ありふれた悪魔狩人《DEVILHUNTER》で世界最強 作:ヴェルザ・ダ・ノヴァ
ハジメ、雫、ユエがサソリモドキと死闘を繰り広げたり、事情説明したり、バイクで迷宮内をかっ飛ばしたりしている一方で、生徒たちの中で数人が訓練所で特訓をしていた。
その中で、二人の男女が突っ立っていた。浩介と香織である。前に『ハジメの技を教えてくれ』と頼まれた浩介だが、ここで一つ問題が発生する。
浩介、ハジメの技を全然知らないのである!と言うのも、浩介も剣は出来るか、出来ないかであれば出来るのだが、全て独学であり本来では浩介は銃による援護射撃が主流。そもそも、浩介は武器デザイナー兼武器整備士である。そのため、戦場に出ることはそんなにない。それにハジメの剣技はそもそもダンテが教えたので、浩介が知る由もない。浩介が面識を取ったのは電話だけなのだ。
それでもなんとか香織の気持ちに応えるべく、なんとか奮闘した。とは言っても、教えたのは構えなどだけだが。それだけでも良かったかもしれない。
なぜなら香織、剣の構えすらできないのである!
今時は中学生時代に保健体育の授業で剣道をやるはずだが、どういう訳か香織は木刀ですら構えが出来なかった!なので浩介が構え方を教えたのである。
「ああ!白崎さん!もう少し握る手と手の間を開けて!」
「剣の持ち方は中段に、って言っても分かんないか…。え〜っと、握ってる下の方の手を腹の部分に当てる様な感じで、腕は伸ばす!そうそう出来てる!」
そんな感じで教えていった浩介だがあることを発見した。香織は一刀流より二刀流の方が得意だという事。なら、香織に双剣を持たした方が速いと考えた。
浩介はその構想を実現するべく早速作業を開始した。と言いたいところだが、そうはまだいかない。二人部屋を一人で占領していた浩介だがその部屋には、まだハジメの私物などがある。まずはこれを整理しなければいけない。
ハジメの私物には様々なものがある。この世界に来てハジメが作ったコーヒーメーカー、瓶詰めされたブレンドコーヒー豆の粉末や紅茶の茶葉、錬成用の道具などの物が置かれていた。とは言っても一纏めにして箱に入れ、収納しておくだけだが。いつかハジメが戻ってきたときに一から茶葉などをブレンドするのは可哀想だからだ。
そうやって部屋を片付けていると、ハジメの机の棚の端に何やら黒い本が置かれていた。浩介はその本を見た記憶がなかったため、「なんの本だろう?」と思い手に取った。
その本は今の浩介にはとてもありがたい本だった。なぜなら、その本の題名は、『あらゆる剣術とその他武器の使い方』というもの。つまり、この本があれば香織に剣術を教えることが出来るのである!
そう考えた浩介はその本を読みながら二本の双剣の作成を開始した。
翌日、浩介は片手にあの本を持って訓練所へ向かい、香織と訓練を始める。本だが、ダンテの剣技を事細かく簡単に書いてあり二人はドンドン強くなっていった。特に香織が。訓練が終われば、浩介は剣の製作に戻る。これを毎日繰り返した。
そうして数日後、
「よっしゃ!完成だ!」
朝方、太陽が出て少し昇っている頃に、それは完成した。刀身の長さは両方とも約1メートル、両刃になっておりその刃が窓から入る光を浴びて銀色に輝いている。片方は銀色の刀身、もう片方は緑色の刀身で緑色の方の柄の先にはどっかで見た様な半円のパーツ、中心には翡翠の球が付けられている。
実は香織、
「戦いながら、みんなを回復させられる様にしたい!」
と言ってきたのである。その結果、生まれたのが〈癒奪剣ラファエル〉という緑色の剣だ。以前使っていた治癒の杖の能力を引き継いだ仲間を癒し敵の体力を吸収する聖剣だ。
もう一つは、攻撃力要員、否、攻撃力要剣として作成された銀色の剣だ。鍔部分には、三つの球がそれぞれ、赤、黄色、白に近い水色の順で嵌められている。この球を使うと刀身に、炎、稲妻、氷晶が纏われ、それぞれ攻撃ごとにその属性の攻撃が繰り出される剣〈聖剣ウリエル〉だ。
それを渡された香織は飛び跳ねるほどに喜んでいた。香織の訓練課程も終了である。結果的に言えば香織は結構戦える様になった。今後、絶大な戦力になってくれることだろう。
この日、生徒たちの中で数人がオルクス大迷宮にやって来ていた。来ているのは、勇者(笑)パーティー(+小悪党組)を筆頭に、龍太郎、浩介、香織の計十人である。
檜山だが、天之河が許したことも相まってあの後厳重監視で許されている。だが、少しでも訓練をサボれば叱られたりされ、それによるストレス発散をしようにも喧嘩を売っていたハジメはもういないのであった。
龍太郎のチームにはリーダーは居らず、浩介はブルークイーンとアイボリーを装備し、龍太郎は籠手を人工魔具〈バルバトスネイル〉を装備し敵を殴り殺すかクロー部分を使って斬り裂き殺すかのどっちかである。香織は浩介が作った双大剣、右手に癒奪剣ラファエル、左手には炎雷剣ウリエルを装備し服装も前のと違いラフで動きやすそうな服だ。例えるなら、DMC5のトリッシュが上着を着たバージョンだろうか?
