【完結】無惨様が永遠を目指すRTA   作:佐藤東沙

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原作キャラたちのその後です。


おまけ
小ネタ集その一


竈門(かまど)炭治郎(たんじろう)の場合(大正)

 

 

「こうか兄ちゃん?」

「そうそう、上手いぞ竹雄」

 

 山に住む炭焼き、竈門炭治郎。彼は今、弟の竹雄と共に炭を焼いていた。炭治郎は弱冠十五歳なのだが、幼い頃に父親が病死してしまったため、自身を含めて七人家族の長男として一家を支えなければならないのだ。こうして弟に仕事を教えるのもその一環である。

 

「お兄ちゃん、お昼持って来たよ」

「ありがとう禰豆子」

 

 炭焼き小屋の扉がガラリと開き、妹の禰豆子が姿を現した。その手にはおにぎりが載った皿があり、竹雄が目を輝かせる。

 

「飯!」

「こら駄目だ、手を洗ってから」

「えーっ、そりゃないぜ」

「手も顔も汚れてるだろ? ほら、一緒に外に洗いに行こう」

「はあーい……」

 

 炭治郎に背中を押され、渋々といった様子で竹雄は外へ出る。その後ろに続く炭治郎の耳に『太陽の耳飾り』はなく、当然『ヒノカミ神楽(日の呼吸)』も受け継いではいない。戦国時代、炭治郎の祖先が鬼に襲われる事もなかったため、彼が継国縁壱に出会う事も、日の呼吸を目にする事もなかったのだ。

 

 だがそんなものがなくても、生活が楽ではなくても、彼らは確かに幸福に暮らしていた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

我妻(あがつま)善逸(ぜんいつ)の場合(大正)

 

 

「なぁんでこんな事になっちゃったんだろうなぁ……」

 

 我妻善逸は、肩を落としてとぼとぼと道を歩いていた。はあぁぁぁと地面に沈みそうなほど重い溜息を吐くが、気分は全く晴れない。隣を歩いている女が、彼の肩にぽんと手を乗せた。

 

「まあまあ、きっと何とかなりますって」

「悩んでる原因の半分は君なんだけどね……」

 

 善逸は恨めしげに女を見やるが、彼女にとってそんなものはどこ吹く風だ。どころか、わざとらしく()()をつくって問いかけてみせた。

 

「私の事、キライですか?」

「まさかそんな事あるはずないよ!! 可愛い女の子は大好きさ!!」

「なら問題ないですね。さあ行きましょう」

「ああああ俺の馬鹿……何で流されちゃうんだ俺って奴は……」

 

 頭を抱える善逸だったが、こんな事になっているのは半分以上自業自得である。彼はこれまで七人もの女性に騙され貢がされて捨てられたという凄まじい経歴を重ねて来ており、借金の総額がとんでもない事になっているのだ。当然払えないためこうして逃げている訳なのだが、その道中で出会ったのがこの女である。

 

「ホントもう、あの時の俺はどうかしてたよ……なぁんで初対面の人に結婚なんて申し込んじゃったのかなあ……」

「それに気付けただけ少しは賢くなりましたね、おめでとうございます」

「君に会う前にその賢さは発揮したかったよ……」

「だったら今からでもそうしてみてはいかがです? 鎖で繋いでいる訳でもなし、私のような手弱女(たおやめ)を振り切るなど容易い事でしょう。それとも」

 

 そこで言葉を切った彼女は、善逸の耳に口を近づけ囁いた。ぞっとするほど妖艶な声で。

 

「私が、欲しいのですか?」

 

 善逸と大して年齢が変わらないにもかかわらず、やたらと年季が入っている誘惑だがそれも当然。実はこの女、男に貢がせ破滅させるのが趣味というとんでもない女なのだ。もちろんそれを許さない男もいる訳で、それから逃げている最中に善逸と出会い、行動を共にするようになったのである。

 

「欲しいですッ!!」

「うわぁここまで自分に正直な人は初めて見ましたよ。恥ずかしくないんですか?」

「彼女の一人も出来ずに死ぬ方が恥ずかしいです!!」

「今でも十分恥ずかしいと思いますが」

「彼女の一人も出来ずに死ぬ方が恥ずかしいですッ!!!!」

「あなた本当に面白いですねぇ、生きてるだけで」

 

 天下の往来にもかかわらず全力で恥を晒す善逸だったが、その耳がぴくりと動いた。それを目ざとく見逃さなかった女が善逸に問いかける。

 

()()()()?」

「……この道の先にいる。このまま行くとヤバイ」

「なら遠回りですね」

 

 追手がいるという言外の言葉に、疑う素振りもなく女は道を変更する。これこそ彼女が善逸と行動を共にしている理由。善逸は非常に耳が良く、追手を察知出来るのだ。

 

