狩りを終え、荒野を帰っている最中だった。
ぶっちゃけ、盾持ちの俺の仕事なんて足止めだ。
味方が逃げるまでの時間稼ぎ。それだけ。
つまり帰りの行軍では、ほぼやることがない。
怠い。
何事もなく帰りたい。
……そう思ってる時に限って、何か起こる。
「敵襲!」
叫び声と同時に銃声が鳴り響いた。
俺は反射的に盾を構えて前に出る。
メイン装備は対対物ライフル用の大型盾とコンパクトボウガン。
ボルトは通常、火炎、煙幕など数種類。
敵は前方、風化した建物群。
散開して射撃してきている。射線が広い。
厄介だな。
前に出る。
ガンッ、と鉄を叩く音。
弾丸が盾に当たる。
荒野は遮蔽物が少ない。
やりにくいが、戦えないわけじゃない。
射線を切りながら、味方の前に立つ。
ボウガンを引く。
煙幕ボルト。
周囲に白煙が広がる。
その隙に撤退――
……いや、無理か。
敵はざっと十人。
こっちは五人。
スコードロンリーダーと短く相談する。
結論は簡単だ。
荷物持ちと護衛一人を逃がす。
残りは足止め。
三人は撤退。
名目上は「撤退」。
実際は同士討ちだ。
ドロップアイテムはスコードロンで回収済み。
こんなやり方してるから、俺には“狂犬”なんて二つ名が付く。
でもなぁ、全滅よりは安い。
煙幕が晴れる頃には、撤退は完了していた。
残ったのは三人。
俺と、後衛二人。
残弾は特殊ボルトと対人ボルト、合わせて十本ほど。
俺が前に出る。
後ろから二人が援護。
火炎ボルトを撃ち込む。
建物の影が燃え上がり、敵が姿を晒す。
撃つ。
防ぐ。
押し込む。
それでも人数差は覆らない。
敵を五人まで減らしたところで、
後衛二人が落ちた。
……カバーしきれなかった。
さて。
どうすんだこれ。
ドロップは回収済みだが、
さすがにこの不利はきつい。
一対多は慣れてるが、
五対一は流石に――
なんて思っていた時期がありました。
慢心、ダメ絶対。
ざっくり言えば五対一だったんだが、
敵が正面から来てくれた。
盾職には、そういう相手は相性がいい。
結果。
全員始末。
敵のドロップを回収する。
「……帰るか」
俺はSBCグロッケンの方へ振り向く。
その瞬間。
ヒュッ――
風を切る音。
次の瞬間、
俺の感覚は消えた。
撃ち殺されましたとさ。
目を開ける。
SBCグロッケンのスポーン地点。
死亡時、ログイン時、初回ログイン。
全部ここだ。
もう見慣れた景色だな。
……って。
スナイパー居たの?
手出ししてこなかったってことはソロか?
すげぇな。
まあいい。
ドロップ確認するか。
味方の武器。
敵の武器。
……。
……え?
盾がない。
いやいやいや。
一番落としたらダメなやつだろ。
俺が持ってる中で唯一のモンスタードロップ装備。
俺の盾。
……どこ行った?
スナイパーが持ってんのか?
……あー。
めんどくせぇ。