デンジブルー
出典 電子戦隊デンジマン
順番 2番目
色 青
正体 青梅大五郎
決技 デンジパンチ
1
「ふわぁ~~よく寝たぁ……あれ?」
起きるとそこは見知らぬ部屋だったわ。
確か私は…あの後ドゴーミンとか言うのを倒した後過労がたたって…
「アクアーーー!!助けてアクア様ー!!」
「え!?!な、なに!?」
見ると真っ青の顔をしたカズマとめぐみんが転がり込んで来たわ。
2人とも寝間着姿で肩で息をしている。
「二人とも大丈夫!?何があったの!?」
2人は呼吸を落ち着けるとぽつりぽつりといきさつを説明してくれた。
「昨日、臨時収入があったからそれとキャベツ狩りの1000000エリスと合わせてこのいわくつきの物件を買った訳だよ。」
「家具付き一軒家で、時々貴族の隠し子の亡霊が悪戯するぐらいならアクアがいればどうにかなると思ったんですが……」
「昨日!まさにお前がダウンしててダクネスがいない間に現れやがったんだよ!心霊現象が!」
曰く変な気配を感じてそっちを見ると初めからはそこになかったはずの人形がじっとこっちを見ていて、
無視しようとしてもどんどん増え始めて逃げ出したはいいが、
どんなドアにもロックがかかり、
窓を突き破ってみようにも窓という窓に人形がまるで黒いGの様に埋め尽くす様に蠢いている有様で眠れぬ夜を過ごしたらしい。
「あんの幽霊人様が墓場の手入れまでしてやったのに恩をあだで返しやがって!」
「次奴らが現れたらターンアンデッドを願いしますね!?
飛び切り強力な奴を!」
「まあ、それは良いけど…一個質問いい?」
「なんですか?」
「さっきこの家を買ったって話の時に臨時収入って言ったじゃない。
それなんなの?」
すると急に黙り込んだカズマとめぐみんはゆっくりと視線を合わせ
「……言っちゃいます?」
「できれば言いたくない。」
2
ヤッホー皆。カズマだよ。
話は昨日に遡り夕方。
俺たち4人は不動産屋と話をつけて屋敷を購入した。
「悪いなダクネス。金貸してもらっちゃって。」
「構わん。金は持ち続けてたって仕方ない。
使うべき時に使わないとな。」
そう言ったダクネスを先頭に屋敷に入ろうとした時、
「あ、いたわよキョウヤ!」
「見つけた!サトウカズマ!」
2人の女性冒険者を連れてやって来たのは、名前は忘れたが前に喧嘩ふっかけて来た紫の鎧のアイツだ。
「なんだ、お前か。
思いっきり殴ってやったにしては元気そうだな。
何の用だ?」
「何の用だじゃないわよ!」
「キョウヤの魔剣を返しなさい!」
話を要約するとズルして勝ったんだから魔剣を返せ。
との事だ。
「格下に勝負を仕掛けて置いて都合が悪くなれば約束を反故にする。
本当に都合の良い話だな。」
珍しくダクネスからキツめの言葉が発せられる。
まあ、初めから反りが合わなそうだったからな。
「そ、それは自分でも思う!
けどアレがないと駄目なんだ!
君が腰に下げてるその剣以上の物を用意する!
スキルだって幾らでも教えるし、
出来る事ならなんでもする!
だから魔剣を返してくれ!」
深々と頭を下げて懇願するミツルギ。
するとめぐみんがツンツンとミツルギを突き
「? なんだい?」
「まずこの男がもう魔剣を持っていない件について。」
サーっとみるみる青くなって行くミツルギ。
「さ、サトウカズマ?ぼ、僕の魔剣はどこに?」
「売った。」
「チクショーーーーー!!!!!」
3
薄暗いどこかの地下。
一人のロープの女が黒いケータイ、
ダークモバイレーツを取り出す。
番号を入力しどこかに連絡する女。
「デンソーヅノー。」
『はい。』
「ソウジキジゲンを寄こせ。」
『了解いたしました。』
その短いやり取りの数秒後に女の背後に一体の次元獣が現れた。
「ソウジキジゲン。ここに。」
深々頭を下げるソウジキジゲンに女は一瓶のポーションを握らせる。
「これでこの街を混乱させてやれ。」
「ははぁ!」
去って行くソウジキジゲン。
女はダークモバイレーツをしまうとロープを脱いで表の顔に戻った。
4
「んく!んく!ぷはぁ~~!
ひっさびさのシャワシャワは格別ね!」
「お前ホント好きだよな。程々にしとけよ?」
「いやよ!風だなんだでどれだけお預けを食らったと思ってるのよ?
