またもやペニーワイズが○○をお勧めするようです 作:楓/雪那
というか本人に助長されました。
正直ライン引っかかってないかめちゃくちゃ不安です。
「僕の再生リスト内の動画が!」
降りしきる雨の中、黄色いレインコートを着た少年が車が一台も通らない道路を走っている。
彼の名はジョージ。
何故彼は悲痛な声を上げて雨の中走っているのか。
それは彼の目の前を進むものを捕まえるためである。
今日も今日とてyout○beに転載された同人音声作品を聞き漁っていた彼だが、その日の分だけでなく前々からキープしていた動画まで削除の危機に陥ってしまったのだ。
転載とかやめてちゃんと買えとかそもそもお前18歳未満やろという正論が飛んできそうだが、倫理観のりの字(一つ目の方)もないジョージには目の前のお気に入り動画を取り返すために必死で聞こえない。
なんとか残ってるものだけでもバックアップしたいジョージだが、悲しいかな、運命とは残酷なものである。
動画は水流と共に下水道へとつながる穴に落ちてしまったのだ。
いや動画が水流と共に下水道へってどういうことだよとか思った読者もいるだろうが、実際問題作者もこの状況がいまいち理解しがたいので言わないでほしい。
兎にも角にも動画が消されて落胆するジョージだが、削除されたものを取り戻すのは不可能。
我慢して他の人がまたアップしてくれるのを待つしかないと考え、トボトボと下水道から去るジョージだが・・・
「はぁい、調子いい?」
突然自分の足元から声が聞こえた。
ジョージは思わず振り返り穴を除くと、先ほどまで何もなかった下水道の穴から顔が現れた。
声の主はやはり赤髪のピエロ、ペニーワイズ。
今日のようにジョージが側溝に何か落として落胆するたびに、何かしらお勧めしてくる謎の存在だ。
今回も例に漏れずペニーワイズはにやにや笑いながら気さくに話しかけてくる。
「剣月ちょこさんって知ってる?」
ジョージには聞き覚えのない名前だ。
首を横に振る。
「え~、とってもお勧めなのに。聞いてみなよ」
今回ペニーワイズがお勧めしてきたのはyout○beにてボイスドラマを投稿している剣月ちょこ氏。
一見よさげに感じるが油断してはいけない。
このピエロのお勧めによってジョージは幾度となく精神を破壊されてきた。
クソ映画にグロドラマ、課金沼に休載マンガ。
あまりに精神を破壊されすぎて、側溝に耐水性瞬間接着剤を塗ったボートをわざと流すくらいにはペニーワイズに煮え湯を飲まされてきた。
例え当たりであれど外れであれど、ペニーワイズにお勧めされたらタダじゃあすまない。
一瞬伸びかけた自分の手を止め、顔を顰める。
「個人勢の音声作品ってフリーの脚本使ってるでしょ?すでに保存したやつと被るのは嫌だ」
何というか効率厨じみた発言である。
恐らく数えきれないほどの精神破壊によってこのような捻くれた性格になったのだろう。
自分で積み重ねた所業が自分のお勧めを妨害していることに顔を歪めるペニーワイズ。
しかし彼のお勧め精神はこんなものでは止まらない。
「そんなことはないぞ、ジョージ。剣月さんには白崎悠さんという専属のシナリオライターがいるから、剣月さんの声でしか聞けないヤンデレシナリオが満載だ。もちろん他のライターさんのフリーシナリオもあるけどさ、だからって聞き比べてそれぞれの良さを感じないのは損してるぞ?」
オタク特有の早口かつ饒舌で語るペニーワイズ。
その口ぶりから彼がどれだけ自分とこのすばらしさを共有したいのかジョージにも伝わる。
「確かにそうだね!ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD聞くわ」
「待てや!」
二次創作におけるヤンデレの元祖といっても過言ではないCDを聞くために皮肉な顔で去ろうとするジョージ。
ぶっちゃけあれは音声作品というより素材なのではと思っているのはここだけの話である。
しかしジョージにどうにかしてお勧めしたいペニーワイズは焦って声を荒げ、あるものを取り出す。
「とりあえず・・・これを・・・」
「削除された僕のお気に入り動画!?」
「
そう、ペニーワイズは動画が削除される直前に動画コメント欄に載せられたRJを手元に書き留めておき実際に購入したのだ。
RJが載ってない物は登場人物名やシチュエーションなどわずかな情報から探り当てたのだ。
正直ジョージにお勧めするためだけにこれらを行ったかと思うといささか過剰だと思うが、それだけペニーワイズが本気だとも感じる。
しかしジョージにはまだ懸念がある。
「おーう・・・もしかして失踪を危惧しているのかい?」
確信をつかれてジョージは顔を歪ませる。
「おっほww図星みたいだねww安心しろよジョージ。剣月さんは2018年に活動を開始してから今までに300本近い動画を投稿しているんだ。しかも最近はほぼ毎日投稿に加え毎日生配信している。作品の内容もヤンデレ一辺倒じゃない。甘々なものや切ない系、ファンタジーに百合まで多種多様だ。というよりたとえ失踪しても帰りを信じて楽しみに待つのが俺たちリスナーの役目だろう!」
ここぞとばかりに変わらぬ笑顔でプッシュしていくペニーワイズ。
しかしジョージにはまだ一つだけ懸念がある。
「ヤンデレのヒル擬人化とかゾンビとかピエロってある?」
そう、ジョージの性癖はかなり歪んでいるのである。
特にゾンビランドサガは読む用、布教する用、飾る用で全巻三冊買うくらいには好いている。
ジョージの疑問に対してペニーワイズは今まで通りの笑顔でーーーーー
「えっ、ああ、うん・・・」
というわけではなくぎこちない様子で答えた。
ジョージの業の深さは知ってはいたが、まさか
そんなペニーワイズの恐れなんて知ったこっちゃないジョージの興味は剣月氏へと移っていた。
「剣月さんはいいぞ、ジョージ・・・深いぞ・・・」
そう言いながらゆっくりと同人音声作品が保存されているファイルを渡そうとするペニーワイズ。
ゆっくりと・・・
「きっとジョージのお耳にもこびりつくから・・・」
もう少しで手が届く。
その時いきなりペニーワイズがジョージの手を掴む!
「お前も剣月ファミリーになるんだよっっっ!」
「キャアァァァァァァ!!!」
ジョージとペニーワイズは死んだ。
過去の剣月氏の作品を全部聞こうとして睡眠時間を削りすぎたのだ。
シチュエーションは似てるものでも演技に込められた感情の違いから耳が離せなくなるから、ほんとに中毒性が高い。
皆は使用用法をきちんと守って剣月さんの作品を聞こうね。
ジョージ
音声作品スキー
主に商業のギリギリアウトな作品をかき集める。
好きなシチュエーションはマイナー職種とマイナー擬人化。
動画の唐突な削除が軽くトラウマとなってる。
ペニーワイズ
音声作品スキー
主に個人勢の短めな作品やアーカイブをかき集める。
好きなシチュエーションは王道ヤンデレと王道純愛。
涙で化粧が崩れるのが悩み。