はぐりんくえすと   作:楯樰

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各話にtips書き足してこうかな。
本編書けって話なんだけど。設定ゴリゴリ書いてるの楽しい。



22 占いと痣と

「俺、急いで森に行ってくる! そしてそけっとを探さないと!」

 

 俺の謝罪をそこそこに、そけっとの身の危険を知ったぶっころりーは、まるでヒロインがピンチに陥った主人公のように、真剣な顔をして立ち上がりそう言った。

 

「それです、それですよぶっころりーさん! まるではぐりんみたいな……」

 

「もしかしたらそけっとが一撃熊の群れに遭遇しているかもしれない。そこに、俺が颯爽と駆けつけたなら? まさにピンチだったそけっとを助けたら? それこそもう、抱いてとか言われちゃうんじゃないのかな!? ……ゆんゆん、何か今言いかけた?」

 

「はぐりんはこんなこと言わない。ごめんねはぐりん、私が馬鹿だった」

 

 すんとした顔になったゆんゆん。確かに俺もちょっと感心しかけたけど、下心がないとぶっころりーらしくない。

 

「俺も行くよ。今度はちゃんとモンスターに引き合わせるから」

 

 俺としてはそんな、下心有りきでも、好きな女性を助けようとする心意気は買っている。

 

「……ありがとう。持つべきものはやっぱり親友だな」

 

「いや、ニートの親友はちょっと」

 

「…………そこは乗ってきてくれよ、恥ずかしいじゃないか……」

 

 

 

 ▽

 

 

 

「なんでしょう、これ。既に激しい戦闘があったようですが」

 

 最寄りの里の入り口の近く、何者かが争った跡が残されていた。

 

 火炎系、雷撃系の魔法だろう。一撃熊が一頭、頭を失った状態で死んでいる。木々の黒く焦げた跡からはまだ燻る臭いを辺りに漂わせており、まだ近くに下手人がいることを窺わせた。

 

「この調子だとすぐそけっとは見つかりそうだね」

 

「……あの、あるえ」

 

「なにかな、ゆんゆん」

 

 二人が後ろの方でコソコソと話し始めた。

 

「あのね、私が巻き込んでおいてなんだけど……その、はぐりんがほら、乗り気だけどね? ……このまま私たちに付き合って祝日を潰してもよかったのかなって」

 

「それは、まあ……ちょっと残念だけれど。ぶっころりーの恋が成就するか気になってるし、友達とこうやって過ごすのも良いかなとも思うんだ。だから気にしないで」

 

「……友達……うん……!」

 

「それに今日の埋め合わせは今度きっちりしてもらうから」

 

「ええ!? ……あの、二人でこっそり……えっちなことはしないでね?」

 

「さあ、それはどうかなあ。私はしないつもりだけど……我慢できなくなったはぐりんに無理矢理」

 

「む、無理矢理……ぐ、具体的には──」

 

 流石にそれ以上は聞いてられない。

 

「ストーップ! 何二人で話してるんだよ! 聞こえてるんだからな!」

 

「む、年頃の女子の会話を盗み聞きするなんて。はぐりんはえっちだねえ」

 

「えっちな会話してたあるえが言うな! それにゆんゆんも! 好奇心に負けてそんな話しない!」

 

「……。……はぐりんは私がえっちだと嫌い?」

 

「ゆんゆん!?」

 

 正直言ってグッときてるが、それを言えば際限なく誘惑されそうだ。

 

 ……もしかしなくても俺が陥落寸前なのはあるえにはバレてる。ゆんゆんに加われたら理性は負ける。

 

 でも、思春期の男子はみんなそんなもん。

 

「そんなことに言ってると本当に襲われますよ。はぐりんがベッドの下に隠してる官能小説みたく」

 

「何言ってんの? ねえ何言ってんの? 俺がそんなありきたりな場所に隠すわけが」

 

「持ってはいるんですね。ほら、さっさと案内してください」

 

「……そんなわけないだろ。持ってたらの話だからな?」

 

「そういうことにしといてあげますから、ほら早く」

 

 めぐみんめ誘導尋問しやがって。……つか何で隠し場所バレたし。

 

 マジで見つけてるってことはないよな? 

