ダイの兄妹になりました。   作:単三水

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まだ失踪してません。



ダイ爆発!!!

勝手に死にかけた日の翌日、リエルは布団と格闘していた。

(ううっ、布団から出たくない…ねむい)

『おいっ、起きろよー、もう朝だよ』

そう言いながら先輩が布団を揺する。

(…あれ?先輩が布団を…?)

実態が無い筈の先輩が布団を揺すっている矛盾に気が付き、その方向を見た。

「…うわあぁっ‼︎先輩っ⁉︎その姿は⁉︎」

黒髪ロングで触覚ヘアーに、黒いリボンを右腕の手首に巻いた赤眼の少女がいた。

「…先輩って?」

直ぐそこで朝食を食べていたダイが聞く。

「どうしたんじゃ、起きて早々」

同じく朝食を食べていたブラスもいた。どうやら他の人には先輩が見えていないようだ。

「いや………夢」

「そっか」

誤魔化した。

 

周囲に誰も居ないお気に入りの大木の側に来て、話した。

(改めて聞きますけど先輩、その姿は何なんですか?)

『…』

返事は無い。

(先輩?)

『あっ、そうだ、この姿の時は思った事読めないから注意してね』

「先に言って!…じゃあ改めて聞きます、その姿は何なんですか?」

先輩によると、私の力を一部使っているらしい。何やら暗黒闘気なる物があるらしく、それを使った量によってこの姿の先輩の強さが上がるらしい。だが、その暗黒闘気は私の中にはほんのちょびっとしか無いらしく、もしあったとしても使い過ぎたら逆に暗黒闘気に呑まれてしまうらしい。で、この姿の先輩…

「いちいちこの姿の先輩って面倒くさいから幽霊状態と名付けましょう」

『由来は?』

「私以外には見えないからです」

『ナルホド』

幽霊状態で出来ることは、壁や人を通り抜けたり、私の周りの決まった範囲で動けたり、ある程度なら物も動かせたりするらしい。だが、今のところ呪文は使えないそうだ。

「…なんか、暗黒闘気って厨二病っぽいですね」

『いいじゃん、名前は私が決めた訳じゃ無いんだから』

「愚かなる愚民どもよ…我の暗黒闘気の前にひれ伏せっ!」

『止めろ』

 

〜約3ヶ月後〜

 

リエルは木で遊んでいた。デルムリン島には勿論木が沢山生えているので、ターザンごっこをしたり枝と枝を飛び移ったり折れて落ちた太い木の枝を力任せにぶん回したりと、まあとにかく木遊びのレパートリーが多い。その為夕方まで外で遊んで(途中で勉強と修業も挟む)日が沈むと家で勉強したり絵を描いたりして過ごす。デルムリン島は常夏なので海で遊ぶ事も多い。海で遊ぶ時は裸体でワイワイ泳いでいる(水着の素材が無いから仕方ない)。それがデルムリン島の日常だ。

『休憩の時間終わり!次は乗馬ならぬ乗モンスターやるよー』

二重人格の指導のもと修業が始まる。

(今回は誰に乗るんですか?)

『あばれザルだ。今回はただ走ってもらうだけではなく、ピオリムの詠唱もしながら行ってもらう。危険だから先にスカラもかけておいた方がいい』

(うへぇ、それ落ちたら結構な怪我するヤツじゃないですか。ピオリムで加速してくし)

 

『はい、休憩の時間。しっかり体力回復しとけよ』

「つ、疲れた〜」

たったこれだけで疲れるとは、と思う人も居るかもしれないが、モンスターは常識を覆す程の体力や怪力の者もいる。それにピオリムを足すのだ。ロデオマシンを知っているだろうか。体力のない者は直ぐに振り落とされるアレだが、あの最大威力の十何倍かはある。それにヘルメットなど何もないし、当たりどころが悪かったらそのままお陀仏なのもあって必死になる。そういう精神の焦りもあって、かなり疲れるのだ。

(あーもう修業したくない…)

『そんなこと言っちゃあダメだよ。もっとやる気が無くなる』

(こちとら命かけてんですよ⁉︎)

『でも、もしかしたらこの先、もっと命がけになるかもしれないよ?』

(そんな未来来る訳ないですよ、もう魔王も倒されたんですし。それに、主人公補正って物があるかも!)

 

『それ、本気で言ってるのか』

その時、先輩の声色が変わった。

『いいか、もうこの世界に慣れ、日常を楽しんでいるお前がいる。そりゃあれから十何年程経ったから当然だけど、その日常は真面目にしていなければいつか壊れるんだ。いや、真面目にしていても壊れるかもしれない。もしも前のでろりんの様に何かが襲撃してきたら?もしも魔王が復活したら?もしも、もしも、もしも。それに備えなければいけないんだ。そのもしもが起きた時、それまでダラダラしていたら待っているのは死だ。また死体にはなりたくないだろう?』

(………)

『勿論私もなりたくない。だから今の努力が必要なんだ。…簡単な事さ。前世でいう将来に向けての勉強と思えば良い』

その時、森の奥地の大穴の方から大きな音がした。

「⁉︎」

『ほら、早速テストの時間が来たようだよ』

 