 遠くの音を聞きつける事はもちろん、相手が嘘を吐いているかどうかも分かる。さらに強いか弱いか、人間か否かすらも()()()()られるという、聴覚の域をはみ出した超感覚だ。善逸はこの能力によって今まで逃げ延びており、女はそれを知って便乗しているという形である。

 

「相変わらず凄い耳ですね。人には一つくらい取り柄があるものなんですねえ、あんなに弱虫でヘタレで頭が悪いのに」

「酷くない? ねえ酷くない?」

「嘘が分かる耳なんて持ってるのに、今まで騙され続けて来たって方が酷いです」

「ひどぉい!」

 

 優れた耳を持っているのに、『信じたいものを信じる』という性格ゆえにそれを全く活かしきれていない善逸と、善悪はともかく世慣れて頭が回り強かな女。この珍道中がいつまで続くかは二人にも分からなかったが、能力的にも性格的にも相性は悪くなさそうで、存外に楽しそうであった。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

嘴平(はしびら)伊之助(いのすけ)の場合(大正)

 

 

「うおおおお!! 猪突猛進猪突猛進!!」

 

 万世極楽教の寺院の廊下を、嘴平伊之助が爆走していた。この時点では誰も知り得ない事ではあるが、大人たちが止めようとするが全く捕まらないところを含めて、自身の子孫と瓜二つだった。

 

「あっはっはっは、毎日毎日よく飽きないねえ」

「出たな町長! ここで会ったが十年目! 今日こそ俺が勝つ!」

 

 騒いでいれば当然教祖の耳にも入る。楽しそうな顔で現れた童磨に向け、伊之助はずびしと指を突きつけ言い放った。彼は童磨に勝つべく、ここのところ毎日のように挑みかかっているのだ。

 

「それを言うなら百年目だし、俺は町長じゃなくて教祖だぜ」

「そんなの知ったこっちゃねえ! うおおぉぉぉおおおお! 猪突ゥ猛進!!」

「おっとっと」

 

 突進してくる伊之助を童磨は軽く躱す。いくら才能があろうが、呼吸も使えない単なる子供に上弦の弐が後れを取るはずもない。

 

「避けるんじゃねええええ!!」

「そうかい?」

 

 伊之助は再び突進するが、童磨はそれをひょいと投げ飛ばす。ぽーんと中空に投げ出され、じたばたしながら童磨にキャッチされた伊之助は、今日も負けたと悟って地団太を踏んだ。

 

「ムキィィィ゛ィ!! もうムッギィイイ゛イイ!!」

「それ悔しがってるのかい? 本当に君は見てて飽きないなぁ。なんだか猗窩座殿を思い出すよ」

 

 もはや完全に珍獣を見る目だが、童磨にしては珍しく本気で面白がっている。そんな童磨に、信者が近づき耳打ちした。

 

「教祖様、お客様が……」

「ああ今行くよ。じゃあまたね伊之助」

 

 童磨にはこれから、悩める人間の悩みを聞く仕事が待っている。同僚には蛇蝎のように嫌われている童磨だが、親身になってくれるので信者や来訪者には受けがいい。『天国も地獄もないのに本当に愚かだなあ』と内心で思っていようが、そんな愚かな人たちを救ってあげるのが自分の使命だと認識しているので、きちんと話は聞くのである。

 

 また、鬼なので年を取らない童磨は、信者にとってみれば掛け値なしの『神の子』だ。生まれつきの『白橡(しろつるばみ)の髪』や『虹色の瞳』という神秘性もまた、その認識に拍車をかけている。

 

 結果として万世極楽教は、約300人という少人数ながら固い結束を保ち、稀に来るマスコミも完全にシャットアウトする鉄壁を誇っていた。尤もその程度では諦めないマスコミもいるにはいたが、何も問題はない。万世極楽教はしっかりと寄付をしているため、警察とはとても仲良しなのだ。

 

「次こそぜってえ俺が勝つかんな! 指を洗ってまってろ!!」

「指じゃなくて首でしょ。君は本当に面白いなあ」

「ウキィィィイイイイイ!!」

 

 奇声を上げる伊之助を尻目に、童磨は機嫌よく去っていく。悔しさにのたうち回る伊之助を彼の母親が探しに来て、廊下はようやくいつもの静けさを取り戻した。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

胡蝶(こちょう)カナエと胡蝶(こちょう)しのぶの場合(花柱と蟲柱・大正)

 

 

 胡蝶カナエと胡蝶しのぶ。近所でも有名な美人姉妹である。その姉妹の姉の方、胡蝶カナエは、心配そうな顔で妹のしのぶを見ていた。

 

「心配だわ……」

「何がよ姉さん」

 

 意識した訳ではなさそうだが、姉を見返すその眼光は鋭く強く、勝気な内面がよく現れていた。

 

