Tuitterのフォロワーが妹だったんだけどネットリテラシーガバガバすぎて胃が痛い 作:匿名希望の宇治松千夜
最新ツイート |
---|
赤りんご姫奈 @apple_aka_na 1分前 暇だし掃除しようかな? 明日は塾、明後日は学校だし…… 0Replies 0Retweets 1Likes |
姫松美琴@アニメ大好き! @mikoto_love_wara 1分前 裏垢と政治垢とフェミ垢ってなんであんな殺伐としているんだろうなぁーみんなで肩並べてごちうさ見ようぜ 0Replies 0Retweets 1Likes |
米米 @komekome_wow 16分前 魔剤は青色が最強、他はゴミ 1Replies 0Retweets 8Likes
赤りんご姫奈 @apple_aka_na 15分前 Replying to @komekome_wow ピーチ以外の間違いじゃない? 味障? 1Replies 0Retweets 0Likes
米米 @komekome_wow 3分前 Replying to @apple_aka_na ばっか、ゼロカロリーで健康に良いんだぞ? ピンクとかメンヘラか? 0Replies 0Retweets 1Likes |
甘風由海 @sea_wind1104 5分前 今日は喫茶店でパフェ♡ 色は変だけどめっちゃ映えてる(笑) これからイツメンでカラオケうぃる~ 2Replies 3Retweets 25Likes |
↳↰ 姫松美琴@アニメ大好き!さんがリツイートしました 博識ある愛国論者、細川剛典 @takanori_hosokawa 35分前 今日は国会前デモ集会用のプラカードを作っています。そこで書くフレーズに悩んで30分……。阿部辞めろ。か辞任しろ。の二択で迷っています。完成品は明日のデモで披露するので楽しみにしていてください。 #阿部辞めろ #内閣退任運動春の陣 0Replies 9Retweets 22Likes |
黒闇髑髏 @inthedarkness_sukaru 8分前 禁酒し過ぎて頭爆発しそう、一マス戻る 0Replies 0Retweets 0Likes |
ふりっぷ @huri______p 8分前 またラグって遭遇した瞬間撃たれて死んだ、回線クソが代 1Replies 0Retweets 8Likes |
よーじょ提督 @jojojoyo_jo 21分前 容姿がロリならロリだと思ってる、お前らのそれは違うのか? 1Replies 0Retweets 3Likes
ずりずり @zuri_to_kaiketsu 10分前 Replying to @jojojoyo_jo それはロリじゃないから。小学生以上は見た目がそうだろうとロリの皮を被ったただの女児であってロリではない 0Replies 0Retweets 0Likes |
俺の部屋は階段を上がって右手にある。左手には沙瑛の部屋で、飯時の朝昼晩、計一日に三回ほどしか開かない。母親曰く偶にゲーセンやコンビニにも行くらしいのだが、それらは全て平日の昼間に為されるようで俺が実際にこの目にしたことはない。恐らく、同級生が徘徊し始める放課後や土日は逆に外の出づらいのだろう。完全な引きこもりよりはほんのちょっぴり、マシかと思う。
そんな開かずの間と化している沙瑛の部屋から棚やら何やらをひっくり返す音が聞こえてくる。ツイートから察するに本当に掃除しているのだろう。別に学校には登校してないし塾にも行ってないから年中暇だとは思うが、SNSではその姿を見せぬように嘘をついているのだ。社会からはみ出てる沙瑛にとって、そのことを
「妹よ……なぜこんなアカウントを……」
プロフィール欄に目を通していると、更に頭を抱えたくなってきた。一応フォローフォロワー、つまるところFFの関係で、しかも絡んだこともあるからある程度は知っている。
赤りんご姫奈、さながらメンヘラみたいなハンドルネームだけど予想に違わずツイート内容はメンヘラである。誰通だとか睡眠薬飲みたいだとか……、率直に言ってしまえば構ちょってタイプのフォロワーだった。どこの社会組織にも所属しておらず、リアルもあまり充実していなさそうで、その寂しさをTuiterで慰めている。フォロワーとしても彼女のことはずっとそう見えてたし、それが実の妹だったことに頭痛が痛い。
