ありふれた悪魔狩人《DEVILHUNTER》で世界最強 作:ヴェルザ・ダ・ノヴァ
【オルクス大迷宮】
全百階層から構築された七大迷宮の1つだ。階層を下に行けば行くほど強い魔物が出現する。だが、この迷宮は冒険者や傭兵、新兵の訓練に使えるので人気がある。それは、階層により魔物の強さを測りやすいから、そして出現する魔物が地上の魔物より遥かに良質の魔石を体内に持っているからだ。
魔石とは、魔物の力の核で、強い魔物なら強いほど良質で大きい魔石が入手出来るらしい。魔石は魔法陣を描くのにも使われる。普通に描いても発動するのだが、魔石を使った場合は使う魔力が3分の1程減少する。火で例えるなら
ハジメ達は、メルド団長率いる騎士団員複数名と、オルクス大迷宮へ挑戦する冒険者達の宿場町【ホルアド】に到着する。新兵訓練によく利用するのか王国直営の宿屋がある。久しぶりに普通の部屋を見た気がするハジメはベッドにダイブし「ふぅ~」と気を緩めた。それを浩介が苦笑いして見ている。この宿は2人1部屋でハジメは浩介とだった。
明日から迷宮に挑戦だ。今回は二十階層まで進むらしい。2人は武器の最終チェックに入る。いざという時に使えなければ意味がないからだ。だが、ハジメはそろそろ体を休めてておこうと少し早いが眠りに入ることにした。仕事の関係上、休める時に休むのが鉄則だ。
しかし、ハジメの睡眠を邪魔するように扉をノックする音が響いた。
「おい、ハジメ。誰か来たぞ?」
「ああ?また檜山か?」
ハジメは扉を開けると、そこには純白のネグリジェにカーディガンを羽織った香織が立っていた。
「………お前、バカか?」
「へ?」
ハジメはそう言いながら香織を中に入れ椅子に座らせる。
「で?なんか用か?連絡事項でも?」
「えっと、その、少し南雲くんと話したくて……迷惑だったかな?」
ハジメは、用件を予想し尋ねるが、香織は、あっさり否定して弾丸を撃ち込んでくる。おまけに上目遣いという炸薬付き。だが残念!姉貴2人に作られた悪魔クオリティのハジメにそんなものは効かないのだ!
「まったく……コーヒーと紅茶。どっちがいい?」
「へ?え、えっと、紅茶!」
「オーダー承った。浩介、お前は?」
「んじゃ、コーヒー頼む」
ハジメは2人のオーダーを聞きコーヒーを2杯、紅茶を1杯入れる。この世界には普通コーヒーモドキや紅茶モドキしかないが今回は違う。
「さあ、出来たぞ。俺のブレンド。コーヒーは〈ペルセウス〉紅茶は〈カテナ〉だ」
「お!今日は新作か!」
浩介はコーヒーを飲む。香織も恐る恐る口に含む。その瞬間、2人の顔は幸福感で満ちていく。
「南雲くん!美味しいね、これ!」
「だろ?この世界で出来た、コーヒーは試作4個目、紅茶は3個目だ。本当に苦労した!いい豆も茶葉もねえからな」
そう言ってハジメも壁に寄りかかりながら自分のコーヒーを飲む。ハジメのは〈ツインスター〉というオリジナルだ。
(※いままでに出たコーヒーなどは現実にはありません!全てハジメのオリジナルブレンドです!)
