デレマスとのクロスオーバー『 基本はコメディ』 作:エビアボカドロックンロール
前回のラブライブ!
アイドルになることを夢見て徳島の田舎から上京してきた凪とはーちゃん!
「凪の使用済みゴムが欲しいと」
期待に胸を膨らませて訪れたお城で凪を待ち受けていたのは、闇のオーラを纏った眼光鋭い社畜戦士!でも気が付けば第一印象とは裏腹に、都会の荒波に揉まれる凪たちをさりげなくサポートしてくれる姿を見てしまいうっかり一目惚れ♪
「プロデューサーさんにゴムを求められてしまったれす!!」
あまたのライバルを蹴落として彼を手に入れるため、猪突猛進ガール凪は次の作戦も根回し済み!今回のロケで彼に急接近して、早くゆーこちゃんにウエディングドレス姿を見せてあげるんだから!!!
「仙台在住インド人の一日かな?」
―――
「買い物しようと街まで出かけたが財布を忘れて愉快な凪です」
「QR決済があるのれ財布は捨てました。七海れす」
「サザエさんを現代に巻き込んで台無しにするな」
なんとか無事に海でのロケは滞りなく終わった。特にハプニングもなくホッとしたのもつかの間、オンオフのスイッチのぶっ壊れた二人が帰ってきてしまった。
ここから路線バスでの移動パートを撮ったあとそのまま次の目的地までの移動時間が休憩に充てられるが……とにかく心配だ。主に俺の胃が。
「ひとまずおつかれさん。東尋坊行った後に使えって芳乃に塩もらってるから、使っておいてくれ」
「塩ファサーP爆誕の予感」
「……両肩にちょんちょんってかけるだけだ」
「七海は数珠着けてるんれ大丈夫れす。左右合わせて60連れす」
「着けすぎじゃない?カンフーハッスル出てた?」
塩ファサーポーズの久川と胸の前で腕をクロスしたウルヴァリンポーズの浅利がこちらに向かってポージングを続ける。……無視して放置していたが一向に動こうとしないので、試しに写真を撮ってやるとポーズを変えながらバスの予定時間が来るまで撮影し続けるはめになった。それよか数珠の単位って連で数えるのな。
「せっかくなのでPも撮ってあげましょう」
「おー、いいれすね♪―――ほらほらー!笑ってくださいれす!」
「…こうか?」
「Pならまだまだいけるはず」
「……こうか?」
「もっともっとれす!」
「………こうか?」
「「もっと!」」
「表情筋ちぎれるわ」
ようやくバスが来たので夏の暑さから逃げるように乗車する。撮影がスタートすれば俺に出来ることは見守ることだけだ。とは言っても路線バスの中で撮影になるので、他の乗客の迷惑にならないように二人の近くで待機しないといけない。
…先ほどから二人がこちらを見ながらにやけているのが気になるが何かあるのか?
20分ほどで移動パートの撮影は終わったが目的地まではまだ約1時間。バスの乗客たちも始めこそ興味深そうに見ていたが次第にチラチラとみる程度に収まってきた。
「それにしても、こんな間近で撮影を見たのは初めてだが……やっぱプロだな。見てて頼もしかったわ」
「な、なんれすかいきなり!……プロデューサーさんも頼りになるれすよ」
「確かにPの男らしさは素晴らしいものがある。まるでジャイアンです」
「………劇場版しか見ない派の人?そいつガキ大将だからね?」
とりとめもなくそんな話をしているとちょうどバスが停留所に停まりアイドリングストップで車内のエンジン音が消えた。
静まり返ったせいで前に座っていた推定JK、もしかしたらJCあるいはジャッキーチェンかもしれない、とにかく5人組がこちらを見ながらこそこそと話しているのが耳に入ってしまった。「ねぇ、あの目さ…」「ヤバいよね」「てかありえなくない?」「ムリムリ」……別にこんな田舎のJKに悪口言われたからって、、、傷つかないんだからね!!
寝不足がたたりさらに目つきが悪くなったのか、街中で若い女の子たちからこそこそと噂されることが最近になって増えた実感はある。
しかし女子高生たちの声が聞こえてきた瞬間、後ろの席から空気が爆発的に膨らむような錯覚を感じた。粘つくような負のオーラを伴い浅利と久川が席から立ち上がり例の女子高生へと近づいていく。わかるーとか言われたら泣いちゃうよ?いや、違うってことくらいは分かっているが喧嘩はやめて欲しい。
「すいませんお姉さんたち、あの目つきの悪い無駄にスタイルの良い男になんか用れすか」
「あんなのでも凪たちのプロデューサーです。文句があるなら事務所を通してください」
髪がぶわりと膨らむほどに怒りをあらわにする二人。対する女子高生はどこかウキウキとし浮かれた雰囲気を感じる。
「…もしかしてなんですけどあそこにいるのって八幡さんですか?」「私フォローしてます!」「わ、私もです!」「あ、握手とかダメですか!?」
「………人違いです」
「………あれはただの朴念仁れす」
「え、でもさっきアップされた東尋坊のと同じ服装ですよね?」
アイドルが女子高生5人組に交じってひそひそと話をする異様な空間。相変わらずチラチラと見られていると感じるのは自意識過剰だろうか。
一言二言と言葉を交わすと剣呑な空気はどこへやら、二人はそのまま座席に戻り素知らぬ顔して座ってしまった。
「なんだったんだ??」
「え、えーとれすね……別に用事は無かったんれすけd」
「彼女たちは昨日USJに行ってきたそうです。カバンから見える魔法の杖が気になってつい声をかけてしまいました」
「お前ら人に話しかけるときあんなオーラ出しながら話しかけんの?子供だったら泣くぜ?なんなら俺も泣いちゃったぜ?」
「七海さんは無類のハーマイオニー好きですのでつい気持ちがはやってしまったんでしょう」
「え゛!?あ、いや、そうれす!ち、ちょうど5人組れしたのれ赤、青、黄、桃、緑のハーマイオニーとニックネームをつけてあげたれす!」
「………ハーマイオニー・ゴレンジャー」
「素晴らしいツッコミ。座布団の中の綿を差し上げましょう」
「ディアゴスティーニかな?―――はぁ、もうなんでもいいわ。ってかこのバス行先間違ってないか?」
「間違いなくあってるれすよ~」
「目的地をPの祖父母の家に設定しました。音声案内を開始します」
「ん???」