ホワイトスワン
出典 鳥人戦隊ジェットマン
順番 4番目
色 白
正体 鹿鳴館香
決技 スワニーアタック
1
やあ皆!七海総一だ。
魔王軍幹部がこの街に城を構えてから一週間が経とうかという今日。
俺は信じられない物を見ていた。
「アクア?何で手をつないでるんだ?
迷子になるほど混んでる訳でも、
そんなに寒い訳でもないだろ?」
「え!?…それは、そんその…ま、まだ怖いからよ!
わ、ワ二とか、思い出して……」
「そ、そうか…悪かったな。」
「う、ううんいいの!気に、しないで。」
眼球に何か呪い的な何かが巣くってなきゃ俺の頭がついにいかれたかのどっちかだな。
和真とあの駄女神がデートしてる。
あの周囲からパンツ狩りのカズマとかサトウゲスマとか呼ばれてる和真と、あの自堕落、無責任、投げやりと女神失格三拍子そろった借金プリーストのアクアがだ。
「ん?どうしたソウイチ?
そんなまるで真夏に陽炎の揺れる平原で雪精を見つけたような顔をして。」
驚愕する俺を見て和真のパーティーメンバーの1人、
クルセイダーのダクネスが話しかけて来た。
彼女は俺より年下だが冒険者歴とか職業のランクとか諸々差し引いてお互い呼び捨て、ため口で話す仲だ。
「ダクネス、何も言わずにアレを見ろ。」
「アレ?あそこに居るのはカズマにアクア?
……ん?待ておかしい。
どう考えてもクエストに行く方向じゃない。
まさか、デート!?あの明日のデート代も葛藤一秒でシャワシャワに変えそうなアクアと獣人までならどんなメスにでも発情するカズマ、通称クズマとがか!?」
お前の中であのバカ女神そういう扱いなのね。
そして和真は何やったら三つも四つもそんな呼び名がつくんだよ。
「馬鹿な信じられん。私は夢でも見てるのか?」
「いや生憎、かどうかは分からんが本当らしい。」
俺は同じ様に和真とアクアが並んで歩くのを信じられない物を見る目で見ている紫の鎧の男を指さす。
「む、あの無礼者は…」
「知り合い?」
「ああ。この前カズマに難癖付けてものすごい上からで私とめぐみんを勧誘してきた無礼者だ。」
「ほう、彼が。」
「攻めより受けが好きな私もアイツだけは生理的に受け付けん。」
「お前が言うなら相当だな。」
そんなやり取りをしてると、
その鎧の男が二人を追いかけて行くのが見えた。
「あいつまさか二人のデートを台無しにするつもりか!?
こうしてはおれん。とっちめてくる!」
「待てダクネス。
今飛び込んでいって騒ぎを起こしたら和真とアクアが騒ぎに気付いて戻って来る。
それはそれでデートが台無しだ。」
「ではどうする?」
「俺たち尾行するんだよ。
それで現行犯って所で二人にばれないように的確に路地裏に連れ込んでアクアに限らず回復魔法持ちを今すぐ勧誘しないといけない状態にしてやるのさ。」
「なるほど!きまりだな!」
かっこいいこと言っといてなんだが、
ぶっちゃけ俺も二人の事が気になっただけだが、
災い転じてなんとやら。
そんなふうに思う事態に巻き込まれるとはこの時露ほども思っていなかった俺であった。
2
いったい何事になるかと思ったが、特に何かをねだられる事も無く俺、佐藤和真とアクアの買い物は昼の買い出しに費やされていった。
何故かずっと手は繋がれたままだが。
「んー、こっちの肉の方がいいわね!」
なんて言いながらてきぱきと食材を選んでいくアクア。
こうして見てると、普段が不断なだけにイメージできないかもしれないけど、アクアは結構家庭的だ。
自分からやろうとしないというだけで。
「! な、なによじろじろ見て。なんかついてる?」
「こうして見てるとお前結構女子力高いよなって。」
「そ、そう?
そう言うカズマだって料理できるじゃない。」
「まあ多少はな。
けどやっぱアクアが作る飯の方が美味いよ。」
「え!?そ、そう?……ありがと。」
照れたように口元に手を当て、頬を赤くしながらちょっとそっぽを向くアクア。
「あ、ああ。アクアはその、
昔から自分で料理とかしてたのか?」
「そんなに。天界って結構なんでも有るから仕事ない時は漫画読んでお菓子食べてごろごろしてたし、誰かにご飯作るとか無かったなぁ…。」
ちょっと遠い目をしながらため息交じりに言うアクア。
こっちに来たばかりの時は天界に帰りたいと泣いていたが、なんだろう。
今の顔は天界を思ってるはずなのに詰まらなそうだ。
「毎日死者を送りだすなり書類と格闘するなりほとんど変わらない毎日。
変わる事なんて言えば少年エースの内容ぐらいね。」
なんか、聞いてると俺の不登校ライフに仕事足しただけって感じだな。アクアの天界ライフ。
「だからその、あんな形でのスタートとは言え、
冒険とかなんとか色々出来るこっちの生活も気にってるし、ある意味その、感謝、してるのよ?」
俺の顔を覗き込むようにしながらプニプニほっぺをピンクに染める。
あれ?こうして見るとアクアってかなり美人だぞ?
