デレマスとのクロスオーバー『 基本はコメディ』 作:エビアボカドロックンロール
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今日はナナの17回目の誕生日です。
事務所のみんなもたくさんお祝いしてくれたので、お家へ帰る頃にはすっかりくたくたになってしまいました。
頂いたプレゼントをきれいに飾り付け、包装紙や紙袋を整理しているとナナの電話が着信を知らせてくれます。相手を確認し応答すると、その奥から窺うように遠慮がちな声が聞こえてきました。
『あー、俺です。こんな時間にすみません。…いま大丈夫ですか?』
「大丈夫ですよ。比奈ちゃんと奈緒ちゃんからいただいたプレゼントの設定がやっと終わって、お家の掃除をしていたところです」
『…かけなおします』
普段からよく気が付くしとても気の回る彼なのですが、ずいぶんと自分を下に見ているところがあります。
今回も電話をかけたはいいものの、人の時間を自分なんかが使ってもいいのかなどと考えてしまっているのでしょう。というより本人がそう言っていました。
ナナとしてはもっと気軽にかけてきてほしいのですけれど、便りがないのは元気な証拠とも言いますし…そこは寛容になってあげようと思います。
でもきっとお義母様は心配なさっているはずですよね、今度かけるように言っておきましょう。これでポイントアップ間違いなしです。嫁姑問題は大変だと聞きますからね。
そんな彼がせっかくそんなかわいらしい葛藤を超えてかけてくれたのだから、ここで切ってしまうのはもったいないです。
「あっ、待ってください…はい、スピーカーにしたのでお話の続きをどうぞ」
『わかりました。…プレゼントは何をもらったんですか?』
「プレゼントですか?―――アレクサ??をいただきました」
『それは確かに設定に時間がかかりそうですね。…あー、その……今日は忙しくてお祝いを言う時間がなかったので。改めて、お誕生日おめでとうございます。』
何気ない問答を前置きに、とても照れくさそうにお祝いを言う彼のせいで、電話の向こうでいつものようにガシガシと自らの頭を乱暴に撫でる彼を想像してしまい、つい笑みがこぼれてしまいました。
「ふふっ。わざわざお電話ありがとうございます。―――それから、こちらこそいつも助けてくださってありがとうございます。比企谷君のこと、みんな頼りにしているんですよ?」
『…仕事ですからね、給料分くらいは働きますよ』
お祝いの言葉で温かくなった心のおすそ分けをしようと日ごろの感謝を伝えてみると、案の定ぶっきらぼうな調子で皮肉気なセリフが返ってきました。
彼がアルバイトの域を超えて事務所に尽力してくれているのは誰もが知るところなのに、なぜか彼は頑なにこのスタンスを崩そうとはしません。
「またまた照れちゃってー。比企谷君がいつも優しい目でみんなを見守っていることをナナは知っています。お姉さんの目はごまかせませんよ~?」
『お姉さんって。…菜々さん17歳じゃなかったんですか?』
せめてナナにだけはその心の深くまで教えてほしいと思いお姉さんぶってみたわけなのですが…
なんて失礼なことを言う子なのでしょう。比企谷君より年上だけどナナは永遠の17歳なのです。
とはいえ。今日はナナの誕生日です。
一年に一度のおめでたい日です。メールにはなってしまいましたがお父さんとお母さんにはきっちり感謝を伝えました。
なら後は、ナナが多少のわがままを言っても許されるはずだと思うんです。
なので…さしあたって、彼が“どういたしまして”を言えるまで日ごろの感謝を伝え続けることから始めようと思います。
「話をそらしてもダメです!せっかくの機会なのでナナからの感謝の言葉も受け取ってもらいます」
『…仕方ないですね』
『…仕方ないですね――――アレクサ、部屋の電気を消して』
「あれっ!?勝手に部屋の電気が消えちゃったんですけど!!?あぁっ!スピーカーにしたから反応しちゃったんですね!?」
『アレクサ、アマゾンでマックスコーヒーを購入して』
「ナナの家にマッカン届けようとしないでください!!」
ガチャッ
「お待たせしました。マッカン風味のバースデーケーキです」
「なっ!!!なんて手の込んだサプライズ!!!!」
終わり