橋も天才だ。それは誰もが認めるところだろう。……けど)
本人達はそれを努力とは自覚していないだろうが……いや、だからこそ才能と思われ、天才と言われるのだろうが……。
(二人が積み上げてきたものは、俺でさえ足元にも及ばない程だ)
唯我成幸高校3年生は秀才である。
それは自他共に認めるところであり、成幸自身もまた、この成績は己の努力の賜物だと信じて疑わない。
しかし……天才の積み上げてきたものは、秀才では見上げるのに精一杯で。
(俺は天才にはなれない。……天才と思われるだけの、圧倒的な高みにいない)
だからこそ、1週間後、特別VIP推薦の面談当日、成幸は驚きを隠せなかったのだ。
「君の『特別推薦』、認めてもいい。但し一つだけ条件がある」
学園長室に、二人の天才が現れーー
「古橋文乃君と緒方理珠君……彼女らの志望大学合格を目的とした、『教育係』を命じる」
ーー天才を教育せよ、などと言われたのだから。
(……はっ)
成幸は皮肉に吊り上がろうとする口角を、なんとか抑えた。
(教育? この天才
「返事はどうしたかね?」
「はい」
(ハッ……何を)
退室する間際、成幸はちらりと学園長を見た。
(皮肉も過ぎればただの嫌味ですよ、学園長先生……)
「そうだ、唯我成幸君。ちょっと待ちたまえ。あぁ、二人は退室していいよ」
「……?」
再び対面する二人。
話はもう終わったはずだが……。
「君を疑うわけではないのだけどね……1週間と少し前、我が校の生徒が成人向け雑誌を道端で拾っているところを目撃したとの連絡があってね」
「ーーッ!?」
「場所を聞くに、どうやら君の家の近くらしい」
ぱらりと、面談用に用意された俺の資料を見返しつつ、学園長はそう言った。
「何か……知らないかね?」
「いいえ全く存じ上げませんそれよりも学園長先生ッ!」
「お、おう。どうしたんだね急に声を荒げて」
成幸は決めた。
勢いで誤魔化そうと。
「俺はッ! 緒方と古橋の二人をッ! 絶ッ対に! 合格させてみせます!」
「おぉ、おお……! 何という熱量なんだ……! まるで烈火のよう……!」
「俺が今まで積み上げてきた努力は、今!
「おぉ、おお!」
「VIP推薦を
「それは心強い……。しかし、何故そこまでやる気になってくれるのだ……? 『教育係』は本来、特別VIP推薦の条件ではないのに……」
(
「俺は……以前に、一度だけ大きな過ちを犯しました」
「大きな過ち……?」
「そのことで……あいつにぶたれた衝撃は忘れていません」
「ぶたれた……!?」
「でもあいつは……こう言ったんです。『罪の証を捨てるのではなく、手元に置いて、罪を背負い、罪と向き合いながら生きていけ』と」
(
「あいつは……そんな
(
「そしたら、ずっと一緒にいてくれるって、言ってくれたんです……」
(ーーでき婚!? いや待て。であればできちゃった子供を罪の証とは言わないはず……ならば、『罪の証』とは一体……? いやそもそもでき婚とも限らない……?)
「俺は……分かったんです。改めて実感したんです。家族のぬくもりこそが最も幸せなんだと。己のバカな欲を満たすためだけに、今ある幸せを危険に晒すなど……もう、あってはならないと」
(否! 否ッ! 『あいつ』は一人を指すのではなく、二人ーー前者が彼女! 後者が浮気相手! 『罪の証』とは即ち浮気相手との間にできた子供! ーーハッ!)
学園長は気付く。
(『
学園長は思わず口を手で覆った。
これは単なるでき婚ではない。そんなものでは断じてない。それは汚れながらも眩しく、地の底から青空へ想いを馳せるような、清濁合わせ呑んだが故の尊さ……。
(浮気相手との子供を我が子とし、彼女と結婚し、生活していくことで本当の幸せを得た……そういうことだね、唯我成幸君……)
「だから、そんな制裁に……感謝、してるんです。自分だってつらかっただろうに、それでも『全然気にしてない』だなんて俺を気遣って……『持っててもいい』だなんて」
「『持つ』……一体、何を」
学園長をして、思わず食い気味に聞いてしまった。
学園長の推理が正しければ『持っててもいい』だなんて言葉は出てこないはずだ。何の脈絡もない。
「あ、いえ、それは……」
成幸は動揺していた……まるで言ってはならない言葉を溢してしまったかのような……。学園長は考える。考え……一つ、己の推理に穴があることに気付いた。
(『正妻』……? 何故、『正妻』などという言い方をする?)
そう。学園長の推理通りであれば『正妻』ではなく『妻』と呼べば良いはずだ。
(浮気相手との違いを強調するため……? いや、既に別れた相手にわざわざそんなことをする必要は……ハッーー否ッ! 私はまたしても間違えていた!)
