チートTS転生したら、碁の神様と出会った俺の人生   作:クロス・クロス・クロス

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チート能力

 翌日、俺は佐為と共に、財布に金を入れて近くのデパートのおもちゃ売り場に来ていた。

 

 佐為は色々と初めて見る物が多いので、きょろきょろしていた。

 

 

「へー、意外と種類あるんだな。大きさとか」

『そうですね。このまぐねっと? というのはなんでしょうか?』

「磁石が碁石、プラスチックって言う軽い素材に入っていて、手がぶつかった時とかに位置がずれたりしない碁石だよ」

『ほほぉ、そう言う物があるのですね。ですが、個人的には普通の碁石の方が良いです』

「そうだね。マグネットの碁はちょっと小さいから。もう少し大きめのを、ああ、これとかどう?四千円台で、大きさもちょうど良くて、全体が見やすそうだ」

『ええ、それが良いですね』

 

 碁盤を購入した後は、本屋にも寄った。

 まずは囲碁の入門書を購入して、佐為と共に今の碁と昔の碁、どれくらい違うのか確認した。

 

アキラと対局をしたときに、握ると現代の囲碁ルールを色々教わったからだ。

 

 佐為とデパートのフードコートで碁の本を読みながら、俺はメロンソーダを飲む。

 

「けれど、こうして読んでみると碁も楽しそうだな」

『おおっ、ヒカルも碁を本格的にやってみますか?』

「そうだな……」

 

 この時、俺は佐為に自分の異常性を教えるか悩んでいた。

 けれど、ちょうど良い機会なのかもしれないと思った。

 

「家に帰ったら、一局打とう。それと、その時に佐為に伝えたいことがあるんだ」

『伝えたいこと?』

「そ、俺の秘密」

 

 

 

 ――ヒカルの自室

 

 

 

 家に戻り、さっそく自室で折りたたみの碁盤を取り出して、佐為に俺と向い合って座ってもらう。

 

 

「今から言うことは、佐為も信じられないかもしれない。けれど、まぎれもない事実で、その証拠も見せる」

 

『それは?』

 

「俺はこの日本とは違う平行世界の日本で死んで輪廻転生した人間なんだ」

 

 

 俺の言葉に佐為はポカンとした。

 

 

『ひ、ヒカル? 貴方は何を』

「その証拠として、俺は異能力が使える。まあ、物騒な力はここでは使えないから。スキルの方を見せよう」

『すきる?』

「そう、スキル。佐為。俺は今日初めて碁で対局する。それだけは忘れないでくれ」

 

 スッと俺が佐為を見据えると、俺が真剣なのが伝わったのだろう。佐為は真剣な表情で頷いてくれた。

 

『分かりました』

「じゃあ、始める前に。少し待ってくれ。少しスキルを操作をする」

 

 俺はステータスと頭の中で念じ。半透明のゲームウインドウのような物を脳内に呼びだし、囲碁スキルにスキルポイントを再配分する。

 

 すると、スーッと頭が急にクリアになり、まるで危ない薬をキメたかのように目の前が一瞬だけ真っ白になった。

 

 

「先手はどうする?」

『ヒカルに』

「分かった。それと」

『?』

「倒すつもりで行くから」

 

 こうして、俺と佐為の初めての全力の戦いが始まった。佐為には俺の向かい側に座ってもらい、扇で碁石を置く場所を指示してもらう。

 

パチリ、パチリと言う音だけが部屋に響いた。

 

 

 

 

 

 対局が始まり、どれだけの時間が過ぎただろう。数時間? もしかしたら、まだ三十分かもしれない。

 

 けれど、碁盤は白と黒の碁石で美しい模様を描いていた。

 

『ひ、ヒカル!』

 

 ――ポタリ、ポタリと紅い雫が俺の両方の両目と鼻から流れ落ちている。

 

 視界も、やや紅い。口の中が鉄の味がする。軽い吐血もした。

 

 

「あ、……ありません」

 

 その言葉を言い終えた後、俺は意識を失った。

 

 

 

『ひっ、ヒカル!!』

 

 

