ありふれた悪魔狩人《DEVILHUNTER》で世界最強   作:ヴェルザ・ダ・ノヴァ

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二つに別けたいと思います。


ゆっくり語らい:前編

 サソリモドキを倒したハジメ達三人は死体をサイクロプスも含めて全て回収した。

 

 その巨体にてこずったが再びハジメの血を吸って復活した少女が怪力を発揮してくれた。それにより一人で一つの死体を持つ形で運び込んだ。

 サソリモドキの甲殻だが、あれはシュタル鉱石という鉱物だった。

 

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 シュタル鉱石

 魔力と親和性が高い。魔力を込めれば込めるほど、その分硬度が増す特殊鉱石

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 これを知ったハジメは「鉱石なら錬成出来たんじゃ……」と言ってその階層に「チクショ──!!」という言葉が鳴り響いた。

 

 それと、そのまま、封印部屋を使う案もあったが

 

「それやってみろ?精神が崩壊すっから」

 

 とハジメが断固拒否したのでボツとなった。まぁ、自分が何年、何十年と封印されていた部屋など見たくないだろう。という訳で封印部屋から即離れた。

 

 そうやって現在、ハジメ達は消耗品や新たな武器を作成していた。その中でハジメが少女を見て喋りだす。

 

「さて、まずはお前の名前だが」

「……私?」

 

 少女が自分を指差して首を傾げる。それをハジメは呆れた目で見ていた。

 

「お前が付けろって言ったんだろうが……」

「それで?良いの思い付いたの?」

 

 そこに閻魔刀を慣らしていた雫が戻ってくる。

 

「ああ。「ユエ」なんてどうだ?俺の世界の言語の1つで月を意味する。あの時の戦闘で見たあの黄金のオーラとその紅い眼が月の様に見えたからな」

「ユ…エ…ユエ…ユエ…」

 

 その少女は自分の名前を覚える様に連呼した。

 

「まあ、嫌だったら新しく考えるが」

「ううんっ。今日からユエ。ありがとう」

「そりゃ良かった。っと、はいこれ」

 

 ハジメはそう言ってユエにあるモノを渡した。それはユエサイズに調整された服だった。前に雫が着ていた服を少し採寸し直したものである。

 ハジメ、万能!

 

「スカートとかじゃねえが、今は我慢してくれ」

「…ん」

 

 ユエはハジメに渡されたそれに着替えてその上に外套を羽織った。

 

 ハジメは作業しながら話を続ける。

 

「だが、吸血鬼族は三百年前に滅びた筈だ」

「三百年前……」

「そうすると、ユエは少なくとも三百歳以上なのか……」

「ハジメ…」

「「マナー違反」」

 

 女性に年齢の話はあらゆる次元を超えてNGらしい。女性二人がハジメにジト目を向けてる。

 

「おっと、こりゃ失言だったな」

 

 ハジメは苦笑いしながら謝った。

 

「でも、吸血鬼ってみんなそんなに長生きなの?」

「……私が特別。〝再生〟で歳もとらない……」

 

 雫の質問にそう答えるユエ。なんでもユエさん。十二歳でいろんな固有魔法に目覚めて歳を取らなくなったと言う。普通の吸血鬼も血を吸うことで他種族より長生きらしい。吸血鬼の平均寿命は約二百歳である。

 

 

 

『ここで!〈ありふれた豆知識〉! 人間族の平均寿命が七十歳、魔人族は百二十歳、亜人族は種族で変わるらしいぞ!エルフの中には何百年も生きている者がいるとか。転○ラのキャラクターのエルフには二千年以上生きてるエルフがいるらしいぞ!』

 

 

 

 ユエは先祖返りで、力が覚醒してから数年で最強格にカウント入り、17歳で王位継承をしたという。

 

 (前回)の戦いでやったノータイムによる魔法行使に不死身の体。行き着く先は〈最高最善〉か〈最低最悪〉か。ユエの場合は後者である。

 

 欲望に溺れた叔父に、最低最悪の化け物と世間に浸透させ、それを口実に殺害しようとしたが固有魔法〈自動再生〉により殺しきれず止む無く封印したというところだろう。ユエ自身、突然の寝返りにパニクってなにが起こったか分からないで反逆が始まり、なにが起こったか分からないまま、いつのまにか封印されていたという。

 (前回)の封印に対するハジメの怒りに油が注がれた瞬間である!

