ありふれた悪魔狩人《DEVILHUNTER》で世界最強   作:ヴェルザ・ダ・ノヴァ

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またも余談です。


余談:クラスメイト

 時間は少し遡り、ハジメと雫がオルクス大迷宮を攻略する一方での出来事……

 

 ハイリヒ王国の浩介達に与えられた部屋の一室の一つである扉の前で龍太郎が壁に寄りかかっていた。理由はただ一つで香織の護衛である。龍太郎が寄りかかる部屋の主は香織だ。その部屋をなぜ龍太郎が守っているのか?それは依頼されたからである。自分(龍太郎)の恩人である南雲ハジメに……

 

 事の発端は一年前。龍太郎が高1の頃に起こった出来事だった。

 

 龍太郎は部活動で帰りが遅くなり、近道を使って走っていた。その道は街灯が少なく、少し薄暗かったのを龍太郎はよく覚えている。

 

 龍太郎はその道を走っていると、目の前に40代後半の男が現れる。その男はユラ〜と歩いており、まるで酔っているようだった。

 

「おいオッさん!大丈夫か?」

 

 龍太郎がその男に声をかけ肩に手を置く、するとその男は振り返って龍太郎の方を見た。

 

 その男の顔は眼の焦点が合っておらず、右目が上を向き左目が左下斜めに向いていおり、歯は所々抜けており歯並びも汚かった。その男は龍太郎を見るなり襲いかかった。

 

「ご、ご馳走!」

 

 龍太郎はその男を背負い投げで吹き飛ばして逃げようとした。しかし、後ろから鎌を持ちローブを着た悪魔〈ヘルカイナ〉が4,5体ほど現れる。それに龍太郎は腰を抜かして倒れ込んだ。

 

「だ、誰か。助けてくれ!」

 

 その願いは叶った、ヘルカイナの1匹に銃弾が撃ち込まれ怯み、龍太郎の前に何かが飛び降りてきた。それはハジメだった。

 

「ん?坂上じゃねえか?なんでここにいんだ?」

 

 ハジメは龍太郎にそう聞きながらエボニー&アイボリーを悪魔に向けて連射しまくる。龍太郎は驚きの連続で声が出せずにいた。そこにバンが走り込み急ブレーキをかけてバンのドアが龍太郎の前で止まる。ドアが開くと浩介が出てきた。

 

「坂上!早く乗れ!」

「お、おう!」

 

 龍太郎が乗るとバンは猛スピードでその戦場から離れた。ハジメはそれを確認すると、背中からブルークイーンを抜き悪魔の群れを斬り刻み殺していく。

 

「ギエエエエエエ!!」「グアアアアア!!」

 

 悪魔たちの断末魔の叫びが響き渡った。

 

 ハジメは後処理してからバンに戻った。バンには〈Devil May Cry〉のネオンサインが付けられている。

 

「坂上、大丈夫か?」

「あ、ああ。そういうお前等はここで何やってんだ?」

「「仕事だ」」

「仕事?」

「ああ。俺たちは学生生活してる裏で子どもを送り届けることから、さっきの悪魔退治までいろんなことをやってる何でも屋。とは言っても悪魔退治以外もやってるのは俺たちくらいだがな」

 

 龍太郎はそれを聞いて驚いた。自分と同い年のクラスメイトがこんな事をやっていると知って。そこから龍太郎は自分を更に鍛えてハジメたちの仲間となった。とだけ言っておこう。

 

 そして現代に戻る。

 

 龍太郎は香織の部屋を交代制で見ている。ハジメが依頼したのは坂上龍太郎、遠藤浩介、清水幸利、園部優花の4人だ。4人には別々に依頼が出されている。

 

 龍太郎と優花は香織の護衛、浩介と幸利は「自分が居なくなったら先生たちを頼む」の言葉通りにクラスメイトたちに気を配っている。

 

 そして次にハジメと雫の死亡に伝えられた時の事だ。

 

 王国の人々は勇者の人間が死亡したことにより驚愕と混乱が渦巻いた。そこで1人の王族がある提案をした。

 

 曰く、「南雲ハジメ」と「八重樫雫」2人は無能だったことにしたのだ。

 

 イシュタルもそれに同意した。神の使徒が迷宮で死ぬなどあってはならないと、生還出来ないのならばそれは神の使徒ではないと、神の使徒は無敵かつ最強でなければいけないからだ。

