首都高 HiGHWAY STORIES   作:そこら辺の石もしくは草

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紅屋の構成員、赤莢 鈴との勝負が始まる。
首都高では何が起こるかわからない、このバトルでは何が起こるのか。


先を走る者

「あと、10分少々。もうカウントダウンは始まっている。」

鈴は後ろのシルビアよりも雲を見ていた。

 

「だいぶ苦しい走りをしているな、一般車がほとんどいないとはいえ、道幅を目いっぱい使った走りはここじゃ駄目だぜ。」

後ろを走る麗矢は先行する馬力不足のフェアレディZを見ていた。

馬力不足の車を早く走るために目いっぱい道幅を使うことはこの首都高速では命取りになりかねない。

「コンマ1秒を削る行為は視野を狭める…。」

2台は雲行きがが怪しい夜の首都高を走っていく。

 

AM1:40 芝浦PA

「今夜は、一雨降りそうだな。」

ロイドは空を見上げながら言った。

「え?今日の予報は曇りだが降水確率はゼロじゃなかったか?」

隣にいる藤次はロイドの方を見る。

「今の雲行きじゃあ、間違いなく降るだろうね。」

ロイドはどんよりとした雲を見て言う。

「今日は麗矢は晴れの日用の浅溝のセミスリックタイヤで走ってるんだろ。やばいじゃないか。」

浅溝のセミスリックタイヤは路面によく食いつく、しかし短命で雨の路面では滑りやすい、ましてや雨が降り始めの路面にはごみやほこりが水で浮きさらに滑る危険性が上がる。

「ここは首都高、ストリートである以上は何が起こるかわからない…それに対する対策は、できているはずだ。ここは信じるしかないだろう。」

 

「たいして回していなさそうなのに、余裕で付いてくる。」

鈴は後ろのシルビアを見ていた。

「後ろが詰まっているぞ、ちゃんと本気で逃げてくれよ。」

シルビアはわざとアクセルを抜いてフェアレディZに合わせていた。

「まだ、まだ前に出せない。1分1分が長く感じる。抜かれるのが先か…」

麗矢は何か嫌な感じを感じていた、このシルビアより低いパワーで、なおかつ勝てる勝算を持ってバトルを挑むバトルは麗矢にとって不可解だった。

「テクニカルな銀座に向かってることから見るにパワーの差が無いところで勝負をつけたいのか。」

「まだ、あと少し、あと少しで…」

 

紅屋ガレージ

「鈴が走りに行ったそうだが、お前か?行かせたのは」

パソコンをいじっている実未に朱夜が訪ねる。

「人聞きが悪いこと言わないでくれよ、向こうから聞いてきた質問に答えただけだよ。」

パソコンのキーボードをカタカタと打ちながら実未は答える。

「パソコンの電源引っこ抜くぞ。」

そう言われると実未は手を上にあげた。

「脅すなよ、勝てるかなんてのはわからないんだ。ただ勝算が高い方法を教えただけだぜ。」

実実がそう答えると朱夜は外を見る。

「雨…か、それで勝てるのか?首都高のエースってのはそんなに簡単には墜とせないだろ。」

「それは、答えが来るのを待てばいいじゃないか。」

 

AM1:45 首都高

どんよりとした雲が立ち込める首都高、ついに運命の瞬間が訪れた。

「な、あ、雨だと?」

降水確率はゼロだと思っていた麗矢にとって、雨は想定外の事態だった。

「ようやく来た!新環状に行かなかったから多少トンネルが多いけど、そこを抜けた後ならいける!」

「無駄に時間をかけた理由はこれか、さっさと前に出れいれば…」

麗矢は自分を叱咤しつつシルビアを走らせる。完全なウェットになる前に勝負をつけなければ勝算は格段に下がってしまう。焦るシルビアを置いてフルアクセルのフェアレディzは加速していく。

霞が関と千代田の区間は埃が浮き始めていた。

「このトンネルの出口でフルスロットル、大パワーFRじゃ後輪を滑らせ無い為にセーブするはず。」

「しょうがない…腹くくって勝負かけてやる!」

2台は接戦でトンネルを抜ける。路面は…

 

 

濡れていなかった

 

 

「まだ雨は来ていない!そうとわかれば一気に突き放す!」

麗矢はすぐにフェアレディZの横に並ぶ。

「くっ、まだ、雨が来るまで…」

しかし横に並ばれた時点でパワーの差によって離される。

「これじゃあ、ムリだったか…」

シルビアのテールライトを見て、鈴はアクセルを離した。

 

 

 

一週間後…環状エリア 深川線

 

「結構いい感じだな?」

首都高を一台で走るのはブーレイ顔の8のエアロを取り外し9のフロントをフェイススワップした青いランサーエボリューション8、操るのはwillow hart(ウィローハート)の異名を持つ走り屋、ロイド 近松だった。

ダッシュボードを加工して取り付けられた数々の計器、その中の水温計をロイドは見ていた。

「安定している。やりたいことはやり切った。後は、実戦導入のみか。」

水温の安定を確認して計器から目を離した時、バックミラーに速い後続車の光が写った。

「あの形…FD?黒い、藤次か。」

藤次のFDはスピードを上げて近づいてくる。

ロイドはハザードをつけて合図を出す。

「やる気だな、この時間なら。ほかの車もいないだろう。」

「さて、今夜のバトル、楽しもうじゃないか。」

ロイドのランエボ、藤次のFDは同時に加速していく。

夜の首都高、その闇の中に身を隠すように。

 

速く、ただ、速く。

 

速さを追い求める2台は、闇の中でひと時の勝負を始める。

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