デレマスとのクロスオーバー『 基本はコメディ』 作:エビアボカドロックンロール
アイドルという職業に対して世間はどのようなイメージを持っているだろうか。おそらく大半がキラキラやドキドキといったポジティブな言葉が返ってくると思う。(某スクールアイドル感)
だが世間の人たちが見ているのはステージに立ってスポットライトを浴びている彼女たちだけである。その裏にはステージ上で輝くためのレッスンに費やされた膨大な時間があり、キラキラしてるのはこれでもかとトレーナーにしごかれ吹き出た汗だしドキドキしてるのは限界まで追い込んだ心肺機能に身体が悲鳴をあげているからだ。
だがその積み重ねがステージ上で一瞬のきらめきとなり、一生残るような景色を心に焼き付けていくのだから大したものだと素直に脱帽するしかない。
そして当然ながらそういった各種イベントは基本的に土日祝に行われ、それをサポートする裏方にカレンダー通りの休日などあるはずがない。その上さらにテレビやドラマの収録、新曲のレコーディングなどがあるのだから、働けど働けどなお、わが仕事楽にならざり状態である。昨日と今日の境界線はどこですか…?つーか29時ってなに!?
ついには曜日感覚が定期購読している雑誌の更新通知によって調整されるようになり早数年。大海原を渡る海軍が曜日感覚を忘れないために毎週金曜にカレーを食べたと言われているが、俺にとってはそれが雑誌だったというわけだ。
月曜、水曜、木曜、たまに土曜。なんなら月刊誌も数冊。もはやiPadは手放せないし欲望の全てが詰まったそれの中身を見られた日には………想像するのもはばかられるような目にあうだろう。俺が。―――パンドラのiPadである。あるいは禁断の果実。appleだけに……
結論。カレー=雑誌。あと、今期のラブライブはゆるゆりしててとてもいいと思いましたまる
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長々と愚痴を垂れてみたが何のことは無い。
事務方はローテーションで休みを取っており今日はちひろさんの順番なのだが、せっかくなので武内さんもたまりにたまった有給を消化してはどうかと言い始めたのが事の発端だった。さすがにどちらかは事務所にいるべきだと説得する武内さんの抵抗むなしく最後には弱々しく首を縦に振らされていた。
曰く電話の一本もかかってこないほど暇な一日になると思うので有給消化を優先してください。
一人残される俺はそんなわけねえだろとワンオペに向けて気合を入れて出社。
いつでも応答できるようにと事務所内で出来る作業を続けていたがついぞ呼び出し音が響くことはなかった。………え?干された?
途中で回線が切れてるのかと自分の携帯からかけてみたが、聞きなれた呼び出し音がむなしく流れるだけで本当にどこからも着信がないという事実が確認されただけだった。
完全に闇の力だわ……
あとちひろさんが武内さんを説得(脅迫)しているときの必死さにデジャヴを感じていたがようやく思い出せた。俺とサシで飲んだ時の平塚先生だわ。ふぅ、すっきり。
「ちなみに海軍が金曜にカレーを食べたってのは後付けの理由らしいぞ」
「い、いきなりどうしたんですかっ!?」
「まあ豆知識をひけらかすときは一度ソースを確認しとけってことだな」
「――千枝、カレーにはハチミツ派です……」
「そのソースじゃねえよ」
というわけでここからが本題。
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今日は平日なので学生組がおらずその上大人組も泊りのロケで出払っており、寂し気とまでは言わないが静かな事務所で1日過ごすことになるだろうと感傷に浸りながらプラチナ優雅に朝のコーヒーを楽しんでいた。
そろそろ仕事を始めるかとジャケットを脱ぎ袖をまくったところでノックの音が遠慮気味に事務所に広がった。返事をしても入ってくる様子はなく、無意識にカギをかけてしまったのかもしれないと思い扉へと近づき手前に引いたが思っていたような抵抗はなくすっとドアが開き、同時に腹部を衝撃が襲った。
「わわっ。び、びっくりしました……」
どうやら同時にドアを開けてしまったようでつんのめるように小さな人影が飛び込んできた。
すんでのところでこけてしまわないように両手で支える。リザードンだったらこけてたな。
いきなりドアが開き怖かったのかお腹の辺りに顔を押し付け鼻息荒くぶるぶると震えるそいつをそっと引き離す。
「……佐々木か?学校はどうしたんだ?」
「創立記念日です」
食い気味だった。
秋らしい装いに身を包んだ佐々木は籐編みかごのバスケットを片手にぶら下げ、首だけをグンッと俺に向け寸毫も視線を逸らすことなく有無を言わせぬ眼力をもって食い気味に宣言した。
寮生活をしている都合、ほとんどの小学生アイドルが同じ学校に通っているはずだがその質問をすることを許さない何かが佐々木にはあった。触らぬ神になんとやらだ。
「そ、そうか。―――んで、せっかくの休みにわざわざ事務所になんか用事か?今日はレッスンも休みだろ?」
「実は……いつもお世話になってる比企谷さんの、お手伝いをしようと思ったんです…」
は?可愛すぎかよ?