 それでもまだ国王やイシュタルはマシな方だろう。他の貴族は2人の陰口を叩き罵る者もいた。もちろん公の場での発言ではないが

 

 曰く、「2人は無能だったのか」「無能が死んでよかった」「神の使徒であるのに役立たずで死んで当然」

 

 このような言葉が2人に浴びせられた。それでも全員我慢していた。龍太郎や浩介達は自分の親友が大切な仲間が相棒が死んだのに、それでも我慢した。だが、その貴族で最低のクズがいた。

 

 王族のランデル・S・B・ハイリヒである。彼は香織に好意を抱いており香織が好意を向けるハジメが邪魔で仕方がなかった。だからこそあんな最低最悪の言葉が出てくるのだろう。

 

「あのゴミ(ハジメ)が死んで清々した。あんな無能がいるから犠牲者も1人増えてしまったしな。全く疫病神が消えて良かった」

 この言葉を聞いた龍太郎と浩介はランデルに掴み掛かった。

テメェ!それが未来で王になる人間の言葉か!ガキだからって舐め腐ってんじゃねえぞゴラアア!!

「龍太郎。手を離してどいて。ソイツの首、切れない」

 浩介に関しては回収したハジメのブルークイーンを抜いて振りかぶっている。幸利はシャドウに攻撃態勢取らせている。もう子供をリンチしてる男子校生(武装バージョン)にしか見えない!まあ、ざまぁみろとしか言えないが…

「何をやっている!!」

 そこにあの阿呆(天之河)達がやって来る。

「少し落ち着け!要は俺たちが()()助けに行けばいいだけだろう?」

 その言葉を聞いて3人は思った。ああ、コイツも俺たちの友が死んだと思ってるんだ、と。

 

 それ以来、3人は天之河と会話はしなくなった。

 

 

 それを聞いた優香も天之河を信用しなくなった。それから龍太郎は香織の部屋を護衛、優香が雫の代わりに看病をしている。幸利と浩介はハジメ達に発射された火球の発動者を調べた。メルド団長も事情聴取を取ろうとしたが国がそれを禁止した。イシュタルがそう言っているなら強行できるが王が言っているため堪えるしかなかった。

「これを聞いたら、怒るよね?」

 優香は香織が寝ているベッドの隣の椅子に座っている。

 

 あの日から香織は眠ったままだ。まるで死んでいるのではないか?と勘違いするほどに。

 おそらく精神保護の一種だろうと考えられる。当然だ。恋した男と親友である女が奈落の底に落ちたのだから。そのため深い眠りについていると診断されている。時が経てば目覚めると言われている。

「アンタが起きなきゃハジメを探しに行けないんだよ?」

 その時、香織の指先が少し動いた。

「香織?香織!聞こえる!?」

 優香は香織の手を握り声を呼びかける。それに呼応するかのよう香織は手を握り返し目を開けた。

「……優香…ちゃん?」

 それと同時に龍太郎が部屋に入ってくる。

「おいどうし、って香織!?目が覚めたのか!」

 その龍太郎に優香が指を指して命令する。

「坂上!至急、2人を連れて来いッ!」

「あ、ああ、分かった!」

 龍太郎は2人を呼びに走り去っていく。

「それで香織。違和感ない?」

「うん、平気。ちょっと怠いけど…」

「まあ、五日以上寝てたから」

 そうやって体を起こそうとする香織を補助し苦笑いしながら、眠っていた期間を伝える優香。香織がそれに反応した。

「五日以上?なんでそんなに……確か、迷宮に行って……それ「それよりお腹減ってない!?ずっと寝てたから心配でさ!!」

 優香が香織の思考を逸らそうと大声で話しかけるが、それで思考停止をするわけがない。

「あっ、優香ちゃん。南雲くんと雫ちゃんは?」

 その言葉に優香は目を下に向けた。その様子を見て自分の記憶が正しかったと悟る。つまり、2人に起きた悲劇は本物という事だ。しかしそれを受け止められるほど香織の心は出来上がってはいない。

「……嘘…でしょ。そうでしょ?私が気絶した後、2人も助かったんだよね?そうなんだよね?ここ、お城の部屋でしょ?皆で帰ってきたんだよね?南雲くんと雫ちゃんは……訓練かな?訓練所にいるかな?うん……私、ちょっと行ってくるよ。南雲くんにお礼言わなきゃ……だから、離して?優香ちゃん」

