ありふれた悪魔狩人《DEVILHUNTER》で世界最強   作:ヴェルザ・ダ・ノヴァ

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第一章 オルクス大迷宮の奈落
プロローグ


 月曜日。それは平日の最初にして悪夢の始まり。大体の人が平日という5日間にため息を吐き、前日までの土日(天国)を思い浮かべるだろう。そんな通学中のバスの中で〈devil trigger〉を聴き小声で歌っている1人の学生がいた。彼の名は南雲(なぐも)ハジメ。身長は少し高めの180ほど、すらっとした外見だが身体はがっしりとした筋肉がある。そんじょそこらのヤクザには負けない、というよりヤクザの方が生命の危機になる。だが、それは別の話だ。

 

 ハジメはチャイムギリギリに教室に駆け込み入った。その瞬間、教室の男子生徒は数人は舌打ちやら睨みやらを向け、また数人の男子はハジメに対し憧れの眼差しを向け、また数人の男子は特に興味もなく自分の作業に戻る。女子生徒はハジメに対し頬を赤らめている。

 この学校では二大神にハジメは数えらている。更にこの学校には二大女神もいるため、実質的にはこの学校には4人の神(と呼ばれる者)がいる計算になる。(1人は本当は悪魔だが)ハジメは何か頼まれれば「やれやれ」と言いつつも完璧に頼み事をこなし学力は成績二位を不動のものにしている。更に顔がイケメンな為(魔物を喰った後の顔)原作より女子と男子から印象が良いのだ。

 

「ハジメ、アメリカはどうだった?」

 

 そこへ1人の男子が近づいてくる。名を遠藤浩介(えんどうこうすけ)と言いハジメの仕事の相棒兼メカニックをしている。

 

「最悪だった…だが、久しぶりに兄貴たちに会えたから50(フィフティ)50(フィフティ)ってとこだ」

 

 そう言ってハジメは肩に掛けている通学バッグから箱を取り出し浩介に渡す。

 箱の中身は浩介作のエボニー&アイボリーの複製物だ、彼の有名な「ニールゴールドスタイン」が設計した銃を浩介は解読し作り上げたのである。そして背中に背負っているライフルバッグのようなものも渡した。中には兄貴の1人「ネロ」が魔剣教団からもらって来た対悪魔用の剣を改造した赤い剣〈レッドクイーン〉の妹剣である蒼い剣〈ブルークイーン〉が入っている。

 

「確かに受け取った。メンテしとく」

「いつも、すまねえな」

 

 そう言ってハジメは席に着く。がいつものように彼女(ハジメが唯一苦手な人種)がくる。

 

「南雲くん、おはよう! 今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ」

 

 ニコニコと微笑みながら一人の女子生徒がハジメのもとに歩み寄った。学校やいろんな場所でハジメにフレンドリーに接してくれる人の1人であり、それ故にハジメが苦手な人。名を白崎香織(しらさきかおり)という。先程言った学校で二大女神と数えられているとてつもない美少女だ。腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる。

 

「あのなぁ白崎、俺以外に構ってやる奴がいるんじゃねえのか?」

 

 しかし、それでも落ちないのがハジメクオリティ。そもそもハジメは一昨日までレッドグレイブ市でネロともう1人の兄貴「ダンテ」と悪魔狩りをして帰国、昨日の夜に着いたばかりでありハジメの体力はゼロに近く、そこに必要でもない話をぶち込まれるのはもはや悪夢でしかない。そこへ更に3人の男女が近寄って来た、その中には先ほど言った神が2人も含まれている。

 

「南雲君。おはよう。腕の調子はどう?」

「香織、また彼の世話を焼いているのか? 全く、本当に香織は優しいな」

「うっす!南雲!今日も今日で大変そうだな…」

 

 最初に挨拶した女子生徒の名前は八重樫雫(やえがししずく)。香織の親友だ。ポニーテールにした長い黒髪がトレードマークであり、切れ長の目は鋭く、しかしその奥には柔らかさも感じられるため、冷たいというよりカッコイイという印象を与える。彼女がもう1人の女神だ。百七十二センチメートルという女子にしては高い身長と引き締まった体、凛とした雰囲気は侍を彷彿とさせる。事実、彼女の実家は八重樫流という剣術道場を営んでおり、雫自身、小学生の頃から剣道の大会で負けなしという猛者である。現代に現れた美少女剣士として雑誌の取材を受けることもしばしばあり、熱狂的なファンがいるらしい。後輩の女子生徒から熱を孕んだ瞳で〝お姉さま〟と慕われて頬を引き攣らせている光景はよく目撃されている。

 

 ハジメに「腕の調子はどう?」と聞いたのは剣か刀どっちが馴染んでいるかを知る為であり、何故そんな事をするのかというと。

 

 その昔、ハジメが中学生の頃にあるお婆さんと少年がヤンキー3人に謝っている現場にハジメは遭遇した。なんでも少年が食べていたタコ焼きがヤンキーの1人の服にぶっかけてしまい慰謝料を取ろうと脅していた。それを見たハジメはブルークイーンの練習用に使う木刀でそのヤンキー達に飛びかかり全員打ちのめした。(そのヤンキー3人はハジメを見るとペコペコと頭下げるようになった)