 

 つまり、あのサソリモドキや封印方法、どうやって奈落に連れていかれたのか分からないのである。帰る方法が見つかると思ったハジメと雫は「ガ──ン!」と音が鳴りそうなほど項垂れた。

 

 それとユエの力についてだが、なんとビックリ!ユエさん、全属性に適性あるのだ!これをチートと言わないなら、なんて言うのか逆に知りたい。ユエは近距離戦闘が苦手らしく、対一だと、自分に身体強化して隙を狙って魔法を行使するぐらいだと言う。まあ、魔法の攻撃力が某最低最悪の魔王並なのでハンデでもなんでもないが……

 

 それと、ユエは詠唱無しで魔法を行使することができるが、癖で魔法名は言ってしまうらしい。魔法を補完するためのイメージをなんらかの言葉にしている人は少なくない。ハジメのスタイルチェンジなども当て嵌まる。何せ、変わる毎に〈トリックスター!〉や〈ソードマスター!〉と言っているのだから。

 

 自動再生についてだが、魔力があれば勝手に治しており、一瞬で塵にする様な攻撃を受けない限り死なないらしい。つまり、対サソリモドキ戦の時は攻撃を少しでも受ければ死んでいた可能性大だ。

 

「ところで、ユエはここがどのあたりか分かるか?」

「……分からない。でも……」

 

 ユエは知らないことに申し訳なさそうにしながら、話を続ける。

 

「この迷宮は反逆者が作ったって言われてる」

「反逆者って?」

 

「反逆者は神代の頃、神に挑んだ神の眷属……世界を滅ぼそうとしたとか……」

 

 なんでも、神代の時代に神に反逆し世界を滅亡させようとする七人の眷属がいたという。しかし、それは失敗し世界の果てにバラバラに逃げたそうだ。その名残が七大迷宮である。

 

「なーるほど。そして教会や図書館で知ったことを合わせて考えると、その神、本当はイカれててそれをその7人が何とかしようとしたものの、失敗して大迷宮を作り引き篭もったって所だろ」

 

 そこでユエが首を傾げる。

 

「……なんで、そう思う?」

 

 そう訊かれてハジメは作業を中断して二人の方へ体ごと目線を向ける。

 

「これは俺達の世界の歴史だ。二千年以上前にある魔帝が率いる悪魔の軍勢が人間族が住む世界を侵略しようとした。下級の悪魔でさえ数十人を殺す力がある強力な怪物共に人間族はなす術無く蹂躙され、滅亡の時を今か今かと待っていた」

 

 ここまで聞いただけで二人はお互いに抱き合って縮こまっている。そんなに怖いか?この話。

 

「だがある日、魔帝の腹心である悪魔がその魔帝に反逆した。その名を悪魔剣士〈スパーダ〉。彼はある日、弱い人間族が戦っている所を見た。『なぜ、戦っているのか?』そんな疑問を浮かべたスパーダは人間を観察し、あるモノを見つけた。それは人間族の心にある『愛』と『勇気』だ。友人、愛人のために死に物狂いで戦った人間族にスパーダは心撃たれた」

 

 二人は目を輝かせて話を聞き入っている。

 

「魔帝の腹心に昇り詰めたその力と、愛を知り、愛を心に備えたスパーダは正に無敵で最強だった。その手に持つ剣で悪魔を斬り伏せ、悪魔の巣窟である魔界を封印し人間族に平和をもたらした。こうして悪魔の侵略は阻止され、スパーダは妻と二人の子どもと幸せに暮らしたとさ。お終い」