「それでなにを話したいんだ?明日の事か?」
ハジメの質問に「うん」と頷き、香織はさっきまでの笑顔が一気に思いつめた様な表情になった。
「明日の迷宮だけど……南雲くんは町で待ってて欲しいの。教官達やクラスの皆は私が必ず説得する。だから! お願い!」
「白崎どうした?いきなりそんな事を言うなんて?大方、俺が死ぬか消える夢でも見たか?」
香織はバッと顔を上げてハジメを見つめる。その目は「なんで分かったの?」と言っているようだ。
「お前が悲しそうな顔してそんな事を言えば嫌でも分かる。1つ言っておく。俺はお前らを置いて死にはしねえ。俺は心臓を抜かれようが、身体が欠けようが絶対に死なない。だから安心しろ」
ハジメは香織の頭を軽くポンポンと叩く。それを受けて香織は顔を赤に染める。
「変わらないね。南雲くんは」
「え?」
香織の言葉に訝しそうな表情になるハジメ。その様子に香織はくすくすと笑う。
「南雲くんは、私と会ったのは高校に入ってからだと思ってるよね? でもね、私は、中学二年の時から知ってたよ」
「なに?お前まさかストー「違うからね!?」冗談だ」
「で?なんで知ってたんだ?」
「前に子どもが不良っぽい人にたこ焼きかけちゃったの覚えてる?」
「え?ああ、覚え………あれか!」
「うん、そうだよ」
「白崎にも見られてたのか」
ハジメの言葉に香織は首を傾げる。「にも」ってどう言う事だと言いたそうだ。
「ん?ああ。雫も見てたんだよ。俺のそのシーン」
「へぇ〜そうだったんだ」
それから少し雑談した後、香織は部屋に帰っていった。
ハジメはベッドに転がりステータスプレートを見る。
「……ステータスオープン」
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル10
天職:
筋力:800[ソードマスター発動時:+500][魔人化時:+700]
体力:1000[魔人化時:+700]
耐性:400[ロイヤルガード発動時:+500][魔人化時:+700]
敏腕:600[トリックスター、ガンスリンガー発動時:+600][魔人化時:+700]
魔力:2000[魔人化時:+700]
魔耐2000[ロイヤルガード発動時:+500][魔人化時:+700]
技能:火、雷、氷属性適性・全属性耐性・状態異常無効・剣術・格闘術・剛力・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・全武器適性・精密射撃[+銃弾自動装填][+必中]・スタイルチェンジ・全スキル全アビリティ・
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「明日は白崎を心配させねえようにしねえとな」
ハジメは眠りについた。香織がハジメの部屋を出て自室に戻っていくその背中を無言で見つめる、表情が醜く歪んでいた者がいたことも知らないで
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「今日はオルクス大迷宮に潜るぞ!全員準備はいいな?」
「「「はいッ!」」」
そして、メルド団長を先頭に一行はオルクス大迷宮に入っていった。
迷宮の中は、外の喧騒に包まれた世界とは無縁で物静かだ。縦横五メートル以上ある通路は明かりは無いものの薄くぼんやりと発光し、松明や明かりの魔導具がなくても十分視認が可能だ。『緑光石』という鉱物が多数埋まっているらしく、オルクス大迷宮は、この巨大な緑光石の鉱脈を掘って出来ている。
一行は隊列を組みゾロゾロと進んでいく。しばらく進んだ先には、ドーム状の大きな場所があり天井の高さは七、八メートル位ありそうな場所だ。その時、物珍しげに辺りを見渡している一行の前に、壁の隙間とから灰色の毛玉が湧き出てきた。
「よし、光輝達が前に出ろ。他は下がれ!交代で前に出てもらうからな、準備しておけ! あれはラットマンだ。素早いが、そんなに強い敵じゃない。冷静に行け!」
その言葉通り、ラットマンと呼ばれる魔物は結構な速度で襲ってくる。灰色の体毛に赤黒い目が不気味に光る。ラットマンの名称に相応しく外見はねずみっぽいが……二足歩行で上半身がムキムキだった。八つに割れた腹筋と膨れあがった胸筋の部分だけ毛がない。まるで見せびらかしているようだ。正面に立つ光輝チーム──なかでもに前衛である雫の頬が引き攣っている。やはり、気持ち悪いらしい。
