【完結】無惨様が永遠を目指すRTA   作:佐藤東沙

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3話 「薬師」 鎌倉~室町(西暦1200~1500年頃)

 はいどうも皆さんこんにちはー。では今日もRTA、始めて行きたいと思います。

 

 前回、珠世を鬼に出来たので、さっそく薬の開発を進めましょう。といっても珠世の家族、特に夫が生きてると本格的に取り掛かれないので、夫が死ぬまで早送りします。

 

>「もういいのか」

>「夫は亡くなり、子供もすでに仕事を受け継いでいます。もう思い残す事はありません」

>「ここまで待ってやったのだ。必ず私の役に立ってもらうぞ」

>「はい。必ずや、日光克服薬を」

 

 特に何事もなく夫は寿命で死にました。この時代だと50~60ってとこですかね? 平均寿命はもっと短いんですが、それは乳幼児が死にまくるせいなので、いったん大人になればそれなりには生きてたようです。

 

 寿命の話はさておいて、珠世のしがらみがなくなったのでこれで本格的に薬開発に移れます。今までは夫の手伝いとか子供の世話とかがあって研究に集中、って訳にはいきませんでしたからね。鬼は寝なくていいので毎日徹夜でやってたようですが。

 

 ちなみにあの後珠世は理性を取り戻して家に戻ってます。日光に当たれないのは病気の後遺症として、年を取らないのは段々顔を変えて擬態してごまかしてました。

 原作でも無惨様が子供になってたり、累の配下が顔を変えてたりしてたので、鬼はその気になればそういう事も出来るという解釈のようですねこのゲームでは。

 

>「ほう……血だけ、それも少量で生きていけるとは、興味深いな」

 

 お、珠世は原作通り少量の血で生きてけるように身体をいじったみたいですね。今ルートの無惨様は研究者としての側面が強いので、変わった鬼に興味を示してます。

 

>「無惨様も試してみますか? 食事が面倒だと仰っていましたし……」

>「……いや、やめておこう。それで弱くなってしまえば意味がない」

>「……そうですか」

 

 珠世は“食事”にいい顔はしませんね。無惨様に感謝はしてますが、それはそれとして人喰いは良く思ってませんからね。その辺複雑です。

 

 この会話はフラグになりますが、今すぐどうこうという事はありません。なのでまたまた早送りです。その間に今ルートの鬼殺隊の話でもしておきましょう。

 

 鬼による被害は無惨様によるもの以外なくなってますが、鬼殺隊はまだ存在してます。と言っても鬼と戦った事がある隊士はいません。それどころか、鬼の存在を信じてない隊士もいます。

 

 じゃあなんで残ってるのかと言いますと、前にちょっと触れましたが、産屋敷が無惨様を殺そうとしてるからです。理由は原作で出てた通り、無惨様が生きてる限り産屋敷の短命の呪いが解けない(と思ってる)からです。

 この時点では『産屋敷が代々短命である事』と『無惨様が産屋敷の血縁である事』に因果関係がある証明は全く存在しませんし、現代人が聞いたら呪いとか何言ってんだってなりますが、オカルトがガチで信じられてる時代ですし、鬼が存在する世界でもあるのでまあ仕方ないです。

 

 しかし戦う相手もいないのに戦力を保持し続ける事は困難です。モチベーションの問題もありますが、何より武力ってのは生産性ゼロのくせに金食い虫ですからね。武器に食事に給料にと、金がいくらあっても足りません。原作で出た「藤の花の家紋の家」みたいな支援者もいないので、いくら有能でも産屋敷単独ではカツカツです。

 

 なので産屋敷は、鬼殺隊の戦闘能力を売ってます。要するに傭兵です。当然戦う相手も鬼じゃなくて人間です。どこをどう見ても全く“鬼殺”隊じゃあないんですが、これは目的を忘れないようにするためだそうです。

 

 そして対人戦しかやってないので、主武装は弓や槍です。刀はサブウェポンですね、リーチが短いんで。

 刀は日輪刀なんですが、人間相手だと普通の刀と変わらないので、ステータスという意味合いが強いです。強い剣士が握ると色が変わる、これは実に神秘的で、自らの強さを誇示するにも良い方法ですからね。日輪刀が欲しくて鬼殺隊に入る人もいるようです。

 まだ呼吸法はないんですが、このゲームでは呼吸なしでも強い人が握れば色が変わるという設定になってます。

 

>トロフィー一廉(ひとかど)の研究者」を獲得しました。

 

 ん? このトロフィーが出たって事は、何かの薬が開発できたって事です。ログによると――「鬼を人間に戻す薬」ですね。これは幸先良いですよ!