「私がお嫁に行った後のしのぶが心配だわ……気に食わないからって、お見合いで男の人を引っぱたいたりしないかしら」

「私を何だと思ってるの?」

 

 突如として不名誉な疑いをかけられた妹は、眼光をますます鋭くして姉を見る。だが姉はそれを全く気にした様子もなく、蝶の髪飾りを揺らしておっとりと言葉を続けた。

 

「だってほら、いつぞやは勢いよく叩いてたじゃない」

「あれは……その……あの男が悪いのよ!」

 

 数年前、人買いが女児を連れているところに遭遇し、紆余曲折の後にしのぶがその人買いの頬をお札と硬貨でビンタして女児を攫って逃げたのである。おてんばという言葉では収まりきらない所業だったが、相手にも引け目があったのか警察沙汰にはならなかった。子供は身寄りがなかったらしいために胡蝶家で引き取り、何とか一件落着したのである。

 

「それより姉さん、お嫁にってどういう事」

 

 話題を変えたかったのかそれとも聞き逃せない言葉があったのか、しのぶは平坦な声で姉に尋ねる。カナエはにこにこと朗らかに笑いながら答えた。

 

「あら? 言ってなかったかしら? 私にお見合いのお話が来てるのよ」

「初耳よ!」

 

 年齢的にも家柄的にもそういう話が来るのは普通なのだが、それを聞かされていなかったしのぶは一瞬で沸騰した。

 

「何でそんな大事な事を言ってくれないの!」

「今言ったじゃない」

「前もってって事よ!」

「まあまあしのぶ、そんなに怒るとシワが増えちゃうわよぉ」

「誰のせいだと! 大体カナヲはどうするのよ!」

 

 しのぶは胡蝶家で引き取り育てている子供を引き合いに出すが、カナエは困ったような顔となった。

 

「うーん……でもね、お父さんとお母さんにはワガママを聞いてもらってる手前、断りにくいのよね」

「それは……」

 

 カナヲの養育費を出しているのは姉妹の両親だ。ただでさえ子供を引き取って欲しいという()()()を聞いてもらった手前、両親の言う事には逆らい難い。ましてや、子供の幸せを願っている事が分かるので、さらに逆らい難い。おまけにカナエはそろそろ大正の平均初婚年齢なので、物凄く逆らい難い。

 

「まあまあ、きっと大丈夫よ。最近はカナヲもちゃんと自分の意思を言えるようになってきたもの」

 

 引き取られて来た当初のカナヲは、虐待されていた影響で、誰かに命令されないと全く動かない子供だった。トイレや食事といった必要最低限の事すらも、言われないと出来ない子供だったのだ。

 だが近頃は大分改善され、自らの欲求を口に出すようになって来ている。それもカナエがお見合いの話を受けた一因だ。

 

「でも、だからって……」

「私もたまに見に来るし、しのぶもいるから何とかなるわよ。あ、それとも一人じゃ不安だった? お姉ちゃんがいないとやっぱり駄目かしら?」

「そんな訳ないでしょう!」

 

 姉の挑発に一瞬で噴火する妹。手玉に取るという言葉がぴったりだったが、それに気付かれて反論される前にカナエは話を切り上げた。

 

「じゃああとはよろしくね~。私はお父さんに呼ばれてるから~」

「えっちょっ、話は終わってないわよ姉さん!」

 

 そそくさと逃げる姉に追いかける妹。胡蝶姉妹は、今日も平和だった。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

冨岡(とみおか)義勇(ぎゆう)の場合(水柱・大正)

 

 

「義勇ってさぁ、絶望的に口数が足りないよねぇ」

 

 冨岡義勇の友人、真菰(まこも)が義勇に呆れた目を向けていた。表情があまり変わらないので分かりにくいが、それでも憮然とする義勇に向けて彼女は首を傾けてみせた。

 

「この間のお見合いさぁ、何で上手く行かなかったんだっけ?」

「ふさわしくなかったからだ」

 

 その言葉を聞いた真菰は、さらに呆れた顔になった。付き合いの長さから、このコミュ障が省いた行間を読めたからだ。

 

「『あなたのような素晴らしい人には、俺のような者などふさわしくない』って意味なんだよね? 絶対伝わらないからね。現に相手の人泣いて帰っちゃったらしいじゃん。いい年していつまで独身でいる気なの?」

 

 いい年と言っても二十歳くらいなのだが、大正時代における平均初婚年齢は男性だと二十五歳。二十歳ならそろそろ本格的に結婚を考えなければならない年だ。まして、独身でいる事への社会的な圧力は現代の比ではない。『産めよ増やせよ』の時代なのである。

 

「俺は口数は足りている」

「いや足りてないよ、どう考えても足りてないよ」

「俺は口数は足りている」

「そこは認めなよ、錆兎(さびと)なら『男らしくない!』って言うよきっと」

 

