東方何でも屋   作:ミスター髑髏

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最近は暑いですし、これからも暑くなるんですって(絶望)
あと、小説には全く関係ないですけど、私ナイトミュージアムの3章で泣きました。
何ヵ月か前に金ローでやってましたよね。あれは泣ける。
長くなりましたが、ゆっくりしていってね!


吸血鬼はプリンで懐柔できる

「わ!そこおくの!?」

「ふぅーははぁ!戦術の組み立てがあまい!あまいぞフランちゃん!」

「こんなの、みとめないっ!!」

「認知しろ」

「⋅⋅⋅? きゅとして~!どかーん!」

 

フランの両腕がチェスの駒達を押し倒して行く。何屋は、あともう少しで勝てたのに⋅⋅⋅⋅。と愚痴りながらチェス盤から落ちた駒達を拾う。

なぜ仲睦まじく二人でチェスに興じているかというと、数十分に遡る───────。

 

ほわんほわんほわん⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅

 

 

 

 

 

 

 

「あなたは⋅⋅⋅⋅新しいオモチャ⋅⋅⋅⋅⋅?

ウフッ⋅⋅⋅⋅アハハハハハハハ⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅!簡単に⋅⋅⋅⋅⋅壊れないデネ⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅?」

「ふむ⋅⋅⋅⋅⋅⋅」

 

バタン。扉を閉じ、もう一度鍵を締める。

 

「十六夜さぁぁぁぁぁん!!?なんだよアレ!?」

「(はあ、やっぱりですか⋅⋅⋅⋅妹様を恐れてしまってい)「なんだよあの部屋!!?散らかりようがひどい!俺より酷い!!何より人形がマミってるのおかしくない!?」え?部屋?」

「部屋以外に何があるの!!?」

 

ぎゃあぎゃあ喧しく騒ぐ何屋。

咲夜もそっち⋅⋅⋅⋅?みたいな顔をしている。

何を隠そう、神嵜何屋はアホなのである!!変なところで!

 

「掃除しましょう!」

 

そう言って鍵を開け、扉の取っ手に手をかける。しかし、咲夜の細くしなやかな指に止められる。

 

(oh⋅⋅⋅⋅触られてる⋅⋅⋅⋅⋅。1ヶ月前までヤクザの潰し合いに参加させられてて、何人も殺ってきたおててを⋅⋅⋅触られてる。)

「危ないですよ。妹様に何もしないまま突っ込んでしまえば、一瞬で爆☆殺ですよ」

 

何かイントネーションがおかしかったぞ。

具体的にはロケット戦士が破壊されたときのように。

 

「じゃあどうするんだ⋅⋅⋅?」

「おにーさん、あーそぼ」

 

何屋が凭れている鉄の扉からコンコン、とノックの音が何屋の胸の下辺りから聞こえた。

 

「⋅⋅⋅⋅⋅⋅好きな食べ物とかあるかい?」

「? えーっとねー、プリン!」

「プリン沢山あげるから爆☆殺は止めてくれる?」

「たくさんプリンくれるの!?」

「ああ。約束は守るよ」

「わーい!やったやったぁ!じゃああそぼー!」

 

なんとか和解できたらしい。

プリンが好物だなんて可愛いな、と思った何屋であった。ちなみに余談だが、何屋は尋常ではないほどそうめんが好きだ。それこそ、三食全てがそうめんになるほど。

 

閑話休題

 

重厚な扉を開ける。

そこにいたのは先程とは打って変わって可愛らしく羽根をぴょこぴょこさせ、何屋に抱きついている少女だった。

しかしそれよりも目が行ってしまうのが部屋の汚なさ。

人形はクマから人の形をした人形まで、全てがマミっていた。マミられた時の綿が、そこら中に飛び散っている。マミっていない人形には額、胸、腹に銀のナイフがぶっ刺されていた。

ベッドの上にはナイフで切り裂かれた枕たちの中に入っていた羽毛が鏤められており、リアル羽毛布団になっていた。

ダーツボードにはレバ剣がぶっ刺さっていた。ちなみに壁はダーツボードと同じようにひしゃげている。レバ剣のせいで。

 

「何度見ても酷い。お片付けをしようか」

「ぷー!お片付けなんていつでもでき「プリン二倍」よしやろー!今すぐやろー!」

(妹様のお扱いが上手い⋅⋅⋅⋅⋅!?)

 

少年少女お片付け中⋅⋅⋅⋅⋅

 

「十六夜さん?十六夜さん?いざっ⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅し、死んでる!!?」

「ちょっと微睡んでただけです!」

「ゴッ!」

「わー!さすぺんすだ~!」

 

疲れてソファーに横になっていた咲夜の肩を揺らす何屋。死んでるだなんて不吉なことを言われたので一気に意識が覚醒し手で口を隠している何屋へ頭突きをする咲夜。何屋が悶絶する。

さすぺんすの意味を履き違えきゃっきゃしているフラン。

端から見れば家族のようだ。

 

「ところで、フラン。この部屋、きれいになったかい?」

 

額に手を当てながら、起き上がり、フランがいた部屋を見回す。フランも、そんな何屋に倣って、部屋を見渡す。

 