 

 青い彼岸花なしで日光克服薬を作る場合、人間化薬はその第一歩になります。珠世は鬼を部分的に人間に戻す事によって人間の持つ日光耐性を鬼につけようとしてますので、あとはこの薬を上手い事弱めていくだけです。ここから先がまた長いんですが。

 

 原作だとしのぶの協力・上弦の血・禰豆子の血があってようやく出来た人間化薬ですが、こっちだと鬼の始祖本人が協力してるので完成しました。まあそれでも珠世の夫が死んでから二百年くらい経ってるんですけどね。西暦も1450年頃で、とっくに鎌倉は終わって室町です。

 

>「そうだ無惨様、人間化薬の他にも出来たものがあります」

>「なんだ?」

>「はい、『人間と同じ物を食べられるようになる薬』です」

>「なんだと? いつの間にそんなものを……」

>「空いた時間に少しずつ。日光克服薬より簡単だったのは幸運でした。ところで無惨様は“食事”が面倒だと、以前に仰っていましたよね?」

>「それは、確かに言ったが……」

>「今はまだ鼠で実験している段階ですが副作用や他の鼠に比べての弱体化もなさそうなので終わり次第私で試してみたいと思いますもしそれで問題がなければ無惨様もいかがでしょうかお食事なら私が作りますから面倒が減りますよ?」

>「わかったわかった、考えておく。全く、お前も大概しつこい女だな、珠世」

>口調とは裏腹に、無惨の口元には苦笑が浮かんでいた。

 

 珠世すっげえ早口で言ってそう……。っと、この薬について説明します。といっても読んで字のごとくの薬で、栄養源が人間+普通の食べ物になる、ってだけです。人間を食べられなくなるという訳じゃないです。

 

 無惨と珠世の関係が良好で、珠世が薬の開発を行っている場合、高確率でこの薬を作ります。人間化薬を作った後ならほぼ100%で作ります。人間化薬の効能を弱めたバリエーションの一つなんで。

 『簡単』とは言ってますが、難易度的には結構なもんです。あくまで鬼の始祖の協力があり、二百年もかけたから出来た薬、って事ですね。

 

 RTA的にはあってもなくてもいい薬です。それよりも人間化薬の方が重要ですね。これで――

 

>「くそ、これ以上の研究は、現状では難しいか……」

>「残念ながら……。人手も道具の精度も足りません」

>「また鬼を作るべきか……? いや、だが……」

>「道具については考えがあります。しかしこれには、無惨様のお力が必要になるのですが……」

>「言ってみろ」

 

 こーれーはー……イベントですかね?

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 刻一刻と薄れていく茜色に照らされる土蔵に、それらを囲う漆喰の塀。分かりやすく『大きな商家』と全力で主張している建物の前に、無惨と珠世は訪れていた。

 

「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」

 

 使用人の女性が二人を中へと案内する。ただし表門ではなく裏口から。廊下を歩く二人を見た他の使用人の視線からも、どのような感情を抱かれているかよく分かる。

 

(抑えて下さい無惨様。すぐ終わりますから)

(分かっている!)

 

 多少は改善されているとは言え、生来短気な無惨の額にはすでに青筋が浮いている。珠世が宥めながら通された先には、畳の上に横になっている女がいた。女は二十歳にも届かない程度に見えたが、誰が見ても分かるほどに死相が浮き出ていた。

 

「本当に娘は治るのか!?」

 

 その女の横に控えていた男が、噛みつかんばかりの勢いで珠世に掴みかかった。女と顔つきが似ており、血の繋がりを感じさせる顔だった。

 

「ええ、大丈夫ですよ」

「ほ、本当か!? 本当だな!?」

 

 必死さを感じさせる男とは対照的に、後ろに控える使用人の顔には『このような胡乱な者どもに本当に任せるのか』と書いてあったが、幸運な事に誰の目にも入る事はなかった。

 

「お願いしておいたものは準備してくださいましたか?」

「あ、ああ。おい」

 

 男が使用人に声をかけると、大量の食糧が運び込まれて来た。魚や肉が中心で、野菜や穀物は少なかったが、それがどうでもよくなるほどに大量だった。

 

「これでいいのか?」

「十分です。では早速始めましょう。お願いします」

「……ああ」

 

 珠世に声をかけられた無惨が女の頭上で拳を握り締め、ぽとりと滴った血が女の口に入る。

 変化は劇的だった。

 

「ガッ、ガアアァァッ!!」

「お、おい!?」

 

 今の今まで死にかけていたとは思えないほど元気に暴れだす女。珠世はそれを必死で押さえつけ、無惨が女の口にあらかじめ用意していた丸薬を放り込む。それを確認した珠世が叫んだ。

 

「食事を! 急いで!」

「は、はい!」

 

 よく通る声から滲む危機感に押され、使用人たちが反射的に動き出す。用意されていた食料を女に近づけると、彼女は猛烈な勢いでそれを貪り始めた。

 

(『人間と同じ物を食べられるようになる薬』は上手く作用しているようですね)

(だが、思っていたより食べる量が多いな……やはり鬼にとっては人間こそが最も栄養になる、という事か?)

