チートTS転生したら、碁の神様と出会った俺の人生 作:クロス・クロス・クロス
放課後、俺、あかり、筒井先輩、三谷の四人は理科室を借りて、碁の練習をしている。
基本的に、俺もとい佐為が三人へ指導碁を打つ感じだ。
三谷は最初は俺が指導碁を打つと言うと「なめんじゃねぇ!」と怒っていたが、盤上で完膚なきまでに佐為にやられて、それ以降は大人しくなった。
純粋に俺もとい佐為に畏敬の念を持ったらしい。
話してみると三谷は我流で覚えたらしく、佐為は変な癖を矯正することから始めたらしい。
ただ、三谷の長所を潰さないように気を付けているみたいだ。
観察力とか、勘の良さとか。
筒井先輩は本を読んで、知識はしっかりしている。
ただ、本に依存しているので、本に触れさせず、自分で考え打たせている。
ひたすらな!
あかり基礎を終えたので応用といったところだ。
ただ、あかりは碁を純粋に楽しんでいるので、上手くなっているけど、強くなるには時間が掛かりそうだ。
性格的にも真剣勝負を何度も出来るタイプではない。
「こんちゃー、今日も打とうか」
「おう」
「こんにちは」
理科室に入ると先に来ていた三谷が囲碁盤をだしながら返事をする。
「今日も三面打ち?」
「うーん、今日は一人ずつにしようか?」
「なら、俺と打とうぜ」
「いいよ」
あかりと三谷と話ながら、俺は三谷と打つ。あかりは俺の隣で見学。
対局は大会を考慮して、自腹切って時計などを購入。
筒井先輩は驚いていたが「金はある!」と、自信満々て言うと、何度も俺にお礼を言っていた。
周りに同じ趣味の仲間、理解者が居ないのは、やはり辛かったらしい。
「あ、ありません」
「ありがとうございました。三谷、ここなんどけど」
こうして、佐為の指導を行いながら、皆の鍛練を行った。
「ごめん、遅れた」
「大丈夫ですよ、筒井先輩」
男女共にあと一人、何処かに居ないかな。
とか思っていたら、同級生の夏目くんとバレー部の金子さんが部活に入ってくれた。
理由は月一度の全校集会だ。
そこで、大会などで優勝した生徒が表彰される。
で、俺は先月行われた五月人形を作っている老舗メーカー主催の大会に参加。
優勝の商品が五月人形と粗品で、商品はちょっと微妙だったが五月人形は物がしっかりしているので、大事にしまっている。
アマチュアの腕に覚えのある大人達が参加している大会で余裕を持って優勝、全校集会で俺が表彰された。
その時に、気をきかせてくれた校長が、「囲碁部は部員を募集していますよ」と言ってくれたのだ。
後に知ったのだが、校長は嗜み(大人の付き合い)で囲碁や将棋が出来るらしい。
だから大人に混じってアマチュアの大会、小規模とは言え優勝がどれどけ大変か分かっていたようだ。
こうして、大会へ向けて、正式な部活になり。
皆と部活に精を出すことになった。
★
「じゃあ、今日の練習はこれで終わり。みんなお疲れ様でした」
「「「「「お疲れ様でした」」」」」
筒井先輩もとい囲碁部の部長の号令で、俺達は一斉に頭を下げる。
礼に始まり礼に終わる。挨拶大事。
で、皆で途中まで家に帰る途中。
「囲碁って、奥が深いわね」
『そうでしょうとも!』
金子さんの言葉に、佐為がうんうんと頷いている。
佐為、金子さんには聞こえないからね。
「うん、途方もないよ~。俺もまだまだだからね」
「ヒカルでも、まだまだって」
「宗教の修行みたいなところはあるね」
本当に佐為、もとい人類は神の一手に辿り着けるのか。そう思ってしまうよ。
「修行かぁ」
「あかり?」
「うーん、もっと強くなれたら、いいなぁって」
少し悩んでいるような雰囲気で、そう呟くあかり。
暇さえあれば、あかりは俺と碁を打っている。
かなり上達してはいるが、やはり強いと言うよりは、上手くなった。と言うべきだな。
「大丈夫、これから学んでいけば良いから」
「うん、分かった」
「ああ、そう言えば今の筒井先輩達なら、大会も良い線に行くんじゃないですか?」
俺の言葉に前を歩いていた三人が歩く速度を落として、答える。
「うーん、組み合わせ次第かな。やっぱり、海王は強いからね。ひかるくんのお陰で強くなったけれど」
「勝つに決まってんだろ」
「進藤のおかげで、囲碁が上手になったし、勝ちたいかな」
三人は気負っていないみたいだな。
精神状態は対局に影響する。
本番も普段通りに打てると良いけど。
★★★
進藤達と別れて囲碁部の男子の三人は苦笑いしながら、こう呟いた。
「ヒカルの圧力を毎日受けながら碁を打ってるだぜ。中学生レベルに負けるわけにはいかねぇよ」
「三谷は大人と打っていたんだっけ?」
「あぁ、下手な大人よりも圧力が凄いぜ」
「そうだね、入部初日から大変だったなぁ。対局する時に向かい合って、本当に目の前にいるのは、同級生の女の子なのかと疑ったよ」
「ぼくもだよ。年下の女の子に圧倒された。けど、お陰で海王とも普段通りに打てそうだよ」
後に全国的に有名になる葉瀬中、その初陣が迫っていた。