まあそれはさておき、そんな感じでオルクス大迷宮に来ているわけだが、全くもって訓練にならない!
大雑把に理由を言うなら、浩介が香織を強くし過ぎた、である。
浩介は一時期、弟子の様な存在に憧れており、そこに鍛えてくれと言ってきた香織。
結果=やっちゃった☆である。
弟子の様な存在が出来て嬉しかったことと、香織が教えたことをすぐ吸収するのでついついやり過ぎてしまい、浩介が正気に戻った頃には時、既に遅しでめちゃくちゃ強くなっていた。これにより、浩介は思いっきり顔が青ざめ、龍太郎が呆れるという『
香織の戦闘スタイルはラファエルとウリエルで敵を斬りつけて、味方が傷付けばラファエルの〈ドレイン〉で吸い取った魔物のHP的な物を分け与えて回復させる。ウリエルの攻撃手段は刃に炎か雷、氷またはその全てを纏わせて相手を斬り裂くか、斬撃をエネルギーブレイドの如く飛ばすかである。
実際、天之河以上のチートになってしまったが、その責任は浩介がとってくれるだろう。
そんな感じで六日目の第六十階層。
オルクス大迷宮 六十階層
あと五階層で歴代最高到達点に至る彼らだが、ここで少し立ち止まっていた。というのも、あと少しであの悪夢の場所にたどり着くとなると少し足がすくむのである。
香織は奈落に続く暗闇の崖下を覗き込んでいる。
「おい、香織…」
龍太郎が声をかけると、香織はそっちに振り向いた。
「大丈夫だよ、龍太郎君」
「ああ。だが、無茶はするなよ」
「りょ〜かい!」
そんなやりとりをした二人の前に現れるは、場違い&
「香織、クラスメイトの死を悔やむ君の気持ちはわかるが、俺達はそれに囚われていてはいけないんだ」
「おい!光輝!」
天之河を止めるため龍太郎がやめさせようとするが、天之河は強い口調で龍太郎を黙らせる。
「龍太郎は少し黙っていてくれ…!雫がこの場にいない今、これを言えるのは俺だけなんだ………香織。厳しい事を言っているのは理解している。でも俺達は今も迷宮にいる雫を助けるためにも戦わなきゃいけない、前に進まなきゃいけないんだ。大丈夫だ、俺が香織を支え「よく、分かったよ」え?」
力説していた天之河はいきなりの反応に止まる。香織はもう一度苦笑いで言う。
「
「そうか!分かってくれたか!」
天之河は自分が言ったことを理解してくれたと、勘違いして満足顔で戻っていく。香織が遠回しに拒絶したことも、血が出そうな位に拳を握っているのも知らないで……
オルクス大迷宮 六十五階層
そうして六十五階層にたどり着いた生徒たち。それを出迎えたのは、一つの大きな魔法陣だった。
「ま、まさか……アイツなのか!?」
天之河が額に冷や汗を浮かべながら叫ぶ。他のメンバーの表情にも緊張の色がはっきりと浮かんでいた。
「おいおい!あの牛野郎はハジメが殺したはずだ!なんでいんだ!?」
龍太郎も驚愕して叫んだ。それに応えてくれたのは、険しい表情をしながらも冷静なメルド団長だ。
「迷宮の魔物が発生する原因は不明だ。一度倒したとしても何度も遭遇することはザラだ。今回来た時、ロックマウントなどが居たことがその証拠。気を引き締めろ!退路の確保を忘れるな!」
いざと言う時、いつでも逃げられる様に指示を出すメルド団長。だが、天之河が不満そうに言葉を返した。
「メルドさん。俺達はあの時の俺達じゃないんです!!何倍も強くなったんだ!もう負けない!必ず勝ってみせます!」
「今回だけは、光輝に賛成だ」
龍太郎も臨戦態勢に入り、光輝が先頭に立とうとするが、香織がその目の前を横切っていく。
「……お前を……」
そして香織は左腰に下げているラファエルを右手で抜きベヒモスに向けた。
「お前を倒して、私は前に進む!!」
「グゥガガガァァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!」
香織は覚悟を決めた顔で宣言し、それにベヒモスは咆哮で応えた。
ミレディ・ライセンを連れていくかいかないかをアンケート取ります!
-
連れていく!
-
連れていかない!
-
どっちでもいいな〜