間合いに入ったラットマンを光輝、雫、龍太郎の三人で迎撃し、その間に、香織と特に親しい女子二人、メガネっ娘の中村恵里とロリ元気っ子の谷口鈴が詠唱を始め、魔法を発動する準備に入る。訓練通りの堅実なフォーメーションだ。
光輝は純白に輝くバスターソードで視認も難しい程の速度で振るって数体を全て葬っている。彼の持つその剣はハイリヒ王国が管理するアーティファクトの一つで、お約束に漏れず名称は〝聖剣〟だ。光属性の性質が付与され、光源に入る敵を弱体化させると同時に自身の身体能力を自動で強化するという“聖なる”というには実に嫌らしい性能を誇っている。
龍太郎は、やはり空手部というべきか天職が〝拳士〟であり、そのため籠手と脛当てを付けている。これもアーティファクトで衝撃波を出し、決して壊れないという。龍太郎はどっしりと構え、見事な拳撃と脚撃で敵を後ろに通さない。無手でありながら、その姿は盾役の重戦士様々だ。
雫は、本場サムライガールというべき〝剣士〟の天職持ちで刀を抜刀術の要領で抜き放ち、一瞬で敵をバラバラに斬り裂いていく。その動きは洗練され、騎士団員を感嘆させるほどだ。この刀がどこで手に入ったかというと、ハジメが
そんなこんなしている間に詠唱が場に響き渡った。
「「「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ──〝螺炎〟」」」
螺炎とは渦状に曲がる炎を相手に撃ち込む技でその威力はラットマンぐらいの魔物は塵になるほどだ。だが、これではオーバーキルな為魔石が回収出来ない。メルド団長はその点を注意し、魔法支援組は、やりすぎを自覚して思わず頬を赤らめるのだった。
その後も順調に進んでいき二十階層にたどり着く。そして順番で次はハジメの番だ。
ハジメのチームはハジメをリーダーに浩介がハジメをサポート、清水が遠距離から攻撃し隙を見てトドメを刺す遊撃。このフォーメーションで成り立っている。だが、1匹の魔物がハジメの背後に周り背中をとらえる。
「おい!危な、ッ!?」
メルド団長が危険を知らせようとするが杞憂に終わる。ハジメは腰についた銃を抜き放つ。その瞬間、その魔物の頭は粉々に吹き飛んだ。
「お、おい、ハジメ……それは一体なんだ?」
メルド団長や他の生徒たちの目線の先にはハジメが手に持っている一丁の銃がある。その銃は2つを1つに無理やりくっ付けた様な見た目でカートリッジが2つあるショットガンだ。
「兄貴のをモデルに俺が作り出したコヨーテ
ハジメはコヨーテRを魔物に向け、撃つ。その都度に魔物が吹き飛ばされ撃たれた部分が爆散し血飛沫が撒かれ内臓が飛び散らされている。それを見て生徒のほとんどが青ざめて口を抑えている。数人我慢出来ずに吐いていた。
ハジメ達は魔物の解体をして魔石を入手し探索を始める。現在、四十七階層までマッピングが完了されているので迷うことはまずない。トラップに引っかかる心配もないはずだ。二十階層の一番奥の部屋はまるで鍾乳洞のようにツララ状の壁が飛び出したような、溶けたような複雑な地形をしている。
この先を進むと二十一階層への階段があるらしい。そこまで行けば今日の実戦訓練は終了だ。神代の転移魔法の様なものは現代にはない。つまり、また地道に帰らないといけないのだ。一行は、若干、弛緩した空気の中、せり出す壁のせいで横列を組めず縦列で進む。
途中で先頭組が立ち止まる。訝しげなクラスメイトを尻目に戦闘態勢になる。魔物に接敵したようだ。
「擬態してるぞ!周りをよ〜く見ておけ!」
(あ、アイツらか…)
『擬態』という単語と周りの地形でハジメは魔物の正体を導き出す。ハジメは戦闘経験もあるので対処も容易だ。その直後、前方でせり出していた壁が突如変色し起き上がった。壁と同化していた体は、今は褐色となり、2本足で立ち上がり、胸を叩きドラミングを始めた。カメレオンのような擬態能力を持つゴリラゴーレムのような魔物だ。
「ロックマウントだ! 二本の腕に注意しろ! 豪腕だぞ!」
