気づかれないように人通りの少ないところでキメラから降りたあと、ダイとリエルは
「ここ…何処だろう」
「私何で地図持って来なかったかな…」
迷子になっていた。
当然だ。行った事もないのに何の情報も無い状態で知らない所に行ったら誰だってそうなるだろう。だが、運が良かったのか、すぐそこにずるぼんを見つけた。
「よっしゃ都合よくずるぼん発見!」
「何してるんだろ?」
どうやら服屋で服を選んでいる様だ。今しか無い!
そっとバレずに服屋に侵入した後、小声でデルパを唱えた。おばけキノコに帽子をかぶせ、すぐにはバレない様にしたつもり…
「これ、速攻でバレるんじゃ…」
『ダイジョーブダイジョーブ、ドコカラドウミテモ人ジャン(棒)』
(ふざけてますよね?)
そして、ずるぼんにけしかけてみた所、甘い息であっさり眠ってくれた。
(…何で上手くいくんだ…)
何はともあれ結果オーライである。
眠っているずるぼんをそこらへんにあった小屋に移動させて縛りつけ、ゴメちゃんの居場所を吐かせるために起こしてみた。言いそうにないのでダイの言う最終手段を使ってみる事にした。
(さぞエッッッな事とかするんだろうな〜)
そんな期待もむなしく、最終手段とは足の裏をオオアリクイが舌で舐めるというものだった。
『…何バカなこと考えてるんだよ…』
ドン引きである。まぁそんな脳内ピンクな妄想は置いといて、ゴメちゃんがいる所は城、弱点は金目の物と不思議な踊りらしい。金目の物はともかく不思議な踊りは魔法使いなんだから当然の事だ。ちょっと考えれば気づいたかもしれないがそんな事は気にせずにいこうそうしよう。
スライムを見張りにつけ、城に侵入する。まさか壁を登っていくとは思わなかったが、毎日木登りしていたおかげか無事侵入することが出来た。案外何とかなるもんだ。
やがて檻に入れられているゴメちゃんを見つけた。なんて酷い事を…!
「ダイ」
「うん、みんな頼むぞ!」
《デルパーッ!》
そう唱えると同時に、モンスター達が筒の中から出てゆき、会場に居る人達を錯乱させる。その隙にそーっとゴメちゃんに近づき、取り返す事に成功した。だが…
「あっ⁉︎な、何奴っ⁉︎」
バレてしまった。
「ゴメちゃん!」
「ピ〜ッ!」
(一刻も早く逃げないと!)
まぞっほとへろへろが道を塞いできたが、ずるぼんから聞いた弱点で無力化した。それにしても、まぞっほは不思議な踊りを踊られた途端にへたり込むし、へろへろは賢さが低い踊る宝石に翻弄されてるし、いくらなんでも極端すぎじゃないだろうか。まぁ相手は弱い方が好都合なのでよしとしよう。
《メラ》
ドオオンという音の後に、プスプスと焼け焦げた臭いが広がる。
「言っておくが、オレに弱点なんて無いぞ…!」
…どうやら一筋縄ではいかなさそうだ。
「こんの野郎〜ッ‼︎」
ダイはそこら辺に落ちていた剣を拾い、でろりんに戦いを仕掛ける。
「うあああ‼︎」
「フン、勇者の力を見くびるなよ‼︎」
だが、仮に偽物の勇者でも、まだ子供で経験の浅いダイでは力量差があり、剣はすぐに折れてしまった。その隙をつき、ダイの首を掴み持ち上げる。
「く、くそお〜!何が勇者さまだ!おれの友達をさらった強盗の癖に‼︎」
「黙れっ!」
余計な事を言うダイの首を強く握りしめ、トドメを刺そうとする。
《ピオリム!》
そこに、リエルが自分にピオリムをかけ、助走をつけて勢いよくジャンプし、
ドガッ!
「うぐおおっ⁉︎」
両足で背中にキックをお見舞いした。
(よっしゃー成功!)
でろりんはキックをくらった拍子にダイを離し、ひとまずダイのピンチは脱した。しかし、
「小娘…‼︎」
リエルにタゲがついてしまった。
(ヤバッ!)
リエル自体、戦いの経験など一切無い。しかも丸腰。敗北は確定に等しかった。だが。
『左に避けろっ!』
ヒュンッ!
『次は右っ!』
ヒュンッ!