 

 ……読まれてたりは……。

 

 ──と、めぐみんに疑念を抱えたまま《敵感知》の強い反応がある方向を調べようとした、その時だった。

 

 空に一条の光が(はし)る。

 

「雷の魔法だ……そけっとはあっちだ!」

 

 一撃熊の死体を調べていたぶっころりーはそう言って、一拍遅れて雷鳴の轟いてきた方向へと駆け出し、俺たちも慌ててそのあとを追った。

 

「『ライトニング・ストライク』!」

 

 ──目視できる範囲に木刀を持ったそけっとらしき姿が見えてきた。相対、していたのは一頭の一撃熊。既に事切れてその毛皮からはプスプスと煙を上げている。

 

 しかしその倒れた一撃熊とそけっとを中心に一撃熊達が。本来一頭にして、大人の紅魔族を相手にして猛勇を誇るそのモンスターは、現実問題群れを成している。

 

 しかしだ。群れを成してなお、そけっとの魔法に怖気付いていたのか、一撃熊の群れはたった一人の紅魔族の女性を相手にたたらを踏んでいた。

 

「『ライトニング・ストライク』ッ!」

 

 爛々と瞳を輝かせ、木刀を手に嬉々とした様子で放たれた雷撃の魔法はさらにもう一頭の一撃熊を易々と(たお)した。

 

《敵感知》の反応が強まる。周囲の何頭かの敵意がこちらに向いた。

 

 守るべきものがない目の前の紅魔族の大人一人と、子供四人を引き連れた大人一人。

 

 どちらがより餌にありつけるか、そして餌にしやすいか。それがわからないほど里周辺のモンスターは愚かではない。

 

 俺も長剣を模したひのきのぼうを構えてはいるが……必要はなかったか。

 

 隣にいたぶっころりーは、素早く呪文を唱え始めてそけっとの下へと駆け出した。

 

 ──火種は我にあり! 

 

 ──亡者を灼き、魂を焚べ、灰を我が(かいな)の下へと誘わん! 

 

 ──焔は今ここに! 

 

 声高らかに紡がれたのはオリジナルの詠唱だろうか。大人は上級魔法が熟達するとアレンジを加えるらしいが、聞き覚えのない詠唱で完成した魔法にぶっころりーは練り上げた魔力を注ぎ込み。

 

「地獄の業火よ! 荒れ狂えっ! 『インフェルノ』ーッ!」

 

 最高位の炎の魔法は動き出そうとした一撃熊の群れを、木々すら巻き込み一瞬でつつみこんだ。──中心にいたそけっとを巻き込んで。

 

「そそ、そけっとさーん!?」

 

「何をやってるんですかこのニートは! 早く! 早く救助をしないとっ……!?」

 

 燃え盛る炎の海を前にゆんゆんとめぐみんは駆け寄った先のぶっころりーを左右から揺する。

 

「ねえぶっころりー、今の詠唱もう一回聞かせてもらっても……」

 

「あるえの馬鹿! 何言ってるのよ! そけっとさんが、そけっとさんが……!」

 

「あなたはこんな時でもマイペースですねッ!」

 

「いや、二人とも見てみろよ、そけっとは無事だ。ぶっころりー、炎を消さないと森が全焼する。……『クリエイト・ウォーター』!」

 

 魔法の発動に気がついたそけっとは直前に魔法を使ったのか、水の膜に覆われていた。

 

「あ、ああ……良かった……」

 

 想い人の安否がわかり、慌てて水の魔法を使ってぶっころりーは森の炎を消していく。

 

 今まで暇を持て余し、森のモンスターを経験値に換えてきたニート──紅魔族の一員であるぶっころりーが使った本気の上級魔法は一撃熊の群れを一掃していた。

 

 残り火の跡には欠片も残らず灰だけが舞っている。

 

 そんな中をそけっとは防御に使った水の魔法を解いて、まだ消えていない残り火を分けて歩み出てくる。

 

 防げたとはいえこの威力。余程怖かったのだろう。ぶっころりーへと向けるその瞳を潤ませており、頬は僅かに紅く上気しているようだ。

 

 ……これは怒ってるのでは? 

