1話 「鬼舞辻無惨」 平安(西暦900~1100年頃)
はいどうも皆さんこんにちは。今日は昔に大ヒットした漫画「鬼滅の刃」を元にしたゲーム、「鬼滅の刃 血斬神楽テレプシコーラ」でRTAをやっていこうと思います。
ではオープニングムービーの間に、ゲームの説明をしていきます。ゲームの内容を知らない方もいるでしょうからね。
まずこのゲーム、目的らしい目的はありません。物凄く自由度が高いので、プレイヤーが自分で目的を決める事が出来ます。
オリキャラ作って鬼殺隊で無惨打倒を狙うのもよし、鬼になって十二鬼月を目指すのもよしです。もちろんそれ以外、例えば
とある走者は「総理大臣になって無惨抹殺」なんて事をやってくれました。総理大臣になった時点でもうエンディングじゃね、と思ったのは私だけではないはず。
また、主人公の行動によってトロフィーを獲得する事が出来ます。まあこれはゲームではよくあるんで、詳しい説明は不要だと思います。強いて言うならコンプリートがめっちゃ大変な事くらいですかね、何しろ自由度高いんで……。
そしてこのゲームで何より特徴的なのが、原作キャラがプレイアブルキャラクターである、つまりプレイヤーが原作キャラになる事が出来る、という点です。さすがに全員じゃないですけどね。でもなんで村田君ルートがあるんですかね。製作陣が好きだったんですかね村田君。
まあ村田君は置いといて、今回は鬼の始祖たる鬼舞辻無惨となって、トロフィー「枯れない彼岸花」の取得を目指して行きます。
このトロフィーは、鬼サイドでしか取る事が出来ません。条件はある意味単純で、「寿命のない生物である事」と、「生存を阻むものが存在しなくなる事」です。無惨様スタートだと「鬼殺隊壊滅」「太陽光克服」がそれに当たりますね。
お、ムービーが終わりました。それでは無惨様を主人公に選んで……タイマースタートです!
>おのれ、おのれおのれおのれ……!
>何が『必ず良くなる』だ、藪医者が……!
若かりし頃、というか人間だった頃の無惨様です。まだ十代ですが、病弱なのでいつも死にかけてます。なお平安時代なので本来は古語ですが、現代語に翻訳されてます。まあゲームですからね。
>…………殺す。
>……殺してやるぞ、無能めが……!
死にかけなのに元気ですね。とか言ってる間に選択肢が出てきました。
>【鉈を医者の頭に振り下ろす】
ここではこれ一つしか出ないんで、選択して……あ、最初のトロフィー「頭無惨」が取れましたね。これは無惨スタートなら必ず取れる、チュートリアル的なトロフィーです。無惨様以外でも頭無惨な行動をすれば取れますが。
では早送りしてる間に、このゲームについてもう少し説明しておきましょう。
最初に自由度が高いとは言いましたが、原作キャラを選んだ場合制限がかかります。そのキャラの性格に合わない行動や、知り得ない情報を元にした行動は出来ません。
例えば無惨様が自殺するとか、『将来鬼殺隊を組織するだろうから』って理由で最初に産屋敷一族を全滅させるとかはムリ、って事です。
とは言えそれじゃつまらないという意見が出るのも見越してたのか、制限を外す方法もあります。キャラの名前を変更すればいいんです。今回ならデフォルトネームの“鬼舞辻無惨”から一文字でも変えれば、無惨様の立場で完全に自由にプレイ出来ます。難易度によっては選択肢も出て来ません。
これは説明書に書いてあるんでメーカーにクレーム入れるのは止めましょう。
>昼なお暗い、鬱蒼とした山の中。
>日が沈んだ今、無惨の行く手を阻むものは何もない。
貴族のはずの無惨様がなんで山の中にいるのかっつーと、使用人とかを喰ってるのがバレて妖怪認定くらって逃げて来たからです。
>【
>【しばらくここで待ってみる】
>【その他】
はいまた選択肢が出ました。さすが無惨様、もう
>無惨は食事のために人里に向かった……。
こんな感じで無惨様の性格に準じた行動を取って永遠を目指さなきゃならないんで、無惨ルートは割と難易度が高いです。完全に原作通りにすると死んじゃいますしね。
ちなみにここで食事を選ばなくても、最終的には選ばざるを得ないようになります。無惨様が空腹を我慢するとかありえませんからね。それなら早いとこ選んで、変に暴走しないようにした方が結果的に時間短縮になります。
>「う、うわあぁぁっ!」
>「あなたっ!」
>無惨が腕を振るうだけで命が千切れ飛ぶ。
>粗末なあばら家の中は、瞬く間に紅に染まった。
うわぁ、死屍累々ですねえ……お?
