ダイナブラック
出典 科学戦隊ダイナマン
順番 2番目
色 黒
正体 星川竜
決技 伊賀流忍術
1
「だ、大丈夫かアクア?しっかりしろ………、
その、今日はもう帰ろう。
請けたクエストは三日でカエル五匹の駆除だけどこれは俺たちの手に負える相手じゃない。
もっと装備なり仲間成り集まってからにしよう。」
正直言ってあのカエルに獲物を捕食すると食べきるまで動かなくなる習性が無ければ仕留められなかっただろう。
流石に元気に動き回るカエルに向かって行く勇気は俺にはない。
「賢明ね。」
アクアの背後にカエルが来た瞬間に逃げ出した女の人が戻って来た。
「通用の戦闘には前衛職が、
ダンジョン攻略には盗賊が必須。
冒険者とプリーストじゃアンバランスすぎるしね。
それに相手はジャイアントトード。
呪いを使ってくるような敵じゃないし、
回復魔法が必要な斬撃攻撃をしてくるような敵じゃないしね。」
「……てことはなんだ?
アクアお前はこの手のクエストで何の役にも立たないってことか?」
ビクッ!と座り込んだままのアクアが震える。
「流石に蘇生とかもカエルに消化されちゃったら無理だろうからね。」
「つまりなんだ?
お前が余裕ぶっていたのはそもそも戦闘に介入する余地が無かったってことか?
そうか。
だったら助けてくれなんて無茶な要求して悪かったな。」
「さっきから…舐めるのもいい加減にしなさーい!」
粘液ぬるぬるのまま、
身体中をテカらせたまま勢い良く立ち上がるアクア。
そして遠くに居たジャイアントトードをキッとにらむ。
「アクア?お前まさかあいつと戦うつもりか?」
「やめときなさい!また食べられて終わるだけよ!」
「カエルにも最弱職にも盗賊にも舐められたままで引き下がれるもんですか!」
俺と女の人の忠告も無視して全力ダッシュで駆けていくアクア。
カエルもこっちに気付いてアクアに向かって行く。
「私はもう、穢されてしまったわ。
たかがでっかいだけのカエルにここまでの目に遭わされて引き下がったなんて知れ渡れば信仰心なんてダダ下がりよ!これでカエルに引き下がったら美しくも麗しいアクア様の名が廃るってもんよ!」
心配するなアクア。
日頃おっさんたちの数倍の荷物を運んで汗を流し、
ふろ上がりの晩飯を何よりの楽しみにし、
馬小屋の藁の中でよだれ誑して寝る姿を見れば念液まみれなんて今更だ。
「冒険者より土木工事の方が長い奴が何言ってるんだか。」
隣の女の人もだいたい同じようなことを思っていたらしい。
「ゴッドブロー!!」
「おお!」
「なにあれ!?」
拳に白い光を纏ったアクアがジャイアントトードに飛び掛かる。
「ゴッドブローとは!
女神の怒りと悲しみを乗せた必殺の拳!
相手は死ぬ!」
そして拳はぶよんと柔らかい腹にめり込みカエルは何事も無かったように……。
「か、カエルってよく見ると可愛いと思うの」
………俺は動かなくなった二匹目のカエルを討伐して
念液まみれで泣きじゃくる女神を連れてその日のクエストを終えた。
2
「て事が有ってね。」
「やっぱり苦労してるか。」
「ま、あの塵女神がお荷物になって二匹も討伐できるんだから大したもんだ。」
夜、俺、七海総一たちは新居にて夕食を取っていた。
作ったのは俺。
ジョーはケーキとかなら作れるがそれ以外からっきしのスイーツ系剣道男子で、ルカとリアはそこら辺の女子力底辺なので必然的に夕飯は総一が作る事になるのだが、
(俺だってそんな美味い訳じゃ無いよ。
たまたま大学遠かったから一人暮らししてただけで
二刀流スキルに中級以上の魔法も相性良かった火と雷は取れたし、少しなら身体強化系も取ったし、
もうちょい余裕出来たら料理スキルでも取るか。)
そう思いながら自分で作った大して美味くないサンドイッチを平らげる。
「私たちも和真さん達を手伝った方がいいんでしょうか?」
「そうね、あの子達、最後にパーティーメンバーを募集するって言ってたから誰も集まんなかったら手伝うぐらいはしてもいいんじゃない?」
なんて冗談で話していた。
だってジャイアントトードだよ?