 それを見ていた雫がハジメを道場に引き入れようとした。しかし、ハジメはそれを断り独学で剣の練習をしており、それを見ていた雫は勝負を持ちかけた。報酬は負けた人の言う事を聞くと言うもので最初はハジメは勝つつもりだったが徐々に「やっても良いかな?」という気持ちが強くなり気づかれないように負け道場に入る事になった。が対して苦にもならず全ての八重樫流を覚えたハジメはすぐ卒業となった。だが、ハジメはたまになら講師をするということになりよく雫と剣を打ち合っているのである。と、取り敢えずはこのような形だ。

 

 次にハジメを労ったのが坂上龍太郎(さかがみりゅうたろう)。短く刈り上げた髪に鋭さと陽気さを合わせたような瞳、百九十センチメートルの身長に熊の如き大柄な体格、見た目に反さず細かいことは気にしない脳筋タイプである。特に龍太郎は努力とか熱血とか根性とかそういうのが大好きな人間な為、最初は対立したが今はハジメにとって良い友と言えるだろう。

 

 最後にキザな言葉で香織に喋り掛けた男が天之河光輝(あまのがわこうき)。いかにも勇者っぽいキラキラネームの彼は、容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人でありサラサラの茶髪と優しげな瞳、百八十センチメートル近い高身長に細身ながら引き締まった体。誰にでも優しく、正義感も強い(思い込みが激しい)。小学生の頃から八重樫道場に通う門下生で、雫と同じく全国クラスの猛者だ。雫とは幼馴染である。ダース単位で惚れている女子生徒がいるそうだが、いつも一緒にいる雫や香織に気後れして告白に至っていない子は多いらしい。それでも月二回以上は学校に関係なく告白を受けるというのだから筋金入りのモテ男だ。その結果、神と呼ばれる男の1人なのだ。そして、ハジメは勉学で、天之河は運動および技術科目でお互いに勝てないのである。ハジメは手を合わせ雫と龍太郎に頭を下げる。

 

「雫。龍太郎。すまねえが寝かしてくれ!頼む!」

「お前、また例の仕事かよ!身体気を付けろよ!行くぞ、光輝!」

「おい龍太郎!?」

「私たちも行くわよ。香織」

「え?!ちょっと待って!雫ちゃん!」

 

 そして天之河と香織は2人に連れて行かれハジメは夢の世界へと旅立っていった。

 

 

 

 それから数時間後が経ちハジメは意識を覚醒させる。感覚的に今は昼休憩と知り寝る間を惜しんで作った弁当を持って浩介ともう1人の友の元へ向かう。

 

 なんとなしに教室を見渡すと購買組は既に飛び出していったのか人数が減っている。それでもハジメの所属するクラスは弁当組が多いので三分の二くらいの生徒が残っており、それに加えて四時間目の社会科教師である畑山愛子(はたけやまあいこ)先生(二十五歳)が教壇で数人の生徒と談笑していた。

 しかしそううまくは行かず、女神(魔王)がやってくる。

 

「南雲くん。珍しいね、教室にいるの。お弁当? よかったら一緒にどうかな?」

「すまないが今日は浩介と清水と飯を食うんだ」

 

 そう言ってハジメは手に持つ弁当を見せる。ちなみに何故ハジメが清水と仲がいいかというと、前にアニメイトでばったり会いそれ以来よく話しているのである。

 がそれでも諦めず

 

「だったらみんなで一緒にご飯食べようよ!」

 

 と言ってくる。それにハジメが2人に目を向ける。

 

(どうしよう?)

((俺たちを巻き込まないでくれよ!?))

 

 ハジメは即見放されてしまい打つ手がなくなってしまう。そこに不本意だが救世主が現れた。光輝達だ。

 

「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲は遠藤達と食べるって言ってるし、香織と一緒に食べるなんて俺が許さないよ?」

 

 爽やかに笑いながら気障なセリフを吐く光輝にキョトンとする香織。少々鈍感というか天然が入っている彼女には、光輝のイケメンスマイルやセリフも効果は0以下だ。

 

「え?なんで光輝くんの許しがいるの?」

 

 素で聞き返す香織に思わずハジメと雫と龍太郎、浩介と清水が「ブフッ」と吹き出した。特に浩介は口にご飯を入れていた時にそれが来たから喉を詰まらせかけている。光輝は困ったように笑いながらあれこれ話している、その隙にハジメは2人の元へ駆け寄る。ついでに浩介の背中を叩き詰まりを治す。

 

「ありがとう。ハジメ…」

「別に気にすんな。それにしてもめんどくせえな」

「…お前もな…」

「え?なんか言ったか清水?」

「いや、なんでもない」

 

 そしてハジメは弁当を開き食べようとするところに床から魔法陣が描かれる。その魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。自分の足元まで異常が迫って来たことに漸く硬直が解け悲鳴を上げる生徒達。丁度教室の入り口の直ぐ側まで来ていた担任の愛子先生が咄嗟に教室に駆け込み「皆!教室から出て!」と叫んだのと、魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光ったのは同時だった。

 数秒か、数分か、光によって真っ白に塗りつぶされた教室が再び色を取り戻す頃、そこには既に誰もいなかった。蹴倒された椅子に、配置の乱れた机、教室の備品はそのままにそこにいた人間だけが姿を消していた。

 

 この事件は、白昼の高校で起きた集団神隠しとして、大いに世間を騒がせるのだが、それはまた別の話。

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  • アフターライフ
  • アフターライフで原作世界に行く
  • さっさと本編進めろや!
  • オリジナルの零編
  • ハジメのオリジン全部
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