ありふれた悪魔狩人《DEVILHUNTER》で世界最強 作:ヴェルザ・ダ・ノヴァ
大小様々な砂丘が無数に存在し、その表面は風に煽られて常に波立っている。次々と表面の模様や砂丘の形を変えていく様は、さながら赤銅色の海という表現が一番似合うだろう。照りつける太陽と、その太陽からの熱を余さず溜め込む砂の大地が強烈な熱気を放っており、四十度は軽く超えているだろう。
赤銅色の世界。そう表現する以外の言葉はないだろう。
人は、この場所を【グリューエン大砂漠】と呼ぶ。
そんな砂漠を一人で歩いている男がいた。灰色の布をローブのように頭から被り、中には濃い茶色と赤色を混ぜたような色のロングコートを着ている。目を凝らすと、髪も見え、その色は
だが、一番目立つのはその目だ。地獄を再現したような
すると、男の後ろから轟音と共に二十メートル近いミミズのような化け物が現れた。
いわゆるサンドワームと呼ばれる魔物で、平均二十メートル、大きいものでは百メートルにもなるのだ。このグリューエン大砂漠にのみ生息し、普段は砂の中に潜しており、獲物が近くを通ると真下から三重構造のずらりと牙が並んだ大口を開けて襲いかかる。察知が難しく奇襲に優れているため、大砂漠を横断する者には死神と恐れられている。
男は、サンドワームを一瞥すると、左側のローブとコートをはらうと、そこにはトータスには存在しないものである〝日本刀〟が携えらえていた。
男は足をアキレス腱を伸ばすように左足を後ろにし、鞘の先を上に、上体をできる限り下に向け、抜刀の構えをする。それでも、サンドワームは止まることを知らないように男に突進していく。
この光景を見れば、誰もが逃げろと叫ぶだろう。その叫びが杞憂に終わるとも知らずに。
「吹き荒れる風よ。我が刀に纏いて、全てを斬り裂く刃となれ」
男は、小声で術を唱え、鞘から一気に刀を引き抜いて、虚空に一閃を放ち、その勢いで回れ右をし、流れるような動作で鞘に刃を収めていく。
サンドワームはもう真後ろ近くだ。
男は、最後で少し止めてからチンッという音を響かせて完全に納刀する。すると、残り1,2メートルの距離で男に襲い掛かろうとしていたサンドワームが急に止まり、次の瞬間には綺麗に斜め一文字にバッサリと斬られていた。
男は、斬ったサンドワームに近づくと、手の平で持てる量の肉を抉り取り、口に放り込んだ。魔物肉は、普通の人間なら一発で死ぬ猛毒である。それを食ったにも関わらず、痛みは感じていないようだ。
そうして、喰ったサンドワーム肉を飲み込むと、興味を失ったように歩き始めサンドワームから結構先の距離を歩いていた。
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男は、数日掛けてある街に辿り着いた。外壁に囲まれた乳白色の都で、外壁も建築物も軒並みミルク色で、外界の赤銅色とのコントラストが美しい。
空には、ドーム状の光が都を覆っており、時折、何かがぶつかり波紋のようなものが広がる。まるで水中から揺れる水面を眺めているような、不思議で美しい光景が広がっていた。
このドームが砂の浸入を防いでいるようで、都内には砂は無い。
この都は、名を【アンカジ公国】という。
男は、都内を散策していると、ある者が目に入った。それは傷だらけで路地に倒れ込む少女だった。男は、少し思案し、助けることにしたのか少女に近づいた。
男は、少女を背中に背負うと、街外れの川近くの小屋の中に入り、そこにあったベンチに寝かせる。
すると、後ろに数人の集団が現れ、リーダー格の男が男に話し掛けた
「おい、アンタ。ここは俺らの家だぜ? 勝手に入るのはやめてくれよ~」