 意識を失う直前、俺の耳に聞こえてきたのは悲痛な叫びを上げる佐為の声だった。

 

 

 

 

 

 あの後、夕食だと呼んでも二階の自室から降りてこない俺を心配した母さんが、部屋に来て目と鼻から血を流して倒れている俺を発見。大騒ぎになった。

 

佐為に憑依された時にも倒れたので、両親は何か重い病を患っているのでは? と不安な表情をしていたが、大きな病院で検査入院しめ、検査の結果、命にも別状は無く。変な病気も無いので、両親と祖父母はホッと安堵していた。

 

 病院の個室で、俺は安静することになった。

 

 

 

 

「まさか、ここまでわたしには、碁の才能が無いとは」

『どういうことですか、ヒカル?』

 

ベッドの上、パジャマ姿で窓の外を眺めながら、俺は佐為に告げる。

 

「俺の力は、才能。不得意な技能でも能力を上昇させて使用出来る。けれどその分不得意な才能を上げて使うと反動がくるんだ。俺は運動などは得意だから平気だけど、学者が行うような数学の問題を無理にやろうとすれば、 前は鼻血だけだったんだけど」

 

俺の言葉に、佐為は

 

『なぜ、そんな危ないことを?』

 

「理由はいくつかあるけれど、一つは佐為と碁を対等に打ちたかった」

 

『……ヒカル』

 

 

 

 俺は病室の窓の外を眺めながら、溜息をついた。

 

 

 

「もう一つは、俺の碁の才能を確認したかった。才能があるなら、時間はかかるけれど、対等に佐為と碁を打てたはず。けれど……」

 

 

 倒れるほど、負担があるということは……。

俺の答えを察したのだろう。佐為はしばらく口をつぐんでいた。

 

 

『すきる、というものはどうしてヒカルは持っているのですか』

「神様がくれたんだよ」

 

しばらくの沈黙の後。佐為は口を開いた。とても、真剣な表情で。

 

 

 

『ヒカル、貴方には才能があります』

 

「佐為?」

 

『対局した貴方は、逆鱗に触れた龍のように、私を攻めてきました。あのような苛烈な攻めは初めてです』

 

「そうなの? スキルで大分碁のことを理解できたけれど、そこまでだった? 佐為は軽やかにかわしていたように思えたけれど?」

 

『いえ、初めての対局でなかったなら、食い破られていた可能性があります。そして、あの対局の凄さをまだヒカルは理解できてません。ですから、ヒカル』

 

「ん?」

 

『もう、あの力は使わないでください。彼の様に若くして死んでしまう』

 

彼とは前に憑依した人物だな。

 

「…………うん、余程のことが無い限りは使わない」

 

『絶対です!』

 

「嫌だ」

 

『ヒカル!!』

 

 

 

 わーわー、騒ぐ佐為に俺は微笑みながら、スキルを使った時のことを思い出す。

 

 念能力などの漫画やアニメの力を使った時とは違った、全能感と言えば良いのだろうか?

 

 碁盤に碁石を置くのが楽しくてしょうがなかった。

 

 

「佐為が生涯をかけて、打ち込んだ理由がちょっとだけ分かったよ」

 

『ちょっとだけですか?』

 

「当り前でしょう? まだ、碁を始めて半月も経っていない」

 

 

 けど、囲碁は面白いかもしれないな。チート能力を使えばオリンピックで金をとることも可能だ。戦闘面では、サイヤ人並みの力が手に入る。まあ、悟空みたいに強くなるわけではないが、それでも地球人類が全て敵になっても余裕で叩き潰せる。

 

借り物の力でも、勝てないモノ。二度目の人生、遊んで暮らすには過ぎた力を持ち、転生者ということもあり、周囲との疎外感を感じていた。

 

「だから、これから碁のことを色々教えてくれ」

『はい、勿論ですよ。ヒカル』

 

俺と佐為は笑い合い、これからのことを話し合った。

 

 




 

ヒカルの覚えられるスキルには、通常スキルの他に、特殊スキル欄というものがあり

スキル【ドラゴンボール】とか【ファイナルファンタジーⅦ】などがあります。


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