ダイの兄妹になりました。   作:単三水

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失踪してました。


勇者アバンと魔王ハドラー

翌日。先生に言われて岩をくくりつけながら走り込みをしていると、森の中でポップに会った。どうやら特訓をしているようだ。いつもなら寝ている筈の時間なのに、珍しい。

「ポップ、珍しいね。朝から修業してるなんて」

「うわぁっ⁉︎いつからいやがった、お前っ⁉︎べ、別にダイに対抗して練習してたって訳じゃねーんだからな!そこんとこだけは、言わせてもらうぜ」

気配を消して話かけてみると、やはり気づいていなかったようだ、驚かれた。

「それ、ツンデレの常套句だよ、ポップ…。いつから居たのかはついさっきから。いやぁ、私昨日すぐ寝ちゃったよ。ポップはどうだった?」

修業の疲れが出ていたのだろう、いつもより一時間ほど早く寝てしまった。

「すぐ寝たってお前、おれたちとずっと起きてたじゃねえか。寝ぼけてんのか?」

「えっ」

記憶が無い。どういう事だろう。

「ずっと怪談話して、アバン先生に止められるまで起きてた事忘れちまったのか?」

「うん。そんな事あったんだ」

何だろう、私にだけ思い出が残っていないというのはちょっと寂しい。何が原因なのだろうか。

「まさか、お前…」

「え?」

「いや、何でもねぇ」

はぐらかされた内容は何だろう、そう思っていると、ゴメちゃんがやってきた。

「あっ、ゴメちゃん。どうしたの?」

「ピッ!ピピッ、ピピピーッ!」

「えっ⁉︎ポップ、アバン先生がドラゴンに変わったって!」

恐らくドラゴラムだろう、生前あまり使ってない呪文だったが、インパクトが強かったため朧げに覚えている。

「えええーっ⁉︎本当かよ、それ⁉︎」

「うん、間違いないよ。早く向かおう!」

「ああ!」

 

「先生〜、ダイが黒焦げになっちゃったらどうするつもりだったんですか?」

「いやぁ…」

ポップが軽い感じで先生をジト目で見つめ、先生は鼻に手を当てながら説明している。それでもまだダイに切られたところが痛いのか、ダイに丁度いいサイズの氷をヒャドで作ってもらって冷やしていた。ゴメちゃんがダイにポップがダイに対抗するために一人で特訓していたことをチクり、先生がそれに笑っていた時、事は起きた。地震のような揺れが起き、島の魔法陣に何者かが入ってきたと先生が伝える。そして、緑色の肌をした男が此処へ降り立った。

「やはり復活していたか…魔王ハドラー!」

「…久しいな、勇者アバン」

「「ええっ!?」」

私とダイは先生が勇者だったことに驚きのあまり声をあげる。ポップは冷静だ、予め聞かされていたのだろうか。

「突然だが…手を貸せ!」

 

『…おかしい…さっきのポップの言葉もあるが、あれは…あのハドラーは…まさか…いや、場合によっては好都合…』

どうも先輩の様子がおかしい。何かあの魔王ハドラーっていうやつが来たのとは違う想定外の事態が先輩の中では起こっているようだ。

「…断る!」

「待て、アバン。お前にとってもそう悪い話ではない」

「また『世界の半分をやるから部下になれ』とでも言うのだろう」

「待てと言っとろうが!オレの部下になれとは言わん、大魔王を倒すため協力関係になってくれと頼もうとしておるのだ!」

「「「大魔王っ!?」」」

いくらなんでも怒涛の展開すぎる。先生が実は勇者で、魔王がその勇者にもっと強い大魔王を倒すために協力しようと頼んでいるのだ。驚かない方が無理という話である。

「大魔王バーン。今はオレと既に協力関係にある男が、何とか神々の協力により封印しているが、それが解けるのは時間の問題だ。そこで、お前たちと手を組み共に倒そうというのだ。放っておくとお前が守った人間たちもみな死ぬ。勿論オレは悪事から今後一切手を引く。どうだ、これでも断るというのか?」

「…変わったな。以前のお前なら、人間を見下して協力など絶対にしなさそうなものだが…分かった。協力しよう」

なんと、あっさり承諾してしまった。

「…信用して良いんですか?」

「良いのですよリエルさん、今のハドラーには敵意は感じられません。肉体的に成長したのと同時に、精神的にも成長しているようです。信用できる証拠としては十分ですよ」

(…ほんとにこれで良いんですか、先輩?)