 

「とりあえず謝ったら?」

 

 その背中を後ろから押してやると、つんのめりながらぶっころりーは一歩前に出て、相対する彼女と同じく頬を赤く上気させ、こちらに振り返り頷く。

 

「そ、そそっ……そけっと、その俺……」

 

「皆まで言わなくてもいいわ。ぶっころりー、よね?」

 

「あ、ああ。……いや謝らせてくれ。ごめん、俺──」

 

 助けようと思って。そうぶっころりーが口に出そうとしたところをそけっとは自分の人差し指を口に当て先の言葉を噤ませる。

 

「謝らないで。あなたの気持ちはよーく、わかってるから」

 

 熱っぽい声色に、ぶっころりーだけでなく俺たち四人は驚愕する。

 

 もしや告白をされるのか。怒ってるんじゃない? てっきりぶっころりーの片思いだとばかり思っていたが、そけっとも……! 

 

「じゃ、じゃあ!」

 

「ええ……」

 

 微笑むそけっと。

 

 そんな彼女の反応に、期待に唾を飲み込んだ音が聞こえてくる。

 

「俺、実はそけっとのことが──」

 

「そんなに私のことが嫌いだなんて。こんなことせずとももっと早く言ってくれれば良かったのに! でも森の中だし丁度いいわね。あなたも私と同じく森に入って修行ばかりしていると聞いているわ。相手にとって不足はないわね。さあ決闘、しましょうか!」

 

「…………え?」

 

「「「「…………え?」」」」

 

「私の何が気に食わないのか知らないけど! 前々から後をつけられていたのには気がついていたけど、今日は一味違ったわね! 油断したわ、何も知らない子供たちに私の好みを聞くフリをさせて弱点を探らせるなんて」

 

「……あ」

 

 あるえ、お前なんて聞いたんだ? ……あとで確認しよう。

 

「それに今度はモンスターに囲まれて無防備になったところをインフェルノで不意打ちだなんて……! ふふっ、やってくれるわね……色んなモンスターを相手にしてきたけど、こんな窮地に陥ったのは初めてよ……!」

 

 そけっとの木刀からギリッと握り込む音が聞こえてきた。

 

「ちちち、ちが……! 違うんだ! 誤解している! 今のはただ助けようとしただけで……! 俺は無我夢中で!」

 

 必死に否定するぶっころりーに握りしめていた木刀から力を抜いてそけっとは、

 

「……。じゃあ、なんで探らせていたの? あるえはこう言っていたわ。『強くて美人なそけっとさんは苦手なモノがありますか? あと好きなものとか好みの男性のタイプとか色々聞きたいです』って。あまりにも根掘り葉掘り聞かれるものだから、私の冴え渡る知性が誰かの差金だと気づかせてくれたわ。だから途中から冗談混じりに答えたけれど、あなただったのね、ぶっころりー!」

 

「うっ……それは……」

 

 助けを求めて俺の顔を見てくるぶっころりーは、それはもう情けない顔をしていた。

 

 ……はあ。

 

「あの、ちょっといいですか」

 

「あら、はぐりん。なんなんさんはお元気?」

 

「はい。今日も元気に……引きこもってポーション作りに精を出してます」

 

「あの人は相変わらずね。……それで、どうしてはぐりんはぶっころりーと?」

 

「実は俺たち相談されてまして。まあ立ち話もなんですから、場所を移しませんか?」

 

 

 

 ▽

 

 

 

 そけっとの占い屋に押しかけた。

 

「それでここのぶっころりー、好きな人がいるらしいんですけど」

 

「は、はぐりんっ!?」

 