 優香は深呼吸して香織に言った。

「ハッキリ言う。ここに2人はいない」

「い、いや…」

「オルクスの奈落に落ちた」

「やめてよ…」

「これが真実よ。香織も覚えてるはずよ」

「いや、やめて……やめてったら!」

「目を背けないで。過去は変わらない」

「違う!死んでない!なんでそんな事言うの!?例え優香ちゃんでも許さないよ!」

 嫌だと首を振り現実を見ようとしない香織。その頬に優香は平手打ちを打ちつけ床に倒させる。

「いい加減に現実を見て!!私だって信じたくない!!坂上!清水!特に遠藤は南雲の相棒だった!!それでも耐えてる!!今は前に少しでも進まないといけない!!彼なら、彼女なら、南雲と雫ならそうする!!!」

 香織は涙を流しながら聞いていた。一言一言を噛み締めるように。

「アンタが立ち上がらなきゃどうしようもないんだよ!!迷宮に入る前に、ハジメは「もし、自分が消えたら、死んだら白崎を頼む。支えてやってくれ」って私たちに言ってきたんだ!!それには雫も含まれる!アイツは私たちに頭下げて頼んだんだ!南雲はアンタの事を迷宮でも心配してた!事あるごとにアンタを見てたんだよ!?自分が心配させる行動をしてないか!結局はこうなってるけど、それでも少しでも頑張ったんだ!次はアンタの番なんだよ!アンタがアイツら助けなきゃいけないんだよ!!!」

 優香は香織を叱咤した。ここで立ち上がらせなければならない。戦争に参加した以上、人の死には何度でも出くわすことになる。その時毎に心がダメになるのではいけない。この世界は残酷で無情なのだから。だからこそ、ここで乗り越えるの強さを持ってもらわなければならないのだ。

 

「2人は……ここにいないんだね」

「うん、いない」

「あの時、魔法が当たってた。誰のなの?」

「それなんだけど、グリフォンが見てたんだよ」

 そこに龍太郎が戻ってくる。幸利と浩介も一緒だ。

「で、グリフォン。誰なんだ?」

 幸利が杖を床に突きグリフォンを呼び出す。

『え〜っと。アイツだよ!大チャン!檜山大介!』

 それを聞いた5人は憤怒に顔を染めた。龍太郎と浩介が部屋を飛び出して走っていく。その際、浩介は回収したアイボリーを持って、龍太郎はナックルダスターを装備して。

 

 

 

 数日後、檜山は全身打撲(所々に骨折)+顔面にヒビが入った状態で鎖でグルグル巻きにされて食堂に全員集められた状態で床に転がっていた。

「え?檜山?」

「なんで檜山が?」

「すんごいボコボコだな…」

 そこに龍太郎と浩介がやって来て、龍太郎が檜山の髪を掴んで持ち上げる。

「さて、檜山さんよお。なんでこんな事になってんだ?」

「言え。でなければ清水に強制的に言わさせる」

 それで檜山は開き直った。

「…俺が南雲を落としたんだ!でも、わざとじゃなくて!」

「なら、なんで火球を使ったんだ?」

「あ、あれは、南雲を助けようとして!俺の適性は風だけど普通に考えも火の方が強えと思って!」

「テメェよお。ウソも大概にしとけよ?どうせ香織がお前を見もしねえから南雲に嫉妬しただけだろ!!テメェはな、俺が知る人間で1番クズ野郎だ!!」

「やめろ龍太郎!俺達は仲間なんだ…これ以上仲間で争ってどうする!」

 それを聞いた瞬間、龍太郎は光輝を今までにないほどに冷たい目で見た。

「そうかよ。お前がコイツを信用すんなら、俺たちの仲もここまでだ。あとは好きにやればいい。俺は、俺達は知らねえ」

 そう言って龍太郎達は部屋に戻っていった。

「し、白崎…」

 檜山が香織の名を呼ぶと香織はゴミを見る目で檜山を一瞥し部屋に戻った。

 

 翌日、

「遠藤くん!私に南雲くん。うんうん、ハジメくんの型を全て教えて!」

「ええ!?」

 もう一波乱ありそうだが、それはまた別の機会に……

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  • アフターライフ
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  • さっさと本編進めろや!
  • オリジナルの零編
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