心配なので先輩にも聞いてみる。

『ああ。理由は言えないが、今のハドラーは武人だ。よほどのことがあっても、本当の意味で私達を裏切ったりはしないだろう』

(何の根拠があって言ってるんですかそれ…)

 

何故か魔王であるはずのハドラーが仲間になり、あっという間に夕方になった。

「…え、明日から旅立つんですか!?私達」

「残りの修行はどうするんですか、先生」

「そーですよ、あと数日だけなら修行しても問題ないはずなのにどうしちゃったんすか先生〜」

スペシャルハードコース完了まで、あと四日。まだ半分にも達していないのに、明日から私はダイとポップと三人で、先生ハドラーと二人で旅立つことになってしまった。

「いやあ、なんというか…そう悠長なこと言ってられない事態になってしまいまして…」

先生がハドラーから聞いた話によると、どうやら昼に聞いた大魔王の封印はもう十数年続いているため一刻を争うらしく、先生達は神々の体力が無くならないうちに大魔王の封印の強化を図るべくカール王国にある破邪の洞窟に潜らなければいけないらしい。

「ということで、今日はゆーっくりと休んで、明日からの冒険に備えちゃって下さいね〜。それじゃあ私はハドラーと一緒にお夕飯を作ってきますので」

「おい、アバン!何故オレも作らなければならんのだ!」

「決まってるじゃないですか、親交を深めるためですよ〜。仲良くなるためにはお料理が最適ですからね!ほらほら。さっさとキッチンに来ちゃってくださーい」

ハドラーが先生に背中を物理的に押されてキッチンの方へ消えていった。

「…なんか、すごくほんわかしてるよね、今の空気…」

ダイが今の状況を見て冷静にツッコミを入れる。

「うん、勇者と魔王なんだから本来ものすごく殺伐としてる筈なんだけど…」

私もそれに賛同して返事を返した。

「ま、良いんじゃね?仲良くて悪いこたああるわけでもないし」

「確かにそうだよね。気にしないでおこう」

 

深夜、皆が寝静まった頃。

「おまえも気付いているな」

「ああ。だが…ハドラー、お前は良いとして、問題は…リエルだ」

「呼んだか、二人とも」

黒髪ロングに紅い目、右腕に巻いた黒いリボン。明らかに昼のリエルとは違う。

「!やはり、おまえもか」

「おまえもどころか、この現象の元凶は私だ。まだ法則がつかみきれてはいない、逐一報告するよ」

「そうしてくれると助かるな」

 

【R.ハドラー襲来】

想定外の事態だったが、こちらとしては好都合の展開になった。バーンを封印、という発想は思いつかなかったがヴェルザーと並行してよく十数年も耐えられたな。魔界の二大勢力だぞ、そう簡単では無いと思うのだが…。まあいい。明日からダイ、ポップ、後輩と共に冒険をすることになった。ちゃんと保存が利くものを持っていかねば…。

 

[魔王ハドラー]

三日目のスペシャルハードコースを受けるはずが、魔王ハドラーが来た。しかもアバン先生勇者だった。しかもしかも協力して大魔王バーンを倒すことになった。…おかしい、私の中では勇者と魔王って因縁の相手だったはずなんだけど…しかも仲良くお料理してたし…。まあそれはそれとして、明日から子供だけで旅に出ることになった。先生達は破邪の洞窟、というところに行くらしいが私達もいずれ行くことになるのだろうか。というか旅ってまず何処へ向かえば良いんだろう、前行ったロモスにでも行ってみようかな?




おかしい…いつのまにか一年経ってる…アニメも終盤に入ってる…あれ…?
すみません。内容がうまく出てこず、気がつくと一年も経っていました。何故かと言いますと、私はもともと他の人が書いた作品を原作通りに書くのが苦手だったからです。この事実に気づいたのは数ヶ月前でした。きっかけは完全オリジナルの小説を書いたところ一ヶ月に一話書けるという発見をしたからですね。
という事で大幅な路線変更をしたところ、このような内容に落ち着きました。多分路線変更してなかったら一生次話は出ていませんでした、ご容赦願います。
大変お待たせしてすみませんでした!!!(多分誰も待ってない)
でも多分また失踪します。

タイトルの「ダイの兄妹になりました。」は日本語が不自然というご指摘を頂き、改めて考えてみると「確かにそうだな…」と思ったのですが、タイトル変えるか変えないか皆さんの意見に委ねたいと思います。期間は私が次話を投稿するまでです。尚、選択肢「別にどっちでも良いかな〜。」以外の投票数がゼロ、もしくは同点だった場合今まで通り「ダイの兄妹になりました。」にしようと思います。ご協力お願い致します。

  • 「ダイの兄妹になりました。」で!
  • 「ダイの妹になりました。」で!
  • 別にどっちでも良いかな〜。

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