前段
剣と魔法の世界、エルファーシア。ここでは、多くの冒険者たちがそれぞれに生き、それぞれの冒険譚を続いている。
今回語るのは、真のサムライを目指して冒険する、一人の若き武士の物語。
* * * * *
それは、酒場で配達の依頼を受け、街道を馬車で進んでいる時でござる。
「おうおう、ここを通りたければ、俺たちに通行料を払いな!」
突然、9人ものガラの悪そうな男たちに前をふさがれた。
聞いたことがある。この周辺を縄張りにしている強盗団がいると。
それがしも、なんとも運がない。
しかし、それがしも、一応武術をかじった身。武士の誇りにかけて、強盗ごときに屈するわけにはいかないのでござる!
「断る!」
「いい度胸じゃねぇか、やっちまえ!」
しかし、それがしの武術が、文字通り「一応かじった」程度であるものだということを、その身を思い知ったのは、この後すぐでござった。
それがしが動くより速く、強盗どもはそれがしに襲い掛かり、次々とその刃をそれがしにあびせてきたのでござる。
それがしの体から血が噴き出し、体を激しい痛みが駆け抜けると同時に、体から力が抜けていくのを感じた。
心の蔵に刃が深く突き刺さった感触を感じたのと同時に、それがしの意識は途絶えたのでござる……。
* * * * *
「おうおう、ここを通りたければ、俺たちに通行料を払いな!」
……という悪夢から覚めたそれがしを乗せた馬車は、そのようなどこかで聞いたようなセリフを吐くガラの悪い男たちに前をふさがれた。
聞いたことがある。この周辺を(ry
それがしも、一応武術をかじった身とはいえ、彼らに勝てる気は毛ほどもない。
ここは、おとなしく彼らに屈したほうが賢明でござろう。
「……はい」
「物分かりいいじゃねぇか。あばよ!」
かくしてそれがしは、有り金のほとんどを失った代わりに、彼らの魔の手から逃れられたのでござる。
しかし、その考えが間違っていたことをその身に思い知ったのは、この後でござった!
……
「ぜぇぜぇ……も、もうすぐ三角州の村でござる……」
宅配依頼の帰り道。途中で路銀が尽きたそれがしは、息も絶え絶えの状態で、三角州の村に徒歩で帰っていた。
もうすぐ、もうすぐ村……。しかし、それまででござった。
「……ぐふっ!?」
ついに体力が尽きたそれがしは、その場に倒れ伏し、その一生を終えたのでござった……。
* * * * *
……という悪夢を見た日の朝、それがしは三角州の村の酒場の掲示板に見入っていたでござる。
あ、申し遅れた。
それがし、理伊 茶之介という、真の勇者(さむらい)を目指す者でござる。