デレマスとのクロスオーバー『 基本はコメディ』   作:エビアボカドロックンロール

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単短編ヤンデレ6 ちひろ「………お金の匂いがする」八幡「煩悩を払わなかった悪影響がこんなところにも……」

 

 

「お味はいかがですか…?」

 

 

 除夜の鐘が騒音だなんだと苦情を受け大みそかをそれっぽく演出することがなくなり久しい年越し。

 何もかもが新しくなっていく世の中でも、変わらずに俺を甘やかし続けてくれているこたつにもぐりこみズルズルと年越しそばをすすりながらテレビを見ていると、向かいに座った佐々木が恐る恐る話しかけてきた。

 

 

「――今まで食った年越しそばの中で一番うまいわ」

 

「…ッ!……ハァハァ……一番ですか…?」

 

「ん、一番」

 

「ハァハァ…比企谷さんが、千枝の作ったそばを夢中で食べてます…フヒッ」

 

 

 なんでもダシから手作りしたという佐々木家直伝の年越しそばをどうしても俺に食べてほしいと押しかけて来た佐々木だったが、今は自分の料理が褒められてうれしいのか頬を赤らめながら鼻息荒くもじもじと喜んでいる。

 

 

「つーか自分の分は作らねえのか?」

 

「千枝はダシを作るときにお腹いっぱいになっちゃいました……」

 

「ほーん………え、どうゆうこと?」

 

 

 お腹をさすりながらそう答える佐々木はどうやら本当にお腹いっぱいのようだが、一方的に見られながらこちらだけが食事をするのはどうにも申し訳ない気持ちになる。以前櫻井の家でご馳走になった時にも思ったが俺は傅かれるより傅きたい派かもしれない。

 

 佐々木のお腹をさする手が胃のあたりから徐々に下がっていくのを眺めているとまるで妊婦のようだなんてありえない想像をしてしまう。そういえば最年少で妊娠した記録が5歳だったなんてクソ豆知識が頭をよぎるが冷静な俺は『早くても12歳だろッ!』と紳士の鑑のようなツッコミを内心でこぼした。(この物語はフィクションです)

 

 

「クリスマスの日から毎日だったので大変でした……」

 

「何のことだ…?」

 

「い、いえっ、こっちの話ですッ!」

 

「ふーん?佐々木が持ってきてくれたワインもかなりうまいわ」

 

 

 ワインと言う単語を出した途端にビクンッと身体をのけぞらせる佐々木は気になったが、度数こそ低いように感じたものの芳醇な香りと圧倒的な味わいが背徳的なまでのおいしさでこれまた今まで飲んだ中でナンバーワンのワインだった。

 それこそ、今テレビの中で間抜けなアイマスクをつけておいしそうに二種類のワインを飲み比べる志乃さんが飲んでいるものにも負けていないだろう。

 

 

「お口がとっても疲れましたけど葡萄ラチオだと思って頑張りました……」

 

「何のことだ…?」

 

「い、いえっ、こっちの話ですッ!!!」

 

「そっちの話多すぎない?」

 

 

 どちらが高級ワインかどころか銘柄、年代まで言い当てる志乃さんをぬぼーっと眺めながら思考停止でおざなりに言葉を返す。

 

 

「―――来年のクリスマスも比企谷さんと過ごしたいです……できればその先もずっと…」

 

「……そんなにケンタがおいしかったのか?」

 

「ち、違いますっ!」

 

 

 クリスマスの日の一心不乱にチキンにかぶりつく可愛らしい姿を思い出す。

 

 

「その割には丹念に骨までしゃぶってた気がするけどな」

 

「にゃッ!!それにはり、理由があるんです!!」

 

 

 脂で唇をツヤツヤにした姿はリップとはまた違った魅力を引き出しており、サンタコスとの組み合わせはもはや犯罪レベルの可愛さだった。

 

 

「チキンが好きなこと以外にしゃぶる理由なんてあるか…?」

 

「そ、それは……鶏ガラスープを作るために……」

 

「それによく食べる子の方が好きって男は意外と多いんだ………え、今なんて言った?」

 

 

 いやいや、さすがに2ピースくらいじゃ鶏ガラスープには足りないから今のは何か聞き間違ったんだろう。

 

 

「毎日は大変でしたけど……千枝のスープをおいしそうに食べる比企谷さんを見ていたら苦労が報われた気がします♪」

 

「聞き間違いじゃなかった!!!!」

 

「でも一番おいしかったんですよね…?」

 

「―――たしかにうまかったが……んー、………まあ火を通してるし……あり、なのか?」

 

 

 鳥ガラを作るならかなりの時間火を通したことと、それが美少女の食べたチキンだと考えると…

 ―――ちひろさんが知ったら事務所のお弁当がすべてケンタになるな…

 つまりはありていに言ってありかもしれない。モハメドに言えばアリかもしれない。

 

 

「おいしいおそばでいつものお礼がしたかったんです…、怒っちゃいましたか……?」

 

「……それを言われて怒れるわけがねえだろ」

 

 

 自家製の意味合いが違い過ぎるそばだったものの、おいしいものを食べてほしいと言う佐々木の言葉を否定するわけにもいかないし、ましてその苦労も俺のためだというのならこれを否定することもできるはずがなかった。

 

 怒っていないことが分かりホッとしたのか佐々木は俺の持つグラスへとくいっとボトルを傾けてきた。

 

「よかったです♡せっかくなんでこのワインもたくさん飲んでください♡」

 

「ああ、ありがとう。―――未成年にお酌させる俺って……」

 

「お父さんにしたことあるんで大丈夫ですっ!」

 

 

 もうお父さんって言われる年齢なのか………

 

 ……ワイン飲も。あと年齢のことでちひろさんをいじるのはほどほどにしよう…

 

 

「ふぅ、このワインうまいのはうまいんだが度数が低いのがな……ぜんぜん酔えん」

 

「すみません……醸造許可がまだないので1%以上のお酒は造れないんです……早く大人になりたいです…」

 

「え、なに…このワインも手作りなの…?」

 

「はいっ♪――君の名はを見てお酒の造り方を勉強しました♪」

 

「………」

 

「お口がとっても疲れましたけど、比企谷さんのためにお口が疲れるのは正直悪くない気分でした♪」

 

 

 

「―――加熱は…?」

 

 

「してないです♡」

 

 

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