ツイートを見る限り自撮りなどを投稿していないのは不幸中の幸いだろう。実名ならともかくこんな匿名アカウントで自撮りしていたらそれこそトラブルの種だ。俺個人としての意見だが、自撮りをしてしまえばもうネットからは戻れない。自己肯定感を得るために自分の写真を載せて、いいねを沢山もらう代償は確たる個人情報の流出だ。一度ネットに上げたものはこの現代社会一生残るし、それが匿名垢で本人が美少女なら殊更だ。
ある程度沙瑛のアカウントを確認すると、もどかしさを穿り回すかのように俺は頭をガシガシと掻いた。
───やはり家族として、沙瑛には普通の学生生活を送ってもらいたい。
こういう真実が判明して、脳裏に過るのはそんななんてことのない願い。俺は本当に何もない男子高校生ではあるが、沙瑛は進学すれば華の女子高校生。楽しんでほしいとも思うし、もっと活発に外に出て欲しいとも思う。
でも俺にどうのこうのと強要する権利なんて存在しないし、沙瑛だってきっと望んでいない。言わば俺のエゴで、願望という二文字すらもおこがましい。
「……暇、なんだけどな」
何というというか、儘ならない。
時間に身を任せて俺はベッドに横たわると俺は瞼を閉じた。
次に目を覚ましたのは夕焼けが窓から差し込む午後五時過ぎほどのことだった。目を擦りながら俺はスマホの電源を入れる。起動画面の最中、スクリーンが暗転して俺の顔が写り込んでふと苦笑いが浮かぶ。起きてすぐにスマホとかどんだけスマホ中毒なんだ俺は……妹のことをどうこう言える立場じゃないよな。分かってたけど。
OSが立ち上がって、待ち受け画面が表示されるとメッセージアプリに未読通知が出ていることに気付く。ぼんやりと、鈍化した思考のままタップする。
差出人は母親だった。どうやら午後のうちに友人の家に遊びに行ったようだが、天候が悪化して帰るのが面倒だから一晩泊るとのことだった。面倒だから、という文面に母親のありのままの性格が出ている。窓から空を眺めれば雲こそ観測できるけど4割は晴れ、午前11時にはこの家にいたことから友人宅はそう遠いわけもない。スマホに軽く指を走らせれば、自宅周辺エリアで電車が止まっているという訳でもなさそうだ。本当に面倒臭くなっただけだろう。
溜息を吐いて、それから俺は今日の晩飯をどうするかという議題に頭を悩ませる。父親は海外出張でまだ帰ってこないので、家には俺と沙瑛のみ。それを考慮すれば、料理するというのは選択肢から真っ先に消える。俺はレトルトかカップラーメンしか作れないし、妹も同様。残った選択肢と言えば、外食か、弁当を買ってくるか、二つに一つ。
1分くらい仰向けのまま考えて、一先ず沙瑛の部屋に行こうと俺は昼寝で凝り固まった身体を解しつつ立ち上がった。良い機会だ、これが沙瑛と話す口実にもなる。
打算的な思考を持ちながら部屋を出て、すぐ目の前に沙瑛の部屋の扉がある。狭い二階の通路を分けて右左と俺と沙瑛の部屋があるのである。胸の中の空気を入れ替えて、躊躇する気持ちに区切りを付けると俺は控え目にノックをした。
「沙瑛、いるか? 開けるぞー」
「お、お兄ちゃん……!? ちょっとま……」
声が返ってくる前に俺はドアノブを開いて、後悔した。
沙瑛は先程の俺よろしく、ベッドに横たわりながらタブレットを触っていたのだが……何故か下着姿だった。いや厳密には下着ではない。白いぶかぶかのレースに、黒色の女性用パンツ一枚がレースに隠れてチラチラと覗かせている。白いレースが捲れて、しなやかな腰が見えちゃっているのも非常に心臓に悪い。表現に困るが、ただ一つ言えるのはこれは兄に見せちゃいけない類の扇情的な服装だというのに違いはなかった。
沙瑛は自分の服装を自覚していたみたいで、すぐに横に置かれていた枕で自分の姿を隠した。恥ずかしいのかミルクのように白い頬はいつになく上気していて、非難するように微かに濡れた瞳はこちらに突き刺さっている。
「……お兄ちゃん。ノックは、大事」
「すみませんでした……」
沙瑛の様子をチラリと確認して、頭を少し下げて俺は扉を再び閉じた。一つ間違えればここで妹とは望まぬ冷戦状態に陥るところだった……これからはマジで注意しよう。マジのマジで。
最新ツイート |
---|
