スーパー戦隊このすばフォース   作:伊勢村誠三

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レンジャー紹介 その15

パトレン2号

出典 快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー
順番 2番目
色  緑
正体 陽川咲也
決技 バイカー撃退砲


こんなものか?

1

身体中が痛い。

彼女、ダクネスが最初に感じたのはそれだった。

自分が何をしていたかは思い出せないが、

きっと酷いことをしていたんだろう。

 

「じゃあこの魔法の実験台ってやつ行ってみようか。」

 

「いや総一さん!?」

 

「正気ですか!?死にに行きたいんですか!?」

 

「なんでだよ?

マジシャインの鎧が有れば何も問題ないだろ?」

 

「日銭を稼ぐためにあのかっこいい鎧を使わないでください!」

 

「じゃあこの起動要塞デストロイヤーの偵察か、

魔王軍行動隊の偵察のどっちかに」

 

話し声が聞こえて来た。

誰だろう?聞きなれた声だ。

何故だろう。

会った事が無いはずなのにあの尖がり帽子のアークウィザードが爆裂魔法の使い手で、

あっちのグリーンのマントの少年が盗賊スキルと初級魔法を巧みに組み合わせるトリックスターで、

あっちの赤い上着の男が特に芸は無いが戦闘になると普通に強いという事を彼女は知ってる。

 

(……ああ!これはあれだ。

私がパーティーに入りたいと言って魔王軍の小隊の偵察クエストを受けに言ったあの日の!)

 

あの日の様に声を掛けようとして、思いとどまる。

 

(もし、ここで声をかけなかったら?

私はカズマのパーティーに入ることも、

ソウイチ達と仲良くなる事も無く、

今まで通りいろんなパーティーにその時々で入って…

この後来るデュラハンとの戦いで足を引っ張る事も無い……。)

 

そう思って引き返そうとすると

 

「今のイエローはこんなもんか?

俺の知ってるイエローはもっと大事なものに本気だったぞ。」

 

いつの間にかギルド内に知ってる人は一人も居なくなっていた。

代わりに紺にグリーンの制服を着た若い男が立っていた。

 

「この先、立ち向かわないつもりか?」

 

「私のような不器用に何ができるというんだ?

こんな体が硬いだけの女、脆い心から切り崩されればこんなもんだ。」

 

そう言って私が去ろうとすると

 

「それで大事な物全部ほっぽりだして、

なにも背負ず生きていくつもりか?」

 

「私なんかが守り損ねるよりはいい。

私なんかあそこに、きっと何処にもいなくていい。」

 

「そうか。」

 

そう言うと男は太ももについた白い持ち手の付いた何かを引き抜く。

そしてそれにグリーンのアイテムをセット!

 

<2号!パトライズ!>

 

銃身を下向きに半回転させ、両手で構え

 

「警察チェンジ!」

 

<パトレンジャー!>

 

グリーンと白のスーツに、金色のエンブレムの付いた黒いバイザーのレンジャーに変身した!

 

「パトレン2号!」

 

パトレン2号に変身した男はダクネスに殴りかかった。

両腕でガードするダクネス

 

「何をする!」

 

「何処にもいなくていいんだろう?

だったらなんで今俺の攻撃を受け止めた?

まだやる事が有るからか?」

 

「そ、そんなものは……」

 

「じゃあなんで俺の拳を離さない!?」

 

ダクネスの腹部に遠距離武器のVSチェンジャーを当てて引き金を引く。

たまらずダクネスが飛びのいたところでパトレン2号は銃身に取り付けたアイテム、トリガーマシンを付け替える。

 

<バイカー!パトライズ!警察ブースト!>

 

「バイカー撃退砲!」

 

放たれた必殺技を避けるダクネス。

 

「な、なんでだ?

何で私はこんなにも、こんなにもしがみつく!!

私なんか終わったっていいだろ!なのに何で!?」

 

戦闘中にもかかわらず地団駄を踏み癇癪を起こすダクネス。

父に矯正された癖だが、まさかそれが戻るほどに自分はギリギリなのかと頭の片隅の変に冷静な部分は驚いていた。

 

「それはお前が守れなくて出来なくて悔しいからだ。

それでいいじゃないか。敗北も勝利に必要な手順だ。」

 

「だ、だが私はクルセイダー…失敗は、失敗は仲間の死だ!」

 

「お前の仲間は!

