ありふれた悪魔狩人《DEVILHUNTER》で世界最強 作:ヴェルザ・ダ・ノヴァ
辺りにもうもうと粉塵が舞い、地面には放射状に罅が幾筋も刻まれている。地面に激突した浮遊ブロックが大きなクレーターを作っており、その上に胸部に漆黒の杭を突き刺された巨大なゴーレムが横たわっていた。
そのミレディゴーレムの上で、ドリュッケンを支えにゼハァゼハァと息を荒げるシアのもとに、ハジメ達三人がやって来た。ハジメは感心したように目を細め、雫とユエは優しげな眼差しを向けている。
「やったじゃないシア!」
「最後のは最高だったぜ。見直したぞ?」
「……ん、頑張った」
「えへへ、有難うございます。でもハジメさん、そこは、〝惚れ直した〟でもいいんですよ?」
「あぁ~、そうかもしれねぇ。俺シアに惚れたかも「ええ!?ホントですか!」なんてな」
「もう~!ハジメさん!!」
疲れた表情をしながらも、三人の称賛にはにかむシア。実際、つい最近まで、争いとは無縁だったとは思えない活躍だった。それはひとえに、ハジメ達三人と同じ場所にいたい。ずっと一緒にいたいというシアの願いあってのことだろう。深く強いその願いが、シアの潜在能力と相まって七大迷宮最大の試練と正面から渡り合わせ、止めを刺すというこれ以上ない成果を生み出した。
ハジメとしても、最後はシアに最後を任せようと思っていた。温厚で争いが苦手な兎人族であり、最近まで戦う術を持たなかったシアが一度も「帰りたい」などと弱音を吐かず、恐怖も不安も動揺も押しのけて大迷宮の深部までやって来たのだ。例え、パイルバンカーが威力不足だということに予想がついていて、それを押し込む手段があったとしても、シアが無理そうでない限り、シアに止めは刺させるつもりだった。
ダンテ流にまとめれば、「見せ場は譲ってやる。楽しんで来い」というヤツだ。
結果は上々。凄まじい気迫と共に繰り出された最後の一撃は、シアの想いの強さが衝撃波となって届いたのかと思うほどで、ハジメをして見惚れるほど見事なものだった。
だからだろうか。その頑張りに、根性に、つい絆されてしまうのは仕方ないことだろう。
「ま、〝ご褒美〟ってヤツは必要だよな」
ハジメはおもむろに手を伸ばし、乱れた髪を直すように優しくシアの頭を撫でた。
「ふぇ?は、ハジメさん?」
「お疲れさん。よくやったな」
「ハジメさぁ~ん…うぅ、あれ、何だろ?何だか泣けてぎまじだぁ、ふぇええ~」
シアは最初のうちハジメの突然の行動に戸惑っていたが。褒められていると理解すると緊張の糸が切れたのか、ポロポロと涙を流しながら彼に抱きつき泣き出してしまった。やはり、初めての旅でいきなり七大迷宮というのは相当堪えていたようだ。それを、ハジメ達に着いて行くという決意のみで踏ん張ってきたのだ。褒められて、認められて、安堵のあまり涙腺が崩壊してしまったようだ。
「泣くなって。せっかくの可愛い顔が台無しになっちまうだろ?」
「ハジメ、今ぐらいはいいんじゃない?」
「それもそうか」
和気藹々。そんな言葉が似あう雰囲気で勝利の余韻に浸る四人。そんな四人に、突如、物凄く聞き覚えのある声が掛けられた。
「あのぉ~、いい雰囲気で悪いんだけどぉ~、そろそろヤバイんで、ちょっといいかなぁ~?」
「「「「ッ!?」」」」
ハジメ達がハッとしてミレディ・ゴーレムを見ると、消えたはずの眼の光がいつの間にか戻っていることに気がついた。咄嗟に、飛び退り距離を置くハジメ達。確かに核は砕いたはずなのにと警戒心もあらわに身構える。
「ちょ、ちょっと、大丈夫だってぇ~。試練はクリア!あんたたちの勝ち!この先の部屋に早く進んでほしいだけ!」
「ああ?なんでだよ?」
「ほらぁ~、この先についてとか、神代魔法授けたりとか諸々の奴をやるから早く来てって感じかな?」
「ったく、せっかちなヤツだ。わぁったよ」
「うん、じゃ、先に言って待ってるねぇ~!」
ミレディはそこまで言うと、ミレディゴーレムは淡い光となって消えた。すると、壁の一角が光を放ち始めた。ハジメ達は自動で動く浮遊ブロックを使い光の奥へと進んでいった。
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「やっほー、さっき振り!ミレディちゃんだよ!」