 真菰は義勇との共通の友人の名前を出すが、それでも義勇は頑なに認めようとしない。どうしようかと悩む真菰だったが、何か思いついたのか明るい表情になった。

 

「分かった、女の人に慣れてないのが原因なんだね」

「違う」

「だから一緒に吉原行こっか」

「は?」

 

 あまりにあまりな言葉に固まる義勇。若い女連れで風俗に行こうというとんでもない事をのたまった女は、名案だとばかりに手を打ち合わせた。

 

「実は私もちょっと興味あったんだー。義勇の言葉足らずも治るかもしれないし、一石二鳥だね」

「待て」

「いやちょっと考えてもみてよ義勇、吉原だよ、吉原花魁だよ? 話は私より上手いだろうし、女心を分かりやすく説明してくれると思うよ」

「む」

 

 真菰は義勇の僅かな反応から脈ありと見て取り畳みかけた。

 

「義勇だってお見合いの連敗記録を伸ばしたい訳じゃないんでしょ? 今のままじゃまずいって思ってはいるんでしょ?」

「それはそうだが」

「なら行ってみようよ。百聞は一見に如かずって言うじゃない? それともまさか、行くのが怖いとか?」

「怖くない」

「なら決まりだね」

 

 真菰は義勇の手を取って立ち上がる。義勇も挑発が効いてしまったのか止まる様子がない。天然と天然が揃うとボケ倒しで歯止めが利かなくなるという悪い見本である。

 

 この後錆兎に見つかってめちゃくちゃ叱られた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

時透(ときとう)有一郎(ゆういちろう)時透(ときとう)無一郎(むいちろう)の場合(霞柱とその兄・大正)

 

 

「ねえ、兄さん……」

「なんだよ」

 

 時透無一郎が、双子の兄の時透有一郎におずおずと話しかける。余裕がない有一郎は、つっけんどんに言葉を返した。

 

「僕、剣を習ってみたいんだ」

「はぁ?」

 

 有一郎の目が吊り上がる。その迫力に怯みながらも、無一郎は自身の意思を伝えた。

 

「この間、町に行った時、剣を習ってみないかって誘われたんだ。だから、その……」

「寝言は寝て言え。うちのどこにそんな金があるって言うんだよ」

 

 二人は木こりなので、薪等の木を売って生計を立てている。未だ十代半ばであり本来なら親の庇護が必要なのだが、その親は揃って亡くなっているために、自分の面倒は自分で見なければならないのだ。当然生活に余裕はない。有一郎の言う事も尤もであった。

 

「そ、それは言ったよ。そしたら、個人的に教えてもいいって……」

「はぁ? そんな旨い話がある訳ないだろ。俺達みたいな貧乏な木こりにタダで剣を教えて、そいつに何の得があるっていうんだよ」

 

 正論を吐く有一郎に、それでも無一郎は食い下がる。

 

「でも僕、剣をやってみたいんだ」

「何言ってんだ? 前うちに来た女の言う事を真に受けたのか? 『始まりの剣士』とやらがどんなに凄かろうが、その子孫ってだけの俺達には関係ないだろ」

 

 『始まりの剣士』。つまり継国縁壱に呼吸を教えられ、呼吸を使うようになった戦国時代の剣士たちの事である。そして『うちに来た女』というのは、産屋敷の妻である産屋敷あまねの事だ。どこかに記録が残っていたようで、『始まりの剣士』の子孫である時透兄弟を、彼女自らスカウトしに来ていた時期があったのだ。有一郎が水をぶっかけて追っ払ったが。

 

「大体その話だって眉唾なんだ、馬鹿な事言ってないで飯の準備しろ」

「馬鹿な事じゃない!」

 

 普段とは違う激しい反応に、有一郎は驚き動きを止める。

 

「僕は、自分を変えたいんだ! もう何も出来ないのは嫌なんだよ!」

 

 何を指しているのか、言わずとも有一郎には分かった。先日町に出た時にチンピラに絡まれ、恐怖に固まる無一郎を有一郎が守ってどうにか逃げ切った事を言っているのだ。

 客観的に見れば大した事でもない。だが山に住み、変化の少ない環境にいる無一郎にとっては、心機一転するには十分すぎる出来事でもあった。

 

「それは……」

「それに、僕を騙してどうするのさ。こんな“貧乏な木こり”を騙したって、お金になんかならないよ」

 

 それも尤もな話で、騙すのならもう少し相手を選ぶであろう。何か良くない事を企んでいたとしても、子供と大人だ、力尽くでどうにでもなる。そうしていない時点で、『剣を教える』というのはそれなりに信憑性のある話だと言えよう。

 

