平和を守る者   作:はすきるりん

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チーム戦②

夜斗は不気味な笑みを浮かべながら、迫って来る迅と小南を見ていた。

 

夜斗「桐絵には悪いけど…先に落ちてもらう」

 

夜斗が小南に殺気を放ち、小南はその殺気にゾクッと体が恐怖に包まれ隙ができた。夜斗はその一瞬を逃さなかった。

小南がなんとか戦斧を振り下ろした瞬間、何故か攻撃を仕掛けた小南が後方に吹っ飛んだ。

 

小南「なんで…ってまさか!」

 

小南は吹き飛びながらも自分がいた所を見た。そこにあったのは夜斗の前にシールドのように設置されてた正方形の板。

 

小南「グラスホッパー!?」

 

夜斗「正解」

 

夜斗は小南を追撃しようと、身体を低くし跳躍しようとした。

だが、そこに迅がスコーピオンで夜斗の背中を狙った。

 

迅「…やべ!」

 

迅は、夜斗の背中を刺そうとしていた腕を引っ込め、胸の前にシールドを設置した。そして迅がシールドを設置したと同時に、夜斗の背中から薄く鋭いスコーピオンが伸びてきたが、シールドに阻まれ、スコーピオンが半分折れて地面に突き刺さった。

 

迅(あぶね〜!こいつ可能性のある未来が多すぎて俺のサイドエフェクトがあんま意味ないからな)

 

迅はバックステップで一旦距離を取ろうとしたが、バランスを崩して転倒した。

 

迅「…え?」

 

迅は自分の足を見ると、そこにあるはずの足はなくトリオンが流れていた。

迅はまさかと思って夜斗の足元をよく見ると、夜斗の足場にかなり小さく亀裂が入っていた。

 

迅(”もぐら爪(モールクロー)”!?いや、だったらもう少し大きく亀裂が入ってるはずだ…まさか!?」

 

迅は先ほど、自分のシールドによって折れたスコーピオンを見た。普通なら折れたスコーピオンは消していたりするが、このスコーピオンは折れた状態のままだった。

 

夜斗「お、結構あっさり種割れちゃったか」

 

夜斗は背中から生やしたスコーピオンを、本来ならスコーピオン2本を繋げて距離を伸ばす“マンティス”を応用させ、シールドによって折れたように見せスコーピオンを一本分解させ、地面に残し“もぐら爪”で地面からスコーピオンに繋げて、再び“マンティス”を発動させ迅の足を斬ったのだ。

しかも夜斗はその一連の流れを瞬時に行った。

それほどの戦闘センスと技術を兼ね備えているボーダー隊員は、おそらく現在所属している中にはいないだろう。

 

夜斗「それじゃ宣言通り、桐絵から」

 

夜斗は小南を落とすため跳躍した。右手には孤月を装備し、一気に小南との距離を詰める。

だが小南もやられっぱなしではない。メテオラでの両攻撃を夜斗に浴びせるも、グラスホッパーでパチンコの玉のように射線を避け、小南を切り捨てた

 

『戦闘体 活動限界 緊急脱出』

 

夜斗により光の柱になって消えた小南。おそらく栞に愚痴るだろうな、なんて考えが脳裏に過ぎるも、まだ戦闘はお終わってないので切り替えた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その頃、スクリーン側では

 

武富「一ノ瀬隊員!見たこともない技術で迅隊員の足、そして小南隊員を落とした〜!少数チームが2点リードだ!それにしても一ノ瀬隊員が迅隊員の足を奪った方法はなんなんでしょう?忍田本部長わかりますか?」

 

武富に聞かれた忍田は、その方法を説明した。C級隊員は説明されてもどれほど凄いのかあまりわからなかったが、その他のモニターを見ていたA、B級隊員は一ノ瀬の凄さに驚愕していた。

 

林藤「あいつはボーダーにあるトリガーは全部使いこなせるからな。個人戦をやってないだけで、あいつの技術と実力は実際どれもマスタークラス、うちのレイジと同じ完璧万能手と一緒だ!それにあいつは対複数戦においては滅法強いから、他のチームは夜斗を10本中、半分ぐらい落とせたら大勝利じゃねえかな」

 

武富「は、半分ですか…では一ノ瀬隊員がどれくらい落とされるのかそこにも注目していきましょう!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

桐絵は落としたな。あとはレイジと望、それと完全に盾役の迅か…

レイジはここで俺を落とすつもりか全武装(フルアームズ)を起動してるし、望はハウンドを展開、蒼也はバッグワームでチャンスを伺っているのか知らないが待機中。となると次に取りやすいのは…

 

夜斗「バイパー」

 

加古「やっぱり私よね」

 

全武装のレイジを相手にするなら、1体1の方がやりやすいからな。

レイジの狙撃防止のため望を間に挟むか

 