(かもしれませんが……“代用”が利くと分かっただけでも成果です。これで鼠の共食いも減るでしょう)

(確かにな)

 

 そうこうしているうちに、女は用意されていた食料の過半を食い尽くしていた。彼女の手が止まったのを見計らい、珠世が最後の薬をその口に放り込んだ。

 

「グッ、アアガァッ!!」

「お、おいこれはどうなっている!? 娘は大丈夫なのか!?」

「薬の副作用です。しばらく待てば――」

 

 女は苦しみのたうち回るが、ほどなくして顔を上げた。先程まで縦に裂けていた瞳は元に戻り、伸びていた犬歯は縮んでいた。茫洋としていた顔に意思が戻り、その眼が父親を捉えた。

 

「お父、様……?」

「か、身体は大丈夫なのか!?」

「え、ええ……とても体が軽いです。これは一体……?」

「お、おお……!!」

 

 そこから先は言葉にならない。父は娘に抱き着き、娘はしばらく困惑していたが、やがて父の背中に手を回す。そんな父娘を、正確には娘の方を、鬼二人は研究者の目で見つめていた。

 

(やはり成り立てだと効きが早いな)

(鬼になっていた間の事を覚えていないようですが……)

(記憶を消した。物は試しだったが上手くいったようだ)

(記憶を?)

「ありがとうございます!!」

 

 小声で話す二人に、男が頭を床につけんばかりの勢いで頭を下げる。使用人たちの見る目も明らかに変わっていたが、それを気にも留めず珠世がにこやかに返す。

 

「いえ、医者として当然の事をしたまでです。ところで――」

「おお、これは失礼いたした! おい」

 

 男が顎をしゃくると、使用人が袋を持ってきた。砂金が入っている為に大きさの割にずっしりと重いそれを珠世が受け取り、『確かに』と品よく頷く。彼女はそのまま、男に向かって頭を下げた。

 

「では、私達はこれでお暇いたします」

「そんな! これから寛解を祝って宴を――――」

「いえ、部外者がいてはお邪魔になるでしょう。何かあったらまたお呼びください」

 

 それだけを言い残すと、珠世は無惨と共にそそくさと退出する。男はあっけに取られていたが、娘に声をかけられると、すぐに声を張り上げ使用人に指示を出し始めた。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 重病人を鬼にして病気を治し、人間に戻して健康体にするという荒業治療で金稼ぎする事にしたようですね。んでその金で、鍛冶師やらに頼んで珠世の考えた実験道具を作ってもらうと。

 無惨様的には『金など奪えばいい』って考えなんですが、道具の特注、それも複数となると食事のついでの強盗程度じゃ足りないですからね。金稼ぎの手段があるのはいい事です。

 

 しかし珠世が部下になった事で、一気に善人プレイっぽくなってきましたね……いや日光克服薬に近くなりますし、別に悪人プレイをしたい訳じゃないんでいいんですけど。

 

>「金を稼ぐというのは悪くはない。だがやはり私の時間が削られるのは望ましくない」

>「ですが無惨様、鬼にするのは私では……」

>「分かっている。だから珠世、お前に私の血を分けてやる。今よりも血が濃くなれば、お前だけでも人間を鬼に変えられるようになるだろう」

 

 あっやっぱ面倒だったみたいですね無惨様。金稼ぎそのものは肯定しても、自分がいちいち出張るのは嫌だったようです。珠世にやらせる気です。まあ人当たりが良くて元医者の珠世の方が向いてるのは間違いないんで、名采配とも言えますが。

 

 さて、そろそろいい時間ですので、今日はここらで終わりにしたいと思います。

 

 いやー、毎回予想外のイベントが起きてましたけど、そんな事がね、いつもいつも起こる訳がないんですよ。三度目の正直ってやつです。私をガバの化身とかメガトンコインとか穴しかないチャートとか言った人はマリアナ海溝より深く反省して下さい。

 

 それでは皆さん、また次――――

 

>「まさか鬼……貴様が鬼舞辻無惨か!?」

>「何? 私を知っているのか?」

>「お館様を疑っていた訳ではないが、本当に存在したとはな……!

> ならば――――これぞ鬼殺隊の本懐! お館様のためにも、その頸頂戴する!」

 

 ファッ!!!!????

 




今日の主な獲得トロフィー

一廉(ひとかど)の研究者」
 一定以上の成果を出した研究者に贈られる。

「一流の研究者」
 自身の成果で利益を出した研究者に贈られる。

「医術の心得」
 怪我人や病人等を一人以上救った者に贈られる。鬼にする事は含まない。

「ブラックジャックへの(きざはし)
 その時代の医療技術では助からないであろう怪我人や病人等を、一人以上救った者に贈られる。鬼にする事は含まない。
 
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