「気持ちは嬉しいが、手伝いつってもやることなんてほとんどねえぞ?」
「腕の血管がえっちすぎます!(比企谷さんは何をする予定だったんですか?)」
「………。プレゼントの選別するつもりだったんだ。こればっかりは一度目を通しておかないといけないからな」
とは言っても最近ではネットショッピングなど信頼できる第三者を通してプレゼントなどを送れるようになり、昔よりもファンからのプレゼントがアイドルたちの手元に届く可能性はかなり増えたと思う。
それでも決して少なくない量の手作りプレゼントはあり、考えたくはないがそこに悪意が欠片でも交じっていればアイドルたちにとてつもないトラウマを作ることになってしまう。
俗に言う気持ちだけいただいておきます。と言うやつだ。
「でも今日はAmazonの段ボールばかりだし、大丈夫なんじゃないですか…?」
「なら佐々木宛の分を手伝ってもらってもいいか?俺は他の見てるから何かあったら声かけてくれ」
「千枝、少し怖いので…一緒に見てほしいです…」
「……」
ギリギリまで二度手間じゃね?って言葉が出かかったがさすがにお手伝いをしたいと言ってくれている小学生にかける言葉じゃないと思いなおし寸前で踏みとどまることができた。
あと、こいつらがお願いをするときってもう完全に自分の武器を理解してやってると思うんだよな。あざとさ半端ないって、上目遣いで首のかしげ方とか完璧やもん……
さしもの一色も小学生だったときはまだあざとさは完成していなかっただろう。
つーかしてなかった。色々あって一色ママから卒アルを見せつけられる修羅イベントが発生したが、そこに映っていたのは少年のように頬に泥をつけた姿で、思わず隣に座っていた一色を二度見してしまったことがあった。
しかし佐々木はこの年齢にしてすでに大天使トツカエルにせまる所作を習得していた。
ちょこんと俺の袖をつまみ、瞳をチワワのごとく潤ませながらぽしょりとつぶやく。
「だめ…ですか?」
「もちろんいいぞ」
小学生は最高だぜ!!!