「おーい!何かあったのー⁉︎」

大穴に着き、さっきの大きな音の原因が分かった。地面が割れたのだ。だが、その周りには居ない筈のダイ以外の人が何人も倒れている。しかもその側には魔のサソリが死んでいる。

「何でこんな事に…?というか誰…?」

その時、穴の下から声がした。

「リエルー!そこにいるのー⁉︎」

「ダイッ⁉︎」

リエルが穴を覗くと、そこにはダイと、女の人がいた。

「えっ⁉︎誰⁉︎…いや、そんな事より!待ってて、今ツタを千切るから!」

そう言って森に掛かっている手頃なツタを千切り、穴へ下ろした。

「ほら、ダイ!その人を担いで登って!」

 

「ダイ、何があったの⁉︎」

リエルがブンブンとダイを揺さぶりながら聞く。

「待って、説明は後!レオナが魔のサソリの毒にあてられたんだ!リエルはキアリー使えたっけ?」

「いや、まだ…レオナというのはその女の人だね?早くじいちゃんの所に運ぶよ!」

 

ダイ達が海岸に着いた時だった。

自分の二倍位もある巨体が、島のモンスター達と戦っている。

「あれは!確か、キラーマシン⁉︎」

『金属製の装甲で通常の攻撃は勿論、呪文に対しても高い耐性を持つ。安定性の高い四足歩行、一度に二回の攻撃ができる俊敏性を持つ、勇者を殺すために作られたマシンだ』

(えっと、弱点は…)

『今のところ無い。だが、これはゲームではなく現実だ、幾らでも突破口は作れる。それに、あの中に人が乗っているのが見えるか?』

(ああ、アレですね。という事は、あの中の人を攻撃できれば…)

その時、ブラスがキラーマシンに向かって呪文を唱えた。

《メラミ〜ッ‼︎》

ドオオーンと、キラーマシンの周りが火に包まれる。だが、煙が晴れると、それには傷一つ無かった。

「…どうやって倒そう」

「ダイ、私に考えがある。ちょっと聞いて」

 

「それ以上の狼藉はやめるんだ!」

「リエルッ!」

リエルがブラスに近づき、耳打ちする。

「あっちの森でダイとレオナさんが待ってる。レオナさんは魔のサソリの毒におかされてるから、キアリーをかけてあげて」

「いやっ、リエル、逃げろ!そいつはキラーマシン、勇者を殺すために生まれた殺人機械じゃ!殺されるぞ!」

「そんな事は分かってる、行って!」

そう言われてブラスは森に行った。それをキラーマシンは阻止しようとボウガンを撃つが、リエルのヒャドで軌道がずれる。

「あんたの相手はしばらく私だ!」

「ふざけた事をほざくな、小娘!」

 

さっき外れたボウガンを片手に、戦闘が開始した。

『あまり闇雲に攻撃をしたらいけない。弱そうな所を狙うんだ』

(分かりました)

ブンっと、キラーマシンが剣を振り下ろす。リエルはそれをかわして腕に飛び乗り、顔のガラス部分を攻撃した。しかし、

「…やっぱりか」

割れない。だが、簡単に割れたらいいなーという願望だけでこれを実行したのだ。大したショックは無い。ここで本来の作戦に移す。

《ヒャドッ!》

リエルはキラーマシンの顔面に氷を作った。

「ダイッ!」

そこでダイの名を呼ぶ。

「うおおおおおーっ‼︎」

キラーマシンが停止している所に、胸のガラス部分に思いっきり攻撃した。氷で目眩しをし、その隙に弱点を重点的に攻撃するという作戦だったのだが…。

《ギラッ!》

「アッツううウゥ⁉︎」

「リエルっ‼︎」

熱線がリエルを襲う。

「フンっ、賢者が呪文を使えないと思ったか‼︎」

「熱うぅぅぅ…えっ、お前賢者だったの⁉︎」

 

(マジか…物理的攻撃も呪文も放ってくるとなると、どう対策して良いか…)

そう考えていると、キラーマシンがリエルに向けてボウガンを撃った。

『危ない!』

刹那、ボウガンがリエルの目の前で止まった。先輩が受け止めたのだ。

「うわぁっ⁉︎」

『お前、私が居なかったら死んでたぞ‼︎攻撃に注意しろ‼︎』

「す、すいません‼︎」

 

「なっ⁉︎何故死んでいない!確かにあいつに向けて撃ったはず…」

リエルがすいませんと誰かに謝っていたのも気にせず、ただただ疑問に思う。すると、

「許さない…」

そう聞こえたと同時に、頭に奇妙な紋章が輝いたダイが目前に立っていた。そして、ダイがガラスの部分を持ち上げるようにすると目の前のガラスが下からパキパキと音を立てながらヒビが入っていく。ついにガラスは限界を迎え、粉々になって砕け散った。

「くそっ」

《ギラッ‼︎》

バロンはヤケクソになり熱線を放つが、無傷のダイ。自分の力では太刀打ち出来ない恐怖に打ちひしがれ、バロンは気絶した。

「…あっ!テムジンは⁉︎」

すっかり忘れていたとばかりに慌てて振り向くと、

「テムジンってコイツの事でしょ?捕まえておいたよー!」

ロープでぐるぐる巻きにされたテムジンが伸びていた。

 

