デレマスとのクロスオーバー『 基本はコメディ』 作:エビアボカドロックンロール
「……さい……ください」
夢うつつの中で一番にその存在を感じ取ったのは聴覚だった。甘く優しい声がそそと耳朶を撫で少しづつ意識が周囲の状況に向けられるようになってきた。
「…起きてください比企谷さん」
ゆらゆらと身体が揺られていることに気が付き目を開けてみれば、わずか10センチの距離から逆さまに俺を見つめる佐々木と目が合った。近くない?なんかいい匂いするし。
後頭部に感じる柔らかい感触と上から覗き込む佐々木を見てだいたい想像はついていたが、どうやら俺は佐々木に膝枕された状態で寝てしまっていたらしい。俺知ってるよ!膝枕は横向きに寝るより縦に寝る方がいいって!ジャストフィットって感じ!!前田慶次が言ってたから!
「ってんなこと言ってる場合か!すまん!すぐ起きウブッ!!」
慌てて飛び起きようとした頭を佐々木は両手で押さえつけ、ぐっと顔を近づけてきた。肌のきめ細かさまで伺えるような距離で見る佐々木の顔は恐ろしく整っており、10歳以上も年が離れているというのに照れて顔が赤くなっていくのが自分でも分かった。
赤くなった俺を不思議そうに見つめる佐々木は斜め上に目をやり少し考えたあと答え合わせをするように口を開いた。
「このままキスしたらスパイダーマンみたいですね♪」
「お前の年齢でサム・ライミ版のスパイダーマンなんか知らねえだろ!あれは映画史に残る名キスシーンなんだ、寝起きに不意を衝くのとは訳が違うんだよ!」
いや、別に映画マニアってわけではないのだが…、あまりにも佐々木が軽く言うもんだからつい早口で言ってしまった。(めっちゃ早口)
「あっ、いや…すまん。佐々木も俺を楽しませようとして言ってくれたんだよな…」
「いえいえ違いますよ?」
「……ん?」
好意を無碍にしてしまうのは申し訳ないと思い謝ると、まるで的外れとばかりにこてんと首をかしげた。
そして……
「比企谷さんがまだ寝てるあいだに何度かキスしたんですけど、その時にスパイダーマンみたいだなーって思ったから教えてあげようとして言ったんです♪」
作り物のような美しい顔をゆがめにっこりと笑顔を作り、ことさら気にすることでもないでしょうとばかりにさらりとそう言った。
「え?……いや、それはダメ…だろ?…アイドルとして…人として……」
「でも比企谷さん…身体は正直ですよ?」
そう言われて初めて自分の状況を首を起こして確認してみた。
朝勃ちは男なら誰しもが経験していると思う、しかしいま膨らむ下半身はいつものそれとは違い興奮していることがはっきりと分かるほどに怒張していた。自分の絶望した顔が映るまでパンパンに膨らむ亀頭が皮肉なことにその証左となった。
「大丈夫ですよ比企谷さん♪これは夢ですから♪」
「ゆ、ゆめ?」
「はいっ!だって千枝はアイドルなんですから、こんなことするわけないじゃないですか♪だからこれは全部比企谷さんが深層心理でして欲しいと思ってることなんです♪」
「俺のパンツが脱がされてるのも夢だからなのか…?」
そうですよ、もう仕方ないんですから♡なんて言いながら笑顔で俺を撫でていた佐々木が頭をゆっくりと膝から下ろし立ち上がった。
解放された俺も立ち上がろうと手足に力を入れるが金縛りのようにピクリとも動かない。こんな状態で全力全開の自分の息子を見続けたくないんですけど…
「――おい、スカートで俺の上に立つな」
「大丈夫ですよ♪下着は見えないと思うので♪」
「いやいや、この角度なら確実に見えるだ…ろ…?あれ?」
「だって穿いてないですもん♡」
「…ふえ?」
佐々木が何を言っているか分からず気持ちの悪い鳴き声をあげ固まっていると、その不毛の絶景はゆっくりとじらすように眼前に迫ってきた。そしてついに、比企谷の鼻、無事不毛地帯に緊急着陸成功です。ミルクの香りだ~……やったね、懲役確定だよ♪
「…あっ♡息がくすぐったいです♡―――千枝もこの立派な千葉ポートタワーをぱっくんちょしてあげますからね♡」
「ぷはっ!――や、やめろ!早くどけ!!」
「とか言ってさっきからピクピクさせちゃってるじゃないですか…♡これは夢ですから♡大丈夫ですから♡……いただきま~す♡」
――――――
八幡「ってところで目が覚めました」
ちひろ「お昼休憩開け1発目に気持ちの悪い話を聞かせないで下さい。耳が腐ります」
八幡「すでに性根が腐ってるんで大丈夫じゃないですか?」
ちひろ「はて?私は腐女子ではないですよ??」
八幡「……そーゆーところですよ、俺が言ってんのは」
ちひろ「はぁ…。――いつまでも無駄話してないで早く営業行って来てください」
八幡「…ですね。それじゃあ行ってきます。報告は帰ってからまとめてしますんで」
ちひろ「はーい。――――――もう出てきて大丈夫ですよ」
千枝「……ありがとうございます。今会ったら絶対表情に出ちゃうと思うので……」
ちひろ「いえいえ。それにしても千枝ちゃん、ずいぶんとうまくやりましたね。手作りマスクを渡せば着けている間はずっと匂いがするから夢にも介入しやすい、本当にいいアイデアだと思います」
千枝「はい。色々実験したんですけど、今日つけていたのが一番効果が高かったと思います」
ちひろ「へぇ~。ちなみに何で作ったんですか?」
千枝「パンツです(真顔)」
ちひろ「なるほど…。そんなやり方もありましたか、私はTシャツとかワンピースで止まってしまってました。……あれ?でも千枝ちゃん限りなく布面積の少ないTじゃなかったでしたっけ?」
千枝「そうなんです、なので八幡さんのために新しくお子様パンツを買ったんです…」
ちひろ「……私も帰りに面積の大きい下着を買いに行ってきます」
千枝「せっかくなら今から一緒に行きませんか?千枝も新しいのを作っておきたいので…」
ちひろ「んー、それもそうですね。じゃあ行きましょうか♪――ところでキスはほんとにしたんですか?」
千枝「………別に、さっきのが初めてってわけでもないですよ…」
ちひろ「そのうち起きてる時にしたのは何回あるんですか?」
千枝「………それは、…いつか八幡さんの方からしてくれる予定なんです…」
ちひろ「ふ~ん?そうなるといいですね~♪」
―――ガチャ
りあむ「…………え?ど、ドッキリだよね!?事務員と同僚アイドルがヤンデレだったらっていうドッキリだよね!?なんでテッテレーの人出てこないの!?ドッキリじゃないならハチサマいつか殺されちゃうよ!!?」