 

 その話を聞き終わった二人は号泣していた。ユエは特に感動したのか、しきりに「すごい、すごい」って連呼している。

 

「今の話で分かると思うが、トータスの歴史は要は俺が言った歴史の失敗バージョンだ」

「……グスッ。それなら、納得がいく」

 

 ユエは鼻を啜りながら同意した。そしてハジメは作業に戻った。

 

「さて、こっからは俺達の問題だが、セオリー通りに行くとしたらここの最下層。そうだな……軽く百階層と考えるぞ。そこに出口になる扉かポータルがある筈だ」

「なるほどね。反逆者がいちいち迷宮を上り下りするなんて考えられないもの」

「んっ」

 

 見え始めた希望にハジメと雫は笑みがこぼれる。尚、その間ユエはハジメの手元をジ──っと見ていた。雫は閻魔刀の鍛錬に戻った。

 

「そんな面白いか?」

 

 ハジメのそれにコクコクと頷いて返事するユエ。可愛い!可愛すぎる!思わず抱き締めたくなる破壊力!

 

 

 ハジメも頬が紅くなっており、それを誤魔化すために黙々と作業を進め、武器が完成する。それは1メートルを超える長さを持つ対物ライフルだ。

 

「よーし!完成!こいつの名前は……シュラーゲンだ!」

「これ、なに?」

「ユエ。俺のドンナーは見ただろ?あれの強力版だ!新しくしてフルメタルジャケットを仕込んでる。ただ、素材余ったなぁ」

 

 ハジメはシュタル鉱石の山を見る。あのサソリモドキ……全身がシュタル鉱石だったのである!そりゃこんなにも残る筈だ。

 

「うーん……!そうだ!あれを造ろう!」

 

 ハジメは考えた末に何か思い付き、錬成を再び始める。自分の血と纏雷を入れながら。

 

 シュタル鉱石で出来た二個の円盤にサイクロプスの皮を着ける。サイクロプスの皮はゴム質なのでピッタリだ!同じくグリップの様なものを作りそれにもサイクロプスの皮を着ける。次にサソリモドキが発射していた棘を繋ぎ合わせ、四本の槍の様にする。そして前後でライトが出る様に緑光石とサイクロプスから手に入れた魔石を使い紅いランプにする。最後に分割点を作って完成だ。

 

「……試してみるか。ユエ、来いっ!」

 

 

 

 その一方で雫は閻魔刀の練習をしていた。この刀、自分が認めた者でなければ大した斬れ味が出ないのだが、雫は一発で認められたのだろう。巨大な岩が一閃するだけでバラバラに崩れ去っていく。

 

「ふうう──。あの二人はなにやってるかしら?」

 

 雫がハジメとユエのことを考えていると。

 

「「ヒャッホ───!!」」

 

 という声が響いてきた。更に、その声は雫にドンドン近づいてくる。雫が周りを見渡していると、雫の頭上にある物が飛び出してきた。更にその上にハジメとユエが乗っている。

 

「イエエアアアア!!」

 

 ハジメは大興奮でそれを乗り回している。ユエも思いっきり笑っている。ハジメはある程度、走らすとブレーキをかけた。そこに雫が近づいてくる。

 

「ちょっと!二人して何やってるの!?」

 

 雫にそう言われハジメとユエは顔を合わせてから雫の方を見て

 

「「試運転だ/だけど?」」

 

 と言った。ハジメ達が乗っているそれは本来〈キャバリエーレアンジェロ〉という悪魔の鎧とオートバイから作成されるが、ハジメはそれをシュタル鉱石と自分の血と纏雷で作り上げた。キャバリエーレそのものである!

 

「ハジメ。貴方、規格外過ぎない?」

「まあな」

 

 ハジメの言葉に雫はヤレヤレとと言った感じだった。

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