メルド団長の声が響き渡る。光輝達が相手をするようだ。飛びかかってきたロックマウントの豪腕を龍太郎が弾き返し天之河と雫が取り囲もうとするが地形で足場が悪く囲う事ができない。ロックマウントは思い切り仰け反りながら息を吸い込み、一気に
「グゥガガガァァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!」
部屋全体を震動させる強烈な咆哮を発する。これにより全員が耳を押さえ硬直してしまう。ロックマウントの固有魔法“威圧の咆哮”だ。魔力を乗せた咆哮で一時的に相手を麻痺させる。
ロックマウントはその隙に突撃するかと思えばサイドステップし、傍らの岩を持ち上げ香織達後衛組に向かって投擲する。見事な砲丸投げのフォームだ。進○の巨人の獣を連想させるほどだ。
咄嗟に動けない前衛組の頭上を越え岩が香織達へと迫る。香織達が、準備した魔法で迎撃せんと魔法陣が施された杖を向けた。避けるスペースが心もとないからだ。だが、発動させる瞬間、香織達は衝撃的光景に硬直する。なんとビックリ!投げられた岩もロックマウントだった!空中で見事な一回転を決め両腕をいっぱいに広げて香織達へと迫る。その姿は、さながらル○ンダイブのロックマウントバージョンだ。「か・お・り・ちゃ~ん!」という声が聞こえてきそうである。しかも、変態のように目が血走り鼻息が荒い。香織も恵里も鈴も「ヒィ!」と悲鳴を上げて魔法の発動を中断してしまう。
だが、そこに指パッチンの音が鳴り響き、ロックマウントに
『おいおい、嬢チャン方!ここでボケっとしてたら危険ダゼエエ!』
グリフォンはそう言いながらロックマウントに雷を浴びせる。雷を浴びたロックマウントは立ち上がり清水に襲いかかるがシャドウが身体を斬り裂きロックマウントは体制を崩して身体をずるずると地面に擦りながら白く輝き清水の前で止まる。そこに清水は杖を刺しトドメを刺した。
「お前ら、今回は幸利のおかげで助かったが次からは油断しないようにな!」
メルド団長が香織達に注意する。
その瞬間、壁が崩れた。先程のグリフォンの雷が壁に当たり罅が入ってそれが崩れたようだ。崩れた壁の中からは青白く発光する鉱物が花咲くように壁から生えていた。まるでインディコライトが内包された水晶のようで女子陣はその美しさにうっとりとした表情になる。
「ほぉ~、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しいな」
グランツ鉱石とは、ダイヤモンドやルビーと同じ宝石類の鉱石で特に効能は無いがその美しさに貴婦人や令嬢には大人気!プロポーズの指輪などに使う宝石ランキングトップ3に入るという。
「「綺麗…」」
香織と雫はメルド団長の説明を聞いて頬を染め更にうっとりする。そして、香織は誰も気づかない程度にチラリとハジメに視線を向けた。もっとも、雫ともう一人だけは気がついていたが……
「だったら俺らで回収しようぜ!」
そう言って唐突に動き出したのは檜山だった。グランツ鉱石に向けて崩れた崖を登る。メルド団長はそれを見て慌てて止める。
「こら!勝手なことをするな!安全確認もまだなんだぞ!」
しかし、檜山は聞こえないフリをしてグランツ鉱石に手を伸ばす。あと少しだが、フェアスコープというトラップなどを見分けるアーティファクトを使いグランツ鉱石の周りを見ていた騎士団員が青褪めて警告を出す。
「団長!トラップです!」
「何ッ!?」
しかし、時既に遅し。檜山がグランツ鉱石に触れた瞬間、魔法陣が部屋全体に広がっていき、視界が白一色に染まる。
美しい
視界が戻ると同時に生徒達は尻から地面に落ちる。ハジメと浩介、メルド団長などは着地し周囲の警戒をしている。ハジメは周りを見渡すと一本の橋がかかっていた。どうやら、あの魔法は転移系の魔法のようだ。橋の横幅は十メートルくらいだが、手すりどころか縁石もなく、足が滑れば掴むものもなく真っ逆さまだ。ハジメ達はその巨大な橋の中間にいた。
橋の両サイドには、奥へと続く通路と上階への階段が見える。それを確認したメルド団長が、険しい表情をしながら指示を飛ばした。
「お前達、直ぐに立ち上がって、あの階段の場所まで行け。急げ!」
