スーパー戦隊このすばフォース   作:伊勢村誠三

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アイテム紹介 その5

ブリンガーソード

出典 鳥人戦隊ジェットマン
能力 鋭い切れ味
備考 ジェットマン共通装備


翼の覚悟

「あ、来た来た!和真君ここ!」

 

「七海先輩!すいませんお待たせしてしまって。

俺から誘ったのに。」

 

「いいって。俺も丁度同郷の君とはいつかじっくり腹を割って話したいと思っていたから。」

 

俺は総一さんからめぐみんが持っていた鍵の事を聞くべく、俺とが違って真っ当に転生特典を貰った筈の七海先輩に聞くことにした。

 

「しかし和真君から誘ってくれるとはな。

この店来たこと有るの?」

 

「前にリアがチケットくれて。」

 

「なるほど。因みに今日も出番あるぜ。」

 

と言って俺が奢るつもりで来たが俺の分までチケットをくれた。

金だけは自分で払った。

 

「先輩どれにします?」

 

「今日は海老みたいのが食べたい気分だからなぁ…。」

 

先輩は海老に似たモンスターの丸ごと湯でを、

俺は川魚のソテーを注文しリアの歌を聴きながら乾杯した。

 

「いや~、和真君から誘ってくれるなんて嬉しいね!

ジョーは酒は好きだけど寡黙で全然喋んないし、

ルカは酔うと手が付けらんなくなるからさ。

リアは未成年だし」

 

そう言って七海先輩は酒のお代わりを注文する。

 

「いいですね総一さんのパーティーは優秀そうで。

うちなんかプリーストの癖に敵に向かって行く馬鹿に、

魔力切れでぶっ倒れるアークウィザードですよ?」

 

「確かにあの顔だけの女神を手元に置き続ける君は勇者だよ。

何たってテメーの尻拭いのために他人に神器持たせて異世界送りにして

それで済まそうとするやつだよアイツ?」

 

「そうそう………いやちょっと待ったその話詳しく。」

 

その後七海先輩は時折酒を一気飲みしながら語った話を要約すると

 

1、アクアはへまやって転生特典を持ち逃げされた。

  しかもその原因はアクアが俺の時みたいに死因を馬鹿

  にしたから。

 

2、それでアクアは七海先輩に書類に無理やり指紋押さ

  せて転生させた。

 

3、しかも詳しい説明一切なし。

 

「最悪だなアイツ!」

 

「だろ!?そりゃ俺だって生まれ変わるか転生するかだったら転生の方を選ぶさ!

けどそれも自分で選んだんなら途中で投げ出したいとか思っても自分で選んだんだからって踏ん張れんじゃん!?

けど俺の場合半ば無理やりなわけよ!

もし本当につらい事が有った時にさ!

自分で選んだんじゃないしって諦めちゃったらダメじゃん!

相手は魔王軍だぜ?もし俺が戦わなきゃ誰かが死ぬ状況でそうなったらッて思うとさ!

怖いんだよ!諦めそうな自分がいて!

そんな保身的な本音が出て来る時点で!

こうして酒に頼ってる時点でさぁああ!お代わり!」

 

途中から情緒不安定になった七海先輩は泣きながら飲んでいた。

もう俺はアイツのパーティーメンバーとして、

身内が迷惑かけちまった立場として、

なにより後輩異世界転生者として七海先輩が酔いつぶれるまで付き合った。

店長につけを頼むと俺は先輩を背負って帰路に就いた。

 

 

「遅いな、総一の奴……。」

 

一人でカードをいじっていたジョーさんが呟いた。

確かにただ夕飯を食べに行くにしては遅い。

 

「確かに。

そう言えば同郷の子と食べていくって言ってたわよね。

酔いつぶれてその子に迷惑かけちゃってるかもよ?」

 

「あの総一さんがですか?」

 

普段から明るくてその一方で真面目で最年長でも無いのにこのパーティーを纏めてる総一さんがそうなる所は正直想像できない。

 

「酒には魔力がある。

時として人間を骨抜きにしちまうもんさ。」

 

そう言ってジョーさんは剣をもって立ち上がりました。

 

「ギルドの周りを探してくる。留守は頼んだ。」

 

「私も行きます!」

 

「リア……分かった。けどジョー。

残るなら貴方が残って。私が行くわ。」

 

「なんでだ?」

 

「貴方が残るんなら空き巣に入ろうとするやつはいないでしょ?

いざとなったら私は潜伏スキル持ちだし、リアには神器が有るわ。」

 

「分かった。二人とも頼んだぞ。」

 

ルカさんはギルドの方に、私は歌わせてもらってるバーの方に戻って総一さんを探した。

 

「総一さーん!総一さーん!

大丈夫かな……あ、アクアさん!」

 

探しているとき、丁度一ブロック先にアクアさんの後姿があった気がたが

 

「あれ?人違いじゃないよな?