我風チノ @orechino_ItaiItai 1分前 空から降ってくる系の女の子になりたい。なりたくない? 0Replies 0Retweets 1Likes |
実家暮らしニートおじさん(33) @ojioji33kirito 3分前 青春ラブコメアニメ見てたら涙出てきた 俺って…… 0Replies 0Retweets 12Likes |
赤りんご姫奈 @apple_aka_na 3分前 ノックせずにお兄ちゃんが入ってきたんだけど(@_@。 これは普通に常識疑う 0Replies 0Retweets 20Likes |
よーじょ提督 @jojojoyo_jo 3分前 提督業で忙し過ぎて仕事が手に付かない、そんなワイは勿論駆逐艦箱推し 0Replies 0Retweets 6Likes |
青色百号 @blue_100 6分前 死にてぇ………… 1Replies 0Retweets 1Likes
赤りんご姫奈 @apple_aka_na 5分前 Replying to @blue_100 どうしたの? 0Replies 0Retweets 0Likes |
米米 @komekome_wow 7分前 色々モンエネ海外から取り寄せたけど結局青が一番って訳よ 0Replies 0Retweets 8Likes |
ツイートをさらに表示 |
「晩飯さ、どうしたい?」
仕切り直して、再び沙瑛の部屋。今度はしっかりとTシャツにスカートを着て防御力を爆上げさせた妹に、僅かな緊張感を交えつつ不器用に俺は切り出した。
「どうしたい……って?」
「お袋のメッセージ見た? なんか今日帰って来ないって」
「うん……見た。どうしたいかぁ……」
沙瑛は吐息交じりの声を残しつつ視線をゆらゆらと彷徨わせる。それは晩飯について思いを馳せているというよりは、俺との距離感をどう保つか考えあぐねているように思える。それは俺にとっても他人事ではない。中学を卒業して以降ロクに会話もしてこなかった以上、沙瑛とは家族のようで知り合いの妹のような不思議な感覚すら俺は覚えていた。
だから先程沙瑛が部屋を訪ねてきたのも途轍もなく珍しいことだったのだが───と考えて、思考が逸れていたことに気付いた。そんなことは今考える事でもないか。
「あーっ、うん。実質二択だと思う。何か買ってくるか、それか外食するか」
思った以上に内気と言うか、二の足を踏み続ける沙瑛に思わず助け舟を出した。
「外は……晴れ?」
「予報だと夜に曇って深夜に雨。まあ今から外食する分には影響しないと思う」
「そっか……どうしようっか……?」
いや今それを聞いてるんですが……。
口から漏れかけた言葉を喉の奥深くへと飲み込んで、ハッ、と気付く。沙瑛の言動を鑑みるに、俺の想像が独りよがりなものでなければ沙瑛は俺の提示した選択肢についてはどちらでもいいんだと思う。不安や戸惑いはあれど、嫌悪感と言ったものは見えない。
ならばこれはチャンスだ。長年凝り固まってしまった沙瑛との関係性を解して、沙瑛に社会復帰を促す系譜となるこれとない機会だ。
「じゃあ外食にしないか? 兄妹水入らずってことでさ、どう?」
「え……! う、うん……いいよ」
戸惑うように沙瑛は頷いた。少し強引過ぎたかもしれないと僅かに後悔したが、まあこれで話す機会も出来たし良いかと思い直す。引っかかるところはあったけどそれを俺は無視して別のことを考える。
外食といっても沢山種類がある。ファミレス、寿司、ラーメン、焼肉、ハンバーガー……上げ出したらキリがない。沙瑛の様子を伺ってる感じ、あまりその内容には頓着していないようだ。必然的に言い出しっぺの俺がその選択を強いられる。
と言っても金銭は有限で、後から母親が建て替えてくれるとしても財布の中にあまりお金がある訳でもなし、寿司なんて食べ始めたら財布の中が気になって会話に集中出来なくなる。
「…………よし、なら行くか」
行き先を決めると、俺は沙瑛にもっと上着をするように促す。ネットの天気予報では今夜はかなり冷えこむと出ていた。
最新ツイート |
---|
黒闇髑髏 @inthedarkness_sukaru 42秒前 酒!飲まずにはいられないwithアニメ! 0Replies 0Retweets 0Likes |