「くそう、ちょこまかと!」
先輩のアドバイスで、何とか九死に一生を得ていた。そして、
《デルパーッ‼︎》
魔王から授かったという魔法筒を、ダイが開けた。
見た事も無いモンスター達を見て、皆しばし唖然としていたが、ダイがピーッ!と口笛を吹くと、モンスター達が一斉攻撃を始めた。
「ダイ、大丈夫?」
「あ…うん、一応」
「良かった…死んだらどうしようかと思ったよ、こっちは半分走馬灯流れてたし」
もうこんな思いは二度としたく無いと思うが、同時にここはドラクエ世界だからもっと激しい戦いをしなければならないんだろうなぁとちょっとだけ、いやかなり憂鬱になった。
(まぁ、なるようになるだろ)
さっき死にかけたというのに呑気な物である。
「よーし、総攻撃だ!」
「待ちなっ‼︎」
「そこまでだよ」
「⁉︎み、みんな!」
そこには、大きな網に入れられたスライム達がずるぼんに捕らえられていた。
(一体、どうやって⁉︎)
何故こうなったかというと、スライム達は色仕掛けに掛かっただけだった。
「さあ、さっさとその怪物達をひっこめなっ!」
「ハハハッ!でかしたぞずるぼん!」
「ち、ちきしょう…」
(?)
その時、リエルは見ていた。スライム達が何かに共鳴し、その体積よりも大きくなっていく様を。
「ホーホホホッ‼︎ホホホ…」
そして、スライム達は、キングスライムへと形を変えた。
「ホ?ぎょええええ〜っ‼︎」
自らを捕らえていた網ももうその形を保っていない。その巨体でずるぼんを押しつぶした。
「あっ⁉︎」
その時、でろりんに隙が現れた。そこへダイがすかさず、
「いまだっ‼︎」
《イルイルーっ‼︎》
呪文を唱えた。
「わあぁぁぁっ〜‼︎」
魔法筒で封じられるのは何もモンスターだけでは無い。でろりんは魔法筒の中へ吸い込まれ、戦闘は終了した。
その時、気が緩んだのだろう。ダイが気絶してしまい、王国の兵士達に囲まれてしまった。
《ホイミ!》
(どうしよう、早く起こして逃げないと…って、囲まれてんじゃん⁉︎やばい、先輩どうしたらいいですか⁉︎)
『とりあえず謝罪しておけば?』
(許してくれる訳無いじゃないですかー!まるで人ごとみたいに!)
リエルは考えたが、この状況からの目処が立たない。なので、
「すみませんでしたっ!」
土下座してあやまる事にした。
『結局やるんじゃん』
(うっ…)
何もしなかったら何もしなかったでダイも罪に問われてしまうだろう。それならば。
「私が全ての罪を負いますので、ダイは見逃して下さいっ!」
『何その自己犠牲精神』
何故こんな自暴自棄になったのかというと、もうほぼ諦めていたからだ。だが。
「いや、もう良い…」
「えっ?」
王様がそこに居る皆に話した。
「…どうやらわしの目が曇っておったようじゃ。いかに強く外見が立派でも、子供を殺そうとしたり人質をとったりする男が勇者であるはずがない。それが見抜けなかった自分が恥ずかしいわい」
どうやら、許してくれるようだ。
(うわぉ寛容〜死ぬかと思った〜…)
『こっちも内心ヒヤヒヤだったよ』
(嘘つけ)
そして、なんとダイに覇者の冠を被せた。
(えええええええええええ⁉︎)
「ちょ、ちょっと待って下さい、そんな国宝級の物を⁉︎」
「いや、この少年が現れずにいたら、あの男に渡しておったはずの物じゃ。そう言わずに、もらってくれい」
『いいじゃん、貰えるもんは貰っておきなよ』
(えええ…)
そこには、兵士とモンスターの楽しそうな笑い声と、リエルのため息が響いていた。
「では、お騒がせしました!ほら、ダイも」
「お騒がせしました!」
モンスター達を皆魔法筒に入れ終わったので、王様達にお礼を言う。キメラに乗りながらだったら図が高いのでやめた。
「ほっほっほっ、またいつでも来るが良いぞ」
なんと優しいのだろう。滅多に居ないかなりの人格者だ。
「では、さようなら」
キメラに飛び乗り、ぐんぐんとデルムリン島の方角へ進んでいく。
「今日は色んなことがあったなぁ…」
「そうそ、疲れて眠くなってきちゃったよ」
ふぁぁ、とあくびをしながらリエルは言う。
「ちょっと、寝ないでよ、落ちるし」
「…」
だが、返事は無い。
「…リエル?寝てないよね?」
「…寝る訳、ないじゃあないか。ちょっとうとうとしてたけど、目が覚めたよ」
そう言って、結んでいた髪を解き、その白いリボンを腕に巻く。
「…?なんで今?」
「うーん、気分?」
そう微笑む彼女の眼は、ほんのり紅くなっていた。
翌朝。
『私居なかったら君死んでたんじゃないの?』
(うう、すみません…)
字面が変だが、リエルはリエルに説教されていた。側から見たら森の中に一人で正座して険しい顔をしている変な奴認定だが、本人は至って真剣である。
『よし、私が君に甘くしたのがいけなかったんだな。そこら辺に居るのに頼んで本気で戦ってこい』
(ええ⁉︎無理ですよそんなの!)