それから自動で動く床に乗って神代魔法を得られる空間に訪れたハジメ達を乳白色の長いローブを身に纏い、ニコちゃんマークが書かれた白い仮面を付けているチビミレディが出迎えてくれた。
「それじゃあ、私の神代魔法…〝重力魔法〟を授けていっくよぉー!」
ミレディはそう言って、ハジメ達を魔法陣の中に入れて、脳内に直接神代魔法の知識や使用方法が刻まれていく。今回は、最終試験をミレディが知っているので、オルクス大迷宮の時のような記憶を探るプロセスはパスとなる。ハジメ達三人は経験済みだった為にほぼ無反応だったが、シアが初めての経験に身体をビクリと跳ねさせた。
ものの数秒で刻み込みは終了し、あっさりとハジメ達はミレディ・ライセンの神代魔法を手に入れる。
「こいつぁ……やっぱり重力操作の魔法か」
「そうだよ~ん。ミレディちゃんの魔法は重力魔法だよ!でも、ポニテちゃんとウサギちゃんはびっくりするレベルで適性ないね!」
「そんなことぐらい分かってるわよ!」
チビミレディの言う通り、雫とシアは重力魔法の知識等を刻まれてもまともに使える気がしなかった。ユエが、生成魔法をきちんと使えないのと同じく、適性がないのだろう。
「まぁ、ウサギちゃんは体重の増減くらいなら使えるんじゃないかな。ポニテちゃんも剣の重さ無くしたりとかかな。君と金髪ちゃんは適性ばっちりだから、修練すれば十全に使いこなせるよ」
チビミレディの真面目な解説にハジメはなるほど~みたいな感じで頷き、雫は肩を竦め、ユエは頷き、シアは打ちひしがれた。せっかくの神代魔法を適性なしと断じられ、使えたとしても体重を増減出来るだけ。ガッカリ感が凄まじかった。
そんな会話をしたり、ミレディから鉱石を貰ったりした中、ミレディが意外だったというように口を開く。
「けど、びっくりしたなぁ~。君は適正ないと思ってたからね」
「ああ~、親父のせいかもな。兄さん曰く、あらゆる戦闘術に精通してたみたいだからな」
「君のお父さんって何者なの………?」
「知らねぇのか?魔剣士スパーダ。そいつが俺の
ミレディの動きが止まるが、次の瞬間にはミレディは大声を上げていた。
「ええええええええ!?スパーダさんの息子!?君が!?すんごい巡り合わせ!?」
「まぁ、血しか繋がってないけどな」
「え?どういうこと?」
ハジメはミレディに自分の秘密を話した。誘拐されたこと等を。それを聞いたミレディのニコちゃんマークの仮面には涙を流している顔が映っていた。
「そっかぁ…誘拐されて、実験されて、大変だったねぇ」
「ま、悪いことばかりじゃねぇさ。この力のおかげで、こうしてここにいんだからな」
その言葉を聞いたミレディはすごいものを見たという心情だった。どんな状況でも立ち上がってきた、諦めなかった。そんな心の持ち主の男が、今、目の前にいる。そのミレディの目にはかつて共に戦ったスパーダの姿があった。
「………よ~し!決めたよ!私も付いて行くことにする!」
「「「「はあぁ~!?」」」」
「君たちの行く道をみたくなったよ!それに、私が重力魔法の使い方教えてあげるから!いいでしょ!」
ハジメ達はどうしようかと悩み始める。考えた末、重力魔法を教えてくれるというメリットで同意した。ミレディの体だが、奥に人間としての体を置いてあったんだとか。
こうして、ハジメの新たな仲間に解放者が一人である〝ミレディ・ライセン〟が加わったのだった。
どうだったでしょうか。自分的には、最後らへんはこじつけ感が凄まじいですが、これで第二章終了です。
この後、幕門を数話書いて第三章に入ろうと思います。
これからもよろしくお願いします!!
今の小説の基本文字数は5000~6000なんですが、このままでいいですか?
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減らして(4000~5000)
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このままでいい
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増やして(一万文字ぐらいまで)