広町は普通に過ごしてるだけですよ~?   作:開屋

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 今回は七深ちゃんのお話と言うよりかは、割とその周りの人にスポットの当たった話になりそうです。はよアプリの方でももっと異バンド交流が見たい....


ホラー鑑賞

 活気溢れる商店街の中を鼻歌交じりに七深が歩いていると、向こうの方から見覚えのある2人が来る。

 

「あれ?七深ちゃんじゃん!」

 

「え?あ、ホントだ」

 

 向こうが七深に声を掛ける。

 

「あっ、香澄先輩に有咲先輩じゃないですか。奇遇ですね~」

 

 七深は笑顔で香澄と有咲に挨拶する。

 

「何か機嫌が良さそうだけど....何かあったの?」

 

「あ、ばれちゃいました?」

 

「そりゃあついさっきまで笑って鼻歌まで歌ってたし、そう見えるよ」

 

 有咲が小さくツッコむ。

 

「実は明日りみ先輩と一緒にホラーのビデオを見るって約束してたんですよ~。それがもう今から楽しみなんです~!」

 

 七深は上機嫌のまま答えた。

 

「そう言えば前の時もりみりんとホラーのお話で盛り上がってたっけ?」

 

「はい、あの後も色々ホラー映画のお話しをする機会があって、そして満を持して明日一緒にビデオを見るってお話になったんですよ~」

 

「な、なるほどな。確かに周りでそう言った趣味持ってる人ってそんなたくさんはいないイメージだし趣味を共有できるのはいいかもな」

 

「そういえばお二人はりみ先輩と一緒にホラーとか見ないんですか?」

 

 七深が尋ねる。

 

「あー....うん。一緒に見た時はあったよ。ポピパの皆で見ようって話はしたんだけど、その時は結局無理そうってなって全然怖いくないの見たんだっけ」

 

 有咲はその時のことを思い浮かべて苦笑いを浮かべる。

 

「そう言えばそんなこともあったなぁ~。あ、でも私はその後にホントに怖いの見たよ!こころんとか美咲ちゃんも一緒だったけど....何だったっけ?バイオなんとかってやつ....思い出せないな」

 

「『バイオパニック』ですか?」

 

「そうそうそれそれ!前に映画の最新作があるからって一緒に見ることになったんだ!....怖かったけど」

 

 その時のことを思い出したのか、香澄はややダウナー気味だ。

 

「そう言えばその時の話はりみもしてたっけか。映画見た後彩先輩扮するゾンビに追いかけられたとか」

 

「すごいじゃないですか!本物の映画みたいな....」

 

「とまぁ、そんなわけでウチらはあんまりホラー得意って感じじゃないんだよね....おたえは多分平気なんだろうけど」

 

「へぇ~、私は高校でホラー研究会に入ってるから結構見る機会多いんですけどね~、やっぱり先輩方ホラー映画結構怖い感じですか?」

 

「怖いよー!急にワーっ!て出てきたりしたらビックリするもん!」

 

「そ、そうなんですか?」

 

 七深が意外そうな表情をする

 

「まぁりみとか七深ちゃんはそういうのが好きなのかもしれないけどな。人それぞれだよ。ポピパで言えば沙綾もあんまりそう言うの得意じゃないっぽかったけど」

 

「へぇ....あんまり怖いの得意じゃないって人も多いんですね....」

 

 

 

 

 香澄と有咲と別れた七深は色々思い返してみる。そう言えばお花見の時も一見姉御肌だった巴が、ホラーとかの話になった時にかなり怖がってた覚えがある。もしかすると普通の女子高生にとってホラー映画と言うものはかなりの恐怖の対象なのだろうか。

 

「(もうちょっと誰か知ってる人に訊いてみよう....)」

 

 斯くして七深の普通を追い求める旅(?)が始まったのである。この時から次に七深に会った者のホラー耐性が直接(表面的な)七深のホラー耐性に置き換えられるのである。コピー能力者かな?

 

 その時は割と早い段階で訪れた。下校中と思しき2人組が向こうから歩いて来る。

 

「あれは....蘭先輩とモカ先輩!」

 

 考えるより先に二人の元へ七深は走って行く。

 

「お~、七深ちんじゃないですか~」

 

「七深って....ああ、モルフォニカの子か。急にこっちに来てどうしたの?急いでるみたいだけど」

 

 蘭が尋ねる。

 

「いやぁ、ちょっと蘭先輩に訊きたいことがありまして....」

 

「どうしたの?」

 

「蘭先輩って、ホラーとかって苦手だったりしますか?」

 

「えっ?」

 

 想定外の質問に蘭は思わず素っ頓狂な声を上げる。

 

「何と言いますか....ちょっと気になってしまいまして~」

 

「あ、あたしは別にそういうのは平気だし....」

 

 蘭がそう言うと

 

「え~?ホントに~?」

 

 モカが待ったをかける。

 

「だってひーちゃんの問題集取りに行った一年の時の真夜中の学校では—」

 

「....その話は今しないで。あんま思い出したくないから....」

 

 モカに鋭い視線を向けて蘭が止める。そして不本意ながらと言った様子ではあるが

 

「....正直実際のところあんまり得意じゃない、ってか苦手....」

 

 そう答えた。決まり悪そうにしていた蘭はその後モカを引っ張って、七深に『それじゃ』とだけ言って向こうへ行ってしまった。

 

 

 

 

 それから数日後、有咲の蔵にて。

 

「はぁ....」

 

「どうしたのりみりん?元気無さそうだけど」

 

 練習中も何かを気にしている様子のりみを見かねて香澄が尋ねる。

 

「えっと、この前モルフォニカの七深ちゃんと一緒にホラー映画の鑑賞会をしたんだけどね....」

 

「そういえば何日か前に七深ちゃんその話してたな。かなり楽しみにしてそうだったし」

 

 その日のことを思い出して有咲が言う。

 

「その日に何かあったの?」

 

 たえがりみに訊く。

 

「その時の七深ちゃん、何か様子がおかしかったって言うか、無理をしてる感じだったんだよね」

 

「無理をしてた?」

 

「うーん、無理をしてたって言うか....何て言えばいいんだろう。何かよく分からない所で驚いてたりしてて、でももしかしたらやっぱりホントは怖いの苦手なのを無理してたのかな....」

 

「うーん、それは無いと思うんだけどなぁ....一体どうしちゃったんだろう」

 

 あの時の楽しそうな七深の様子を思い浮かべて香澄が心配そうに言った。

 

 

 

 

 ....ここからはその日の別時刻での出来事。

 

「あれ?あそこにいるのって....」

 

 遠くにまた見覚えのある人影が見える。七深はもう少しそちらの方に近づいていく。ここ最近は妙に先輩バンドの人たちによく会うものだ。

 

「やっぱり!お~い、こころせんぱ~い!」

 

「あら?あなたは....」

 

 こころが七深の顔を見る。その時のこころの表情からするに多分七深の名前までは思い出せていない。

 

「お花見の時に一緒だったMorfonicaの広町です~」

 

「ああ、お花見の時にいた人ね!急にどうしたの?」

 

 ややいい加減な認識のままこころが七深に言う。

 

「こころ先輩って、お化けとかって怖いと思いますか?」

 

「お化けが怖い?どうしてかしら?」

 

「いや、ちょっと聞いてみたいな~って思いまして、ちなみにこころ先輩はどう思ってますか?」

 

「怖いだなんて思わないわ。むしろお友達になりたいくらいよ!」

 

「えっ?」

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