魔王軍相手にし過ぎて感覚麻痺ってると言われればそれまでだけど、ただのでっかいカエルよ?
それ倒すだけなら適当に暇な奴が先輩風吹かせて手伝ってやると思っていたが。
「だれも来てないね。」
「来てませんね。」
和真君達のテーブルに近づこうとするものは一人もいなかった。
他のパーティーは二、三言で終わる面接で握手からの即出発って感じだが
「いくらズブの素人しかいないとは言えジャイアントトードよ?
そりゃ打撃技はどんなに強力でも効かないけどそんな強敵って訳でも」
「……いや、これ見てみろ。」
ジョーに言われて和真君達が張ったと思われるパーティー募集の依頼を見る。
「目的魔王討伐って……」
「最終目的そこでも一足飛び過ぎでしょ?」
「しかもここの上級職限定って…」
「うちのパーティーだったらジョーしか当てはまる奴いないじゃねーか。」
幾らなんでも話が飛び過ぎだ。
ジャイアントトードにてこずってて募集するレベルじゃない。
「あ、でも一人凄く背の低い
ぱっと見小学生くらい、精々中学一年生位の背格好の
とんがり帽子に黒マント黒ブーツ。
そして自分の背丈ぐらいの杖を携えた何処から見ても魔法使いの少女だ。
「我が名はめぐみん!
紅魔族随一の魔法使いにして爆裂魔法を操りし者!」
少女は和真君達を前に高らかに名乗った。
「ほぉー、紅魔族か。」
「なにそれ?」
「生まれつき皆高い魔力と高い知性を持ってて、
大抵
「その名の通り極上のルビーみたいな真っ赤な目をしてるの。」
「ルカさんはすぐそれですね。」
「宝石は浪漫よ?お金と違って暴落しないからね!」
さてうちのパーティーが仲が良いのが再確認できたのは良しとして、和真君達も頼もしい仲間を見つけられたようで、早速食卓を囲んでいる。
「さて、
なんでもこの辺りでゴーミンが目撃されたらしい。
偵察クエスト出てたから行こうか!」
3
やあ皆!カズマだよ。
俺たちは満腹になっためぐみんを連れてジャイアントトードにリベンジに来ていた。
「爆裂魔法は最強魔法。
それ故準備に結構時間がかかります。
準備が整うまであのカエルの足止めをお願いします。」
気付いた一匹が向かってくる。
だが更に逆からも別のカエルが向かってくる姿が見える。
「じゃあめぐみん。
あっちの距離ある方の奴を頼む。
近い方は…おいアクア!
今度こそリベンジだ。お前、一応元なんたらなんだろ?
偶には元なんたらの実力を見せてくれ!」
「元って何よ!前にも行ったけど現在進行形で女神よ!
アークプリーストは仮の姿よぉ!」
「……女神?」
「・・・を自称する可哀そうな奴なんだ。
時々こういったことを口走るがそっとしといてやってくれ。」
俺の言葉に、同情の目でアクアを見るめぐみん。
「なによ!打撃が効き辛いカエルだけど今度こそ女神の力を見せてやるわよ!
見てなさいよ2人とも!
今のところ活躍してない私だけど今日こそは!」
そう言ってカエルに突貫していき頭から齧り付かれたアクアはやがて動かなくなった。
学習能力のない女神さまのお陰で俺は難なく通算3匹目のカエルを討伐できた。
そしてめぐみんの方は
「見ていてください。
これが、人類が行える中で最も威力のある攻撃手段。
………これこそが爆裂魔法です!」
マントの内側から赤、黒、青、黄、桃色の五つのカギの付いた数珠のようなアイテムを取り出す。
そして何やらカッコ付けたポーズを取った後、
空気が、変わった。
めぐみんの呪文が紡がれるごとに周囲は震え、
鍵束から出る黄金の光は輝きを増し、杖にビリビリと力が漲っていく。
魔法をよく知らない俺でもよく分かる。
これは、凄い。
めぐみんの杖先に灯がともった。
膨大な光をギュッと濃縮した様な、とてもまぶしい小さな光。
めぐみんが、赤い瞳を鮮やかに輝かせ、カッと見開く。
「『エクスプロージョン』ッ!」
平原に一筋の閃光が走りぬける。
めぐみんの杖先から放たれた光は吸い込まれるようにカエルに刺さると……!
