ありふれた悪魔狩人《DEVILHUNTER》で世界最強   作:ヴェルザ・ダ・ノヴァ

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4500文字を超えたんで二つに分けます。


ハジメの怒り 前編

 数時間後……

 

 

 

 

 あの後、伝令が数人引き連れて戻り、そして長老の一人アルフレリックに自己紹介とオルクス大迷宮の攻略者の証を見せ、フェアベルゲンに向かっていた。当初の予定ではフェアベルゲンにはよらず大樹に直行しようとしていたのだが、霧が濃過ぎて亜人族も迷うため足止めとなる。ちなみにこれをカムは忘れていてハジメに拳骨されたとか。

 

 そうしてしばらく歩いていくと、霧がアーチ状のトンネルになっている道に出た。道の両端には等間隔で拳大の青白く輝く鉱石が地面に埋め込まれている。そこを境界線に霧の侵入を防いでいるようだ。

 

 ハジメがそれに注目していることに気が付いたのかアルフレリックが解説をしてくれた。

「それは『フュアドレン水晶』というもので、理由はわからんが、あれの周囲には霧や魔物が寄り付かない。フェアベルゲンも近辺の集落も、この水晶で囲んでいる。まぁ、魔物の方は〝比較的〟という程度だが」

「なるほど。しょっちゅう霧の中ってのも気が滅入るからな。それに魔物を遠避ける機能もあるのか……面白いな……」

 そうこうしている内に、巨大な門が見えてきた。太い樹と樹が絡み合ってアーチを作っており、其処に木製の十メートルはある両開きの扉が鎮座していた。天然の樹で作られた防壁は高さが最低でも三十メートルはありそうだ。亜人の〝国〟というに相応しい威容を感じる。

 

 虎の亜人ギルが門番の亜人に合図を送ると、ゴゴゴと重そうな音を立てて門が僅かに開いた。周囲の樹の上から、ハジメ達に視線が突き刺さっている。人間が招かれているという事実に動揺を隠せないようだ。アルフレリックがいなければ、ギルがいても一悶着あったかもしれない。その辺りも予測して長老自ら出てきたのだろう。

 

 門をくぐると、そこは別世界だった。直径数十メートル級の巨大樹が乱立し、その樹の中に住居があるようで、ランプの明かりが樹の幹に空いた窓と思しき場所から溢れて出ている。人が数十人規模で渡れるであろう極太の樹の枝が絡み合い空中回廊となっている。樹の蔓と重なった滑車を利用したエレベーターのような物や樹と樹の間を縫う様に設置された木製の巨大な空中水路まである。樹の高さはどれも二十階くらいありそうである。

 

 この光景にユエと雫はポカンとしている。ハジメは頬を赤らめて目が輝いていた。その美しい街並みに見蕩れていると、ゴホンッと咳払いが聞こえた。どうやら、気がつかない内に立ち止まっていたらしくアルフレリックが正気に戻してくれたようだ。

「どうやら我らの故郷、フェアベルゲンを気に入ってくれたようだな」

 アルフレリックの表情が嬉しげに緩んでいる。周囲の亜人達やハウリア族の者達も、どこか得意げな表情だ。雫は、そんな彼等の様子を見つつ、素直に称賛した。

「ええ、自然と調和した見事な街ね」

「ん……綺麗」

 掛け値なしのストレートな称賛に、流石に、そこまで褒められるとは思っていなかった亜人達。だが、やはり故郷を褒められたのが嬉しいのか、皆、そっぽを向きながらもケモミミや尻尾を勢いよくふりふりしている。

「貴方はどう思いますかな?」

 アルフレリックがハジメに話を振る。

「え?ああ、綺麗で美しい街だ、空気も美味い。何より亜人族の幸せそうな気配がたくさんするな。とても気分の良い街だ」

 街の凄さに惚けていたハジメはアルフレリックに話を振られて率直に感想を伝える。アルフレリックもここまで惚れ込んでくれるとは思っておらず、少し驚いている。周りの亜人族は隠すのをやめて、ハジメに向けて「そうだろうそうだろう」と頷いてケモミミや尻尾をフリフリしている。

 