「…………そいつはどういう奴だったんだ。剣を教えたいって言うからには、どっかの道場の師範とかか?」

「えっと、三日月流剣術の師範代だって言ってたよ。二十五くらいの男の人だったけど、なんかこう、雰囲気があるっていうか、威厳があるっていうか、そんな感じの人だったし嘘じゃないと思う。道場の場所も聞いたから、気が向いたら訪ねて来ると良いって……」

「まさかとは思うけど、ここの場所は教えてないよな?」

「う、うん」

 

 道場の場所を聞くと有一郎は、腕を組んで考え込み始めた。しばらくそうしていたが、顔を上げると強い瞳で弟を見つめて言った。

 

「今度薪を売りに行く時、ついでに行ってみる」

「兄さん!」

 

 顔を輝かせる弟に対し、釘を刺すように兄は言葉を被せる。

 

「ただし! 俺も行くし、ちょっとでも怪しかったらそれまでだ! いいな!?」

「うん! ありがとう!」

 

 有一郎は少し赤くなった顔を隠すかのように、早く食事の準備をしろと声を張り上げた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

不死川(しなずがわ)実弥(さねみ)不死川(しなずがわ)玄弥(げんや)の場合(風柱とその弟・大正)

 

 

「分かんねェ奴だなァ、だからお前は学校行けっつってんだろォ!」

「だから言ってるじゃないか兄ちゃん、俺はいいから就也たちに行かせてやってくれって!」

 

 不死川実弥と不死川玄弥の兄弟は、激しく口論をしていた。兄の実弥としては、弟を学校に通わせて上に行かせたい。弟の玄弥としては、自分はいいからより下の兄弟たちにそうして欲しい。

 七人兄弟の長男次男は、見事に平行線を辿っていた。

 

「俺の稼ぎが足りねェとでもォ!?」

「そんな事言ってないよ!」

 

 二人の父親はすでに亡くなっている。母親は存命だが、この時代一般的な女性がいくら働いたところで、稼ぎなど知れている。必然として、兄弟で唯一成人している実弥が稼ぎ頭となる訳だが、自身を含めて八人の家族を養うには少々厳しい。

 

 だからこそ弟は食い下がっている訳だが、兄としてはそんな事はどうでもいいから弟には少しでもマシな未来を用意してやりたかった。そのせいで揉めているのだが。

 

「俺じゃなくて弟たちを優先して欲しいって言ってるんだ!」

「お前ェだって弟だろォがよォ!」

 

 ヒートアップする二人を止めたのは二人のどちらでもなく、末妹の泣く声だった。玄弥もそうだが実弥は特に目つきが鋭く顔が怖い。それが怒鳴り合っているとなれば、十歳にも満たない彼女には刺激が強すぎたのだ。

 

「お、おにいちゃんたち、こわい~……うぇぇえええん」

「ご、ごめんな寿美(すみ)

「ケンカしてる訳じゃねェから安心しろォ」

 

 二人がかりで宥めるが、一旦泣き出した子供は中々止まらない。あの手この手で泣き止ませようとする中で、玄弥がぼそっとこぼした。

 

「こんな事なら、鬼殺隊に入ってればよかったかなぁ……」

 

 実弥と玄弥は、鬼殺隊からスカウトを受けた事があるのだ。と言っても剣の才能など分からないため、一山いくらのそのまた一部、といった扱いだったが。どうも生活に困窮している事を、どこかで聞きつけられたものらしい。

 

 それでも提示された給金は良かったし、何より当時は今より子供だった玄弥でも働ける、というのが魅力的だった。大正でも義務教育は制定されていたが、そんな事を言っていられない事情などいくらでも存在したのである。

 

「ヤクザの親戚になって刀持って人斬りってかァ? 戦国時代じゃねェんだぞォ。いくら金もらってもんなのはゴメンだぜェ」

「う……そうだね、ごめん兄ちゃん」

「まァ気持ちは分かるがなァ。……今連中がどうなってるのか、聞いてねェのかァ?」

「え?」

 

 少し口ごもる実弥だったが、伝えない訳にもいかないと、妹の頭をなでながら口を開いた。

 

「……消えたんだとよォ」

「消えた? どういう事?」

「どうもこうもねェ、そのままだァ。ある日を境に、煙みてェに消えちまったそォだぜェ」

「…………怪談?」

「だったら良かったんだがなァ。鬼殺隊が一人残らずいなくなったってのは、どうも確かみてェだ。何かが爆発するような音を聞いたってヤツもいるし、キナ臭ェ事この上ねェ」

「そ、それは……」

 

 玄弥はごくりと唾を飲み込む。ここまで聞けば、尋常ならざる事が起こったのだと嫌でも分かったからだ。

 