 悲鳴じみた声を上げたぶっころりーに黙ってろと睨みつける。

 

「その、話を聞いてたらあんまりにも情けなくなって……面倒臭くなったので、占いを受けてみたらどうかと言ったんです。そけっとさん占いが得意だって聞いてたので」

 

「ああ、なるほどね……それで、どうして私のことを根掘り葉掘り聞く事につながったの?」

 

「俺たちが一応提案した手前、お金をどうしようかと。どうしたらいいか、ゆんゆんがしたがってた恋バナついでに様子を探ってもらってたんですよね。実は俺たちが相談料として昼食を集ったのでぶっころりーもお金がなくて。あと色々聞いたのはあるえの趣味です」

 

 そうだよな、と話を合わせるように女子三人を見て振ると、頷いてくれた。ゆんゆんだけ恥ずかしいのか少し顔を赤らめている。

 

「それで、結局森の中へお金を稼ぎに? ……はあ。あのね、はぐりんがちょっとは戦えるからって、レベルが高いニートと一緒でも今の森は何が起こるかわからないんだし無理しちゃダメよ? それに素直に言ってくれれば最初の一回ぐらい占って上げたのに」

 

「……はい、ごめんなさい。でも、王都でも紅魔族の占い屋の噂は有名で引き受けてくれないんじゃないかと思いまして。タダで占ってくれって言うのはうちの母さんにスキルアップポーションをタダでくれって言うものかなあ、と。そけっとさんも商売でやってる訳ですし。それで、その……」

 

「一撃熊の群れに囲まれた私を見て、助けたら依頼料を……って訳ね? ……もう、悪知恵が働くんだから」

 

「……すみません」

 

 頬を掻いて照れた素振り見せる。そんな俺の演技にめぐみんが非難するような視線を向けてくるが知ったこっちゃない。

 

 待ってて、と言って奥の部屋に引っ込んだそけっとは水晶玉を持ってくるとぶっころりーの前に掲げた。

 

「それで、ぶっころりー。何を占おうかしら?」

 

「……え、あ、俺?」

 

 急に話を振られたぶっころりーは、身体を僅かに跳ねさせ、椅子に座り直す。

 

「何言ってるの。結局あなたがはぐりん達を連れ回してたんでしょ? 恋愛相談のために。……それに一応、あの魔法は私を助けようとしてくれた結果だそうだしね。で、どうするの? 今あなたが好きな相手が誰だか知らないけど。その人の将来の恋人あるいは伴侶を占うのか。それとも自分の将来?」

 

 俺とそけっとの会話に、呆気に取られていた様子だったが、ぶっころりーは胸の前で腕を組んで悩み始める。

 

「……いざ占ってもらうとなるとなあ……! 相手のことを占うのは誰だか伝える必要があるだろうから、此処は俺の未来の彼女か……、いや嫁……んー、好きになってくれる人か……」

 

 悩んでいるようで結論は出ている様子のぶっころりーを、若干面倒臭そうにしながらそけっとは水晶玉の前に手をかざす。

 

 

 

「要するに未来の恋人ね。この水晶玉の中に、あなたと将来結ばれる可能性が高い(ひと)が出てくるわ。未来は変えられるもの。だからこの結果が絶対だとは言えないけれど……、そろそろ見えてくるわよ……!」

 

 

 

 ▽

 

 

 

 俺たち学生四人はまだそけっとの占い屋に居座っていた。

 

 今日の主役とも言うべきぶっころりーは、占いのあんまりな結果に泣きながら帰って行ったが。

 

 その結果というのが──

 

「──まさか誰も映らないだなんて……。ぶっころりーには悪いことしちゃったわね。本人の手前ああ言ったけれどね? 子供の頃と違って『全てを見通す悪魔』の力を借りてやってる占いだから、その、残念だけれど……」

 

「や、やめてあげてください……その、ニートとはいえ可哀相になってきました……」

 

「ぶっころりーさん……かわいそう……」

 

 そけっととめぐみん、ゆんゆんは今はいないニートを憐れむ。

 

