ありふれた悪魔狩人《DEVILHUNTER》で世界最強   作:ヴェルザ・ダ・ノヴァ

30 / 73
ちょっとバグってますが、許してください


ハジメ、真の覚醒

「「ハジメええええええええええええええええええええ!!!」」

 

 ユエと雫は倒れたハジメに駆け寄り、二人で、ハジメを柱の影まで連れて行く。ハジメの怪我は凄まじく右半身にかけて指や肩、脇腹が焼け爛れており右頬まで及んでいる。更に右眼が消滅していた。角度的に脚には怪我がなにも無かったのが唯一の奇跡だ。

 

「ユエ。ハジメを頼んだわよ!」

 雫はそう言うとヒュドラの足止めをするために戻っていった。ヒットアンドアウェイを心がけて一撃離脱を繰り返している。

 

 ユエはハジメに神水を傷口にかけて、もう一本神水を飲ませようする。だが、飲み込む力も無くむせてしまう。ユエは自分の口に神水を含むと、ハジメに口付けをして、むせるハジメを押さえつけ無理やり飲ませた。

 しかし、神水は止血の効果はあったが、中々傷を修復しない。いつもなら直ぐに修復が始まるのに、何かに阻害されているかの様に遅々としている。

「どうして!?」

 だが、すぐに〝状態異常無効〟が稼働し始め、極光の能力を消し去った。

 

 ヒュドラの極光には一種の毒が入っており、肉体をじわりじわりと溶かしていくのだ。普通なら何もできずに溶かされて終わりだ。だが、ハジメには状態異常無効というチート技能があり、極光の毒を解毒し始めた。それにより、肉体の修復が始まる。だが、右眼は蒸発して無くなってしまった。神水では身体の欠損は治せないので、一生このままとなる。

 

 身体の修復が始まったが、ハジメは一向に目を覚さない。柱は崩れそうになっており、雫がヒュドラの足止めをしているとは言え、ハジメが行動可能になるまでは持たないだろう。

 

 ユエは決意を宿してハジメの左頬にそっと口付けをして、ドンナーを手に取った。

「……私が二人を助ける……」

 ユエはその決意を口にし、柱から飛び出していった。

 

 魔力はゼロに近く、神水はもう無い。それでもドンナーを握り締めてヒュドラへ駆ける。雫はそれを横目に見て止めようとするが、ユエの目が覚悟を決めた人の目をしていたからか、止めなかった。逆にユエの援護として次元斬を放ち、ヒュドラの意識をこちらに向ける。それは成功した。ヒュドラの首に次元斬が当たり、ヒュドラの目が雫の方へ向く。

 

 ユエはそれを見てチャンスとばかりに走るスピードを上げて空中に飛ぶ。

「ユエ!撃って!」

 ユエは纏雷を持ってはいないが、雷系の魔法で電磁加速を行いヒュドラの眉間に銃弾を撃ち込む。

 

 だが、

 

 

「えっ」

「うそっ……でしょ…」

 ユエと雫が声を漏らす。確かに不十分な電磁加速だっただろう。それでも、威力は持った一撃なのだ。それが効かなかった。そこにヒュドラの光弾が撃ち込まれる。

「あガッ!?」

「ユエ!?」

 雫はユエを受け止めようと走り出すが、ヒュドラの尻尾に吹き飛ばされて壁に激突する。壁にはクレーターが作られ、そこに雫が叩きつけられている。雫の身体は壁から剥がれて地面に落ち、意識は朦朧としていた。

「うぅ……うぅ……」

 最下層に嗚咽の様な声が響く。その出所はユエだった。腹は光弾に撃たれて穴が開き血が流れている。それでも起き上がろうともがくが、体が言う事を聞かず、手を着いてもすぐに肘が折れて倒れてしまう。

 

 そんな二人の目に途轍もない残酷なシーンが目に映る。

 

 天井が壊れ一本の剣が飛んできたかと思いきや、ハジメの胸部にグサッと刺さり貫通した。そこからは大量に血が噴き出ている。

「ハ、ハジメ……ハジメが……死んだ……?」

 ユエはその光景を目の当たりし、涙が溢れている。雫は既に希望が無くなったかの様に、地面にへたり込んでいる。

 

「クルウウウアアアアン!!」

 そこにヒュドラの咆哮が鳴り渡り、ユエに極光が放たれる。ユエはそれを見て目を閉じた。

(ハジメ……守れなくて……ごめんなさい……!)