「鬼の仕業だとか抜かす奴もいたなァ」

「鬼だなんて、そんな……」

「分ァってる。連中“鬼殺”なんざ名乗ってたから、そっから出た噂だろォなァ。だがなァ、んな噂が出るほど謎だらけなんだよ。警察も何も掴んでねェみてェだしな。何にせよ、関わらなくて正解だろうぜェ」

 

 実弥は一息つくと話題を切り替えた。

 

「ま、人間真っ当に生きるのが一番ってこった。俺達のオヤジを思い出しゃあ分かるだろォ?」

「ああ……」

 

 彼らの父親は実にろくでなしで、家族をよく殴っていた。外でも同じ調子だったようで、人に恨みを買って刺し殺された。それでも自業自得としか思われなかった辺り、ろくでなしの見本のような男だった。

 

「だからお前は学校行けェ」

「結局その話に戻るのかよ兄ちゃん!?」

「当たり前だろォがよォ」

 

 弟には良い暮らしをさせてやりたい兄と、兄の負担を少しでも減らしたい弟。互いが互いを思いやるが故の平行線は、まだまだ続きそうであった。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

伊黒(いぐろ)小芭内(おばない)の場合(蛇柱・大正)

 

 

 伊黒小芭内。女ばかり生まれる一族で、実に三百七十年ぶりに生まれた男。二十歳をもうすぐ超そうかというその彼は、現在ピンチに陥っていた。

 

「ねぇ小芭内、私ってそんなに魅力なぁい?」

「い、いや、そんな事は……」

 

 妙齢の美女と言って良い女性に迫られる小芭内だったが、傍からすると蛇に睨まれた蛙にしか見えなかった。どちらが蛇でどちらが蛙なのかは言わずもがなである。

 

 一族ではとても珍しい男である小芭内は、こうして迫られる事がよくあるのだ。一応法的には婚姻は可能な相手ではあるし、美人と言って差支えのない相手でもあるのだが、幼少期から貞操の危機にさらされ続けて来た彼にとっては全く嬉しくなかった。過ぎたるは猶及ばざるが如し。

 

「シャアー!」

「ひゃっ!」

 

 小芭内の襟元から出て来た白蛇が女性を威嚇し、彼女は悲鳴と共に後ろにのけぞる。小芭内はその隙を逃さず、脱兎の如く逃げ出した。

 

「あっちょっ……」

「シャアァー!!」

「きゃあっ!」

 

 追いかけようとする女性だったが、蛇に再度威嚇され怯んでしまう。その間に小芭内は逃げに逃げ、どうにか身を隠す事に成功した。

 

「うぅ……鏑丸(かぶらまる)、ありがとうな。俺の友達はお前だけだよ……」

 

 鏑丸。いつぞや部屋の中に迷い込み、それから小芭内が飼っているアルビノのアオダイショウだ。蛇にあるまじき知能の高さを誇り、飼い主の意をよく汲んでくれる出来た蛇である。

 

「皆の事は嫌いって訳じゃないんだが……何かずれてるんだよな……」

 

 鏑丸をなでる小芭内が思い出すのは、自身の幼い頃だ。早く大きくなるようにと、大量の食事を出されたのだ。大盛りというレベルではなく、軽く二十人前はあった。当時子供だった小芭内が食べきれるはずもないのだが、悪気も他意もない顔を見ていると、何も言えなかった。

 

「ここかぁ……!」

「うわああああああぁぁぁ!!」

 

 小芭内はいきなり現れた亡霊のような顔に跳び上がる。よくよく見れば先程まで見ていた顔ではあったのだが、そこまで気を回す余裕は今の彼にはない。

 

「いい加減既成事実作って私と結婚しなさい……! そろそろ婚期がヤバイのよ……!」

「知るか!」

「シャアァー!」

 

 忠犬ならぬ忠蛇の鏑丸が威嚇の声を上げる。女性は少し尻込みするが、それでも不敵な顔を浮かべてみせた。

 

「ふっ、甘いわね! 私が何の対策もしていないと!? 行きなさい華!」

「ニャアァァ!」

 

 女性がけしかけたのは三毛猫だった。猫は蛇に纏わりつき、小芭内から引き剥がそうとする。

 

「うわっなんだ華か!? やめろって!」

「よしよし良い調子よ華! でも殺しちゃ駄目よ、ちょーっとその蛇を引き剥がすだけで良いからね! 上手く行ったら高級牛肉よ!」

「ニャッ!」

「アンタ華に何させてんだ!」

「お黙り! 牛肉くらいで行き遅れにならずに済むんだったら安いモンよ!」

「俺は牛肉以下か!」

 

 どたばたと大騒ぎをしていれば、当然他の者にも音が届く。となればその後の展開は、考えるまでもなかった。

 