「フム、家という割には風呂もトイレもないように思えるが?」
この小屋は、少し大きめだが家というには、家具と呼べるものは少女を寝かせているベンチだけ。他に目立つものもなく、家というよりも物置小屋か作業室と言われた方がしっくりくる
「ハッ、アンタもしかして貴族の出か? ってことはよ、アンタを出汁に金が取れるなあ!!」
BGM:暁闇の闘い
その言葉と共に後ろにいた集団が襲い掛かった。恐らく、ここは犯罪者集団のたまり場なのだろう、と考えた男は、集団の攻撃を礼をするように頭を下げたり、壁を蹴るように走るなどして躱していく。その動きは、まるで某人斬り抜刀斎のような動きだ。
「なんだコイツ!? 速すぎだろ!?」
「どこだ!? どこにいる!?」
「バカ野郎! 後ろだ!」
男は、一頻り逃げると、寝ている少女の前に立ち、集団を見回している。男連中は、男を恐れて近づけず距離を取っている。
男は、不敵な笑みを零すと、腰から刀を抜いた。その刃の鍔に近い所には、トータスにはないはずの
「貴様らの力は見切った。ここからは、斬りに行くぞ」
BGM:人斬り抜刀斎~殺人剣~
男は、そう言い、次の瞬間、縮地したように男連中の前に現れると体を捻って一回転し、周りの男連中を斬り伏せ、そのまま壁まで走ると壁を蹴って一回転して、空中で逆立ちしているような状態で、さらに男連中を二人斬り伏せる。
男はそこから、斬った反動を利用して足を下に持ってくると、右ひざを地面につけ、右手に持つ吠舞羅を後ろに向け、ズザザザザーッと後ろに滑りながら跪くように着地すると、そこからクラウチングスタートのように駆けだして、連続で敵を斬り散らしていく。
その光景は、まるで部屋に鮮やかな紅い花が咲くようである。
残りは、リーダーの男だけとなり、他は全て斬られて地面に倒れている。男は、吠舞羅をリーダーの男に向けた。
「残りは貴様だけだが、どうする?」
「ハッ、スカしてんじゃねぇよ! こっちは顔バレしてねぇから、逃げて冒険者組合に通報したっていいんだぜ?」
「ふん、つまりは俺に挑む度胸がないということか。フッ、弱い小物だな。(まぁ、俺が〝小物〟がどうのを言えた義理ではないが)」
「んだと、テメェええええ!!」
リーダーの男は激昂して、男に棍棒を持って立ち向かうが、相手が悪かった。吠舞羅を持つ男は、元とはいえ、〝神の使徒〟の一人なのだから。
男は、棍棒を避けると、身を捻って背中に一閃した。
「ぐあっ!?」
背中を斬られたリーダーの男は、そのまま倒れ伏した。場は、一点を残して血まみれだ。至る所に死体があり、死臭が立ち込めている。だが、逆に少女が寝ているところには血は一滴も付いていない。男が、血が付かないように配慮したのだ。
そんな大惨事を引き起こした当人は、ただ面倒そうな顔をしていた。
「ふん、弱かったな。それより、コイツ等のせいでこの場を掃除しないといけなくなった」
そう言って、男は吠舞羅を肘で挟んで、着いた血を拭い取って納刀した。
その後、男は死体の後処理や小屋の掃除に、食料の買い出しをして小屋に戻り、少女が起きるまで仮眠を取ることにした。
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火に包まれたハイリヒ王国、大量の同じ顔の白い女、立ち向かう人間たち。その中で、男はただ一人佇んでいた。
自分があの男を突き落とさなければ、彼らは心が砕けなかったのではないか?
自分があの女に流されなければ、彼らは死にはしなかったのではないか?
だとすればどうすればいい? 簡単だ、強くなれ。どんな存在も斬り伏せることができるほどに強くなれ。
力を! もっと力をおおおおおおおおお!!