「ユ、ユエええ!」

 雫がユエの名を口にするが、遅くヒュドラの極光がユエを飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 様に見えた。

「え……?」

 いつまでも衝撃がやって来ないため、恐る恐るユエは目を開くと、極光は自分の横を通り過ぎていき、自分は空を飛んでいた。

 

 否、空中で抱き抱えられていた。ユエはどうなっているのか、混乱しているその時に、

「グルルル…」

 唸り声が聞こえて自分が向いている方向の後ろをみる。

 

 そこには、目が紅く光り四つの翼膜の様な翼(DMC5のダンテの真魔人化に近い姿)が生えた人型の何かがユエは抱き抱えていた。その何かには()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が刺さっている。

「もしかして……ハジメ…なの?」

 ユエの問いにその何かは「グァッ!」と鳴きながら首を縦に動かす。

 

 

 

 

 数分前、

 

 

 ドンナーの銃弾がヒュドラに弾かれて二人が地面に叩きつけられていた頃、ハジメは真っ白な空間に独りで立っていた。

「ここがあの世ってところか?っとすると、俺は死んじまったのか……やれやれ情けねえ」

 ハジメは自分のいる場所をあの世と考えて、自分に対してそんな感触が湧いた。

「何が俺は死なねえだ…白崎との約束を破るわ、俺だけ勝手に先に死ぬわ、最悪の気分だ!」

 ハジメが憤慨していたその時、

 

『目覚めよ……』

 そんな声が響き出した。

「あ゛ぁ゛?」

 ハジメが背後を向くと、そこには見たことのない悪魔が立っていた。

「なんだ、お前?」

『目覚めよ…』

 その悪魔は「目覚めよ」としか言わず、ずっとハジメを見つめている。そして悪魔は唐突にハジメの背後を指差した。

 

 ハジメは背後を見ると、それはユエと雫が倒れ伏していたところだった。

「なッ!?雫!ユエ!」

 ハジメはそれを見て拳を握る。その手からは血が流れた。

「雫とユエが頑張ってんのに……独りでのうのうと寝てられねえ!」

 ハジメはそう言って背後の悪魔を睨む。

「おい!テメェ、さっきから目覚めよ目覚めよ言ってんだから、目ぇ覚ます方法知ってるよな!?だったらさっさと教えろ!俺はこんなところで寝てるわけにはいかねぇんだ!」

 すると、悪魔は姿を剣に変えてハジメの胸部に刺した。

 

 

 

 

同時刻 ハイリヒ王国

 ハイリヒ王国にある宝物庫。そこからガタガタと音がなっていた。そこに兵が二人、近づいてくる。

「ん?中で何か音がしないか?」

「調べてみるか…」

 その兵は宝物庫を開けて中に入った。

 

 そして調べていると、その原因にたどり着いた。それはあの鎖で封印された魔剣の入っている部屋だった。

「おいおい、ここからかよ」

「どうするか……」

 兵がそう言っていると、突然、鎖がちぎれ始めた。一本一本がガシャンガシャンと音を立てて切れていく。

「ああ!マズい!」

 そして最後の一本が切れ、扉が開くと、中から剣が飛び出していった。

 

 

 その剣は一直線上を突き破っていき、訓練所に差し迫った。

「よーし、今日はここま」

 そこで訓練していた生徒たちにメルドが声を掛けようとしたところに飛び出て、声を遮る。

「なんだよあれ!?」

「剣が空を飛んでる!?」

「マイ○ィ・ソーかよ!?」

 そこに兵がやって来た。

「無事ですか!?」

「何があった!?」

 メルドが事情を聞こうとすると、兵は汗を流しながら

「宝物庫から伝説の魔剣が飛び出しました!!」

「どっちに向かった!?」

「オ、オルクス大迷宮の方です!」

 それを聞いて三人の生徒が意識をそっちに向ける。龍太郎、浩介、香織の三人だ。

「魔剣が反応した?」

「それよりオルクス大迷宮に剣が飛んでったってことは」

「ハジメくんが…生きてるの?」

 三人はそれを勘づいて喜んだ。

 