「あっちょっと何抜け駆けしてんのよ! 協定を忘れたの!?」

「あんたはまだ余裕あるんだから黙ってなさい! “おねーちゃんまだ結婚してないのぷっぷくぷー”とか煽られんのはもうまっぴらなのよ!」

「知ったこっちゃないわよ一生煽られてなさい!」

「あんですってー!」

 

 雪崩れ込んできた女性たちは、小芭内を放って醜い争いを始めた。一族全てが若い女という訳ではないが、それでも母数が多いのでそれなりの数がいる。くんずほぐれつのキャットファイトを繰り広げていた彼女達だったが、当の小芭内がいない事に気付くと動きを止めた。

 

「ちょっと、小芭内がいないわよ!」

「逃げたわね!」

「いた! あそこよ!」

「待ちなさいッ!!」

「誰が待つか!!」

 

 女たちは小芭内の背に目の色を変えて追いすがり、その小芭内はますます逃げる速度が上がる。現在進行形で女難の渦中にいる小芭内は、パニックホラーかラブコメか判然としない日々を送っていた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

甘露寺(かんろじ)蜜璃(みつり)の場合(恋柱・大正)

 

 

 無惨の会社にて、新しく入った社員が挨拶を行っていた。

 

「甘露寺蜜璃です! よろしくお願いします!」

 

 勢いよく頭を下げた彼女の髪は、何とも前衛的な事に桜色で、先端だけが薄緑色だ。これは染めているのではなく地毛であり、本人曰く桜餅を大量に食べたらこうなったとの事である。人体の神秘。

 

「この者は販売部門に配属する。獪岳、面倒を見ろ」

「お、俺っすか!?」

 

 無惨の指示に驚いたように言葉を返す獪岳。昔の無惨なら脅しつけていたところだろうが、日光を克服し鬼殺隊も壊滅させた今の無惨は精神的に余裕がある。故に怒鳴ったりはせず、単に思うところを口にした。

 

「お前は有能だ。新人の教育くらい出来るだろう」

「う、うす! 頑張ります!」

「それで良い。私の役に立て」

 

 能力を評価された獪岳は嬉しそうだ。努力家でしっかり結果も出している獪岳と、能力があれば出自や性別等に関係なく評価する無惨は、割と相性が良かった。

 

「では仕事にかかれ」

 

 無惨の一言で皆が散りそれぞれの仕事へと向かう。その中で蜜璃は、獪岳にくっついていた。

 

「ねえねえ、お仕事って何をすればいいんですか?」

「ち、近いから離れてくれ」

 

 顔を真っ赤にした獪岳が蜜璃を押しのける。思春期真っ只中の少年には、スタイルの良い彼女は少々刺激が強かったようだった。

 

「あっ、ごめんなさい……」

「いや別に怒ってる訳じゃ……ゴホン!」

 

 獪岳はわざとらしく咳払いをして空気を入れ替える。未だ顔の赤みは残っていたが、それでも真面目に仕事の説明へと移った。

 

「仕事は単純だ。薬を指定された場所に運ぶ事と、新しい場所に売り込む事」

 

 出来たばかりの小規模な会社で、人員もまだ少ないので、薬の搬送と売り込みはどちらも獪岳の仕事なのだ。共通項は『外に出る』である。

 

「今日は薬を運ぶから、まずは車への積み込みを手伝ってくれ」

「車があるんですか? 凄いですね!」

 

 この時代、自動車は普及のまさに途上である。1912年には500台しかなかった全国の自動車は、1924年になると2万台以上に増加する。それでもまだまだ珍しく高価なものには違いない。無惨には会社以外の収入があるため買えたのである。

 

「獪岳先輩が運転するんですか?」

「ああ。運転は甘露寺……さんにもそのうち覚えてもらうが、今日は横で見ててくれ」

 

 免許制度もまだ途上で、企業は願書を出して許可が下りれば車を運転できた。仕事用なら、能力があると認められた未成年でも運転は可能であったので、獪岳でも合法だ。免許取得が18歳以上と定められるのは1919年で、ここより少し未来の事である。

 

「向こうに着いたら甘露寺さんを取引先に紹介する。まあそれは後だから、まずは積み込みを終わらせよう」

「はいっ!」

 

 その積み込み作業は即座に終わった。蜜璃が見た目によらぬ剛腕で一気に薬の箱を運んだからだ。驚くべき事に、呼吸法を修めた獪岳を上回る力だった。

 

「す、すげえ力だな……」

「え、えっと、その……」

 

 蜜璃は瞳を右往左往させてうろたえていた。髪色はもう仕方ないにしても、こういった“普通ではない”ところはあまり表に出さないようにしようと思っていたのに、入社に浮かれてやらかしてしまったためだ。

 

「いや責めてる訳じゃねえよ。社長たちも力は強いしな」

「え? それってひょっとして、空木さんたちも……?」

「ああ、あんな見た目だけど皆力は強いぜ。甘露寺さんといい勝負なんじゃねえかな」

「そ、そうなんだ……!」

 