「いや、安楽少女にすら相手にされないだとか。誰も恋人ができないだとか、随分なことを言ってたのは二人だからね? 私は黙って見てただけだけど」

 

「……今度あったら何か奢ってあげてくださいねゆんゆん」

 

「そうね。何か……。……あの、私だけ奢る事には何も言わないけど、めぐみんには奢らないからね? ──そ、そんな物欲しそうな目をしてもダメだからぁ……!」

 

 ゆんゆんがまた集られそうなのでその時は俺も同席しよう。

 

「でも不思議ねえ。ぶっころりー、面白そうな人なんだけど」

 

 占いに映らなかったとはいえ、案外そけっとのぶっころりーへの印象は悪くないのかもしれない。

 

「あ、そういえばなんで後をつけてるのか聞くの忘れてたわね」

 

「……それは、聞かないであげてください。ぶっころりーのためにも」

 

 めぐみんの言葉に俺たち四人で頷くとそけっとは首を傾げて、唐突に吹き出した。

 

「ふふっ、随分と四人は仲良いのね。……でもそっかぁ、はぐりんが立派に恋するようになったのねえ……。私も大人になる訳だ。……その、相手は……ちょっと多いみたいだけれど」

 

「うっ……それは、まあ。はい……」

 

 このまま雑談に移行するようだ。……そけっとも俺と二人のこと知ってんのか。

 

「……そけっとはご存知なんですね。この女たらしのことを」

 

「知ってる知ってる。結構有名なんだから。……それにこーんなちっちゃい時のこともね!」

 

 人差し指と親指で摘むような仕草をして見せられて、気になることを言われた気がしたが、感情の起伏が平坦になった。

 

「……それ豆粒以下なんですけど。喧嘩なら買いますが?」

 

「売ってないわよ……。……その尋常じゃない魔力、流石はあのなんなんさんの子ね……。でも本当の話よ? はぐりんがまだ母親のお腹にいる時──なんなんさんのところへ、私色々とお手伝いしに行ってたんだから。丁度はぐりん達と同じくらいの歳の頃……いや、もうちょっと下だったかなぁ……?」

 

「そう、なんですか……すみませんでした。早とちりして」

 

 豆粒ドチビもあながち間違いじゃなかった。

 

「あ、でも二人が生まれてからも顔を見に、結構通ってたのよ? 可愛かったなぁ、双子みたいにそっくりで」

 

 机に肘を突き、懐かしむそけっとはそれだけでも絵になりそうな美人ぶりだ。

 

 ……感心してるとゆんゆんに服の端を引っ張られた。

 

 ちらっと窺えば、分かりやすく嫉妬してますと小さく頬を膨らませたゆんゆんが居た。可愛い。

 

「……あの、それってもしかして私のことですか?」

 

 めぐみんがイラつきながら言う。

 

「そうそう。ゆいゆいさんの、ほら──あ、はぐりんがいる前で言うのはダメね。時々なんなんさんに、めぐみん預けられてたのよ。知ってた?」

 

「いえ、知りませんでした……。帰ってきたら聞いてみます」

 

「そう……。ま、全然悪い話じゃないから、別にお母さんを責めないであげてね?」

 

「はあ……?」

 

 なんだろうか。めぐみんもわかってないようだが……俺が詮索するのはデリカシーに欠ける気がする。

 

「今でもそっくりよね、本当に。オムツ替えるタイミングもそっくりだったし、本当に双子じゃないか疑ったもの」

 

「「んんんん?!」」

 

「その話、詳しく」

 

 いや、あるえさんや。詳しく、じゃない。

 

 ちょっと落ち着かせてほしい。……そんなことまでこの人にされてたのか俺!? 

 

 ひょっとして──アレ(・・)の位置も? 