それは開花した。
目もくらむような強烈な閃光と轟音。
そして吹き荒れる風さえ殺傷の力を秘めてるのでは?
と思わせるほどに強烈。
俺はなんとかぶっ飛ばされない様に踏ん張り、嵐が過ぎると立ち上がった。
カエルは塵も残らなかった。
軽く50メートルは出来たクレーターの下にさっきめぐみんが狙っていたのとは別のジャイアントトードの腕が、
辛うじて遠目から色がわかる程度に残っている。
「………なんじゃこりゃ?」
おそらく乾かない様に潜っていただろうが、
その為にさっきの破壊の嵐の餌食になってしまったのなら同情する。
「おいめぐみん!
お前さっき何処にも入れてくれるパーティーが無いとか言ってたけどこんだけ強いなら何で………」
振り向くと、
そこには完全に脱力して動かなくなっためぐみんがいた。
白目を剥いて口から泡を吹き、
血色の無くなった肌は人形の様だ。
「まさか、燃料切れ?」
俺はカエルの念液まみれになって泣きじゃくるアクアと辛うじて心臓と肺だけは動いているめぐみんを背負って俺たちはギルドに帰還した。
4
「ぅ……………ん?」
「目が覚めたかめぐみん?」
気が付くと、私はギルドでカズマさんのおかしな上着をかけられてギルドのベンチに寝かされていた。
カズマさんはずっと付き添ってくれていたそうで、
アクアはカエルの粘液を落としに大衆浴場に行ったそうです。
「爆裂魔法が一発撃ったらああなるレベルの魔法なら先に言ってくれ。
本当に死んだかと思って心配したじゃないか。」
カズマさんは口調こそ叱るような言い方ですが安心したように笑いながら言いました。
「ええ。すいません。
まさか私もああなるとは思わなくて」
「え?まさか爆裂魔法を今日始めて撃ったのか?」
「違います!私は爆裂魔法しか使いたくなくて!
爆裂魔法を極めるために冒険者になったんです。
今回は、あのお守りを使って初めて撃ったんです。」
「お守りって、あのマントの内側に入れてた鍵束か?」
「はい。あれは、故郷を出るとき拾ったんです。
出発の前日。夜空を見ていたら、
流れ星にしては大きい光が有るなと思ったそれが落ちて来て、行ってみたらこの鍵を見つけたんです。
見た瞬間、私はこれに惹かれました。それで、持って帰ってお守りにしたんです。」
そう言ってお守りを取り出し、カズマに見せる。
「私の爆裂魔法はどうでした?」
「ミサイルでも落ちて来たかと思ったぞ?
50メートルぐらいクレーター出来てたし。」
「50メートル!?
以前の私なら精々20メートルのクレーターを作るぐらいで、魔力切れでも自力で立てない程度にしか消耗しなかったのに……。」
どうやらやはりこの空からのお守りには私の爆裂魔法を底上げする力があるようです。
「兎に角、もし使い続けたらお前の命が危ないかもしれない。
もうそれを使って爆裂魔法を撃つのは辞めておけ。」
「え?いや、でも…そ、それは……」
私は爆裂魔法を極めたくて冒険者になったのにこれでは…
「そんなに悩むんなら妥協案だ。」
「妥協案?」
「それを一本貸してくれ。
危ない物かどうか俺が調べて来てやる。
それまでこれを使うのは控えてくれるか?」
「……わかりました。お願いしますね調査員さん。」
そう言って私は五本の中から黒い一本を外してカズマに託しました。
この時はまだ知りませんでした。
私の拾ったこの鍵、レンジャーキーが世界の命運を左右するほどの力を持ったものだと。
これのせいでカズマ戦いの運命に晒されてしまったのだと。
怪人紹介 その5
ジャイアントトード
出典 この素晴らしい世界に祝福を!
地位 なし
武器 なし
備考 打撃は効かない