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「ッ!? ハァハァハァ…またあの夢か…」
あの悪夢を見て、男は一人旅をすることを選びホルアドを出たのだ。自分が殺したかもしれない男の刀を手に。しかし、寝れば三回に一回はこの悪夢を見るようになってしまった。
しかし、ホルアドで見た夢だけ、別のシーンも見れた。七つの場所に七つの魔法陣。そして、七つの神代魔法。夢で見た記憶を頼りに場所を当てもなく探しているのだ。大迷宮があるだろうと言われた場所の噂を頼りに。
取り敢えず一旦落ち着こうと男は考え、辺りを見回すと………男はなぜか、縄で柱に括り付けられていた。
「………なんでだ?」
男の力なら縄などすぐに千切れる。故に力もうとして、腕に力を入れると、ふとカランという音が聞こえてきた。
音の方に顔を向けると、寝かせていた少女がこっちを見ていた。
「ヒッ」
少女は、男が怖いのか男が少女を見た瞬間、怯えて物陰に隠れてしまった。だが哀しいかな、隠れているのは柱で、少女は体育座りして隠れているのだ。足も背中も丸見えである。
その光景を見て、男は吹き出してしまった。
「ブッ、それで隠れてるつもりか? 早く来て、この縄をほどいてくれ」
男は、少し微笑んで少女に頼み込むが、少女はふるふると頭を横に振って拒否する。
「なぜだ?」
「……パパとママを殺した人…男の人だった…私を…檻に入れて笑ってた人も…男の人だった」
それを聞いた男は一瞬固まった。犯罪臭はなんとなく気づいていたが、ここまでとは想像してなかったのである。
「そうか。だが、それならもっときつく縛った方がいいぞ?」
「え?」
少女がきょとんとしていると、男の縄がスルスルと落ちていった。ゆるく縛っており、簡単に外れる様のなっていたのだ。結び方が蝶結びで、結び目が手の近くだったのもあるだろう。
「でないと、こうなるからな」
そう言って、縄が解けた男はあぐらに座り直して、少女を見つめる。
少女は、縄が解けて自由になった男を見て、涙を流して震えている。よっぽどひどいことをされたのだろう。
「落ち着け、俺は何もしない」
「ホント…?」
「本当だ」
男が言ってることは嘘じゃないと感じたようで、少女の目から涙が引っ込んでいき、震えも収まった。
男は、少女に手招きして近ずくように言う。少女が男に近ずくと、男は少女を抱きしめた。
「辛かったな、もう大丈夫だ」
その言葉を聞いてか、少女は男の胸に顔を埋めて泣き出した。少女の年齢は見た目通りなら、まだ4,5歳くらいだろう。そんな歳で、母親と父親を亡くし、自分を痛めつける男がわんさかいる場所に安心はないはずだ。つまり、彼女はやっと安心することができる場所を見つけたのだ。
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男は、少女が泣き終わるのを待ってから、詳しい事情説明を聞いた。
なんでも、ある日、家に家族で団欒していたら、家に男連中が押し入って父親と母親を斬り殺し、少女を攫っていったのだとか。その後、牢屋のような場所に入れられたらしい。
ちなみに、その時に
他にも、亜人族や人間族の子どもがたくさんおり、そこで幾日か過ごしていると、一緒にいた子達は、毎日数人ずつ連れ出され、戻ってくることはなかったらしい。
おそらく、値段をつけて売られるのだろう、と考えた少女は咄嗟の判断で、監視の目をすり抜けて逃げ出したらしい。だが、それが見つかり、魔法を撃たれ傷だらけになりながらも走り、何とか撒いたが、体力が切れて倒れたらしい。そこに、偶然男が通りかかったのだ。
事情を聴き終わった男は、少し思案顔になると、思い出したように少女に顔を向けた。
「そういえば、名前は何だ?」
「ニア」
「ニアか…いい名前だな」
「お兄さんは?」
ニアに名前を聞かれた男は、顔を少し歪めた。まるで、そのことは聞かれたくなかった、というようだ。
それを感づいたニアは、男に尋ねた。
「名前、無いの?」
「いや、あるにはあるが、名乗りたくなくてな。別名を考えていた」
「ベツメイ?」
「要は、嘘の名だ。もしかしたら、今俺は追われているかもしれないからな」
男は、追われてる可能性を考慮して口調を変えているのだ。
「そうなんだ~、けど、お兄さんの名前知りたいな~」
「いつかな。今は、〝ジェイド〟と呼んでくれ」
「うん!ジェイドお兄さん!」
少女は、キレイな花の様な笑顔をジェイドに向け、その笑みを見て、ジェイドも少女の微笑んだ。
皆さん、どうもです。ヴェルザです。今回の話は、某誰かさんの一人(少女ニア追加)旅です。
ジェイドという名前は、英語にすると〝Jade〟、となりは翡翠を意味します。ヒスイ…この三文字が名前に入ったキャラが、ジェイドの正体です。
そして、このジェイドですが、今作品のバージル枠です。でもって、ハジメがダンテに近い感じなんで、ハジメとジェイドのバトルは確実かもですね。
最後に一言。
投稿が遅くてすみませんでしたっ!!!
今の小説の基本文字数は5000~6000なんですが、このままでいいですか?
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減らして(4000~5000)
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このままでいい
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増やして(一万文字ぐらいまで)