undesired enders   作:tCADE

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「運命が交錯する日」

 光侍と葦咫が訪れた街は至って平和そのものだった。

 

 人が行き交い、ビルが立ち並び、生活音が遠くから聞こえてくる。

この公園にしてもそうだ。

子ども達が力いっぱいに走り回り、ベンチに腰掛けながら談笑する母親たちに

会釈をして通り過ぎてゆく老人。

 ここが自分が求めていた世界なのかは分からない。

けれど、拒む理由も無い。

果ての無い暗闇でたったひとり、無限の時を過ごし続けるより遥かにマシだ。

ここで新しく全てをやり直すのも悪くないだろう。

 

「葦咫。君はどうする?」

「うーん……」

 

 噴水の外縁に座る光侍の隣で葦咫は眉を潜ませ、腕組みをして唸っていた。

 

「ここ……あたしの帰る場所なのかな、って」

「え?」

「思い出せないんだけど……大事な事を忘れてるような気がして」

 

 不確かな記憶の奥底にある、ここではない何処かを探し求め続けるか。

それを忘れ、ここで新しい自分として生きていくか。

光侍と葦咫は2つの選択肢を前に、揺れていた。

 

「きゃーッ!?」

「!?」

 

 しかし、「それ」は2人に決断する時間を与える事無く現れた。

平穏な公園を引き裂く悲鳴に、光侍達は反射的に視線を上げる。

 

「な……!?」

 

 突如出現した怪物の群れ。

それはゆっくりと蠢き、公園にいた住民たちの元へと躙り寄ってくる。

 

「ば、化け物……!?」

 

 怪物の内の一体が伸ばした触手が鞭のように撓って地面を打つと、

コンクリートがいとも容易く砕け割れる。

狙いは逃げ足の遅い老人だ。

 

「あ……あわわ、た、助けてくれ……!」

「危ない! おじいちゃんが!!」

 

 そう思うが早いか、葦咫は疾風の如き速さで飛び出し、

老人の元へと一足飛びで辿り着き、

軽々と抱きかかえてその場を離れる。

 

「みんな! 逃げて! 早く!」

 

 光侍は残された人々を最寄りの出口へと誘導し、避難させた。

 

「一体何なんだ、こいつら……!?」

 

 後を追わせないよう、公園の出口を塞ぐようにして怪物たちと対峙する

光侍と葦咫。

徐々にその相対距離は縮まっていく。そして骸骨の兵士が引き絞った弓矢が放たれた。

 

「!!」

 

 放物線を描き、飛んでくる矢。光侍の心臓目掛けて。まさにその瞬間。

 

「マシュ!」

「はい!!」

 

 巨大な盾を構えた黒い甲冑姿の少女が、光侍と葦咫の前に割って入り、

矢を防いだ。

 

「た、助かった……?」

「間一髪、って所かな」

 

 光侍達を救ったのは、2人の少女。

マシュ・キリエライト。そして、藤丸立香。

 

「あなた達は一体……?」

 

「説明は後。まずはここを切り抜ける。マシュ、迎撃準備!」

「了解です、マスター!」

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