そんなこと思ったの初対面の時以来だけど!
「……ん!」
俺と目が合うと頬を赤くしたまま目を逸らす。
何今の!え、はぁ!?アクアさんまさか!?
まさかまさかのメインヒロインに名乗りをあげちゃいますか!?
いやぶっちゃけ初対面が初対面だったからちゃんと女性として見た事なかったけど!
馬小屋でその、してたときも髪の毛の匂いとか嗅いでみたけど女として見れなくて日本に居た頃読んでたエロ漫画とか思い出しながらしてたけど!
なんでお前のCVが雨宮さんなのかと思ってたけど!
声優の無駄使いだと思ってたけど!
まさかまさかの!あなたが?
ヒロインなの!?まさかの脈あり一号なの!?
「なによ呆けた顔して黙っちゃって。」
「い、いや!その、うん。
アクアの意外な一面が見れた気がして、な。」
誤魔化すわけじゃないけど、その、うん。
以外にもその、アクアが可愛くてとか、言えないし言ったらきもいかな。
うん、変に勘ぐって人間関係に亀裂作りたくはないな。
落ち着けカズマ。相手はあのアクアだぞ?
土木工事で現役土方より荷物を持ち、シャワシャワを一気飲みし、藁の上でも秒で涎をたらしながら寝れるあのアクアだぞ?
「ねえカズマ。」
「なんだよ。」
「もし、もしよ?その、私が、あなたを…好きって言ったら、どうする?」
瞬間俺の頭は真っ白になった。
今、今何と言いましたこの女神?
アクアが不安そうに上目遣いに見つめてくる中、俺は動けずにいたが
「あははは、あははははははははははははは!!笑える!これは本当に笑えるわ!!!」
ガサガサと耳障りな高笑いで我に返った。
声の方に振り向くと何もなかったはずの場所から緑色のカメレオンのような異形が現れた。
人々は悲鳴をあげながら逃げ惑う。
「あ、アンタは!」
俺の手を握るアクアの手がこわばる。
こいつの事を知っているのか?
「まさか水の女神ともあろう者が薬に造られた感情程度にここまで見事に道化になるとはねぇ!本当に格下!」
アクアの感情が薬のせい?
誰かから変な物を飲まされたり、自分から飲んだ場面なんてどこにも…いや待てよ?
そう言えば総一さんのバイト先に初めて行ったときアクアがシャワシャワの味に違和感を感じて無かったか?
「そ、そんな嘘よ!
私は薬なんかでそんなことになる訳!」
「別に薬かどうかなんて重要じゃないのよ。
重要なのはあなたが愛を持つかどうか。」
アイ?アイってアイラブユーのラブのことか?
「! カズマ危ない!」
急にアクアが俺を突き飛ばす。
背後から来ていた掃除機みたいな鼻の化け物がアクアに飛び掛かり何かを鼻で吸い取った!
「え?……ぁ、ああ……あ。」
急に信じられない物を見る様に自分の両手を見ながらその場に崩れるアクア。
よく分かんないけど、なんかマズイ!
「おいアクア!大丈夫か!?」
「カズマ?……どうしよう?
私、さっきまで胸がずっと熱かったのにスーって冷えちゃった…。
ここに、なんもないの。どう、しよう?」
つーーー…とアクアの頬を涙が伝う。
そして逃げて行って、いや、あの鼻長野郎に吸い取られたかけらを探す様に胸を抑えるアクア。
「アクア!」
「和真!」
逃げて行った人たちの波をかぎ分けてやって来た総一さんとダクネスが出て来る。
「テメエ、何企んでやがる!」
「実験にどうしても必要だったんだよ。
女神の力を取りこんで補助に使えば幹部以外でもレンジャーキー二本以上の出力にたえきれるか?ってね。」
そう言ってカメレオン女は二本のブラックコンドルに似た青と白のレンジャーキーを像鼻野郎に放り込む。
「うぉおおおお!力が、力が漲って来る!