 

 

 そしてその魔剣はオルクス大迷宮に突っ込み、階層の天井と床を破壊しながら最下層に着き、ハジメの胸部に刺さった。

「ぐあ!?ぐうウ、アアア!!」

 そして、ハジメの周りを紅い光が爆ぜ、そこからハジメが真魔人化状態でユエのところまで飛んでいき、抱き抱えて空へ飛んだ。

 

 

 

 そして、時間は今に戻る。

 BGM:FLARE

「ハジメ…良かった……!死んだかと思った……!」

 ユエは涙を流してハジメに抱きついている。ハジメはそれを何をするわけでもなく、ユエを雫の近くにおろす。雫は既に意識をなくしていた。

「ハジメ…」

 ユエが心配する様にハジメを見る。それをハジメはサムズアップしてヒュドラの方へ飛んでいった。

 

 ハジメはヒュドラの攻撃を掻い潜りながら飛行している。ハジメとヒュドラの距離はだんだんと短くなって来た。ハジメは自分の間合いに入る前に、自分の胸に刺さっている魔剣を引き抜いた。

 

 その魔剣は、宝物庫から飛んできた時と姿を変え、(けん)と言うよりも(つるぎ)になっていた。姿は、魔剣ダンテに近く、刀身は同じ形をしており、色は白に近い灰色をしている。鍔には角の様な造形が施されており、グリップと柄頭はそのままの姿をしている。

 

 新たなる伝説の魔剣。『魔剣ジェネシス』の誕生である。

 

「グアアアアアア!!」

 ハジメは咆哮しながら、ヒュドラへ突っ込んでいき、その首に魔剣ジェネシスを斬りつける。

 

 ユエはそれを見て驚いた。ドンナーの電磁加速ですら傷つかなかったヒュドラの甲殻が砕け、中から血が流れ出ていたからだ。

「クルウウウアアアアン!?」

 ヒュドラは驚愕と悲鳴が混じった咆哮を上げてハジメを睨む。だが、既にハジメはその場にいなかった。ヒュドラは周りを見渡してハジメを探していた。そのヒュドラの背中に縦に一閃が放たれる。

 

 ハジメはヒュドラが認識するよりも速く空を飛び、ヒュドラの真上から斬ったのである。

「ガアア!!」

 ハジメの攻撃は終わらない。ヒュドラの周り、360度を縦横無尽に飛び回ってヒュドラを斬り続ける。

 

 ヒュドラはもうボロボロになっていた。それでもヒュドラの目は諦めずハジメを睨んでいる。ハジメはそのヒュドラへ最高速度で突貫してその首を完全に切断する。

グウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥアアアアアアアアアア!!

 ハジメの勝利の咆哮が最下層に鳴り渡った。

 

ユエはその光景を見て凄いの一言しか言わなかった、否、言えなかった。その圧倒的な力と攻撃の技術は、ユエに語彙力を失わせるのに十分である。

 

そこに、ハジメが人間体になって戻ってきた。ユエは涙を流しながらハジメに抱きついた。

「ユエ?大丈夫か?」

「怖かった!ハジメが死んだと思って怖かった!」

ユエはそう言い続けて泣いていた。そんなユエの頭をハジメは撫でた。

「もう大丈夫だから。なっ?」

ハジメはそう言って、雫を背負って扉に向かった。その後ろにユエがついてくる。

「ん?ハジメ…左手と右目が!」

「ああ。どうやら俺も自動再生を獲得したみてぇだな」

ハジメはニヤッと笑いながら扉を開けて、三人で中に入った。

ミレディ・ライセンを連れていくかいかないかをアンケート取ります!

  • 連れていく!
  • 連れていかない!
  • どっちでもいいな〜
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。