気付かなかったのかな? ………。」

 

なんだか強い違和感を感じてアクアさん(?)を追って進みた。

その先で見たのは

 

<ラーーッイブマン!>

 

見たことのない海豚(イルカ)のようなメットの青い戦士に変身したアクアさんと

 

「な、なんでお前が!?」

 

総一さんを背負った和真さんがいた。

 

 

半日ほど時間を巻き戻し、アクセルの某所。

薄暗く沈んだ地下の部屋。

黒いローブ姿の若い女が一人佇んでいた。

 

「………来たか」

 

ガサガサと耳障りに聞き取りずらい声で女は呟く。

その後ろには

 

「はい。魔王軍行動隊長、

デンソーヅノー、ここに。」

 

女は懐から一本の黒いレンジャーキー、

ライブマンのブラックバイソンのキーを取り出しそれをデンソーヅノーの中にいれ、代わりに元々あったブルードルフィンのレンジャーキーを抜き取る。

 

「もう行って良いわ。」

 

「ははぁ!」

 

デンソーヅノーが自身の転移能力で去って行ったのを確認すると女は懐からモバイレーツに酷似したアイテムを取り出す。

 

総一の持つモバイレーツとは色が違った。

金色のはずの海賊マークの部分と

本来赤の部分は毒々しい紫色に、

本来銀のラインが走ってる部分と

青の部分は鮮血のような赤。

名付けるなら、

ダークモバイレーツとでも呼ぶべき代物だ。

それに女は、緑色のレンジャーキーを構え!

 

「臨気外装!」

 

<ゲーーッキレンジャー!>

 

獣人メレに変身した女は擬態で姿を消すと、

街に出て目的の者を探した。

 

 

「全くカズマの奴遅いわね。

女神を待たせるなんて大罪よ?」

 

ぶつぶつ文句言いながらもアクアは酔いつぶれて帰れなくなってるのでは?と心配するぐらいには和真と仲間と呼べる関係になっていた。

 

(それに飲みに行くんなら私も誘いなさいよ。

めぐみんはまだ飲みに行けるような歳じゃないとしても私は良いじゃない!)

 

かまってちゃんで意外と寂しがりなアクアとしては今回のような事はなるだけ辞めて欲しいと思うのだった。

 

(そりゃ付き合いあるのは分かるわよ?

けどこんだけ遅くなるってどうゆう事よ?

ヒキニートで貧乏の癖に酔いつぶれるまで飲むとかどうゆう了見?)

 

「全く、もっと私を敬いなさいよ。」

 

「その欲を満たす方法、教えてやろうか?」

 

「誰!?」

 

辺りを見回すが、声はするが姿は見えない。

 

「誰だか知らないけど、アンデッドの分際で女神に何を教えるっていうのかしら?」

 

「カンタンなことだ。お前の力を見せつけてやればいい。自分こそが必要なのだとわからせてやればいい。」

 

背後から腕を掴まれ、何かを握らされた。

ダークモバイレーツだ。

それから一気に紫色の瘴気の様なものが吹き出す。

 

「あ、あぐ!こ、これは………ッ!

ピュリフィケーション!ピュリフィケーション!」

 

並の穢れならこの程度でも祓えるが、

これから噴き出る瘴気は異常だ。

 

(ピュリフィケーションが通じない?

もしかして相性最悪の大地の呪いがベースなの?

だったら今の弱体化した私じゃここまで侵食されたら!)

 

「さあ、楽になりなさい。己が欲のままに。

あなたが人間に教えたことよ?」

 

そう言われてレンジャーキーを渡された瞬間、

アクアの意識は反転した。

 

 

5

俺は酔い潰れた七海先輩を背負って夜道を歩いていた。

結局めぐみんの持ってた鍵については何も聞けなかったが、それでもこの先輩が信頼にたる善人であると分かっただけ収穫だっただろう。

 

「結局この鍵はなんだったんだろ……ん?」

 

狭い道に入ったところで反対側から見覚えのあるシルエットがフラフラと歩いてきた。

 

「アクア?お前どうしたんだ?なんかフラフラしてるぞ?

まさかお前も酔ってるのか?」

 

流石に酔っ払い二人は面倒見切れないぞ。

七海先輩は思ったより軽いけどお前までは背負えないからな。

 

「カズマ………」

 

俺の名前を呟いた後ボソボソと何か言ったが聞き取れない。

 

「どうしたアクア?大丈夫か?

よく見たら顔昼間のめぐみんより真っ白じゃねーか。」

 

「うるさ………ダーク、ゴーカイチェンジ!」

 

そう乱暴に言い捨てるとアクアはポケットから毒々しいオーラのケータイ電話のようなアイテムと、めぐみんが持っていたのに似た青い人形を鍵に変形させる!

 

「まさか!」

 

「ぁあああ!」

 

<ラーーッイブマン!>

 

アクアはイルカみたいな青いメットの戦士に変身した。

その様子は、明らかにおかしい。

一か月も無い付き合いだが分かる。

今のアクアは苦しんでる。

 

「な、なんでお前が!?」

 

「ああ!」

 

腰のホルスターから銃を抜き、こちらに向けるアクア!