「うん。きれい。ありがと。おにーさん」

「いいよ。フランのお姉さんから頼まれてるからね」

「お姉様が?」

「君と遊んでくれってね。君のことを心配してたんじゃ無いかな?」

 

そっか⋅⋅⋅そっか⋅⋅⋅と考え込むフラン。

そして、冒頭に至る。

冒頭のチェスが強制終了させられ、拾った駒を何屋がもう一度並べていると、咲夜から肩を叩かれる。

 

「⋅⋅⋅⋅何か?」

「お嬢様からお話があるそうです」

「そ。────じゃあね。フランちゃん」

「うん。ばいばい。」

 

フランが手を振ったので軽く手を振り返す。

踵を返し、扉へと歩を進める。

 

「─────あ」

 

フランが思い付いたように声を上げる。

その声につられ、二人も振り返る。

 

「おにーさんの名前は?」

「───────ははっ。俺か?

俺の名前は神嵜何屋だ。一応、何でも屋を経営してた。今も継続してるぜ?

頼みたい事があるんなら⋅⋅⋅⋅⋅⋅はいこれ。

今後も、万の御用達をご贔屓にな」

 

何屋がコートの内ポケットからペンと焦げ茶色のカバーがしてある片手サイズの手帳にすらすらと何かを書き、ちぎり、フランに渡す。

紙には、『何でも屋利用券(無料)×5』と書かれていた。

 

「え⋅⋅⋅⋅無料?いいの?これ、×5ってことは、五回仕えるんでしょ?いいの?」

「いーんだよ。あんまり深く考えなくて。下らないことも、大事なことも、俺に頼れ。

でもな、その前にこの館のみんなを頼れ。この館におまえがいる限り、おまえは紅魔館の家族だ」

「⋅⋅⋅⋅⋅⋅! ありがとう!おにーさん!!これ、ずっと、ずーっと大切にするね!」

「でも、一回ぐらい使ってくれよ?」

「うん!」

 

じゃあな、と何屋が呟き、もう一度歩き始めると、フランが抱きついてきた。

ドスッ!ベギッ!と鈍い音がする。

───────ヤバ。腰骨砕けたかも。

 

「⋅⋅⋅⋅⋅ナニしてるんだ?」

「えへへー♪おにーさん成分ほきゅーしてるの」

(尊い⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅!)

 

抱きついてきたフランの頭を撫でる。髪がさらさらと何屋の所々に古傷が付いた手をすり抜けていく。

咲夜は鼻を押さえて朗らかな雰囲気を醸し出している二人から目をそらす。鼻血出てるんですか?

 

「じゃ、ほんとにバイバイ!」

「お⋅⋅⋅⋅⋅おう」

 

フランが離れると、何屋は腰を動かす。すると、ベキバキと間接の鳴る音がした。間接の鳴る音を聞いたことのないフランは、おろおろとして、咲夜と何屋を交互に見る。

 

「大丈夫だ。安心しろ」

「ほ⋅⋅⋅ほんと⋅⋅⋅?」

「ほんと」

 

何屋は腰をさすりながらフランのいる部屋を後にした。

 

 

 

「で、妹はどうだったかしら?」

「後で沢山プリン作らなきゃ⋅⋅⋅」

「(何があったのかしら⋅⋅⋅⋅)あやすのとは別に、あなたに依頼があるの」

「了解。して、依頼の内容とは?」

 

椅子に座りながら囈言のように、プリン作らなきゃ⋅⋅⋅プリン作らなきゃ⋅⋅⋅と連呼していたのだが、レミリアから依頼を受けると、何でも屋の顔になる。

 

「ええ。そうね⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅まず、私達は異変というモノを起こすわ。そして、その異変の時に、あなたには美鈴と共に門番をしてもらいたいの」

 

レミリアの深紅の瞳が、何屋を写す。

 

「あー⋅⋅⋅⋅⋅差し支えなければ、だがなぜ異変を起こすかを聞いてもいいか?」

「私の妹、フランドール・スカーレットが外出できるようにしたいの」

「異変の内容は?」

「深紅の霧を、ここ幻想郷全土に蔓延らせる。霧で吸血鬼の弱点である日光を防ぐ。こんな感じかしらね」

「分かった。ではな」

「待ちなさい」

 

レミリアとの軽い問答を終え、椅子から立ち上がり扉の取っ手に手をかける。そこで、レミリアに呼び止められる。

 

「ん? なんだ?」

「大図書館へ行きなさい。下に降りれば大きめの扉があるから、そこよ」

 

何屋はレミリアの顔を見ながら少しだけ考えに浸っていると、レミリアから目線を外し、咲夜へ一瞥をくれると無言のまま、部屋を出た。

 

咲夜は自身の主であるレミリアを見る。

その顔は妖しく笑い、これから起こることに心踊らせているようだった




フランちゃんが単純過ぎる?
何百年と監禁まがいをされてたので自分のやりたいことに忠実だとお考えください。考えてください(切実)

あと、オリキャラが増えそう。何人までならいいんですかね?
一応三人ぐらい追加予定なんですけど。ま、それはおいおい考えますか。
では。では。猛暑が消滅することを願って

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