 ハジメ達は、フェアベルゲンの住人に好奇と忌避、困惑と憎悪といった様々な視線を向けられながら、アルフレリックが用意した場所に向かった。

 〜~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「……なるほど。試練に神代魔法、それに神の盤上か……」

 現在、ハジメは、アルフレリックと向かい合って話をしていた。内容は、ハジメがオスカー・オルクスに聞いた〝解放者〟のことや神代魔法のこと、自分が異世界の人間であり七大迷宮を攻略し、オスカー・オルクスとの依頼である『神エヒトの討伐』のことだ。ちなみに、ユエと雫はフェアベルゲンを観光している。ちなみに、雫とユエは観光しているときに、亜人族の好感度を上げていたとかなんとか。

 

 話を戻そう。

 

 アルフレリックは、この世界の神の話を聞いても顔色を変えたりはしなかった。

 

 曰く「この世界は亜人族に優しくはない、今更だ」らしい。

 

 神が狂っていようがいまいが、亜人族の現状は変わらない。聖教教会の権威もないこの場所では信仰心もないようだ。あるとすれば自然への感謝の念だという。この点に関してはハジメも同意である。

 

 ハジメ達の話を聞いたアルフレリックは、フェアベルゲンの長老の座に就いた者に伝えられる掟を話した。もし、樹海に七大迷宮の紋章がある指輪を持つ者が現れたら、敵対しないこと、その者を気に入ったのなら望む場所に連れて行くことという何とも抽象的な口伝だった。

 

 そして、ここからが少し特殊な口伝になる。

 

 それは、もしスパーダの血族が現れたら出来る限り力を貸すこと、敵対は絶対にしないことだと言う。なんでも昔、フェアベルゲンが一度危機に陥ったときにスパーダが見返りを求めずに救ったらしく、血族にその恩返しをすることになったとのこと。スパーダの血族を判別する特徴は銀色に輝く髪、蒼い瞳、恵まれた体格の三つらしい。ハジメはこの三つをクリアしている。実はハジメ、魔物を喰っても体格が変わるだけで髪色も瞳の色も変わらなかったのである。雫は白髪に紅い瞳になっているが。

「なるほどな、だから俺に会ったときにジロジロ身体見てたのか」

「ああ、一眼見たときにその蒼眼が目に入ったからな。それで少し見ていた」

 その話を聞き終え、ひと段落していたところで、下の階から怒声が聞こえてきた。因みに、ハジメ達は建物の最上階にいる。

 

 アルフレリックとハジメは顔を見合わせてから急いで下の階に向かうと、地に伏せて涙目になっているシアと、拳を振り抜いた後のように残心している熊の亜人がいた。よく見ると、他のハウリア族の兎人も数人頬が紅く腫れている。

 

 熊の亜人は、ハジメの方を見るなり、不機嫌そうに威圧をまき散らしながらこちらに近づいてきた。

「アルフレリック!貴様、何のつもりだ!?人間を中に入れるなど!!同胞に危害が及んだらどうする気だ!?こいつら兎人族もだ。忌み子にこの地を踏ませるなど……返答によっては、長老会議にて貴様に処分を下すことになるぞ!」

 ハジメにではなく、ハジメの後ろにいたアルフレリックに話かけた熊亜人。

「…口伝に従っただけだ。何一つ問題あるまい」

「貴様っ…そんな眉唾物の話を信じて、人間を招き入れたというのか!!口伝等、建国以来一度も施行されてないだろう!!」

「なら、これが最初の施行と言う事だな」

「こんな人間族の小僧が資格者だとでも言うのか! 敵対してはならない強者だと!」

「それだけではない。彼はスパーダ殿の血族だ」

「なに!?」

 あくまで淡々と返すアルフレリック。熊の亜人は信じられないという表情でアルフレリックを、そしてハジメを睨む。

「……ならば、今、この場で試してやろう!」

 熊の亜人はハジメに剛拳を振り下ろす。亜人の中でも、熊人族は耐久力と腕力に優れた種族で、その豪腕は、一撃で野太い樹をへし折る程で、種族代表なら他と一線を画す破壊力を持っている。シア達ハウリア族と亜人達は、皆一様に、肉塊となったハジメを幻視した。

 

 だが、それは起こる筈がないのだ。

 

