「呉峠山ヘ向カエェ!呉峠山ヘ向カエェ!カァァ!カァァ!」
和哉は、鎹鴉の命令で呉峠山へ向かっていた。鎹鴉の話によれば、二日前から既に十数名の隊士が向かっていたが、全員の消息が途絶えたらしい。
「…嫌な予感がするな。」
そう思っている内に山の入り口に着いた。山の中に入り奥へ進んでいくと、いたるところに隊士の死体が転がっていた。中にはほとんど原形を留めていないものものもあった。
「やはり、既にやられていたか。…ん?」
奥の方を見ると、大きな寺があった。
「こんな山奥に寺が…って、くっさ!!」
寺の中から強烈な腐敗臭がした。 寺に入ると、隊士と鬼が争った跡と山積みにされた人の死体。そして、奴がいた…。
「…手前は!」
「あ?何だ、鬼狩りか?」
そこには自分の両親を殺した鬼、十二鬼月 下弦の壱がいた。鬼は俺を睨めつけるが、俺のことを思い出し驚いた表情をした。
「…お前は、あの時の餓鬼!何で鬼狩りになってんだ!?」
「何でって、手前を殺すために決まってんだろうが。」
「ク、クソ!」
鬼は本能的に勝てないと察したのか寺から逃げ出した。だが━━
「逃がすか。」
『全集中 龍の呼吸 伍の型 黒龍』
刀から幾本か黒い光の帯ようなものが出てきた。そして、刀を振り黒い龍の斬撃を二発放った。斬撃は鬼の足に命中し、鬼は倒れこんだ。
「ガハッ!あ、足がぁぁ!」
「逃げれると思ったか?クソ鬼が。」
「くっ、この鬼狩りがぁぁ!」
鬼は血鬼術で攻撃しようとしたが、和哉は瞬時に首を斬り落とした。
「とっととくたばれ、糞野郎。」
首を斬られた下弦の壱は断末魔の声をあげながら消滅した。
「…仇はとったよ。父さん、母さん。」
「カァァ!桐生 和哉ァ!十二鬼月 下弦ノ壱ヲ討伐ゥ!カァァ!」
鎹鴉の鳴き声と同時に朝日が昇り始めていた。
たが、下弦の壱の討伐は、まだ始まりに過ぎなかった。今後、更なる強敵が現れることをこの時の俺はまだしらない。
◇
後日、産屋敷邸にて。
「なあ、聞いたか。下弦の壱が討伐されたって話。」
「ああ、しかも倒したのは、まだ入隊したての癸の隊士らしい。」
「マジかよ。じゃあ、その隊士は柱と同等の強さを持ってるってことじゃねぇか。」
柱合会議前、 三人の隠が先日の出来事について話していた。
「おいおい、何か面白い話をしてるな。」
「「「!?」」」
突然、三人の目の前に光柱 荒木 和彦が現れた。
「こ、光柱様…。」
「その話、詳しく聞かせてくれな──」
「おい和彦、そんなところで何してるんだ。」
すると、鳴柱 桑島 慈悟郎 が四人の前に現れ、呆れた表情で荒木に言った。
「もうすぐ柱合会議が始まる。お前も早くこい。」
「チッ、分かったよ。」
(た、助かった~)
三人の隠は、胸を撫で下ろした。
ヤバい、疲れた……(;´д`)
今回内容が少なくてすみません。
次回 第6話 因縁
ちなみに 《伍の型 黒龍》は、ワートリの風刃と似たような感じの技(というか、そのまんま)です。