 

「ま、マズい!うわぁあ!」

 

エネルギー弾?が足元に炸裂し、すっ転ぶ俺。

 

「総一さん!和真さん!」

 

いつの間にか後ろにいたリアが応戦してる。

が、リアの神器は鍵盤で奏でた音色を増幅させて魔法の壁として撃ち出す防御全振りの武器だ。

リアに攻撃手段がない以上、長くは持たない。

 

(俺も応戦しないと!)

 

そう思ってショートソードを引き抜くが、振り返ったアクアの銃に撃ち抜かれてバラバラにされてしまった!

 

(マジかよ!なにか、武器!武器はないのか?)

 

そう思って酔い潰れた七海先輩の服を漁ると、アクアが持っていたのと色違いのケータイのような道具が出てきた。

それ以外にも俺がめぐみんから預かって持っていたのとは別の鍵が出てくる。

 

「まさか先輩の神器ってこれなのか?」

 

俺は恐る恐るケータイを開いた。

アクアみたいに黒いオーラが噴き出るような事はなく、

持っていても何ともない。

 

「俺にも、出来るのか?」

 

果たして俺に神器が使えるのか?とか、

めぐみんみたいな事になったり、

最悪代償で死ぬとか漫画でよく見る展開にならないか?

とか不安は有るが

 

「流石に仲間が人殺しになるのを、

止めない訳にはいかねーな!全くしょうがねえ!」

 

俺は七海先輩から借りたキーをポケットにしまい、

めぐみんから預かっていた黒い鍵をケータイに差し込み捻る!

 

「はぁ!」

 

<ダーーッイナマン!>

 

俺は黒い戦士に変身した。

両手にはV字型のブーメランが握られている。

まずはそのうち片方を投げる!

アクアの後頭部に当たった!

 

「ッ……カズマ!」

 

「お前の相手は俺だ!リア!

下がってろ!応援を呼んでくれ!」

 

リアが頷き、通りに消えていくと同時に

唸りながらアクアは銃を捨てて剣を引き抜き迫って来る!

 

「ああぁ!」

 

「うっ!っくう!」

 

ギリギリと黒いブーメランとアクアの剣がつば競り合う!

 

「なんで、そいつなの……」

 

この距離でなければ聞き取れない程小さな声でアクアは言った。

 

「カズマは、もっと敬ってよ。

私は女神…アクシズ教の御神体なのよ?」

 

「しるかよ!

だからってやっていい事と悪い事が有るんだよ!」

 

「なんでよ?……私は悪い事してない…。

したとしても、その男を送るみたいに…」

 

「いや自分の後始末を他人にさせんなや!

言っておくけど真の平等主義者たる俺は女子にも

全力でドロップキックを浴びせられる男!

たとえ相手が女でも男でも女神でも男の神でも言うべきことは言わせてもらうし!

ムカつかされたからにはぶっ潰す!」

 

俺はアクアの剣を弾いて一発強烈な蹴りを浴びせる!

しかしアクアは倒れながらも弓矢を出現させ、

俺の武器を撃ち落とした!

 

(マズイ!アクアはすぐ立ち上がって来る!

武器を取りにしゃがんだらやられる!)

 

俺は懐から適当に選んだ鍵にを取り出す。

大丈夫だ。この鍵は俺と相性抜群か、

アクアと相性最悪のどちらか!

時々とんでもない厄介ごとに巻き込まれちまうが、

その後の運の良さだけは人一倍強い!

それがこの佐藤和真だ!

 

「第二ラウンド行くぜ!」

 

<ジェーーットマン!>

 

俺は再び光に包まれ、鳥を思わせる嘴の飾りが付いたメットに黒いスーツに変身した。

 

「!?」

 

「わりいなアクア。着替えさせてもらったぜ。

折角お前みたいな顔だけは良い女とこんな夜にデートだ。

いや、人生に三回くらいしかデートし無さそうなお前にはわかんないか。」

 

「----ッッッ!!!」

 

(bgm 炎のコンドル)

 

どうやら今の挑発に冷静さを欠いたらしいアクアは再び剣を構えて突っ込んできた!

俺は腰に下げられていたビーム銃を撃つ!

 

「うわあああ!」

 

身体にぴっちりついたスーツの割には丈夫らしく、

火花を散らしながらぶっ飛んだわりにはアクアはに傷らしい傷は無さそうだ。

けどダメージは与えられてる!

 

「そらそら!ハチの巣にしてやるぜ!」

 

俺は銃をもう一丁構え、アクアに向かって突き進む!

ギリギリまで接近してナックルダスターを装備し、

アクアを天高くかちあげる!

 

「ぐわあああああーー!!」

 

俺は腰の剣を引き抜き、翼を広げて天高く舞い上がる!

 

「コンドル!フィニッシュ!」

 

袈裟斬りに切り裂いた!

変身が解除されたアクアをキャッチしながら降り立つ。

 

「たく、人騒がせな女神さまだ。」

 

心なしか安らかに眠るアクアを見ながら俺は1人呟いた。




名曲紹介 その5

炎のコンドル

歌手 若松俊秀
作詞 井上敏樹・そのべかずのり
作曲 松澤浩明
備考 ブラックコンドル専用曲

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