守ってもらわないといけないほど弱いのか?」

 

「………いいや。皆、私より強い。」

 

「その答えじゃ半分だ。例えば俺の先輩、

パトレン1号とパトレン3号は俺にはない力を持ってる。

君にブラックの彼みたいな奇策は思いつくか?

魔法使いの彼女みたいな火力は有るか?

青髪のカワイ子ちゃんみたいな器用さはあるか?」

 

「ない……」

 

「それでいいんだよ。でっかい壁は皆で登ればいい。

俺たちの使命は悔し涙の先にある。」

 

変身を解除して人懐っこそうに笑うと

 

「だから今は目いっぱい泣いていい。

それから決して泣かないヒーローになるって誓えばいい。」

 

だから自分で出来ることを背一杯すればいい。

そう言った。思えば、私は誰かに頼ることにあまりに慣れてなかったかもしれない。

 

「ありがとうパトレン2号。」

 

「俺の言葉じゃないよ。

俺も励まされた先輩から貰った言葉だよ。

それに気付いたのはお前だ。よく気付けたな。

友達の為に全力で頑張れる君は、

俺の惚れたイエローレンジャーにも負けず劣らずだ!」

 

「……いってきます!」

 

走ってギルドを飛び出していくダクネス。

しばらくパトレン2号の青年、陽(ひ)川(かわ)咲(さく)也(や)は踵を返し

 

「さて、そっちは頼みましたよ圭一郎先輩、つかさ先輩。」

 

 

2

一閃、二閃。パトメガホーとジョーの剣が何度も交差する。

 

「中々やるな。だが私には勝てん。」

 

ジョーが対峙する紺に桃色の制服の女はジョーより息が上がってるにも関わらず断言した。

だが不思議とジョーも、彼女に自分が勝てる姿をイメージ出来ない。

 

(なぜだ?実戦経験?武器の練度?

どれも違う。それが分からなければ勝てない。)

 

それはジョーの戦士としての直感だった。

それにジョーは勝たなければならない。

 

この女が言うことを信じればだが、

ここはアクセルから遠く離れた場所で、勝ったどちらかしか戻れないとの事だ。

 

(なら俺は戻らないといけない。

こいつに勝って魔王に勝って必ず正進怒涛流こそが最強の剣技だと証明する!)

 

「はぁああああ!」

 

「たぁああ!やああ!」

 

打ち合いで押し負けがら空きの腹部にパトメガホーを叩き込まれる。

込みあがってくるものをなんとか押し込みながらジョーは2歩3歩と後ずさった。

 

「お前は、何のためにその剣をふるう?

何で剣をやりたいと思った?何のために戦い続ける?」

 

………はじめは国の近衛兵になって安定した暮らしがしたくて剣を習った。

才能は有ったし、運動はもともと得意だったからジョーはすぐに弟子の中でも一番になっていた。

 

けどどうあったって師匠には敵わなかった。

そりゃあ簡単に勝ててしまえばわざわざ教わる意味はないし、自分含めて門弟が何十人も居るわけがない。

それでも絶対に勝ちたいと思ったジョーは師匠に聞いてみた。

 

「師匠は剣を持つにあたって一番大事だと思う事は何ですか?」

 

「んー、これは俺の場合だけど、

いつか見たいと思うんだ。

剣を握らなくていい世界を。」

 

なんだそれ?戦いの技で戦いを最後捨てるために強くなるって矛盾しないか?

 

とその時は思ったが、国が魔王軍に滅ぼされたその日、ジョーは思い知った。

 

この焼き尽くされる地獄こそ師匠がなくしたいものだ。

師匠はこれが見たくなくて剣を鍛えていたんだ。と。

 

その後運よく生き残ったジョーは諸国を巡りながら武者修行をした。

必ず戦いを終わらせるために。会えなくなってからようやく尊敬することのできた師匠の夢を果たすために。

そして長い放浪の末仲間に会って、街に住んで…

 

「思い出したみたいだな。」

 

「ああ。いつの間にか手段と目的がすり替わってたみたいだ。」

 

「それが分かったんなら言うことなしだ。行け。」

 

「礼を言う。それから、一つ聞いていいか?」

 

「なんだ?」

 

「あんたスーパー戦隊か?」

 

