チートTS転生したら、碁の神様と出会った俺の人生 作:クロス・クロス・クロス
「あら、いらっしゃい」
「こんにちは、こう言うところ初めてなんですけれど」
「あら、そうなの? でも、女の子も歓迎よ」
受付のお姉さんに、このサロンの説明を聞いていると、視界に俺と同世代の男の子が居るのを発見した。珍しいな。誰かの付き添いかな?
「棋力はどれくらい?」
「棋力? 計った無いので分かりません。ところで、彼は?」
「え、ああ、アキラくんは」
「彼と組めませんか? 同世代は彼だけみたいだし」
俺がそう言うと受付のお姉さんは、少し困った様な表情をしていたのだが。
「対局相手を探しているの? いいよ、ボクが打つよ」
「ありがとう、俺の名前は進藤ヒカル」
「俺? えっと、僕は塔矢アキラだ」
「よろしく」
「こちらこそ、よろしく。じゃあ、はじめようか。(佐為、指示をくれ)」
『ええ、いきますよ、ヒカル』
アキラと碁を打ってしまったのだ。佐為と言うチートの言う通りに。
「あら、もう終わったの?」
「ええ、終わりました。けど、思ったよりも碁の対局って疲れますね。打つのにもの凄く時間が掛かりますし、へとへとです」
「あらあら、なら慣れる為にこういうのはどう? 来週行われるのだけど」
受付のお姉さんに差し出されたチラシは、こども囲碁大会と書かれていた。
「これは?」
「全国から強い子達が沢山来るの」
「へー、面白そうですね。ありがとうございます。行ってみますね」
こうして、俺は家に帰った。この後、囲碁サロンで起こった騒ぎなど知らずに。
囲碁サロンの帰り道のことだ。
「あ、そうだ」
『どうしたのですか? ヒカル』
「そう言えば、折りたたみの安いのなら、買えるかなって」
『ええっ!? 本当ですか!? ヒカル!!』
「貯金でも買えるはずだ。確か」
『買いましょう! ヒカル!!』
「はいはい」
ああ、アマゾンがあれば……と思ってしまう今日この頃……。
あれ? でもこの世界にアマゾンって産まれるのか? けど、アマゾンではなくても、似た様な会社は出来るか……。
よくよく考えたら、こういう知識もチートかな? この世界でも前世の地球と同じことが起きるか分からないけど、参考にはなるか。
「投資か……」
結果だけ、言えば。俺の考えは後に大当たりすることになる。
けれど、今すぐどうこうなる様なものではないので、割愛する。
ちなみに、リチウムイオン電池などの開発者達のドキュメンタリーを見ていたので、苦しいときに恩を売ることができた。
★
ヒカルが立ち去った後、アキラはじっと碁盤を見つめ続けながら、自分がヒカルに指導碁を打たれたことに気づいた。
碁石を打つ手つきも素人だったヒカル。
けれど、対局をしている途中でヒカルの実力に気づいた。
「か、彼は何者なんだ?」
いつの間にかアキラの周りに集まっていた常連達、受付嬢の市河が居たのだが。
「彼? アキラくん。あの子は女の子よ」
「え?!」
「気がつかなかったの?」
「…………」
言葉遣いと外見が少年だったので、アキラは気づかなかったが、実はうっすら胸が膨らんでいるヒカル。
それと、全体的に骨格が丸みがあるので、同じ女性の市河は一目で気づけた。
「ほ、本当ですか?」
「ええ」
女の子に負けたと分かり、自分には差別意識は無いとアキラは思っていたが、やはりアキラはちょっとショックを受けることになった。