デレマスとのクロスオーバー『 基本はコメディ』   作:エビアボカドロックンロール

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単短編8月8日 ちひろ「おはようございます比企谷君。誕生日おめでとうございます♪」八幡「ありがとうございます。……ずいぶんご機嫌ですけどなんかあったんですか?」

 

 

 

 お正月、バレンタイン、ひな祭り、ゴールデンウィーク、お盆、ハロウィーン、クリスマス、………そして誕生日。興味がないと言えば嘘になる。

 ―――と言ってもそれはアイドルのプロデューサーとしての話であり、各種イベントに引っ張りだこだったことを思えばリア充とまでは言えなくともそれなりに充実した一日を送ることができていたように思う。そしてアイドルにも、それを応援してくれるファンにも、そんなひと時を提供できていたと自負している。

 

 だがふと自分の過去を思い返してみた時、俺個人がリア充のように過ごした思い出というのがこれっぽっちもないことに気付く。しかし俺はそれが空虚なものだとは思わない。…そもそもリア充になりたいとも思わんが。

 誰かが勝手に部屋にセットしていったデジタルフォトフレームにこれまた誰かから勝手に送られてくる被写体も撮影スポットもばらばらの写真。時間や季節によってランダムに再生されるその何万枚もの写真はお前の思い出はこれだけの笑顔と幸せ、時には涙を紡いできたものなのだと教えてくれるから。

 

 

 だから俺は自分の誕生日に期待しない。今手元にあるものだけで十分に幸せだから。期待すれば裏切られた時に辛くなるから……

 

 

「…いや、あいつらに祝われると騒がしすぎてほんっっっっっとに疲れるってのが一番の理由なんだがな…」

 

 

 もう誕生日会とか最初の名目だけであいつらはただリミッターをカットして全力ではしゃげる場が欲しいだけに違いない。半ば主役としてお祝いされる側にいる分、途中で抜けることができず毎年なんかしらのトラウマが産まれることになる。

 去年の時点で来年はいらんと耳にタコができるほど言ったはずだが、今年に至っては1か月以上も前から事務所の連中がそわそわしているのを見てしまった。

 それもあって今日の仕事は事務所に帰って報告すれば終わりのはずなのにもうなんか事務所に近づくにつれて足が重いんだけど。渋川剛気先生の教えがここにきて理解できてしまったわ。

 

 

 そんな俺の葛藤もむなしくパーティーの始まりの時を今か今かと待ちわびる割れる直前の風船のような事務所はもう目の前まで迫ってきていた。……はずなんだが事務所のドアをくぐり建物へと入ってみても静まり返るどころか人の気配さえ感じることができない。

 

 

「………おつかれさまでーす。ちひろさーん?書類ここ置いておきますねー。もう帰りますよー?」

 

 

 緑の鬼のデスクに引き継ぎ書類をいくつか置き、重要なものはロッカーへと片づけていると自分のデスクにある栄養ドリンクとメモが目に入った。

 

 

『いつもありがとうございます。このドリンクは薬局にあった一番高いやつなのでよかったら飲んでください。それからプレゼントは新設備試験場に置いてます、地下に新しくできた部屋です。…本当はみんなでお祝いしたかったのですが、昨年騒がしいのが嫌だと言っていたので今年はみんなで話し合ってお祝いを考えました。by有志一同』

 

 

 あ、だめだ。すでにちょっと泣きそう。ちゃんと空気読めるようになったんだな…。これ次の部屋に行ったらまたヒントの手紙が置いてあって次々に辿って行くと最後にプレゼントが置いてあるパターンだよな。

 しかもこの一番高い栄養ドリンクとやらも見たことないメーカーのものだからわざわざ良いのを探してきてくれたんだと思う。せっかくだから飲ませてもらおう。

 

 カチリとフタを回し一気に喉に流し込む。焼けるような感覚が喉を走り抜け、飲み干した途端に身体がカッカと熱くなり心臓はバクバクと早鐘を打ち始める。

 

 

「おぉ…、さすが一番高いだけあるな……」

 

 

 妙に軽くなった身体はふわふわと自分の制御を離れて地下の試験場へと足を運んで行く。

 部屋に到着しドアの前に立つとエアーの抜けるような近未来的な音をたて何層にもなったドアが開く。中に誰もいないことを確認しながら部屋に入ると次は重苦しい音をたて扉は閉まった。続くように何重にもロックのかかる音が聞こえどれだけ堅牢な部屋を作ってんだよと素直に感心してしまう。

 

 「……スイートルームみたいな部屋だな」

 

 

 レッスンルームほどの広さの部屋の中心にはキングサイズのベッドが一つとガラス張りのシャワールームがある。ビスケット・オリバの独房かな?

 落ち着かない様子で部屋を見渡しているとユーロビートが流れ照明がピンクになる。突然のことに驚きひとまず部屋を出ようとするが入ってきたドアは外側からカギがかけられているようでびくともしない。

 

 とりあえず電気を戻して音楽を止めようとベッドサイドのチェストについてあるリモコンへと近づくと、その上に一枚のメモが置いてあるのに気付いた。なるほど、ここにも感謝の言葉が書いてあるんだな。それを読んで感動してたらドアが開くと、そーゆーパターンのやつね!

 

 

『ゴニョゴニョしないと出られない部屋。順番はみんなで【話し合い】をして決めました。1人当たり90分。総勢何人になるかは完走してからのお楽しみ♡チェンジは無しですよ~♡』

 

 

「………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

コンコンコンッ♪

 

『お待たせしましたー♡』

 

「ヒィッ!!」

 

 

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