>「この子だけは……やらせないっ!!」
>母が死力を振り絞り、包丁を無惨に突き立てる。
>無惨の反撃で即座にその頭は消し飛ばされるが、なんと数秒の後に再生した。
>無惨は驚きに目を見開き女を見やるが、その頭部には二本の角が生えている。
>偶然にも鬼の始祖の血が体内に入る事で、彼女は鬼として生まれ変わったのだ。
>先程まで母だった鬼は無惨に目もくれず、空腹に命じられるまま赤子を貪り始める。自分が守ろうとしていた事も忘れて。
>それを目にした無惨は、面白いものを見つけたと言わんばかりに口角を吊り上げた。
おお、人間の鬼化イベント! まさかここで出るとは……。普通は無惨様を討伐に来た侍相手で起こるイベントなんですよ!
無惨様いくら強いって言ってもこの時点では戦闘経験ゼロの元病人なので、強い奴相手だと普通に不覚を取ります。すぐに再生しますが血は出るので、それが相手の身体に入って鬼化、ってのがよくあるパターンです。
一般人相手に傷を負わせられるのはかなり珍しいですが、RTA的には美味しいです。無惨様が自分の血で人間を鬼に出来ると知ったので、展開を早められますからね!
ではここからしばらくは、食事して自分の強化をすると同時に配下の鬼を増やしていきます。特にイベントもないので早送り!
今のうちに産屋敷壊滅とかしとけば楽なんですが、無惨ルートだと出来ませんからね……現時点だと無惨様別に産屋敷に恨みがある訳じゃないんで。鬼殺隊組織してちょっかいかけて来てウザいからぶっ殺そう、ってのが原作なんで。
みるみるうちに配下の鬼が増えていきますね。そろそろ鬼殺隊も結成されるはず……あ、無惨様が鬼殺隊に襲撃されました。と言ってもまだ日輪刀も呼吸もないので、数でかかって朝まで粘るというゴリ押し戦法です。
もちろん無惨様には通用しません。撃退したら、部下の鬼をどんどん増やしましょう。
そんな頭無惨な事で大丈夫か、と思われるかもしれませんが心配ご無用。私のチャートは完璧です――とまでは言いませんが、最低でもそれなりのタイムでトロフィーは取れるはずなので問題ないです。
……ん? 早送りが解除された……って事は何かのイベントですね。ここでそんなのありましたっけ……。
>「もういい。お前たち鬼は、解体する」
ファッ!!!!????