その号令に、生徒達は一斉に動き出すが橋の両サイドに魔法陣が浮かぶ。階段の方にはガイコツ兵士のような魔物〈トラウムソルジャー〉が大量に現れる。扉側には体長十メートル級の四足で頭部に兜を取り付けたような魔物が出現した。もっとも近い既存の生物に例えるとトリケラトプスだろうか。ただし、瞳は赤黒い光を放ち、鋭い爪と牙を打ち鳴らし、頭部の兜から生えた角からは炎が放出されるという最悪のおまけがついている……
「ま、まさか……ベヒモス…なのか…」
それに答えるように凄まじい咆哮を上げた。
「グルァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアア!!」
その咆哮で正気に戻ったのか、メルド団長が矢継ぎ早に指示を飛ばす。
「アラン!生徒達とトラウムソルジャーを突破しろ!カイル、イヴァン、ベイル!全力で障壁を張れ!ヤツを食い止めるぞ!光輝、お前達は早く階段へ向かえ!」
「メルドさん!俺達もやります!あれが一番ヤバイでしょう!俺達も……」
「馬鹿野郎!あれが本当にベヒモスなら、今のお前達では無理だ!ヤツは六十五階層の魔物。かつて、“最強”と言われた冒険者が歯が立たなかった化け物だ!さっさと行け!私はお前達を死なせるわけにはいかないんだ!」
メルド団長の鬼気迫る表情に一瞬怯むも、「見捨ててなど行けない!」と踏み止まる光輝。
その一方で、トラウムソルジャーは三十八階層に現れる魔物で、今までの魔物とは一線を画す戦闘能力を持つ。前方に立ちはだかる不気味なガイコツ兵士と、後ろから迫る恐ろしい気配に生徒達は半ばパニック状態だ。隊列など関係ないと言わんばかりに我先にと階段を目指しがむしゃらに進む。騎士団員の一人、アランが必死にパニックを抑えるが、目前に迫る恐怖に耳を傾ける者はいない。
その内、一人の女子生徒が後ろから突き飛ばされ転倒してしまう。「うっ」と呻きながら顔を上げると、眼前で一体のトラウムソルジャーが剣を振りかぶっていた。
「あ」
そんな一言と同時に彼女の頭部目掛けて剣が振り下ろされた。
死ぬ──女子生徒がそう思った次の瞬間、
トラウムソルジャーがバラバラに斬られ更に、結構な数のトラウムソルジャーが斬り伏せられる。それはハジメがやった事だった。ハジメは倒れた女子生徒の元へ行き手を引っ張り立ち上がらせる。呆然とし為されるがままの彼女に、ハジメを声をかけた。
「おい、こんなとこで死ぬタマじゃねぇだろ!ほら立て!」
自信満々で背中をバシッと叩くハジメをマジマジと見る女子生徒は、次の瞬間には「当たり前でしょっ!」と元気に返事をして駆け出した。
「さあて。派手に暴れるか…」
メルドと光輝の口論は続いており、他の団員が障壁を張っているが亀裂が全体に入り砕けるのは時間の問題だった。
「ええい!もうもたんぞ!光輝、早く撤退しろ!お前達も早く行け!」
「嫌です! メルドさん達を置いていくわけには行きません! 絶対、皆で生き残るんです!」
「くっ、こんな時にわがままを……」
メルドと光輝の口論がまた始まろうとした時、
BGM:Devil Trigger
その瞬間、2人の間をなにかが、否、誰かが通り過ぎていく。そしてその人は背中にある剣を引き抜きベヒモスの角を斬り折る。それはソードマスターを発動しているハジメだった。ハジメは更にベヒモスの後ろから腹下をブルークイーンでスライディングしながら袈裟斬りにしメルド達の元へ駆けて行く。
「おい!さっさとあのガイコツどもをなんとかしろ!こっちは俺がやる!」
「おい、待て!ハジメ!例え、お前でもベヒモスを1人で相手は!」
「大丈夫だ。こっちにも切り札がある。それに元々ああいうのが俺の専門だ」
ハジメはメルドを心配させない様に笑顔でそう言った。
「……分かった。だが無茶はするなよ!行くぞ光輝!」
メルド団長は光輝を連れて後衛に回る。ハジメはそれを確認してから大声でクラスメイトに忠告した。
「おい、お前ら!ベヒモスのほうに目を向けんなよ!ここから先はR指定だ!!〈ガンスリンガー!〉」
ハジメはエボニー&アイボリーをサイドホルスターから引き抜き連射しながら近づいていく。だが、ベヒモスもやられているばかりではない。咆哮を上げ突進をしてくる。
「〈ロイヤルガード!〉」
ハジメはそれをガードで弾きカウンターで足を斬り裂く。それと同時にベヒモスの状態が変わり頭の角がキィ──ーという甲高い音を立て赤熱化していく。そして、頭部の兜全体がマグマのように燃えたぎった。完全に怒っている。
「グルルァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
「ヒュ──、なら俺も本気出すか!〈デビルトリガー!!〉」
ハジメはベヒモスに対しデビルトリガーを発動する。それによってハジメの身体は赫みがかかり変質していき魔人となりベヒモスへ向かっていく。(※ダンテの魔人化と同じ姿)
「〈ソードマスター!〉」
更にソードマスターを発動しブルークイーンでベヒモスの全身を斬るがベヒモスの赤熱化した皮膚は硬くなっており刃が通らない。そこでハジメは翼を開きベヒモスの真上から斬りつける。それによって出来た傷が少し斬り開き中からなにかのグリップが出て来る。
「なんだこれ?」
ハジメはそれの周りを斬り裂いていき傷口を開く。そしてグリップを握り一気に引き抜く。その正体は禍々しく骨や血肉の生物的デザインが施された反った片刃の巨大な剣だった。一見すれば〈魔剣スパーダ〉だが、一点だけ違う点がある。それは鍔付近から大きなベヒモスの角が刃先に向かって伸びている事だ。
「ベヒモスから生まれたから魔剣ベヒモスってとこかなああ!!」
ハジメは魔剣ベヒモスをベヒモスの心臓部に一閃を放つ。
ハジメがベヒモスの相手をしている間にトラウムソルジャーは尚、増え続けそろそろ全員限界が近い。誰もが、もうダメかもしれない、そう思ったとき……
「──〝天翔閃〟!」
その光の一閃がトラウムソルジャーの中心部を切り裂き吹き飛ばして炸裂した。
「皆!諦めるな!道は俺が切り開く!」
そんなセリフと共に、再び〝天翔閃〟が敵を切り裂く。光輝が発するカリスマに生徒達が活気づく。
「お前達!今まで何をやってきた!訓練を思い出せ!さっさと連携をとらんか! 馬鹿者共が!」
皆の頼れる団長が〝天翔閃〟に勝るとも劣らない一撃を放ち、敵を次々と打ち倒す。生徒全員が活気を取り戻した時、凄まじい悲鳴が轟き皆が背後を振り向く。
「な!?」
「ウソだろ!?」
そこにはベヒモスの死体の上で新たな魔剣ベヒモスを背負うハジメがいた。
「グゥルルアアアアアアァァァァァ」
最後の一閃が決まりベヒモスは断末魔を上げ倒れる。
そこにはベヒモスの死体の上で新たな魔剣ベヒモスを背負うハジメがいた。
そして同時にハジメの魔人化が切れた。
「危ねええ。ギリギリだったな」
「よくやったハジメ!早く戻れ!!全員、ありったけの魔法を打ち込めッ!」
それを見たメルドは生徒達にトータス基準で最強レベルの魔法をベヒモスに撃ち込む。
一方で、ハジメは早く皆の元へ戻ろうとするが体力切れを起こし立っているのもやっとで気力だけで歩いている。更に戦闘の余波で橋が崩れかけていて崩壊するのは時間の問題だった。
(さっさと……戻らねえと…)
「手を貸すわ」
そんなフラフラとなっているハジメの肩を誰かが支える。それは雫だった。
「………雫?」
「ええ、そうよ。早く戻りましょ、みんなの元へ」
だが、世界は残酷だった。火球の1つが軌道を変えハジメと雫の方へ向かってくる。
「おいおい……!」
「ウソでしょ!?」
そして2人は奈落の底へ落ちていき、香織が龍太郎と天之河に羽交い締めされながらハジメと雫を呼ぶ叫びが響き渡った。
どうでしたか?
魔剣スパーダを出すわけにはいかないので新たなオリジナル魔具〈魔剣ベヒモス〉が生まれましたが…
では、次回!
この「ありふれた悪魔狩人《DEVILHUNTER》で世界最強」のどれを読みたいですか?
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アフターライフ
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アフターライフで原作世界に行く
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さっさと本編進めろや!
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オリジナルの零編
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ハジメのオリジン全部