姫松美琴@アニメ大好き! @mikoto_love_wara 1分前 アニメ見てたらこんな時間、やばばのば 明日暇つぶしに国会行きます 0Replies 0Retweets 2Likes |
我風チノ @orechino_ItaiItai 3分前 来週模試か……数学がヤバい。サインコサインタンジェントとか余弦定理とか全て滅びればいいのに 0Replies 0Retweets 1Likes |
青色百号 @blue_100 6分前 二郎行きたい 0Replies 0Retweets 4Likes |
よーじょ提督 @jojojoyo_jo 4時間前 容姿がロリならロリだと思ってる、お前らのそれは違うのか? 1Replies 0Retweets 3Likes
ずりずり @zuri_to_kaiketsu 4時間前 Replying to @jojojoyo_jo それはロリじゃないから。小学生以上は見た目がそうだろうとロリの皮を被ったただの女児であってロリではない 1Replies 0Retweets 0Likes
よーじょ提督 @jojojoyo_jo 1時間前 Replying to @zuri_to_kaiketsu 女児はロリだろ、広辞苑にもそう書いてあるかもしれない 1Replies 0Retweets 0Likes
ずりずり @zuri_to_kaiketsu 10分前 Replying to @jojojoyo_jo そこは自信もっと持ってくれ 0Replies 0Retweets 1Likes
|
青色百号 @blue_100 18分前 死にてぇ………… 1Replies 0Retweets 1Likes
赤りんご姫奈 @apple_aka_na 17分前 Replying to @blue_100 どうしたの? 1Replies 0Retweets 0Likes
青色百号 @zuri_to_kaiketsu 11分前 Replying to @apple_aka_na なんでもない… 0Replies 0Retweets 1Likes |
ツイートをさらに表示 |
俺が外食先に選ぶ条件を纏めると、一つ目に財布に優しい手軽な値段。二つ目に会話のしやすい落ち着いた店。
その二個を踏まえて俺が選んだのは駅前のファミリーレストランだった。我ながら滅茶苦茶安易な選択をしたと思う。だけどここ以外になるとこの近くには大した店が無い。回転寿司や焼肉屋、居酒屋にカフェ程度。やっぱり行くなら馴染んだファミレスだよな!という結論に落ち着いたわけで。
「…………何か、久しぶり、かも」
キョロキョロと、沙瑛は物珍し気に辺りを見回すと恐る恐るメニュー表を取った。沙瑛にとってもしかすると、外食自体が数年ぶりの出来事なのかもしれない。ウチの家は家族で外食なんてことは殆どせず、あるとすれば個人的に一人で放課後ラーメンを啜るくらいなので引きこもりの沙瑛が外食に行く機会は無かったのだろう。
すると、沙瑛は俺の顔とメニュー表を交互に見比べて、思案するように唇に指を当てると難問でも解いているみたいに目を瞑った。……これ、もしかして俺の所持金の心配してるのか?
「沙瑛、お金の心配なら要らないからな。後から利子付けてお袋に請求するから」
「そ、そうなんだ……でも利子付けて請求するのはやめよ……?」
「良いんだ良いんだ、俺のお袋ってちょっと頭のネジがアレだから」
「お兄ちゃんのお母さんは私のお母さんでもあるからね……?」
実際問題、突然友人宅に泊まることを告げて後はよろしく~、とぶん投げてくる母親は家族以前に人間として少しどうかと思う。利子くらい請求しても俺に罰は当たらないのではないだろうか。
会話内容に関してはともかく、沙瑛はお金の出所について理解したからか(どうでも良いけどこの言葉だけだとさながら俺が資金洗浄しがちな極悪人に見える、余談)少しほっとしたように頬を緩めて再びメニュー表と睨めっこし始める。それから5分ほどたっぷり悩んで「お兄ちゃん……決まったよ」と掠れそうなほどの小声で知らせてくれる。俺はと言えばここに来た時点で決まっていたので、頷くと直ぐに電子式の呼び鈴を鳴らした。