『ほら、昨日みたいなことがあったら今度こそ死んじゃうよー』
(うう、背に腹は変えられん…)
「リエル、大丈夫?」
「し、死ぬかと思った…」
自分が回復するMPも無くなるほど戦いの練習をしていたリエルが瀕死になっていたところをダイが見つけ、家に運んで来てくれたのだ。
「そういえば、何か見せたいんじゃなかったっけ?」
ダイが大声で「リエルー!見てー!キレイな石拾ったー!」と叫んでいたのを思い出したリエルは聞く。
「あ、そうだった!リエル、見てよコレ!キレイだろ?」
そう言って見せてきたのは、野球ボールぐらいのサイズの青い宝玉。所々白も入り混じっている。
「何これ?」
「分かんない」
覗いても青と白しか映らない。外の景色を反射もしない。
「まぁ飾っときゃ良いんじゃない?キレイだし」
《誰かの日記》
ボロボロになっている古びた日記。中の紙は若干黄ばんでいる。開くたび内容が変わるが、日記自体に魔法力が込められている様だ。無限に書けるらしい。
【日記を貰った】
今日は、じいちゃんに日記を貰った。今日が何日かも分からないから日付は書かずにタイトルを書く。ここはダイの大冒険の世界。何故ここに転生したのだろうか。
考えても仕方ないので目標を書いていこう。
『ダイに地上を去らせない』
『バランを助ける』
『ハドラーを助ける』
『あわよくばダイポプ』
『ポップにメガンテさせない』
大体こんな感じだろう。そういえば日記ってその日にあった事を書く物だったからとりあえず書いておこう。日記をもらったはタイトルだし…
夕食は魚だった。
…少なっ。今日の出来事少なっ。
《リエルの日記》
名前にリエルと書いてある日記。さっきの日記と種類は同じ様だ。比較的キレイになっている。
[日記を貰った]
じいちゃんに日記を貰った。日付分かんないからタイトルを代わりに書いとく。今は多分7歳ぐらい?(数えてなかった)どうやらドラクエの世界のようだけど、デルムリン島なんて聞いた事もない。そもそも1から7までしかした事無いし、もしかしたら島の名前を忘れてるだけかもしれないけど。でも、魔王はもう倒されてる様だし、呑気に生きていけるだろう。そう書いていたら先輩に『ちゃんと運動と勉強しろ』って言われた。っていうか先輩ズルくないですか?バンバン私の思考読んでくるし、私は思考覗けないし。まぁそんぐらいしか書くことがなかったので今日はもう終わりにしよう。
つ、疲れた…
読むのは簡単だけど書くのは難しいですね…
学校が始まって塾も重なって書く時間が大幅に減少しました。辛い。
終盤の展開ばっかり浮かんで来て序盤の展開があまり湧いてこないって結構ピンチなんじゃないでしょうか。
話は変わりますが、私はダイポプが大好物です。腐女子になるまではダイレオだったりポプマだったんですけどね。いつかコミケに行って同人誌買ってみたいです。
リエルは頑張ってその時を生きているのでなるべく飛ばさない様にします。頑張らないと…
タイトルの「ダイの兄妹になりました。」は日本語が不自然というご指摘を頂き、改めて考えてみると「確かにそうだな…」と思ったのですが、タイトル変えるか変えないか皆さんの意見に委ねたいと思います。期間は私が次話を投稿するまでです。尚、選択肢「別にどっちでも良いかな〜。」以外の投票数がゼロ、もしくは同点だった場合今まで通り「ダイの兄妹になりました。」にしようと思います。ご協力お願い致します。
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「ダイの兄妹になりました。」で!
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「ダイの妹になりました。」で!
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別にどっちでも良いかな〜。