その分思いっきり飲むのよ!」
「もう、今日はクエスト受けてないんですよ?」
「まあ、見てて気持ちのいい飲みっぷりではあるがな。」
丸一日かけて家の手入れや呪いの原因の除去をやった俺たちは大衆食堂でちょっと贅沢な飯を食っていた。
マツ……なんとかとかいうやつからパク…正当な報酬としてもらい受けた魔剣が結構いい値段だったので明日までなら食っていける計算だ。
「シャワシャワのお代わりお待たせしましたって和真!」
シャワシャワを運んできたのは赤いタオルを頭に巻いた総一さんだった。
「バイトですか?」
「ああ。この前魔王軍の幹部が来てるって言ってたろ?
それでいよいよクエストがなくなっちまってさ。
ジョーは変わらず子供に剣を教えてて、
ルカは宝石店で鑑定の手伝い。
リアは昼間はドンと、ドンってのはウチの馬な。
と荷運びの仕事と今晩はバーで歌手。
俺は見ての通りバイト。」
「平均レベル20後半のパーティーでもそれですか。」
「そうか、となるともう私らは実家に帰って筋トレぐらいしかやる事がないぞ?」
「確かに日銭稼ぐ以外はやることないな。」
明日からどうしようか?
もちろんダクネスに借りた分はそのうち返すつもりだし、何もしない訳にはいかない。
「それより店員さん?早くお酌してくれないかしら?」
「へいへい神様仏様女神様。」
「よろしい。」
上機嫌でジョッキを煽るアクア。
こいつ本当に酒好きだな。
「うふぅ!なんかこのシャワシャワちょっと甘くない?」
「甘くないって全部飲んでるじゃないか。」
「甘い?おかしいな。他のお客に出してるのと変わんないのを出したはずなんだけど……ま、いっか。
ごゆっくり~~」
空き瓶をもって去って行く総一さん。
幸運値だけは高い俺はなにか日本の食べ物でも作って売れないかな?とか考えながらマッカランを飲んだ。
5
「それで?いったい何作るの?」
三日後。バイトの傍ら色々考え、調べた結果、
俺はあんパンを作ってみることにした。
刑事ドラマやあの赤いスーツにマントのヒーローの頭部でおなじみのあのあんぱんだ。
この屋敷のキッチンなら結構器具が整ってるから色々出来ると思ってたんだ。
「あー、確かにこの世界にも小豆は有るし、
甘いし子供受けもよさそうよね。」
「と、いう訳でめぐみんが総一さんと一日一爆裂に行ってる今、俺とお前で試作品を作ってみようと思う!
と、思ったんだけど、アクアお前料理できるのか?」
「私を誰だと思ってるの?
アクシズ教の御神体、水と癒しの女神アクア様よ?
家事炊事繕い物に宴会芸と一通りできるわ!」
何でその人通りに宴会芸を含めるのかは極めて謎だが期待できそうだ。
「よし、それならまずあんこから作って行こうか!」
「ラジャ!」
昔家庭科の課題で作った事が有ったのでそれを思い出しながらやっていく。
小豆を何回か煮て、豆が割れたら芯がないかチェック。
なければ少しづつ水を入れて冷やし、砂糖を加えて炊く。
それから潰して何個かに分けて冷やし
「完成!」
「砂糖がちょっと高いのがネックね。」
「そうだなぁ……ま、とりあえず最後まで作ってから考えよう。」
パン生地をこねて粉を振った台の上に寝かせ、それが済んだらあんこを加えて成型し、発酵させてからゴマは手に入らなかったのでてり用に卵を塗って焼く。
「あ、おいしそう。」
「初めてにしちゃうまく出来たかな?
それじゃあ食べてみようぜ。」
何気に日本にしかない料理を随分久しぶりに食べたような気がする。
と言うかこっちに来て初めてなんじゃなかろうか?
「ん~~うまい!
ただのあんことパンをこんなに美味く感じるとは!
これが郷愁ってやつかな?」
「きゃずまがてづだったにしへはじょうへきへ。」
もっきゅもっきゅと口いっぱいに頬張ったアクアが何やらもごもごと言っている。
「喋るか食うかどっちかにしろよ。
この世界のキャベツじゃないんだから逃げて行かないぞ?
ほらあんこついてる。」
俺はアクアの頬に着いたあんこを指ですくって舐めた。
「え!?か、カズマ!?」
「カズマだよ?」
「い、今のって!」
「なんだよ。」
「……い、いえ、何でもないわ!ダクネスには悪いけど、とっとけないし、あんぱんリアたちにでも配っちゃいましょ!」
「あ、ああ。そう、だな。」
アクアの奴どうしたんだろうか?
急に様子がおかしくなったが、なんだ?
(ヤダどうしよ……相手は、相手はあのカズマよ!?
それなのに……何よ、この、胸の高鳴りは……)
怪人紹介 その10
ソウジキジゲン
出典 鳥人戦隊ジェットマン
地位 次元獣
武器 剣
備考 持てない男(結城凱談)