 蜜璃は、生まれて初めて自分と同じくらい力が強いという女性を見つけて嬉しそうだった。彼女は見た目こそ細いものの、筋肉の密度が常人の八倍もあるという特異体質。その筋肉を維持するため、生まれつき大食漢なのだ。全く太ってはいないのに、相撲取り三人前よりも食べると言えばどれ程か分かるだろう。

 

 その食費を稼ぐため、女性でも出世できると噂の無惨の会社に応募したのである。彼女の実家は、少なくとも蜜璃の食費で傾く事はない程度に裕福ではあったのだが、家族に負担をかけ続ける事を蜜璃本人が善しとはしなかったのだ。

 

 そして採用された事で食費については何とか目途が立ったが、蜜璃は怖かった。“普通ではない”自分を()()()()()もらえるかどうか、怖かったのだ。彼女は前衛的な髪色に167㎝という長身も相まって、これまでのお見合いは全て破談しており、それが軽いトラウマになっていたのである。

 

 だがこの会社では、怪力は珍しくないという。紹介された社員(鬼)たちの髪色が大概カラフル*1だった事もあり、ここなら自分を隠さなくても受け入れてもらえるかもしれないと、彼女は希望を見出していた。

 

 一方獪岳は、呼吸法も使っていなさそうなのに鬼と比較になる腕力とはどういう事だと戦慄していた。空木たち下弦は弱いがそれでも鬼は鬼。単純な力なら非常に強く、鍛えていない人間が勝てるような存在ではないのである。

 

「…………ま、俺が考えるこっちゃねえな」

「え? なぁに?」

「いや、何でもない。あんま遅れるのも良くねえから乗ってくれ」

「はいっ!」

 

 獪岳は蜜璃を促し車に乗り込む。このように余計な事に首を突っ込まない賢しさも、無惨が気に入っている所以であった。

 

 それでも疑問に思う事は止められない。こいつの身体どうなってるんだろうなあと考える獪岳と、受け入れてもらえるかもと浮かれる蜜璃の凸凹コンビは、隣り合って車に乗り、取引先へと向かっていった。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

悲鳴嶼(ひめじま)行冥(ぎょうめい)の場合(岩柱・大正)

 

 

「その……行冥さん」

 

 獪岳がおずおずと行冥に話しかける。いつになくしおらしい獪岳の後ろには、行冥が引き取り育てている子供たち――といってもそれなりの年になっている者も多いが――が揃っていた。

 

「どうしたんだ、皆揃って……」

「今日は皆から行冥さんに贈り物があるんだ」

「贈り物……?」

「師匠、お願いします」

 

 首を捻る行冥の前に、黒死牟と鳥兜が姿を現した。行冥は知らない者の気配に首を捻る。

 

「黒死牟殿と……そちらは?」

「医者だ……」

「初めまして、鳥兜と申します。ご紹介に与りました通り、医者をしております」

「医者……」

 

 驚いたような顔を見せる行冥に向け、獪岳が口を開く。

 

「俺の勤めてる会社には、医者もいるんだ。本当なら高くて俺には払えないんだけど、社長がお前なら割り引いてやってもいいって言ってくれて、寺の皆もお金を出してくれたから、それで……」

「ひょっとして、以前に言っていた“腕のいい医者”というのが……」

「その弟子にあたる者だが、腕は確かだ……。良き子を持ったな……」

「お、おお……!」

 

 行冥はだばだばと滝のような涙を流す。彼は2mを超える図体に似合わず、非常に涙もろいのだ。身体中の水分を流し尽くさん勢いの彼に、鳥兜が問いかける。

 

「聞いてはいますが一応確認しておきます。その目は生まれつきではなく、病気でそうなったというのは間違いないですね?」

「その通り……見えていた頃の事はあまり覚えていないが、見えていた事は覚えている……」

「結構。それなら治ります。では早速かかりましょう」

「今すぐか?」

「ええ、早い方がいいですからね」

 

 一時的に鬼にして病気や怪我を治し、人間に戻す。珠世が続けて来た治療法は、鳥兜にしっかりと受け継がれていた。今は『飢餓感を抑え、理性を保たせる薬』も開発されているので、安全性も上がっている。鬼化の直後は大量に食べなければならないのは変わっていないが、その程度は大した問題ではない。

 

 しばらくの後。治療は無事に終わったが、行冥は自身の目で獪岳たちを見る事はしばらく叶わなかった。何故なら、次から次にあふれ出る涙によって視界を塞がれていたからだ。

 

*1
純日本人でも鬼になると髪色が変わる場合がある。猗窩座は赤毛、堕姫は銀髪、妓夫太郎は黒と緑のツートンカラー。


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