◇ ◇ ◇
草木も眠る、丑三つ時。とある山の中に、異形の者どもが集まっていた。ある者は腕が四本あり、ある者は怪物としか言いようのない恐ろしげな風貌をしていたが、その外見とは裏腹に、皆恐怖に震え、地面に這いつくばっていた。
その恐怖の根源鬼舞辻無惨が、いかにも不機嫌そうに鬼たちを見下す。張り詰めた鬼気に耐えられなくなったのか、一人の鬼が恐々と口を開いた。
「き、鬼舞辻様におかれましてはご機嫌麗しゅう……」
「お前の目には私の機嫌が麗しいように見えるのか」
難癖をつけられた鬼はびくりと体を震わせる。二の句を継げずに酸欠の金魚のごとく口をぱくぱくさせるが、それが無惨の勘気に触れた。
「ならばそのような節穴は不要だな」
無惨の腕がぶれた次の瞬間、その鬼は肉塊へと変わっていた。再生能力が働く様子もなく、あまりにもあっさりとその鬼は死に、肉がぐずぐずと溶けていく。他の鬼たちが更なる恐怖に慄く中、無惨は額に青筋を浮かばせていた。
「私が問いたいのはただ一つのみ。『お前たちは何故に私の手を煩わせるのか』」
誰も答えられない中、無惨の声だけが朗々と響く。
「二百年かけても青い彼岸花を見つける事も出来ず、あまつさえ鬼狩りなどという痴れ者どもを生み出す始末。万歩譲って、成果が出ないだけならまだ許す事も出来た。だがお前たちは、この私のもとまで鬼狩りを届かせる醜態を晒した。驚いたぞ、無能と役立たずに更に下があったとはな」
バリッと奥歯を噛みしめる音が、這いつくばったままの鬼たちの恐怖を煽る。
「何故私の時間が鬼狩りなどと言う気狂いどものために削られねばならない? 私の役に立たぬどころか、何よりも貴重なる私の時間を空費させるとは、お前たちは一体何をやっていた?」
時間など無限にあるような生物が何を言っているのか、と言える者はここにはいない。そう考える事すら許されない。だがそこで、四本腕の鬼が人生最大の勇気を振り絞った。
「む、無惨様! 発言をお許しください!」
「なんだ。言ってみろ」
「機会を、機会を下さいませ! 今ひとたび機会を得られたのなら必ずや、この私が鬼狩りどもを皆殺しにしてみせます!!」
「ほう」
まさに必死の発言だったのだが、そのような事を斟酌するような無惨ではない。額の青筋がびきりと増えた。
「どうやってだ。今まで出来なかった事をどうやって実現するのだ。それともまさか」
紅梅色の瞳が細まり、危険な色を帯びてゆく。
「これまで、手を抜いていたという事か? だから鬼狩りどもを殺しきれず、産屋敷の居場所も見つけられなかったのか?」
「そ、そのような事は決して!!」
「お前は私の言う事を否定するのか?」
四本腕の鬼は絶望の表情だけを残し、二つ目の肉塊が生まれた。それが腐肉に変わってゆく隣で、恐怖に突き動かされた別の鬼が懇願した。
「お、お願いします! 血を、貴方様の血を! そうすれば必ずや順応し、より強い鬼に――!」
「私の手を煩わせるに留まらず、血をよこせだと? 何様のつもりだ、身の程を弁えろ。あまつさえ強くなる手段すら他人頼りとは、浅ましいにも程がある」
「ち、違っ」
「黙れ。何も違わない、私は何も間違えない。私の言う事は絶対だ。お前は私に指図した。万死に値する」
瞬く間に三つ目の肉塊を作ると、無惨は心底失望しきった表情で宣言した。
「もういい。お前たち鬼は、解体する」
その言葉に、ある鬼は脇目もふらず逃亡し、ある鬼は絶望のあまり腰を抜かした。だが無惨はその全てから興味を失ったように、拳を強く握り込む。その瞬間、無惨以外の全ての鬼は、血肉をまき散らして絶命した。
静寂が戻って来た山の中。無惨はさもつまらなさそうに、鼻を鳴らして吐き捨てた。
「私が死ねと言えば疾く死ぬのが道理だろうに。最期まで私の手を煩わせるとは、どこまでも不愉快な連中だった」
今日の主な獲得トロフィー
「頭無惨」
頭無惨な行動をした者に贈られる。種族不問。
「人畜有害」
人間を百人以上虐殺(捕食含む)した者に贈られる。種族不問。
「一流の鬼狩り」
鬼を五十体以上、もしくは十二鬼月を倒した者に贈られる。種族不問。
類似トロフィーに「柱就任」があるが、これは鬼殺隊所属で階級が甲でないと取れない。
「鬼上司」
パワハラによって自身の部下を百人以上死に追いやった者に贈られる。所属不問。