デレマスとのクロスオーバー『 基本はコメディ』 作:エビアボカドロックンロール
プロデューサーになって初めてのSSR。
己の好みとは一切の関係はなくただ運命の出会いに一目ぼれのような胸ときめきを覚え、例え他に担当が決まろうとも心のどこかでは想い続ける特別な存在。なん百人といるアイドルの中から自分を選んでくれた、芸能界の荒波を二人三脚で乗り越えていく大切なパートナーだ。
「なんでこんなにも至近距離で私を見つめているのかしら、この豚は。うっとうしいったらありゃしないわ、気持ち悪い顔を近づけないでちょうだい。だいたいあなたは他にもたくさんの子を担当しているじゃない。」
まあ、口がこれでもかと悪いのがたまにきずではあるのだが、今の俺にとって言葉はなんの意味も持たず心地よささえ感じる。
担当が多すぎる件については蛍光緑に直訴したいところではあるのだが、いざアイドルたちを目の前にするとどいつもこいつもまっすぐでつい力になりたくなるのだ。
「骨の髄まで豚になってしまったようね。もう手遅れかしら。」
時子ちゃんはあきれたようにため息をつきながらも決して俺のそばを離れようとはしない。ふぅ、担当アイドルがツンデレ過ぎてつらいぜ。
「誰が時子ちゃんよ、時子様と呼びなさい。大体エレベーターに乗っているのに離れられるわけがないでしょう」
ここまで一言たりとも声を発していないのになぜコミュニケーションが成立しているのか不思議だが。時子ちゃんサトリなのかな?それとも俺がサトラレなのかな?
やべ、声に出てたか?なんてありがちなパターンからの顔真っ赤なヒロイン。いやありえないだろ、いきなり褒められて照れるなんてラノベの中のヒロインだけだ。ただ時子ちゃんの照れた顔を見られるのならラノベ主人公になるのもやぶさかではない。
「貴方、自分の状態を忘れたのかしら?」
…むろん忘れたわけがない。比企谷、サトラレてるってよ。
なぜか朝に時子と合流して以降、好むも好まざるも心のすべてが時子へと垂れ流しである。おかげで俺のメンタルは崩壊寸前。余計なことを考えないようにするのに必死である、脳内セクハラをかまして時子を赤面させてやろうなんてことはかけらも考えていない。
「ふんっ、かまわないわ。貴方ごときの言葉で私を揺さぶれるなんて考えないことね。」
よし、OKいただきました。いやおそらくそんなつもりで言ったわけではないのだろうが、この機会に全方位にトゲトゲした時子に口は災いの元であることを教え込むのもいいかもしれない。
さしあたって時子の褒め殺しから始めよう。「まず、抜群に顔が良い。」
「声に出てるわよ」
「やべ、声に出てたか?」
「…」
時子様がお怒りである。怒った顔も可愛いねなんてよく言うが常に怒っているような時子にはなんていうのが正解なのだろう。今日の怒り具合、ナイスですね!!!
鞭でぶたれました。ありがとうございます。
エレベーターを降り事務所へようやく帰ってきたところでサトラレの元凶が迎えてくれた。きっと素敵なオチや複線回収がされるに違いない。
「まゆですよー」
「なあ佐久間、これも不思議パワーの一端なのか?」
「そうですよーほんとはまゆだけにするつもりだったんですけど、なぜか時子ちゃんにもかかっちゃったんですよー」
相変わらず能力をフル活用しているようで何よりなんだが、ほんとはってことは佐久間にとってこの状況は必ずしも望ましいものではないのか?
「さすが比企谷さん、正解ですよー。どうやらまゆと同レベルで比企谷さんを信頼している人にもこの魔法は効果があるようなんですよー」
「ちょっと待ちなさいな!誰がこの豚を信頼しているですって!100歩譲って信頼してるとしてもこの子並みって、もはや人間じゃないじゃないの!」
「時子ちゃんがこれほど強敵だったとは思いませんでした」
「さっきからちょこちょこ時子ちゃんって呼ぶんじゃないわよ!!」
ふむ、デビュー以来力を合わせてやってきた実感はあるがまさか佐久間並みに信頼してくれてるとは思わなかった。数値化できるもんでもないがこちらもそれにこたえなければいけないという気持ちにさせてくれる。
「できますよーステータスオープン!まゆの比企谷さんへの信頼度は5京ですので時子ちゃんもそれくらいってことになりますねー。まゆもまだまだ修行が足りなかったみたいです」
「勝手なこと言ってるんじゃないわよ!そんな『Q日本の都道府県でに数字が入っている所が4つあります、どこでしょう?A三重、千葉、東京、京都』みたいなひっかけ問題でしか使わないような数値になるわけがないでしょう!」
佐久間の新たな便利機能には今更驚くこともないが時子、5京か。インフレも甚だしい。全クリした後に裏ボスで出てくるキャラでもここまで高過ぎることはないだろう。なんだろう、嬉しい。うん、いつものプンスカする時子も好きだけど、こんな風にアワアワしてる時子が可愛くないわけがない。
このままもう少しイジりたい気もするが仕返しが怖いのでそろそろ助け船を出してやろう。
「別にいらないわよ。貴方にはいつも助けてもらってばかりだもの。」
えっかわいすぎん!?助け舟を押し返された!?
「えっかわいすぎん!?」
そりゃ声も出るってもんですよ。
「ふんっ貴方ばかり心をさらけ出すのは不公平かしら(あそこまでバラされてしまうと、こうでもしないと立て直せないじゃないの)」
「あっ!時子ちゃん!!ギャップで攻めるなんてあざとすぎますよ!!」
「ふんっ何とでも言うといいわ。それに感謝の気持ちは嘘じゃないもの。たまにはこうして素直になってみるのも面白いかもしれないわね。(豚の愉快な顔も見られたことだし。)」
ん?なんて言ったんだ?感謝って言葉が聞こえた気がするが。まさかあの時子が感謝の言葉を伝えてくれるのか!?
「あら?声に出てたかしら?豚は今日も愉快な顔ねって言ったのよ。ふふふ」
なんだろう、最後でまたかっこいい時子様を見られたので良しとしよう。