――――――
「あ、このパッチワークセット可愛い♪」
「なぜナースのコスプレ衣装………」
手早く段ボールからプレゼントを取り出していく佐々木の手には“趣味が裁縫と書いてたのでぜひ私のおすすめの商品を使ってみて欲しいです♪”とメッセージカード付きのパッチワークセット、俺が取りだしたのは高クオリティ高品質で有名な某コスプレメーカーのナースのコスプレ衣装。
お互い一番初めに目についたものを取り出したんだろう。
……ナース服が嫌いな人なんてこの世に存在しないから仕方ないよね
「リボンも可愛い♪………えへへ、似合いますか?」
「あ、ああ。似合ってなかったら佐藤にでも渡して魔改造してもらおうと思っていたがその必要はなさそうだな」
「そんな世界一可愛いよだなんて、言い過ぎですよ~♡せいぜい20番目くらいです♡」
「言ってねえし世界で20番目って全然謙遜になってなくね?」
もはやネタ的になりつつあるひねくれた誉め言葉もチャーミング小学生のフィルターを通せば想像を絶するような誉め言葉として捉えられてしまうらしい。
少し前に流行っていた芸人の言葉を借りるなら35億。35億人中20位。上位0.0000006%。ちひろさんでもしないような排出率である。
「このフリフリのついた紐は何でしょう…?」
「ん?それはTバックじゃな、んん゛ッ!!……さあ、なんだろな?まあ、念のために俺が預かっておくわ。念のために」
「…ちょっと待っててください。―――そ、そんなに千枝のゴニョゴニョが欲しいんでしたら……これをあげます!!!」
待ってるも何も、ずっとここにいるだろと声をかけようとすると佐々木はパーテーションの向こうへと隠れ、ややあって衣擦れの音が聞こえてきた。
数十秒後、真っ赤になって戻ってきた佐々木は片手に握りしめた真っ白なシュシュを俺に差し出した。
「………ありがとな。男の俺がシュシュを使うことは無いだろ―――」
「シュシュじゃないですよ?脱ぎたてのパン―――」
「これはシュシュだ!ちょっと温かいしさっきまで腕にでも巻いてたのかなッ!?」
「きゃっ♡千枝の体温を感じてくれているんですね♡」
人肌の温度に温められた肌に優しいコットンのそれはおもむろにまぶたへと乗せれば、1000年の眼精疲労もたちまちに消えてなくなるだろう可能性を秘めていた。蒸気でホットアイマスクなど目ではない。目だけに。
ゴクリ……
「いやねえわ。つーか仮にこれが下着なんだとしたら、仮にな?今のお前の防御力どうなっちゃってるんだよ……」
「フリフリの紐なんですけど。千枝、悪い子ですか…?」
「攻撃力上がっちゃったよ……」
もうなんか頭がおかしくなりそうなので佐々木の方へはなるべく視線を向けないようにし左手にあるナース服をほり捨て、右手のシュシュはポケットへとしまい込む。
「そーだ、佐々木。返礼用の手紙は書けてるか?」
「はい。変態さんへ、二度と送ってこないでください。って書いておきました」
「……プレゼントの量が爆発的に増えそうだな」
「あれ?この段ボール、比企谷さん宛みたいですよ?」
「は?」
適当に会話をしながら自分の手元だけに注目して作業していたところ、不意に佐々木から声を掛けられ思わず振り向いてしまった。
段ボールを抱えたロリナース。
ちゃっかり着てんじゃねえよ。似合い過ぎだろ。
「開けてみますね?」
「お、おい」
「わぁ!千枝の写真集が入ってますよ!」
「え?……なんで?」
「それと聴診器と注射のおもちゃです」
「ナース服で持つとあつらえたようにぴったりだな」
佐々木の写真集とこれが入ってるってことは、渡してほしいってことなのか?
つーかこれと佐々木にナース服送ったやつ絶対同一人物だろ。どうせならまとめて送ればいいだろうに、なぜ一度俺を経由したのか理解に苦しむが何か意図があるのだろうか。
ただその目論見は奇跡的にうまくいったようで、ナース服の首元に聴診器をかけ手には注射器を持つその姿はアンビバレントな魅力に溢れ思わず胸キュン。
これ送ってきた人間は天才だな。
「わわっ、見てください比企谷さん!このお菓子のパッケージ、千枝の写真ですよっ!」
「ん?そんな商品許可した覚えは、ブッ!!!」
「だ、大丈夫ですか!?」
段ボールの底から引き抜かれたコアラのマーチくらいの大きさの箱には、確かに佐々木の写真が印刷されていた。
ただし、目元の部分に黒い線で修正がされ、佐○木千枝とぼかして印刷されたものが。
ありがとうございます。完全にオナホです。
「あ、ああ。大丈夫だ……。それより佐々木、そろそろご飯でも行かないか?」
「大人気○学生アイドル佐○木千枝のロリ○○コを完全再現……?―――どういう意味なんですかね??」
「さ、さすがにまだ意味は分からんか。……助かった」
「………」
「ほら、飯行こうぜ。どこでも好きな店選んでいいぞ」
「………」
「佐々木…?」
「た、食べ比べてみます…?」
このプレゼントの送り主、君じゃないよね……?
お気に入りも評価も感想も誤字の報告も全てが嬉しいです。
ありがとうございます。