今回は、前回より少し短めです。(前回も短かったけれども)
いやぁ、やっぱり小説を書くのって難しいですね。中々良い感じに纏まらない。
そして何より執筆時間が取れねぇ。色々やりたい事とかやらなきゃいけない事とか重なってしまって…ハイ、次回はもうちょっと早めに投稿出来るように頑張ります。出来るかは分からないですが…()
「はぁ、はぁ、はぁっ」
走る、ただひたすらに走る。
以前と体格が違うせいか時折足がもつれそうになるが、何とか耐えて走り続ける。絶対に足を止めてはならない。もし止めようものなら━━その瞬間に、終わる。
「ッ…!」
突然、全身にぞわっと寒気が走った。それと同時に、ほぼ反射的に横に思いっきり跳ぶ。その勢いのままゴロゴロと転がるが、回転を腕で無理矢理押し留める。そのまま立ち上がって振り向くと、直前まで俺が居た位置に狼が飛び掛かって来ていた。
(あっぶねぇ、あと少しでも遅れてたら…)
そんなことを思いつつ、少しでも距離を離そうとまた走り出す。狼も標的を逃したことに気付いたのか、辺りをキョロキョロと見渡している。そして俺を見付けると、再度追いかけ始めた。
しかし、このままでは埒が開かない。今は何とか追い付かれずに逃げられているが、そもそもあの大きさで俺と速さが同じか、それより遅いはずがない。本来であれば、相手が巨体である為に歩幅もその分大きく、必然的に走るスピードも相手側の方が速くなる筈なのだ。
…つまり奴は、わざと遅く走っている可能性がある。それでも同じくらいのスピードで付いて来ているから、本気を出されでもしたらそれこそすぐに追い付かれてしまうだろう。
何か、距離を一気に引き離せるような手段があれば良いのだが。例えば、空を飛んで逃げるとか━━
━待てよ、空を飛ぶ?
そうか、その手があったじゃないか。今の俺には羽が付いている。それで飛んで上空に逃げれば…!
そこまで考え、すぐに問題に直面した。…俺は、飛び方を知らないのだ。
羽が生えていることに気付き、ショックを受けた直後にあの狼に遭遇。そして、何も出来ないままここまで走って来たのだ。その間の時間などほぼ無いに等しく、勿論どうやって飛ぶのか確かめることも出来なかった。…不味い、詰んだ。
どうすればいい…考えろ。何か、何か無いのかっ…?
…そうやって考え事をしながら走っていたのがいけなかったのか。それとも、今の身体に慣れないまま走り続けていたのがいけなかったのか。
「ふぎゃっ」
俺は、地面の上に飛び出ていた木の根に気付かず。それに足を引っ掛け、思いっきり転んでしまった。
「いったぁ…。っ、早く、早く逃げないと━━」
痛む身体を気合で動かす。そうして、急いで立ち上がって逃げようとし。
「━━がっ!?」
その瞬間、背中から強い力で地面に押さえつけられた。
何とかして上を見上げると、そこには
「くそっ、放せ、放せぇ!!」
そう叫びながら暴れるが、力は微塵も緩まない。むしろ、暴れる俺を抑える為か、更に力が増してしまった。
「ぁ、ぐぅ…」
痛い。苦しい。声が、出ない。意識が薄れ、手足を動かす力も無くなっていく。
…俺は、ここで死ぬのか?見知らぬ森の中に飛ばされて、身体も変わり、何のことも分からないまま?
━━そんなのは、嫌だ。俺は、俺はまだ生きていたい。まだ、終わってなるものか!
…しかし。そんな俺の思いは、どうやら神に届いてはくれないようだ。
視界に、奴の頭の影が上に上がっていくのが映る。今にも獲物に食らい付かんとしているのを感じて、俺はこれから襲い来るであろう痛みに恐怖を覚え、目を強く閉じた。
━━━しかし、
「『恋符 マスタースパーク』ッ!!」
代わりに、力強い少女の声が聞こえた。
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