「初めまして、レオナ姫。私、リエルと申します」

「あら、この子がダイ君の兄妹?結構可愛いじゃない!質素な服装な所がまた良いわね、

割と男ウケ良さそう!」

「お褒めに与り光栄です」

可愛いと言われて悪い気はしない。

「うーん、でも敬語は要らないわね。普通で良いわよ、普通で」

(良かった…)

正直な所、敬語はあまり得意ではない。使っていると精神的に疲れるのだ。

 

「さよなら。…姫」

帰り間際の姫にそうダイが言うと、姫が咄嗟に言い返した。

「ああ…そうそう!“姫”じゃなくて“レオナ”って呼んでちょうだい!リエルも!」

「ええっ、私も⁉︎」

「そうよ!今度からそんな他人行儀な呼び方したら口きかないわよ!」

そう言ってレオナはウインクし、去っていった。

「さよなら〜っ!レオナぁ〜またね〜っ!」

「バイバイ、レオナ!」

 

「なんか、活発な人だったね、レオナ。何処のお姫様?」

まだ詳細を聞いていなかったリエル。

「パプニカだよ。どんな国なんだろうね」

(パプニカかぁ…)

未だデルムリン島とロモスしか分からないリエルはこの孤島から旅立つ日が来るのかは知らないが、

「行く機会があったらいいなぁ」

そう呟いた。

 

夜。

(私、これからも修業続けますよ、先輩)

『おっ、昼にもう修業したくないって言った奴とは信じられない発言だな』

(だって、今日特に何も出来なかったんです、私)

どうやら大した活躍が無かったことを気にしていた様だ。

(それに、もしもが有るってことが今日分かりましたし)

『…そっか。分かってくれて良かった』

(ところで先輩、あなた本当に前世普通の人だったんですか?あのボウガン、私には撃たれたところすら見えませんでしたよ)

『普通の人だよ』

(そうですか…ん?ちょっと待って、普通に聞いたけどやっぱり二重人格じゃなかったんですか⁉︎)

『そうだけど』

(マジか…)

 

 

【リボン】

じいちゃんからリボンを貰った。手首につけよう。…なんか厨二病っぽいな…。

そういえば、この日記って無限に書けるらしい。今日気づいた。だって3年位使ってるのに全然ページが無くならないもん。こんなもん何処で手に入れたんだじいちゃん…

ハドラーからかな?にしては使った形跡全く無いけど。

 

[リボン]

じいちゃんから白いリボンを貰った。髪を纏める用に使うかな。先輩は手首に付けたい様だけど、いくらなんでも厨二病っぽいのでやめた。

 

 

【ニセ勇者一行】

ニセ勇者一行イベントをクリアした。死ぬかと思った。この調子で大魔王バーン戦までこぎつけるのだろうか。この先やって行けるか不安になってきた。

このでろりんが次会った時には気のいい近所の兄ちゃんみたいになってるんだから訳わかんないよな。

それにしても覇者の冠キレイ。と言うかこのサイズでダイの剣になるんだから凄いよコレ。質量保存の法則どうなってんだよ。

今更だけどもコレ日記じゃなくて思ってる事書いてるだけじゃあないのか?まぁいいや。私が日記と言えば日記なんだ!異論は認めん!以上!

…私なに書いてんだろ。

 

[偽勇者パーティ]

偽勇者が襲撃してきた。幸いな事に死亡した住民は一人も居なかったが、でろりんとずるぼんとへろへろとまぞっほだっけ?絶対許さん。

ロモスに行ってゴメちゃんを取り返し、何故かそこの王様から伝説の防具っぽい冠を貰った。そんなホイホイ国宝を他人にあげて良いのだろうか。

まぁそれはそれとして、修業が始まった。どうやらでろりんに殺されかけた事が原因で先輩が修業しようと思ったらしい。修業1日目で死にかけるとは思わなかった。

 




1話書き終わるその度にスランプに陥ります。
書きたいところだけ妄想が頭の中を駆け巡るんですけどね。何なんでしょうかね。
他の人みたいな文章力が欲しい…。月とスッポンぐらい差がありますよ(スッポンは私)。
それはそうと、今私は夏休みの課題と塾に追われています。もうちょっと宿題減らしてくれても…ええんやで?

追記
ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って日記入れ忘れてたあぁぁ‼︎危ねえぇぇぇえ‼︎

タイトルの「ダイの兄妹になりました。」は日本語が不自然というご指摘を頂き、改めて考えてみると「確かにそうだな…」と思ったのですが、タイトル変えるか変えないか皆さんの意見に委ねたいと思います。期間は私が次話を投稿するまでです。尚、選択肢「別にどっちでも良いかな〜。」以外の投票数がゼロ、もしくは同点だった場合今まで通り「ダイの兄妹になりました。」にしようと思います。ご協力お願い致します。

  • 「ダイの兄妹になりました。」で!
  • 「ダイの妹になりました。」で!
  • 別にどっちでも良いかな〜。

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