これでもっともっと愛を吸い込んでこの星を終わらせてやる!」
「させるかよ!」
総一さんとダクネスがモバイレーツを構える。
俺は…
「二人とも下がっててくれ。」
「カズマしかし?…ッッ!!?」
驚いた顔のダクネスと総一さん。
俺は2人の前に出ると
「アクア連れて逃げてくれ。
おい像鼻野郎!女から愛を奪って泣かせるなんざ…俺が許さねえ!」
俺は右手についていたブレスレットのスイッチを押した。
羽が飛び出て、俺の身体は光に包まれる。
「なに!?」
「クロスチェンジャー!?
まさか、和真のジェットマン、もっと言えばブラックコンドルとの相性がそこまでよかったってことかよ!?」
(BGM 炎のコンドル)
俺はブリンガーソードを引き抜き像鼻野郎に迫った!
「無駄だ!」
鼻から強烈な突風を吹きかけられ吹っ飛ぶが、
すぐに空中で身を捻って壁を蹴り、
「バードブラスター!」
「うわああ!」
光線をお見舞いしてやる。
今度はアイツが吹っ飛ぶ番だった。けど生温い。
こんな程度で許す気はない。こんなのまだアクアが受けた屈辱の一億分の一だ。
「ブリンガーソード!」
「ぐわああああ!!」
再び近接武器に持ち替え、ダメージの残る部分に二撃、三撃と追撃を加える。
「ええい舐めるな!」
距離を取った像鼻野郎は鼻を俺の首に巻き付けてチェーンデスマッチの要領で引っ張り、バランスを崩したところを怪力であちこちに引きずり投げる。
「うわぁ!があああああ!!!」
「カズマ!」
「和真大丈夫か!」
「この程度!」
「ならこれだ!」
像鼻野郎は腕に内蔵された連射銃で俺を攻撃するが、その時に鼻を引っ込めた。
それは悪手だったな!
「やあああああーー!!!」
俺はダメージを無視して剣を構えて突っ込んだ。
敵も同じように突っ込んでくる。
「『スティール』っ!」
アイツの持つ剣が俺の手に握られる。
動揺する隙に俺は全力を込めた斬撃を遮二無二繰り出した。
「あが!ぐう!ああ!うわあああーー!」
無様に転がり伏す像鼻野郎。
「オラ立て!」
俺は首根っこを掴んでひったたせるとゼロ距離でバードブラスターのビームを当てて間合いを取り
「コンドル!フィニッシュ!」
必殺の一撃をお見舞いした。
爆風と共に転がって来たレンジャーキーを拾う。
見上げると、爆風の中心からピンク色の光が空に向かって散って行く。
おそらく今回の事のためにアクアにやったような手口で植え付けられた愛が元に戻ろうとしてるんだろう。
けど空の真ん中あたりで消えている。
所詮、作り物だったってことか。
「……あいつは、逃げたか。」
もうカメレオン女はいなかった。
俺は変身を解除して三人のもとに行く。
「アクア!」
見るとアクアも元に戻ってるようだった。
「大丈夫か?」
「うん。もう胸の変な感じもしないし、ばっちり復活よ!
お祝いにシャワシャワでも飲みに行きましょう!」
「賛成!」
やっぱアクアは本当に元に戻っていた。
俺へのその、感情も作られたものだったという事だったんだろう。
ま、なんにせよレンジャーキーも増えてアクアも元に戻って万々歳だ。
「ほらダクネス!総一さんも!」
「え?」
「い、いや…俺ら今回何もしてないし…」
「そ、それにカズマ本気か?」
「本気って?」
何やら歯に物が挟まったような言い方をする2人。
いったいどうした?
「二人がそう言ってるんならいいじゃない!
ほら、行きましょう?」
「あ、ちょおい!」
俺はアクアに引っ張られるまま街を走った。
それはなんだか、クエストを受け始めたばかりのジャイアントトードから逃げ回ってた頃を思い出した。
3
取り残された俺、七海総一とダクネスは走っていく二人を見送った。
「なんだったんだカズマのあの態度は?」
「もしかしてだけど、和真はあの駄女神にだけはあのピンクの光が普通に戻ってきてたの見てなかったんじゃないか?」
そう、他のアクア以外の奴らはそれが急に冷めてしまうような感情だったんだろうが、多分アクアのは、半分本物で薬でアクセル掛かっただけだったってことだろう。
「それは、伝えた方がいいんだろうか?」
「いや、黙っとくべきだろ。後はもう二人の問題だ。」
「……飲み行くか。」
「だな。」
昼間っからだがこの先の事を思うとちょっと面倒な予感がする。
今は、少なくともあの初々し女神さまがご機嫌のうちは取り合えず忘れて居たいと思い、俺たちは安酒をかっくらいにギルドに向かった。
怪人紹介 その11
メレ
出典 獣拳戦隊ゲキレンジャー
地位 臨獣殿女幹部
武器 なし(徒手)
備考 リンリンシー(アンデッドの様な存在)