 

 その事実に行きつき、サァと血の気がひいてく。

 

「あの、後学のためにね? 一応断ったのよ? でもその丁度男の子と女の子どちらもいるからって、将来自分の子供にしてあげるときにちょっとでも出来るようにって……教わらせて貰って。……あの、二人ともなんだかごめんなさいね?」

 

 めぐみんと二人、座ったまま足をバタバタとさせてしばらく悶えうった。

 

 

 

「大丈夫はぐりん? まだ顔真っ赤だけど……でもあの、誰にでもそう言うことあると思うの! だからね? そんなに気にしなくても……」

 

「わかってる。わかってるからゆんゆんも気にしないでほしい……。……ゆんゆんとあるえは、その。そのうちわかると思うから……」

 

「……そうなんだ?」

 

 いや、それも大概今から考えると恥ずかしいんだけど。

 

「じゃあその時を楽しみにしてるね、はぐりん」

 

「あるえお前、ほんとお前……!」

 

 ゆんゆんと違ってわかっていて言ってそう……いや、こいつ絶対わかってて言ってる! 

 

「し、シモの世話をそけっとのような美人にさせた私は将来大物に……」

 

「無理すんな。お前だって見られてんだから」

 

「……っ!!」

 

「痛い痛い! めぐみん、お前言っていいことと悪いことがあるんだから! わかるけど! 照れ隠しでも考えて言え!」

 

「……あ、あれの場所……」

 

「い、いつ見たんですかゆんゆん!?」

 

 めぐみんのある場所を知ってたのか、察したであろうゆんゆんが声を上げた。

 

「ゆんゆん!」

 

「はいっ……!」

 

「お願いします黙ってて……」

 

 顔を赤くして俯いたのでこれ以上追及されないことを祈る。

 

「……墓まで持ってくべきだったわね……」

 

 そけっとさんが俺とめぐみんの取り乱す様を見て感慨深くそんなことを言ってる。

 

「ごめんね、二人とも。勝手に弟、妹みたいに思ってたからつい……」

 

 時折外に出た母さんが会った時に挨拶してる女性だと思ってたら、まさかそんなことされてたとは。

 

「いや、まあ……はい。気をつけてもらえれば。一生聞かなくても良かったです……」

 

「まったくですよ! ……はあ。そろそろ帰りましょう。これ以上は営業妨害のような気がします」

 

「……それもそうね。お客さん、もう来ないと思うけど」

 

 寂しそうにそけっとは呟いた。

 

 

 

 占い屋の帰りを、四人で通りを歩く。

 

 ……まあ俺の紅魔族の(あざ)が何処にあるかなんて一生知られなくても良いんだけどさ。とんだ目にあった。

 

「ねえ、二人とも何処にあるか聞いても」

 

「「言わない!!」」

 

 知ってても黙っとくよう、ゆんゆんに釘を刺しとこう……。

 

 

 




tips 紅魔族の痣
紅魔族であれば体のどこかに必ずある痣。
これを人に見られるのは何よりも恥ずかしい事として認識されている。
その実態は個人識別番号のバーコード。よく描き忘れられる。
めぐみんはお尻に蒙古斑のように刻まれており、ゆんゆんは足の内側の付け根にある。パンツずれたりで目にし易かろうめぐみんのはともかく何故かめぐみんはゆんゆんの刻まれてる位置を知っていた。

フィギュア等では確認できてないそうなので、普段は化粧で隠している設定を付与。怪我してもないのに包帯等を身につけるのはお洒落も兼ねて隠す為なんじゃないかと邪推。
この小説ではチョーさん(科学者)がこっそり女性の場合だとやらしい位置に刻まれ易くしている設定にしてます。

tips 魔法の詠唱
基礎があり応用ができる。ウォルバクと幼めぐみんの邂逅後、爆裂魔法を教えてもらうシーンで確認が取れます。漫画版爆焔1巻特典小説より。アニメで毎回爆裂魔法の詠唱が違うのは、本当なら長い時間と研究費を費やすべくものを、毎回めぐみんがオリジナルの詠唱を作っているから。つまりは台本になかったらしいあの厨二詠唱は原作準拠という補強がされた。爆裂魔法の申し子よな。

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