沙瑛が頼んだのは三種のチーズインハンバーグ、俺はカルボナーラのダブル盛り。注文を終えてウェイターが居なくなると、不自然な静寂が場を包んだ。周囲は土曜夕方とあって買い物帰りの家族や談笑する友人で溢れ、和やかな空気が流れている。その中で紅一点、さながら真空下かの如く無音が漂った入り口すぐ傍の4人掛けテーブルが俺たちのところだった。
互いに嫌い合ってる訳でもなく、TuitterでFFというのがバレた訳もない。ただ互いのやり取りの記憶が4年前で止まっていて、いざこういう場に出てきたとき俺も沙瑛もどう最初の一歩を踏み出すか迷っているのだ。
しかしここは俺が整えた場所。ファミレスというタイマンで話を交わす場所を選んだ責任感は小さじ一杯分くらいは心の内に存在する。
あー、とか、えー、とか。肝心な時に回らない口先にもどかしさを覚えながら俺はたっぷり時間をかけて話題を切り出した。
「さ、沙瑛さ?」
「う、うん」
「ひきこ……いや違うな。ついっ……これも違うか。うん、そうだな。最近どう?」
「えーーーーっと?」
沙瑛は本格的に当惑したように俺の双眸を真正面から覗き込んで、それでも質問の意図が理解出来なかったのか首をひねった。どうやら振る話題を間違えたようだ。これはいけない、話のレールを元に戻さないと。
「ほら、アレだ。最近何かハマってるものとかあるか? それこそゲームとかアニメとか、何でも良いんだけどな」
「うーん……ついっ……!? ごめん、今のナシで……」
恥ずかしそうに目を伏せてシュンと肩を落とした。完全にTuitterって言おうとしたよな。それもう自爆に近いからな。
「えーと……お兄ちゃんは?」
考えても思い浮かばなかったのか、沙瑛は俺にリターンエースを返してきた。この妹、SNS以外に何もやってないのか? いや待て、もしかしたらそれ以外に趣味はあるけど兄貴である俺に言うのは難しいだけなのかもしれない。例えばエロ漫画作家とか。
一旦そのことは置いといて、聞かれたので考えてみる。最近ハマってる、いわばマイブーム。何かあっただろうか。
取り敢えず日常の一日を思い返してみる。朝起きて高校に行き、授業を受け、帰宅し、アニメを見て、就寝。……精々アニメくらいしかないんじゃないかこれ。
「ああー。俺も大したもんないわ」
「無いんだ。自分が無いのに人に聞いたんだ……」
「はい……すみません……」
ジト目で見られて、無意識に丁寧語になった。兄は妹に弱い、これはガチ。
沙瑛は不機嫌そうに目を細めながらも口元に微笑を浮かべた。
「全く……良いけど。何か、変わらないねお兄ちゃんは」
「変わったぞ? 身長とか学力とか」
「中身の話だよ。私の知ってるお兄ちゃんと全く同じ……かな」
沙瑛は自信なさげに語尾を付け足した。でもそれはある種本質を突いているのかもしれない。
たった4年ぽっちで人は変わらない。変わろうとしても、成長したと感じていても、根幹を構成する要素は一つも変わらない。何もなしに、人はそんな短い期間で変革することは不可能なのだろう。
「それを言えば沙瑛だって全然変わらないだろ」
「うん……かも」
俺の記憶にある沙瑛という少女は内気で臆病で、あまり自己主張をしないタイプの少女だった。ストレートに言ってしまえば根暗とも表せる。それでも休日の朝は女児アニメを見たり、平日は小学校に毎日通学したりと、普通に世間一般にいる女子小学生だった。その中身は今でも変わっていない。変わってしまったのは周囲の環境なのだ。俺は今でも後悔している。
「あのさ沙瑛───」
「お待たせしました、三種のチーズハンバーグにカルボナーラダブルサイズです」
俺の紡いだ言葉は運悪くウェイターの声に掻き消される。不思議そうに目を丸くする沙瑛に俺は視線を逸らした。言い直すのは気まずいし、気が引けた。
俺は気持ちを振り落とすように、カルボナーラをフォークに巻き付けた。
最新ツイート |
---|
赤りんご姫奈 @apple_aka_na 1分前 北北西千葉駅前のファミレスでチズバーグした!!結構おいしかった! 0Replies 0Retweets 2Likes |
「だからネットリテラシー……!!」
夜、沙瑛のツイートを見て俺は激しく頭を抱えた。妹が特定されそうで怖いです神様。
特殊タグ乱用気味。使ってる特殊タグに関しては段々分かってきた。
良ければ評価感想お願いします