「…さあな。」

 

去って行くジョー。

それを見送っていると背後から誰かが来る。

 

「咲也か?」

 

「はい!そっちは終わりましたか?」

 

「ああ。後は圭一郎次第だ。」

 

 

3

魔王達が去った後、俺、七海総一は動かなくなった5人を運んでギルドに戻った。

事情を説明し街のプリースト達に浄化をかけてもらいモバイレーツは浄化できたのだが

 

「すいませんソウイチさん。

5人の体に残留した呪詛はなかなか浄化出来なくて…後は皆さんの精神力次第です。」

 

あの時一緒にゾンビメーカーの討伐に行ったプリーストの子が申し訳なさそうに言う。

 

「気にすんな。俺の仲間はそんな柔じゃない。

心配ないさ。」

 

俺は外の空気を吸ってくると言って席を外した。

人目がなくなった瞬間、汗が止めどなく吹き出てくる。

体全身が震えて今にも逃げ出したい。

 

直ぐにエリス教会に駆け込む。

電話ボックスの様な2つの箱に、懺悔室に入る。

 

「どうなさいました?」

 

反対側の箱から男の声がする。

神父だろうか?

 

「神父様、罪は…まだ法に触れない限りで犯してないんですけど、今すぐ誰かに話さないと不味い事があるんです。聞いていただけますか?」

 

「はい。話しなさい。」

 

俺は一泊置いてどこまでレンジャーや魔王とかについて話していいか悩んだが、掻い摘んで話す事にした。

 

「俺は、冒険者で…自分で選んでやってないんです。

だからそれを理由に投げ出さない様に、リーダー?

ほど大層なもんでもないけどやってるんですよ。

けど、今、仲間がピンチなのに諦めかけてる自分がいて…どうすればいいか……」

 

神父は黙っていたがやがて口を開き

 

「俺も苦しみながら選ばざるを得なくて戦った人達を知っている。

そいつらはきっと他にもやりたい事が沢山あったんだろうけど、手段は間違っていたが自分の正義に基づいて戦った。

今君が悩んでる中で何もかも投げ出して自分の為だけに行動するという選択肢がないのなら、君は自分の大切な者の為に戦うべきじゃないか?

あの日、燃え盛る村で戦うことを選んだ様に。」

 

「え?」

 

俺は懺悔室を飛び出て反対側の箱を見た。

しかしそこには誰もいなかった。

代わりに『パトレンまんじゅう』と書かれた可愛らしいお菓子が二箱置かれている。

 

「……先輩方、いつも叱咤激励ありがとうございます。」

 

俺は誰もいない懺悔室に敬礼をして、お菓子を持つと教会の外に出る。

 

「いた!ソウイチ!」

 

「ジョー!ダクネス!意識が戻ったか!」

 

「ああ。悪かったな迷惑かけて。けどもう平気だ。」

 

「和真達を取り返しに行こう!」

 

「……なんかお前ら、

顔付きって言うか、なんか変わったな。

誕生日でも過ぎた?」

 

「いや、ちょっと初心に帰っただけだ。」

 

「そうだな、強いて言えば久しぶりに褒められたぐらいかな?」

 

よく分からんがもうスランプは抜けてくれたらしい。

俺が安心したところでモバイレーツが鳴る。

 

「もしもし?」

 

『よう!電話出来るぐらいには元気そうだな!』

 

「バスコか。」

 

『ああ、お前にいい話がある。

お前らが持ってるレンジャーキー全部持って来いよ。

そっちがその気ならお仲間と交換してやるよ。』

 

「……場所は?」

 

『総一さん!こんな奴の言うこと聞く必要グッ!』

 

何かを蹴るような音、続いてめぐみん達が和真の名を呼ぶ。

 

『ごめ〜ん足が滑っちゃった!

で、どうする?取引しちゃう?』

 

「いつまでに行けばいい?」

 

『明日の正午までにアクセルの北の採石場まで。

それじゃあよろしく〜〜』

 

向こうから通話が切られる。

俺たち3人は頷き合い、

 

「それじゃあ、行こうか、仲間を取り戻しに!」




名曲紹介 その15

ヒーローは決して泣かない

歌手 陽川咲也(横山涼 )
作詞 横山涼
作曲 大石憲一郎(Project.R)
備考 パトレン2号専用曲
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