 ハジメはその拳を片手で受け止めて横にずらして熊亜人の顔を見る。

「〈デビルトリガー!〉」

 ハジメはそのままデビルトリガーを発動し魔人になる。その姿を見て場にいる亜人族全員が驚く。それは熊亜人も例外ではない。

「な、なに!?」

「シア……依頼、守れず済まなかった」

 ハジメはそう言うと同時に熊亜人の頬に憤怒の左ストレートが突き刺さる。熊亜人は「グベアア!?」と血反吐を吐きながら壁へ激突した。

 

ハジメはそんな熊亜人に話をし始める。

「てめぇ、亜人族は皆、同胞じゃねぇのか?それを「忌み子」「悪魔の子」などと言って貶めて、未来ある者を殺そうとして。アンタは子どもに何かあれば簡単に手をかけるのか?その子を愛しく育てた者も、その子を好きになった恋人も、その子の兄、姉、妹、弟も殺すのか?」

「そんな事は!」

「しねぇって?それなら、何故ハウリアを殺そうとした。結局、アンタはそうやって自分が気に入らなければ、気に入らないモノを破壊する。それはアルフレリックさん以外の長老もみんな同じだ。俺が今討伐を依頼されている対象と同じことしかしてねぇ」

「ぐううう」

「アンタはそうやって自分勝手な理由でハウリアを、シアを殴ったわけか?はっきり言って反吐が出る!!気に入らなければ他の人も殴ってきたのか!?」

「……」

熊亜人は完全に黙りこくってしまった、それによりハジメの怒りはヒートアップし、熊亜人に近づきまた胸ぐらを掴む。

「なにを黙ってやがる?言う事がないのか!?」

「お前が正しい……だ、だが」

「ああ、生理的に受け入れられねぇか?」

「い、いや!そんなつもりは!!」

熊亜人が言葉を取り繕うが、ハジメはそれを無視して七戦斧ヒュドラを取り出してその刃を黒に染める。

「なら、てめぇにも受け入れられる様にしてやるよ」

ハジメはそう言って七戦斧ヒュドラを熊亜人の頭にくっつける。すると、熊の亜人は目を瞑った。

 

 

 

 

 

熊亜人は自分の集落にいた。身体が半透明なことから思念体だろう。だが、熊亜人にはこれが現実の様に見えている。その目には自分(熊亜人)と熊亜人が撫でている子どもがいた。その子どもは手のひらから小さい火を出している。魔法を使っているのだ。

『どお?お父さま?』

『ああ、すごいぞ!お前は俺の自慢の娘だ』

とても幸せそうだ。自分も子どもも笑っている。

 

だが、『幸せ』というのは簡単に破壊される脆いモノ。

 

虎の亜人がやってきたのだ。

『!?貴様!その子どもは何だ!?忌み子を隠し育てていたのか!?』

『いや、違う!この子は!』

『問答無用!今ここで切り捨てる!!』

そこから始まったのは自分と自分の子ども、そして自分の仲間があらゆる他の亜人族に殺されそうになるところだった。

「よせ、やめろ!やめてくれ!頼むから殺さないでくれ!!!」

熊の亜人が泣き叫んで止めようとするも、身体がすり抜けて止められない。止めようとした一人の亜人が熊人の胸に槍を突き刺し殺す。

 

熊の亜人が次に見たのは自分が子どもを庇って切られそうになっているところだ。

『頼む!どうか、この子だけは助けてくれ!』

『忌み子を助けろ?ふざけるな!そんな害悪は今ここで殺す!この化け物と亜人族の面汚しが!!』

そう言って亜人は剣を振り下ろす。が、熊の亜人を庇う様に誰かが出てきた。それは熊の亜人の忠実で一番頼りにしていた自分の右腕だった。

『な、お、おい!大丈夫か!?』

『貴方を…助けられて………良かったです……』

そう言ってその右腕の熊亜人はだんだん目から光を失い、亡くなった。

登場人物の設定資料みたいなのいりますか?(やるなら三章)

  • やれよ(章の最初)
  • やれよ(章の最後)
  • 両方やれよ(章の最初と最後)
  • どっちでもいい
  • さっさと話進めろや!
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