開いた口が塞がらないとはこのことだ。手で口を覆っていたため、その間の抜けた顔が見られずに済んだのは運が良かった。
その本当の真実に気付き……その真実が意味するところを理解した学園長は、ついに己の目元を手で覆ってしまった。
(唯我君は浮気相手と別れてなどいなかったーー! 浮気相手を第二の妻として受け入れたのだ! 故にこそ『正妻』! あぁ、ならばーー全ての言葉の意味が変わる!)
学園長は成幸の言葉をーーその背景を、完全に理解した。
(『
しかし、『彼女』は『
『彼女』は『正妻』となり、唯我君と浮気相手の二人を受け入れた……。まだ、と言っいたということは、『正妻』は『浮気相手』とも浅からぬ親交があったということ……いや、だからこそ『正妻』は『浮気相手』を『第二の妻』として受け入れた!
そして唯我君と『第二の妻』に『正妻』はーー『ずっと一緒にいる』と、そう……っ、言ったのだ……ッ!)
「が、学園長先生!? 何故泣いているんですか……!?」
(そして彼らは『家族』となり、『ぬくもり』を、『最高の幸せ』を手に入れた……っ! あぁ、言えないもの無理はない。日本は一夫多妻を認めない国だ。唯我君にとって『第二の妻』の存在は知られてはいけないこと……ッ。だから『正妻』と『第二の妻』のことも、『あいつ』と同じ言い方をしていたのか……! 『家族』を、もう危険に晒さないために……ッ!)
ピースが、全て埋まった。
(一体どれだけの想いが交錯したことだろうか。
当時『浮気相手』であった『第二の妻』が唯我君をぶったのは、ただの怒りか? ーー否ッ! 『正妻』たる『彼女』を想ってのことッ!
大きな過ちを犯したのは唯我君だけでなくーー『浮気相手』にとってもまた、大きな過ちであったに違いない! 3人は恐らく親友と呼んで差し支えないくらいに仲が良かった! そして唯我君と『彼女』が付き合始めたが……『浮気相手』もまた、唯我君を思い慕っていた。
きっと『浮気相手』から唯我君に行動を起こしたのだろう。そして唯我君はそれを拒絶できなかった……それは甘さか? 欲情か? いいや、それ以上の『何か』が……私には分からない『何か』が、あったのだと私は信じる。
だからこそ、その『何か』を『彼女』も感じ取ったからこそ……『彼女』は『浮気相手』たる親友を『第二の妻』として受け入れたのだ……ッ。
『彼女』にとって、『浮気相手』の親友は……とても、とても大切な親友だった……。
苦渋の決断だっただろう、生半可な覚悟ではなかっただろう。過ちを赦し、あまつさえ『家族』と認めることなど……私には到底出来ない。
だがそれが『最も幸せ』な道であったのだ……私は涙ぐまずにはいられない。
これほど美しい話が、この世にあるとは……!
だが、唯我君のあの目ーーあの真っ直ぐな瞳こそ! その全ての証である!)
「えっと、その……(追及される前に話を逸らそう)。ウチは貧乏だから、特別VIP推薦を貰って、大学を出て、早く家族を支えたいんです。そのために勉強を頑張ってきました」
「な、なんという志……!」
(涙が止まらぬ! 唯我君は今も奮闘しているのだ! 『家族』の『幸せ』を守るためにーー!)
「多分、あの二人にも何か、やりたいこととかがあると思うんです。じゃないと……いくら天才とは言え
(己のッ! 浅ましさを呪うッ! 実績と保身のために、己の『家族』を! 『幸せ』を! その将来を守ろうと奮闘している唯我君に……私は……!)
「唯我君……今からでも、
「えっ!? やります! やらせて下さい! 何故
「だが……君は……」
「お願いします! 学園長先生! ーー俺を! 信じて下さい!」
「……良い、のか……? 本当に……?」
「はいっ!」
「……分かった。だが(体調に)気を付けることだ。(君が)その気になったらいつでも君を(『教育係』から)外せるからな」
「ッーー、は、はいッ! 肝に銘じておきます!」
「うむ……。では、退室してよろしい……」
「はッ! 失礼しました!」
「うむ……」
バタリと扉が閉められ……学園長は一人、部屋で静かに涙を呑んだ。
(私は唯我君のことを……生涯、忘れないだろう……)
***
(お、脅された……! その気になればいつでも俺をVIP推薦枠から外せるって……! こ、怖えー! もしかしてエロ本のことバレたか……? それでそんな男がVIP推薦を欲しがることに悲しみ、涙を流したと!? そうに違いない! じゃないと取り下げの話なんか出さない!)
成幸は戦慄していた。
(にしてもエロ本を拾ったくらいで泣くほど悲しむなんて……なんて生徒想いなんだ。そりゃ『教育係』も付けたくなるってもんか。だがその分、期待を裏切ったときの反動が怖い……! だって普通、家族を支えたいって言った後に取り下げの話なんか出さないだろ! あんなにも優しい声でえげつねぇこと言ってるもん!)
それはつまり、なんとしてでも古橋と緒方を合格させろという脅迫に他ならない。
成幸は別に自分の家庭環境に同情して欲しかったわけじゃない。
だが、まさかそれを脅しのネタにしてくるとは思わなかった。
(大人を舐めてるつもりはなかったけど……やっぱ、大人って怖えーわ)