夜斗はグラスホッパーとアステロイドを巧みに使い、加古の背後に回りレイジと夜斗で加古を挟むような立ち位置にした。

だがレイジはハウンド弾のアサルトライフルで夜斗だけを狙い、加古もアステロイドを夜斗に放った。

 

夜斗「“アステロイド”、“バイパー”」

 

それを夜斗は、加古のアステロイドを、かなり細かく(・・・・・・)分解した同じアステロイドで相殺し、バイパーでレイジのハウンドを打ち落とし、さらに余ったバイパーでレイジを奇襲するも、全武装の防御により阻まれてしまう。

そして加古は再びアステロイドを展開したその瞬間、加古は姿を消すと夜斗の後ろに。“テレポーター”という、目線の先の数十メートルの距離に瞬時に移動できるトリガー。

それを使用して再び、夜斗をレイジと挟み撃ちにすると、2人同時にアステロイドを使用。

それをグラスホッパーで横へ回避。しようとしたその時、夜斗の回避先へ壁が出現し進路を塞いだ。

防御用トリガーの“エスクード”。任意の場所に障壁を発生させるトリガーで、このトリガーと相性が良く、装備している人物はこの中で1人しかいない。

迅はニヤッと笑みを浮かべた。どうやら夜斗が回避する未来を見て、進行方向へエスクードを発生させたようだ。

退路を絶たれた事で加古とレイジのアステロイドに挟まれる夜斗。

だが瞬時に夜斗は足元にグラスホッパーを出して思いっきり踏む。

宙に逆さまになりながらもなんとかアステロイドは頰をかすめる程度に避けると自分が設置していた罠を発動させた。

 

夜斗「…アステロイド」

 

ぼそっと呟くと、加古とレイジの足が蜂の巣になった。

加古とレイジは一瞬何が起きたか理解できなかったが、すぐに自分たちの足を撃った物の正体が分かった

 

加古「“アステロイド”…残していたのね」

 

レイジ「まさか加古のアステロイドを相殺した時からか!」

 

加古とレイジの読み通り、その正体はアステロイド。夜斗はサイドエフェクトによりトリオンの操作が他のボーダー隊員よりも桁外れに優れている。

例えばアステロイドを細かく分解しても、さらにその一個を複数に分解することが可能なのだ。その小さいアステロイドを地面に撒き散らし、罠として忍び込ませていたのだ。

 

足がなくなり、倒れる加古とレイジ。だが地面に触れる瞬間、2人の体は上へと跳ね飛ばされた。夜斗が2人の地面にグラスホッパーを設置したのだ。

そしてレイジの方にさらにグラスホッパーを展開させ加古の方へと近づかせると、夜斗自身もグラスホッパーを使い、レイジと加古から少し距離を取った。

その様子を見ていた迅は冷や汗をかきながらも、空を見上げて軽く笑った

 

迅(あ〜こんな未来見たくなかったな…)

 

迅は見てしまったのだ。自分たちがこれからどうなるのかを…

一方で夜斗は悪魔のような笑み浮かべながら、自身の莫大なトリオンキューブを出現させると数個に分解することなく、そのままキューブの状態で加古達へ投げ込んだ。

加古とレイジは自分たちの結末を悟ったのか、目を瞑り抵抗することもなく投げ込まれたトリオンキューブに当たった。

その瞬間

 

ドオォォォン‼︎

 

巨大な爆発があたり一面を飲み込んだ。

夜斗はグラスホッパーでさらに距離をとったので爆発に巻き込まれることはなかった。

 

その爆発の中、緊急脱出(ベイルアウト)を意味する光の柱が3本昇った。

しばらくして爆発が止み終えると、さらに別の方で3本緊急脱出した。

 

三上『夜斗さん!出水先輩が二宮さんと引き分け、米屋先輩が太刀川先輩の右腕を奪い他にも多数の傷を付けて緊急脱出しました!

あとは風間さんと太刀川さんだけです!』

 

夜斗「了解。2人とも大奮闘で凄いじゃん、お疲れ様。これは焼肉は一番上のコース決定だね。

まぁすぐに終わるから次の準備でもしときなよ」

 

出水「おー!ありがとうございまーす!」 

米屋「くあ〜!今度こそ勝てると思ったんだけどな。次にリベンジだな」

 

公平も陽介も、あの2人をそこまでやったのは素直に凄いな。

これで残りは負傷者の慶に蒼也ね。立場が逆だったら色々とめんどくさいけど、片手の慶に俺は手こずらないし蒼也の戦法は俺には効かない。

少し意地悪だけど中距離を保ってやり合うか

夜斗はサイドエフェクトで風間と太刀川の居場所を特定し、2人への攻撃を開始した。

 


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